平家ひらか物語ものがたり

後世こうせい平家へいけ物語ものがたり之の繪像えぞう

平家ひらか物語ものがたり係かかり日本にっぽん鎌倉かまくら時代ときよ嘅文學ぶんがく著作ちょさく，作者さくしゃ不明ふめい，故こ仔こ講こう及日本にっぽん平家ひらか同どう源みなもと家か之これ鬥，平家へいけ之の榮さかえ衰おとろえ，成なり書しょ十じゅう三さん世紀せいき，鎌倉かまくら時代ときよ。日本にっぽん叫さけべ軍記物語ぐんきものがたり，西方せいほう稱しょう之の為ため史詩しし，之これ不ふ過か，其體裁ていさい為ため散文さんぶん。按唐から文ぶん應おう歸き入いれ去さ傳つて一類いちるい。故事こじ有ゆう佛教ぶっきょう思想しそう貫通かんつう，經けい佛家ぶっけ傳播でんぱ，見み證しょう榮さかえ衰おとろえ之これ無常むじょう，就算幾いく咁威風ふう，日にち後ご都會とかい滅亡めつぼう。

全書ぜんしょ為ため十じゅう二に卷かん，另有灌頂巻まき，為ため祕傳ひでん卷まき，視し為平ためひら家か物語ものがたり之の源みなもと由ゆかり。

平家ひらか為ため平安へいあん貴族きぞく，平清盛たいらのきよもり盛もり極きょく一いち時じ，權けん傾かたぶけ朝野ちょうや，甚至凌駕りょうが王室おうしつ，以其女おんな平德子たいらのとくこ，嫁よめ高倉天皇たかくらてんのう，又また囚しゅう後白河天皇ごしらかわてんのう，捧ささげ外孫そとまご安德天皇あんとくてんのう，一度いちど遷都せんと福原ふくはら，招來しょうらい災禍さいか。平清盛たいらのきよもり死し後ご，三さん仔こ平宗盛たいらのむねもり承うけたまわ位くらい，可か惜無才むさい，平家へいけ衰おとろえ落。木曾きそ義仲よしなか，源みなもと氏し之これ後ご，入京にゅうきょう趕走平家へいけ，木曾きそ軍紀ぐんき腐敗ふはい，又また招到嫌いや倉くら源みなもと賴朝よりとも討伐とうばつ，由ゆかり細ほそ佬源範賴みなもとののりより、源義經みなもとのよしつね入京にゅうきょう，木曾きそ義仲よしなか遭伐而死。源義經みなもとのよしつね功こう高だか，受後白河しらかわ法皇ほうおう所信しょしん，攻おさむ滅めつ平家へいけ。平清盛たいらのきよもり之の妻つま平時子たいらのときこ，抱だき外孫そとまご安德天皇あんとくてんのう，以及三さん神器じんぎ，一同いちどう跳とべ海うみ而亡。源義經みなもとのよしつね功こう高だか震ふるえ主ぬし，招得大だい佬源賴朝よりとも所しょ忌き，而遭追つい殺ころせ。一度いちど受藤原秀衡ふじわらのひでひら所ところ庇ひさし。唯ただ秀しゅう衡死，亞あ仔こ藤原ふじわら泰やすし衡，轉うたて投なげ源みなもと賴朝よりとも，迫さこ死し源義經みなもとのよしつね。

旨むね意い

起おこり首くび講こう及全書しょ要旨ようし

祇園ぎおん精舎しょうじゃの鐘かねの聲こえ、諸行無常しょぎょうむじょうの響ひびき有あり。 沙羅雙樹さらそうじゅの花はなの色いろ、盛者じょうしゃ必衰の理りを顯あらわす。 驕おごれる者ものも久ひさしからず、唯ただ春はるの夜よるの夢ゆめの如ごとし。 猛もうき者しゃも遂とげには滅ほろびぬ、偏ひとえに風ふうの前まえの塵ちりに同おなじ。

由よし日び文ぶん譒出來でき，意い謂いい「祇園ぎおん精舎しょうじゃ，響ひびき鐘がね之の聲こえ，響ひびき出いずる諸行無常しょぎょうむじょう。娑羅雙樹さらそうじゅ，顯あらわ花はな之の色いろ，顯あらわ出で盛者じょうしゃ必衰。驕おご者しゃ無む久ひさ，唯ただ如春夜よる之の夢ゆめ。猛者もさ遂とげ滅ほろび，如同風前ふうぜん之の塵ちり。」

諸行無常しょぎょうむじょう，盛者じょうしゃ必衰，正せい正せい講こう平家へいけ盛衰せいすい無常むじょう沒ぼつ由よし盛もり而衰，無む可か避免盛者じょうしゃ必衰，出自しゅつじ佛家ぶっけ仁王におう經けい，原はら句く為ため「盛者じょうしゃ必衰、實み者しゃ必虛」。

版本はんぽん

平家ひらか物語ものがたり，有ゆう兩りょう類るい版本はんぽん。一種いっしゅ為ため話はなし本ほん，一種いっしゅ為ため讀本とくほん。話はなし本ほん為ため曲本まがもと，由ゆかり盲人もうじん法師ほうし唱傳，一邊いっぺん彈だん瑟琶，一いち邊へん唱曲詞し，各地かくち巡じゅん迴演唱，日本にっぽん稱しょう之の為ため平曲へいきょく。而讀本とくほん，就由話ばなし成本なりもと成しげる冊さつ，並なみ有ゆう所しょ增補ぞうほ。由よし於口述こうじゅつ傳統でんとう，可か見み各かく有ゆう流派りゅうは，以致有ゆう幾いく個こ版本はんぽん。