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連日の猛暑に早くもバテ気味の記者は、「寒い台湾」が恋しい。IT(情報技術)見本市「COMPUTEX TAIPEI 2024」などの取材で、2024年5月下旬から6月上旬にかけて台北市を訪れた。頻繁に出張する方や在住経験のある方には常識だろうが、台湾はレストランや百貨店、公共交通機関など、どこも冷房がガンガンに効いている。記者は冬に台湾を訪れたことはないが、エアコンの送風機能をオンにしている店舗が多くかなり寒いらしい。
10年近く台北に在住した知人によると、エアコンにドライ機能や暖房機能が備わっていない場合が多いほか、「冷房をよく効かせ空気を循環させている=顧客へのサービスが良い」という思想が根強いことが理由の1つのようだ。どこへ行っても寒さに震え、冷房控えめなスターバックスの店舗内が暖かく感じるほどだった。
COMPUTEXの会場外観は「エヌビディアカラー」に染まった(写真:日経クロステック)
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猛暑をきっかけに「夏場の電力は大丈夫か」という恒例の議論が始まり、台湾や日本の電力事情に思いが至った。COMPUTEXの表舞台には現れなかったものの、生成AI(人工知能)時代の覇者となった米NVIDIA(エヌビディア)などの生産委託先として存在感を示したのが、台湾積体電路製造(TSMC)だ。
同社が台湾の複数拠点の半導体工場で消費する電力量の総量は、台湾全体の電力消費量の10%近くを占めるとされる。半導体工場は24時間365日稼働が原則で、EUV(極端紫外線)露光装置など大きな電力を消費する製造装置がずらりと並ぶ。