妙法みょうほう蓮華れんげ經けい/19

妙法みょうほう蓮華れんげ經けい
法師ほうし功德くどく品ひん第だい十じゅう九きゅう

妙法みょうほう蓮華れんげ經けい法師ほうし功德くどく品ひん第だい十じゅう九きゅう

　　爾なんじ時じ佛ふつ告つげ常つね精進しょうじん菩薩ぼさつ摩ま訶薩：「若わか善ぜん男子だんし、善女ぜんにょ人じん，受持うけもち是ぜ法華經ほけきょう，若わか讀，若わか誦，若わか解說かいせつ、若わか書寫しょしゃ，是ぜ人じん當とう得とく八はち百ひゃく眼め功德くどく、千せん二に百ひゃく耳みみ功德くどく、八はち百ひゃく鼻はな功德くどく、千せん二に百ひゃく舌した功德くどく、八はち百ひゃく身み功德くどく、千せん二に百ひゃく意い功德くどく，以是功德くどく，莊嚴しょうごん六根ろっこん，皆みな令れい清淨せいじょう。是ぜ善ぜん男子だんし、善女ぜんにょ人じん，父母ちちはは所生しょせい清淨せいじょう肉眼にくがん，見み於三さん千せん大千世界だいせんせかい，內外所有しょゆう山林さんりん河かわ海うみ，下しも至いたり阿鼻地獄あびじごく，上うえ至いたる有ゆう頂いただき，亦また見み其中一切いっさい眾生，及業因緣いんねん，果報かほう生せい處しょ，悉見悉知。」

　　爾なんじ時じ世尊せそん欲ほし重じゅう宣せん此義，而說偈げ言ごと：

若わか於大おだい眾中，以無所しょ畏かしこ心こころ，說せつ是ぜ法華經ほけきょう，汝なんじ聽其功德くどく。是ぜ人じん得とく八はち百ひゃく，功德くどく殊勝しゅしょう眼め，以是莊嚴しょうごん故こ，其目甚清淨せいじょう。

父母ちちはは所生しょせい眼め，悉見三さん千せん界かい，內外彌わたる樓ろう山やま，須彌及鐵圍かこえ，並なみ諸しょ餘山よやま林りん，大海おおうみ江河こうが水すい，下しも至いたり阿鼻あび獄ごく，上うえ至いたる有ゆう頂いただき處しょ。

其中諸しょ眾生，一切いっさい皆みな悉見。雖未得とく天眼てんがん，肉眼にくがん力りょく如是にょぜ。

　　「復ふく次じ，常つね精進しょうじん，若わか善ぜん男子だんし、善女ぜんにょ人じん，受持うけもち此經，若わか讀，若わか誦，若わか解說かいせつ，若わか書寫しょしゃ，得とく千せん二に百ひゃく耳みみ功德くどく。以是清淨せいじょう耳みみ，聞三さん千せん大千世界だいせんせかい，下しも至いたり阿鼻地獄あびじごく，上うえ至いたる有ゆう頂いただき，其中內外種種しゅじゅ語ご言げん音聲おんせい，象ぞう聲ごえ、馬うま聲ごえ、牛うし聲ごえ、車くるま聲ごえ，啼哭聲ごえ，愁歎しゅうたん聲ごえ，螺にし聲ごえ，鼓こ聲ごえ，鐘聲しょうせい，鈴すず聲ごえ，笑聲しょうせい，語ご聲ごえ，男聲だんせい，女聲じょせい，童子どうじ聲ごえ，童女どうじょ聲ごえ，法ほう聲ごえ，非ひ法ほう聲ごえ，苦く聲ごえ，樂らく聲ごえ，凡夫ぼんぷ聲ごえ，聖人せいじん聲ごえ，喜き聲ごえ，不ふ喜き聲ごえ，天聲てんせい，龍りゅう聲ごえ，夜叉やしゃ聲ごえ，乾いぬい闥婆聲ごえ，阿修羅あしゅら聲ごえ，迦樓羅ら聲ごえ，緊那羅ら聲ごえ，摩ま睺羅伽とぎ聲ごえ，火ひ聲ごえ，水聲すいせい，風聲ふうせい，地獄じごく聲ごえ，畜生ちくしょう聲ごえ，餓鬼がき聲ごえ，比丘びく聲ごえ，比丘尼びくに聲ごえ，聲聞しょうもん聲ごえ，辟支佛ふつ聲ごえ，菩薩ぼさつ聲ごえ，佛ふつ聲ごえ。以要言ごと之の，三さん千せん大千世界だいせんせかい中ちゅう，一切いっさい內外所有しょゆう諸聲もろごえ，雖未得とく天てん耳みみ，以父母ちちはは所生しょせい清淨せいじょう常つね耳みみ，皆みな悉聞知ぶんち，如是にょぜ分別ふんべつ種種しゅじゅ音聲おんせい，而不壞ふえ耳みみ根ね。」

　　爾なんじ時じ世尊せそん欲ほし重じゅう宣せん此義，而說偈げ言ごと：

父母ちちはは所生しょせい耳みみ，清淨せいじょう無な濁にご穢けがれ，以此常つね耳みみ聞，三千世界さんぜんせかい聲ごえ，象ぞう馬車ばしゃ牛うし聲ごえ，鐘しょう鈴りん螺にし鼓こ聲ごえ，琴瑟きんしつ箜篌くご聲ごえ，簫しょう笛ふえ之の音聲おんせい。

清淨せいじょう好こう歌聲うたごえ，聽之而不著ちょ，無數むすう種しゅ人聲ひとごえ，聞悉能のう解かい了りょう，又また聞諸天聲てんせい，微妙びみょう之の歌うた音おん，及聞男女だんじょ聲ごえ，童子どうじ童女どうじょ聲ごえ。

山川やまかわ險けん谷中たになか，迦陵頻伽かりょうびんが聲ごえ，命いのち命いのち等とう諸しょ鳥とり，悉聞其音聲ごえ，地獄じごく眾苦痛つう，種種しゅじゅ楚すわえ毒どく聲ごえ，餓鬼がき饑ひだる渴逼，求もとめ索さく飲食いんしょく聲ごえ。

諸しょ阿修羅あしゅら等とう，居きょ在ざい大海たいかい邊あたり，自じ共きょう言語げんご時じ、出で於大おだい音聲おんせい，如是にょぜ說法せっぽう者しゃ，安住あんじゅう於此間あいだ，遙はるか聞是眾聲，而不壞ふえ耳みみ根ね。

十方じっぽう世界中せかいじゅう，禽獸きんじゅう鳴な相あい呼よび，其說法ほう之これ人にん，於此悉聞之の，其諸梵天ぼんてん上じょう，光ひかり音おん及遍淨きよし，乃至ないし有頂天うちょうてん，言語げんご之の音聲おんせい。

法師ほうし住じゅう於此，悉皆しっかい得とく聞之，一切いっさい比丘びく眾，及諸比丘尼びくに，若わか讀誦とくしょう經典きょうてん，若わか為ため他人たにん說せつ，法師ほうし住じゅう於此，悉皆しっかい得とく聞之。

復ふく有ゆう諸しょ菩薩ぼさつ，讀誦とくしょう於經法ほう，若わか為ため他人たにん說せつ，撰集せんしゅう解かい其義，如是にょぜ諸しょ音聲おんせい，悉皆しっかい得とく聞之，諸佛しょぶつ大聖たいせい尊みこと，教化きょうか眾生者しゃ。

於諸大會たいかい中ちゅう，演說えんぜつ微妙びみょう法ほう，持もち此法華はな者しゃ，悉皆しっかい得とく聞之，三さん千せん大だい千せん界かい，內外諸しょ音聲おんせい，下しも至いたり阿鼻あび獄ごく，上うえ至いたる有頂天うちょうてん，

皆みな聞其音聲おんせい，而不壞ふえ耳みみ根ね，其耳聰さとし利り故こ，悉能分別ふんべつ知ち，持もち是ぜ法華ほっけ者しゃ，雖未得とく天てん耳みみ，但ただし用よう所生しょせい耳みみ，功德くどく已やめ如是にょぜ。

　　「復ふく次じ、常つね精進しょうじん，若わか善ぜん男子だんし、善女ぜんにょ人じん，受持うけもち是ぜ經けい，若わか讀，若わか誦，若わか解說かいせつ，若わか書寫しょしゃ，成就じょうじゅ八はち百ひゃく鼻はな功德くどく。以是清淨せいじょう鼻はな根ね，聞於三さん千せん大千世界だいせんせかい、上下じょうげ內外種種しゅじゅ諸しょ香こう，須曼那な華はな香が、闍提華はな香が、末すえ利華りか香が、瞻卜華はな香が、波なみ羅ら羅ら華はな香が、赤あか蓮華れんげ香が、青あお蓮華れんげ香が、白しろ蓮華れんげ香が、華はな樹いつき香が、果樹かじゅ香が、栴檀せんだん香が、沈水香が、多摩たま羅ら跋ばつ香が、多た伽羅きゃら香が，及千萬まん種しゅ和香わか，若わか末まつ、若わか丸まる、若わか塗ぬり香が，持もち是ぜ經けい者しゃ，於此間あいだ住じゅう，悉能分別ふんべつ。又また復ふく別べつ知ち眾生之の香こう、象ぞう香が、馬うま香かおり、牛うし羊ひつじ等とう香が，男おとこ香が、女おんな香が、童子どうじ香が、童女どうじょ香が，及草木叢こむら林はやし香かおり，若わか近ちか，若わか遠とお，所有しょゆう諸しょ香こう，悉皆しっかい得とく聞，分別ふんべつ不ふ錯。持もち是ぜ經けい者しゃ，雖住於此，亦また聞天上諸かみもろ天たかし之の香こう，波は利り質しつ多た羅ら、拘かかわ鞞陀羅ら樹いつき香が，及曼陀羅華まんだらげ香が、摩ま訶曼陀羅華まんだらげ香が、曼殊沙華まんじゅしゃげ香が、摩ま訶曼殊沙華まんじゅしゃげ香が、栴檀せんだん、沈水、種種しゅじゅ末まつ香こう、諸しょ雜ざつ華はな香が、如是にょぜ等とう天香てんこう、和合わごう所出しょしゅつ之の香こう，無む不ふ聞知ぶんち。又また聞諸天てん身み香が，釋しゃく提ひさげ桓因，在ざい勝かち殿上てんじょう，五ご欲よく娛樂ごらく嬉戲きぎ時じ香こう，若わか在ざい妙法みょうほう堂上どうじょう，為ため忉利諸しょ天てん說法せっぽう時じ香こう，若わか於諸園えん遊戲ゆうぎ時じ香こう，及餘天てん等とう、男女だんじょ身み香が，皆みな悉遙聞。如是にょぜ展てん轉てん，乃至ないし梵世，上うえ至いたる有ゆう頂いただき，諸しょ天てん身み香が，亦また皆みな聞之。並なみ聞諸天てん所しょ燒しょう之の香こう，及聲聞香ぶんこう、辟支佛ふつ香が、菩薩ぼさつ香が、諸しょ佛身ぶっしん香が，亦また皆みな遙はるか聞，知ち其所在しょざい。雖聞此香，然しか於鼻根ね不壞ふえ不ふ錯，若わか欲よく分別ふんべつ為ため他人たにん說せつ，憶念おくねん不ふ謬。」

　　爾なんじ時じ世尊せそん欲ほし重じゅう宣せん此義，而說偈げ言ごと：

是ぜ人じん鼻はな清淨せいじょう，於此世界中せかいじゅう，若わか香こう若わか臭におい物ぶつ，種種しゅじゅ悉聞知ぶんち。須曼那な闍提，多摩たま羅ら栴檀せんだん、沈水及桂香が，種種しゅじゅ華はな果はて香が，

及知眾生香が，男子だんし女人にょにん香が，說法せっぽう者しゃ遠どお住じゅう，聞香ぶんこう知ち所在しょざい。大勢おおぜい轉てん輪わ王おう，小しょう轉てん輪わ及子，群臣ぐんしん諸しょ宮人みやびと，聞香ぶんこう知ち所在しょざい。

身み所しょ著ちょ珍寶ちんぽう，及地中ちゅう寶藏ほうぞう，轉てん輪わ王おう寶たから女おんな，聞香ぶんこう知ち所在しょざい。諸人もろびと嚴げん身み具ぐ，衣服いふく及瓔珞ようらく、種種しゅじゅ所しょ塗ぬり香が，聞香ぶんこう知ち其身。

諸しょ天若あまわか行ゆき坐すわ，遊戲ゆうぎ及神變しんぺん，持もち是ぜ法華ほっけ者しゃ，聞香ぶんこう悉能知ち。諸しょ樹き華はな果實かじつ，及酥油ゆ香氣こうき，持經じきょう者しゃ住じゅう此，悉知其所在しょざい。

諸山しょざん深ふか險けわし處しょ，栴檀せんだん樹じゅ花はな敷じき，眾生在中ざいちゅう者しゃ，聞香ぶんこう皆みな能のう知ち。鐵てつ圍山かこいやま大海たいかい，地中ちちゅう諸しょ眾生，持經じきょう者しゃ聞香ぶんこう，悉知其所在しょざい。

阿修羅あしゅら男女だんじょ，及其諸しょ眷屬けんぞく，鬥諍遊戲ゆうぎ時じ，聞香ぶんこう皆みな能のう知ち。曠野あらの險けん隘處，獅子しし象ぞう虎狼ころう，野牛やぎゅう水牛すいぎゅう等とう，聞香ぶんこう知ち所在しょざい。

若わか有ゆう懷妊かいにん者しゃ，未み辯べん其男女だんじょ，無根むこん及非人じん，聞香ぶんこう悉能知ち。以聞香力こうりき故こ，知ち其初懷妊かいにん，成就じょうじゅ不ふ成就じょうじゅ，安樂あんらく產さん福子ふくこ。

以聞香力こうりき故こ，知ち男女だんじょ所しょ念ねん，染しみ欲よく癡ち恚心，亦また知ち修おさむ善ぜん者しゃ。地中ちちゅう眾伏藏ぞう，金銀きんぎん諸しょ珍寶ちんぽう，銅器どうき之これ所しょ盛もり，聞香ぶんこう悉能知ち。

種種しゅじゅ諸しょ瓔珞ようらく，無能むのう識其價か，聞香ぶんこう知ち貴き賤，出處しゅっしょ及所在しょざい。天上てんじょう諸しょ華はな等とう，曼陀曼殊まんしゅ沙すな，波は利り質しつ多た樹き，聞香ぶんこう悉能知ち。

天上てんじょう諸しょ宮殿きゅうでん，上中かみなか下か差別さべつ，眾寶花はな莊嚴しょうごん，聞香ぶんこう悉能知ち。天てん園えん林はやし勝まさる殿どの，諸しょ觀かん妙法みょうほう堂どう，在中ざいちゅう而娛樂ごらく，聞香ぶんこう悉能知ち。

諸しょ天若あまわか聽法，或ある受五欲ほっ時じ，來往らいおう行ぎょう坐臥ざが，聞香ぶんこう悉能知ち。天女てんにょ所しょ著ちょ衣ころも，好こう華はな香が莊嚴しょうごん，周旋しゅうせん遊戲ゆうぎ時じ，聞香ぶんこう悉能知ち。

如是にょぜ展てん轉てん上じょう，乃至ないし於梵世よ，入にゅう禪ぜん出で禪ぜん者しゃ，聞香ぶんこう悉能知ち。光ひかり音おん遍へん淨きよし天てん，乃至ないし於有頂いただき，初生しょせい及退沒ぼつ，聞香ぶんこう悉能知ち。

諸しょ比丘びく眾等，於法常つね精進しょうじん，若わか坐すわ若わか經けい行ぎょう，及讀誦とくしょう經典きょうてん。或ある在ざい林はやし樹下じゅか，專精せんじょう而坐禪ざぜん，持經じきょう者しゃ聞香ぶんこう，悉知其所在しょざい。

菩薩ぼさつ志こころざし堅固けんご，坐禪ざぜん若わか讀誦とくしょう，或ある為ため人じん說法せっぽう，聞香ぶんこう悉能知ち。在ざい在方ざいかた世尊せそん，一切いっさい所しょ恭敬きょうけい，愍眾而說法ほう，聞香ぶんこう悉能知ち。

眾生在ざい佛前ぶつぜん，聞經皆みな歡喜かんき，如法にょほう而修行しゅぎょう，聞香ぶんこう悉能知ち。雖未得とく菩薩ぼさつ，無む漏も法ほう生せい鼻はな，而是持經じきょう者しゃ，先さき得とく此鼻相しょう。

　　「復ふく次じ、常つね精進しょうじん，若わか善ぜん男子だんし、善女ぜんにょ人じん，受持うけもち是ぜ經けい，若わか讀，若わか誦、若わか解說かいせつ，若わか書寫しょしゃ，得とく千せん二に百ひゃく舌した功德くどく。若わか好このみ、若わか醜みにく，若美わかみ、不美ふみ，及諸苦く澀物，在ざい其舌根ぜっこん，皆みな變成へんせい上じょう味あじ，如天甘露かんろ，無む不美ふみ者しゃ。若わか以舌根ぜっこん、於大おだい眾中有ちゅうう所しょ演說えんぜつ，出で深ふか妙みょう聲ごえ，能のう入にゅう其心，皆みな令れい歡喜かんき快樂かいらく。又また諸しょ天子てんし、天女てんにょ，釋しゃく梵諸天てん，聞是深ふか妙みょう音聲おんせい，有ゆう所しょ演說えんぜつ、言論げんろん次第しだい，皆みな悉來聽らいちょう。及諸龍りゅう、龍りゅう女おんな，夜叉やしゃ、夜叉やしゃ女おんな，乾いぬい闥婆、乾いぬい闥婆女おんな，阿修羅あしゅら、阿修羅あしゅら女おんな，迦樓羅ら、迦樓羅ら女おんな，緊那羅ら、緊那羅ら女おんな，摩ま睺羅伽とぎ、摩ま睺羅伽とぎ女おんな，為ため聽法故こ，皆みな來らい親近しんきん，恭敬きょうけい供養くよう。及比丘びく、比丘尼びくに，優ゆう婆ばば塞ふさが、優ゆう婆ばば夷えびす，國王こくおう、王子おうじ、群臣ぐんしん、眷屬けんぞく、小しょう轉てん輪わ王おう、大だい轉てん輪わ王おう、七寶千子內外眷屬，乘じょう其宮殿どの，俱來聽らいちょう法ほう，以是菩薩ぼさつ善ぜん說法せっぽう故こ。婆羅門ばらもん、居士こじ、國くに內人民じんみん，盡つき其形壽ことぶき，隨ずい侍さむらい供養くよう。又また諸しょ聲聞しょうもん、辟支佛ふつ、菩薩ぼさつ、諸佛しょぶつ，常樂じょうらく見みる之の。是ぜ人じん所在しょざい方面ほうめん，諸佛しょぶつ皆みな向こう其處說法せっぽう，悉能受持うけもち一切いっさい佛法ぶっぽう，又また能のう出で於深妙法みょうほう音おん。」

　　爾なんじ時じ世尊せそん欲ほし重じゅう宣せん此義，而說偈げ言ごと：

是ぜ人じん舌根ぜっこん淨きよし，終おわり不ふ受惡味あじ，其有所しょ食しょく啖，悉皆しっかい成なり甘露かんろ。以深淨きよし妙みょう聲ごえ，於大おだい眾說法ほう，以諸因緣いんねん喻，引導いんどう眾生心しん，

聞者皆みな歡喜かんき，設しつらえ諸しょ上うえ供養くよう。諸しょ天龍てんりゅう夜叉やしゃ，及阿修羅しゅら等とう，皆みな以恭敬けい心しん，而共來聽らいちょう法ほう，是ぜ說法せっぽう之これ人にん，若わか欲よく以妙音おん，

遍滿へんまん三さん千せん界かい，隨意ずいい即そく能のう至いたり。大小だいしょう轉てん輪わ王おう，及千せん子し眷屬けんぞく，合掌がっしょう恭敬きょうけい心しん，常つね來聽らいちょう受法。諸しょ天龍てんりゅう夜叉やしゃ，羅ら剎毗舍しゃ闍，

亦また以歡喜かんき心しん，常樂じょうらく來らい供養くよう。梵天ぼんてん王おう魔王まおう，自在じざい大だい自在じざい，如是にょぜ諸しょ天てん眾，常つね來らい至いたり其所。諸佛しょぶつ及弟子でし、聞其說法せっぽう音おん，

常つね念ねん而守護しゅご，或ある時とき為ため現身うつせみ。

　　「復ふく次じ、常つね精進しょうじん，若わか善ぜん男子だんし、善女ぜんにょ人じん，受持うけもち是ぜ經けい，若わか讀，若わか誦，若わか解說かいせつ，若わか書寫しょしゃ，得とく八はち百ひゃく身み功德くどく。得とく清淨せいじょう身み、如淨琉璃，眾生喜き見み。其身淨きよし故こ，三さん千せん大千世界だいせんせかい眾生，生せい時じ、死時しにどき，上下じょうげ、好こう醜みにく，生なま善處ぜんしょ、惡あく處しょ，悉於中ちゅう現げん。及鐵圍山かこいやま、大だい鐵てつ圍山かこいやま、彌わたる樓ろう山やま、摩ま訶彌樓ろう山やま、等とう諸山しょざん，及其中ちゅう眾生，悉於中ちゅう現げん。下した至いたり阿鼻地獄あびじごく、上うえ至いたる有ゆう頂いただき，所有しょゆう及眾生せい，悉於中ちゅう現げん。若わか聲聞しょうもん、辟支佛ふつ、菩薩ぼさつ、諸佛しょぶつ、說法せっぽう，皆みな於身中ちゅう現げん其色像ぞう。」

　　爾なんじ時じ世尊せそん欲ほし重じゅう宣せん此義，而說偈げ言ごと：

若わか持じ法華ほっけ者しゃ，其身甚清淨せいじょう，如彼淨きよし琉璃，眾生皆みな喜き見み，又また如淨明鏡めいきょう，悉見諸色しょしき像ぞう，菩薩ぼさつ於淨身み，皆みな見世みせ所有しょゆう，

唯ただ獨どく自明じめい了りょう，餘人よにん所しょ不ふ見み。三千世界さんぜんせかい中ちゅう，一切いっさい諸もろ群ぐん萌もえ，天人てんにん阿修羅あしゅら，地獄じごく鬼畜きちく生せい，如是にょぜ諸色しょしき像ぞう，皆みな於身中ちゅう現げん。

諸しょ天てん等とう宮殿きゅうでん，乃至ないし於有頂いただき，鐵てつ圍かこえ及彌樓ろう，摩ま訶彌樓ろう山やま，諸しょ大だい海水かいすい等とう，皆みな於身中ちゅう現げん。諸佛しょぶつ及聲聞しょうもん，佛子ぶっし菩薩ぼさつ等とう，

若わか獨どく若わか在ざい眾，說法せっぽう悉皆しっかい現げん。雖未得とく無な漏も，法ほう性せい之の妙みょう身み，以清淨せいじょう常體じょうたい，一切いっさい於中現げん。

　　「復ふく次じ、常つね精進しょうじん，若わか善ぜん男子だんし、善女ぜんにょ人じん，如來にょらい滅後めつご，受持うけもち是ぜ經けい，若わか讀，若わか誦，若わか解說かいせつ，若わか書寫しょしゃ，得とく千せん二に百ひゃく意い功德くどく。以是清淨せいじょう意い根ね，乃至ないし聞一偈げ一いち句く，通達つうたつ無量むりょう無邊むへん之の義よし，解かい是ぜ義ぎ已やめ，能のう演說えんぜつ一いち句く一いち偈げ、至いたり於一いち月がつ、四よん月がつ、乃至ないし一いち歲さい，諸しょ所說しょせつ法ほう，隨ずい其義趣おもむき，皆みな與あずか實相じっそう不ふ相違そうい背せ。若わか說せつ俗間ぞっかん經書けいしょ、治世ちせい語ご言げん、資し生業せいぎょう等とう，皆みな順じゅん正法しょうぼう。三さん千せん大千世界だいせんせかい、六趣ろくしゅ眾生，心しん之の所行しょぎょう，心しん所しょ動作どうさ，心しん所しょ戲おどけ論ろん，皆みな悉知之の，雖未得とく無な漏も智慧ちえ，而其意い根ね，清淨せいじょう如此。是ぜ人じん有ゆう所しょ思惟しい、籌量、言說げんせつ，皆みな是ぜ佛法ぶっぽう，無む不ふ真實しんじつ，亦また是ぜ先さき佛ふつ，經けい中ちゅう所說しょせつ。」

　　爾なんじ時じ世尊せそん欲ほし重じゅう宣せん此義，而說偈げ言ごと：

是ぜ人じん意い清淨せいじょう，明利あきとし無む濁にご穢けがれ，以此妙みょう意い根ね，知ち上中かみなか下か法ほう。乃至ないし聞一偈げ，通達つうたつ無量むりょう義よし，次第しだい如法にょほう說せつ，月がつ四よん月がつ至いたり歲とし。

是ぜ世界せかい內外，一切いっさい諸しょ眾生，若わか天龍てんりゅう及人，夜叉やしゃ鬼神きじん等とう。其在六趣ろくしゅ中ちゅう，所しょ念ねん若干じゃっかん種しゅ，持もち法華ほっけ之の報むくい，一時いちじ皆みな悉知。

十方じっぽう無數むすう佛ふつ，百ひゃく福ぶく莊嚴しょうごん相しょう，為ため眾生說法せっぽう，悉聞能のう受持うけもち。思惟しい無量むりょう義よし，說法せっぽう亦また無量むりょう，終始しゅうし不ふ忘錯，以持法華ほっけ故ゆえ。

悉知諸しょ法相ほうしょう，隨ずい義ぎ識次第だい，達たち名字みょうじ語ご言げん，如所知ち演說えんぜつ。此人有ゆう所說しょせつ，皆みな是ぜ先さき佛法ぶっぽう，以演此法故こ，於眾無む所ところ畏かしこ。

持もち法華經ほけきょう者しゃ，意い根ね淨きよし若わか斯，雖未得とく無な漏も，先さき有ゆう如是にょぜ相しょう，是ぜ人じん持じ此經，安住あんじゅう稀有けう地ち，為ため一切いっさい眾生，歡喜かんき而愛敬けい。

能のう以千萬まん種しゅ，善ぜん巧たくみ之これ語ご言げん，分別ふんべつ而說法ほう，持もち法華經ほけきょう故ゆえ。