愛あい

愛あい者しゃ，情じょう之の本ほん，倫りん常つね之の綱つな，人にん、畜皆有ゆう之の，蓋ぶた依よ附ふ之の情じょう也，人にん際ぎわ關係かんけい之の一いち種しゅ，男女だんじょ、男おとこ男おとこ、女おんな女おんな、父子ふし、父ちち女おんな、母子ぼし、母はは女おんな之これ所しょ系けい也。萬物ばんぶつ凡有靈れい者もの，生なま而有之の。故こ愛あい者しゃ，人にん初はつ即そく存そん，愛あい有ゆう多種たしゅ，愛あい之の於己，之これ於人心しん，之これ於物事ものごと，之これ於食貨，之これ於錢權けん，之これ於名利みょうり，之これ於天下か，之これ於神かみ。皆みな是ぜ。是ぜ故こ抽象ちゅうしょう而叵測，難なん以言明げんめい。東方とうほう儒家いえ謂いい人じん際ぎわ之の關せき愛あい曰仁。西方せいほう多た以一心狀物表擬之，謂いい之の愛あい心しん，今こん萬國ばんこく通用つうよう。或ある謂いい此無私わたし、忠誠ちゅうせい以利它人之の懿行也。故こ一言ひとこと以蔽之の：愛あい者しゃ，蓋ぶた同感どうかん及柔情じょう發はつ於己而推及它人じん也。就格かく致言げん，愛生あいおい於荷爾しか蒙こうむ及外激げき素もと之の分泌ぶんぴつ。基督教きりすときょう聖賢せいけん使徒しと保ほ羅ら曰：夫おっと愛あい乃寛忍にん慈仁也，縱たて先さき知將ちしょう已やめ、方言ほうげん將しょう息いき、知識ちしき將はた滅ほろび、愛あい亦また無む竭。

佛教ぶっきょう

佛教ぶっきょう謂いい愛あい者しゃ有三ゆうぞう。其一曰渴愛あい（梵書曰𑖝𑖴𑖬𑖿𑖜），其二そのじ曰婬（梵書曰𑖎𑖯𑖦），其三さん曰慈悲愛（梵書曰𑖭𑖿𑖡𑖸𑖮）。

渴愛者しゃ，十じゅう二に因緣いんねん之これ一也かずや。梵文ぼんぶん意い謂いい「渴」。渴愛有三ゆうぞう：曰欲愛あい、曰有愛あい、曰非有ゆう愛あい。

婬いん，男女だんじょ事ごと也。由ゆかり欲よく愛あい起おこり。密教みっきょう以男女だんじょ雙そう修おさむ，而顯教きょう斥之左ひだり道也みちや。

慈悲じひ愛あい，拔苦、與樂ようらく之これ心こころ也。菩薩ぼさつ者しゃ，慈悲じひ大だい士し也。