舊きゅう唐とう書しょ/卷まき50

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舊きゅう唐とう書しょ 卷まき五ご十じゅう 志こころざし第だい三さん十じゅう　刑法けいほう

► 后妃こうひ上じょう

志こころざし第だい三さん十じゅう刑法けいほう

古いにしえ之の聖人せいじん，為ため人じん父母ちちはは，莫不制せい禮れい以崇敬すうけい，立たて刑けい以明威い，防ぼう閑于未然みぜん，懼爭心しん之の將しょう作さく也。故こ有ゆう輕重けいちょう三さん典之のりゆき異こと，宮みや墨すみ五ご刑けい之の差さ，度ど時じ而施宜よろし，因いん事ごと以議制せい。大だい則のり陳ひね之の原野げんや，小しょう則のり肆諸市し朝あさ，以禦奸宄，用よう懲禍亂らん。興きょう邦くに致理，罔有弗どる由よし於此者しゃ也。暨淳樸しらき既すんで消きえ，澆偽斯起，刑けい增ぞう為ため九きゅう，章しょう積せき三さん千せん，雖有凝脂ぎょうし次じ骨こつ之の峻たかし，而錐刀がたな之これ末まつ，盡つき爭そう之の矣。自じ漢かん迄まで隋ずい，世せい有ゆう增ぞう損そん，而罕能のう折衷せっちゅう。隋ずい文ぶん帝みかど參さん用よう周しゅう、齊ひとし舊きゅう政せい，以定律令りつりょう，除じょ苛慘之の法ほう，務つとむ在ざい寬平かんぺい。比ひ及晚年ねん，漸やや亦また滋しげる虐しいたげ。煬帝忌き刻こく，法令ほうれい尤ゆう峻たかし，人にん不堪ふかん命いのち，遂とげ至いたり於亡。

高祖こうそ初はつ起おこり義ぎ師し於太原ばら，即そく布ぬの寬大かんだい之これ令れい。百姓ひゃくしょう苦く隋ずい苛政かせい，競きおい來らい歸き附ふ。旬月じゅんげつ之の間あいだ，遂とげ成なり帝みかど業ぎょう。既すんで平たいら京きょう城じょう，約やく法ほう為ため十じゅう二に條じょう。惟おもんみ制せい殺人さつじん、劫こう盜ぬすめ、背せ軍ぐん、叛逆はんぎゃく者しゃ死し，餘よ並なみ蠲除之の。及受禪じゅぜん，詔みことのり納言なごん劉りゅう文ぶん靜しずか與あずか當とう朝ちょう通どおり識之士し，因よし開ひらき皇すめらぎ律令りつりょう而損益えき之の，盡つき削そぎ大業おおわざ所用しょよう煩はん峻たかし之これ法ほう。又また制せい五ご十じゅう三さん條じょう格かく，務つとむ在ざい寬ひろし簡，取と便びん於時。尋ひろ又また敕尚書しょ左ひだり僕ぼく射しゃ裴寂、尚書しょうしょ右みぎ僕ぼく射しゃ蕭しょう瑀及大だい理り卿きょう崔ちぇ善よし為ため、給きゅう事ごと中ちゅう王おう敬たかし業ぎょう、中書ちゅうしょ舍人とねり劉りゅう林はやし甫はじめ顏がお師し古こ王おう孝たかし遠とお、涇州別べつ駕が靖やすし延のべ、太ふとし常つね丞すすむ丁ちょう孝たかし烏がらす、隋ずい大だい理り丞すすむ房ぼう軸じく、上うえ將すすむ府ふ參さん軍ぐん李り桐きり客きゃく、太ふとし常つね博士はかせ徐じょ上うえ機き等とう，撰せん定律ていりつ令れい，大略たいりゃく以開皇すめらぎ為ため准じゅん。于時諸しょ事始ことはじめ定じょう，邊へん方かた尚なお梗，救すくい時じ之の弊へい，有ゆう所しょ未み暇ひま，惟おもんみ正せい五ご十じゅう三さん條じょう格かく，入にゅう於新律りつ，餘あまり無む所しょ改あらため。至いたり武德ぶとく七なな年ねん五ご月がつ奏上そうじょう，乃下詔みことのり曰：

古こ不ふ云うん乎，「萬まん邦之くにゆき君くん，有ゆう典てん有ゆう則そく。」故こ九きゅう疇之敘，興きょう于夏世よ，兩りょう觀かん之の法ほう，大だい備隆周しゅう。所以ゆえん禁きん暴懲奸，弘ひろ風ふう闡化，安やす民みん立たて政せい，莫此為ため先さき。自じ戰國せんごく紛擾ふんじょう，恃詐任にん力りょく，苛制煩はん刑けい，於茲競きおい起おこり。秦はた並なみ天下でんか，隳滅禮れい教きょう，恣ほしいまま行ぎょう酷烈こくれつ，害がい虐しいたげ蒸ふけ民みん，宇內騷然そうぜん，遂とげ以顛覆てんぷく。漢かん氏し撥ばち亂みだれ，思おもえ易やす前ぜん軌，雖復務つとむ從したがえ約やく法ほう，蠲削嚴刑げんけい，尚行なおゆき菹醢之の誅，猶なお設しつらえ錙銖之の禁きん。字じ民みん之の道みち，實じつ有未ゆみ弘ひろし，刑けい措之風ふう，以茲莫致。爰及魏ぎ、晉すすむ，流弊りゅうへい相しょう沿，寬ひろし猛もう乖方，綱つな維失序じょ。下した淩上替かえ，政せい散ち民みん凋。皆みな由よし法令ほうれい湮訛，條章じょうしょう混こん謬。自じ斯以後ご，宇縣瓜ふり分ぶん，戎えびす馬ば交馳，未み遑典制せい。有ゆう隋ずい之の世よ，雖云厘りん革かわ，然しか而損益えき不定ふてい，疏舛尚ひさし多た，品ひん式しき章程しょうてい，罕能甄備。加か以微文ぶん曲きょく致，覽らん者しゃ惑其淺あさ深ふか，異例いれい同どう科か，用よう者しゃ殊こと其輕重けいちょう，遂とげ使し奸吏巧たくみ詆，任にん情じょう與奪よだつ，愚民ぐみん妄觸，動どう陷おちい羅ら網もう，屢聞厘りん革かわ，卒そつ以無成なり。

朕ちん膺期受籙，甯濟區く宇，永えい言げん至いたり治ち，興きょう寐為勞ろう。補ほ千せん年ねん之の墜典，拯百王おう之の餘弊よへい，思おもえ所以ゆえん正本まさもと澄きよし源げん，式しき清流せいりゅう末まつ，永えい垂たれ憲けん則そく，貽範後ご昆こん。爰命群ぐん才ざい，修おさむ定じょう科か律りつ。但ただし今いま古ふる異い務つとむ，文ぶん質しつ不同ふどう，喪も亂らん之これ後ご，事こと殊こと曩代，應おう機き適てき變へん，救すくい弊へい斯在。是ぜ以斟酌しゃく繁しげる省しょう，取合とりあえ時宜じぎ，矯正きょうせい差さ遺のこ，務つとむ從したがえ體たい要よう。迄まで茲曆稔みのり，撰せん次じ始はじめ畢，宜むべ下しも四方しほう，即そく令れい頒用。庶使吏曹簡肅，無む取と懸がか石いし之の多た；奏そう讞平允まこと，靡競錐きり刀がたな之これ末まつ。勝かち殘のこ去ざ殺ころせ，此焉非ひ遠とお。

於是頒行天下でんか。

及太宗むね即位そくい，又また命いのち長ちょう孫まご無む忌き、房ぼう玄げん齡よわい與あずか學士がくし法官ほうかん，更さら加か厘りん改あらため。戴胄、魏ぎ徵ちょう又また言げん舊きゅう律令りつりょう重じゅう，于時議ぎ絞しぼ刑けい之の屬ぞく五ご十じゅう條じょう。免めん死罪しざい，斷だん其右趾，應おう死者ししゃ多た蒙こうむ全ぜん活かつ。太ふとし宗そう尋ひろ又また湣其受刑じゅけい之の苦く，謂いい侍臣じしん曰：「前代ぜんだい不ふ行くだり肉にく刑けい久ひさ矣，今こん忽ゆるがせ斷だん人じん右みぎ趾，意い甚不忍にん。」諫議大夫たいふ王おう珪對曰：「古いにしえ行ぎょう肉にく刑けい，以為輕けい罪ざい。今こん陛下へいか矜死刑しけい之の多た，設しつらえ斷だん趾之法ほう，格かく本合ほんごう死し，今こん而獲生せい。刑けい者しゃ幸こう得とく全ぜん命いのち，豈あに憚はばか去ざ其一いち足そく？且人之の見み者しゃ，甚足懲誡。」上じょう曰：「本ほん以為寬ひろし，故こ行くだり之の。然しか每まい聞惻愴，不能ふのう忘懷。」又また謂いい蕭しょう瑀、陳ちん叔達等とう曰：「朕ちん以死者しゃ不可ふか再生さいせい，思おもえ有ゆう矜湣，故こ簡死罪ざい五ご十じゅう條じょう，從したがえ斷だん右みぎ趾。朕ちん復ふく念ねん其受痛つう，極所きょくしょ不ふ忍にん。」叔達等とう咸曰：「古いにしえ之の肉にく刑けい，乃在死刑しけい之の外そと。陛下へいか于死刑しけい之の內，改あらため從したがえ斷だん趾，便びん是ぜ以生易えき死し，足あし為ため寬ひろし法ほう。」上じょう曰：「朕ちん意い以為如此，故こ欲よく行ぎょう之の。又また有ゆう上書うわがき言ごと此非便びん，公おおやけ可か更さら思おもえ之これ。」其後蜀しょく王法おうほう曹參軍ぐん裴弘獻けんじ又また駁律令れい不便ふべん於時者しゃ四よん十じゅう餘事よじ，太ふとし宗むね令れい參さん掌てのひら刪改之の。弘ひろし獻けんじ於是與あずか玄げん齡よわい等とう建議けんぎ，以為古いにしえ者しゃ五ご刑けい，刖居其一。及肉刑けい廢はい，制せい為ため死し、流ながれ、杖つえ、笞むち凡五ご等とう，以備五ご刑けい。今こん復ふく設しつらえ刖足，昌あきら為ため六ろく刑けい。減げん死し在ざい於寬弘かんこう，加か刑けい又また加か煩はん峻たかし。乃與八座定議奏聞，於是又また除じょ斷だん趾法，改あらため為ため加か役やく流りゅう三さん千里せんり，居きょ作さく二に年ねん。

又また舊きゅう條じょう疏，兄弟分きょうだいぶん後ご，廕不相しょう及，連坐れんざ俱死，祖そ孫まご配はい沒ぼつ。會かい有ゆう同どう州しゅう人じん房ぼう強きょう，弟おとうと任にん統すべ軍ぐん於岷州しゅう，以謀反はん伏ふく誅，強つよ當とう從したがえ坐すわ。太ふとし宗そう嘗錄囚徒しゅうと，憫其將しょう死し，為之ためゆき動どう容よう。顧謂侍臣じしん曰：「刑けい典てん仍用，蓋ぶた風化ふうか未み洽ひろし之の咎とがめ。愚人ぐじん何なん罪ざい，而肆重刑じゅうけい乎？更さら彰あきら朕ちん之の不ふ德也とくや。用よう刑けい之の道みち，當とう審しん事理じり之の輕重けいちょう，然しか後こう加か之の以刑罰ばつ。何なに有ゆう不ふ察其本ほん而一概がい加か誅，非ひ所以ゆえん恤刑重じゅう人命じんめい也。然しか則のり反逆はんぎゃく有二ゆうじ：一為興師動眾，一いち為ため惡あく言げん犯はん法ほう。輕重けいちょう有ゆう差さ，而連坐れんざ皆みな死し，豈あに朕ちん情じょう之これ所しょ安やす哉？」更さら令れい百ひゃく僚詳議ぎ。於是玄げん齡よわい等とう復ふく定てい議ぎ曰：「案あん禮れい，孫まご為ため王おう父ちち屍かばね。案あん令れい，祖そ有ゆう廕孫之の義ぎ。然しか則のり祖そ孫まご親おや重じゅう而兄弟きょうだい屬ぞく輕けい，應おう重じゅう反はん流りゅう，合ごう輕けい翻こぼし死し，據よりどころ禮れい論ろん情じょう，深ふか為ため未み愜。今こん定律ていりつ，祖そ孫まご與あずか兄弟きょうだい緣坐えんざ，俱配沒ぼつ。其以惡あく言げん犯はん法ほう不能ふのう為ため害がい者しゃ，情狀じょうじょう稍やや輕かる，兄弟きょうだい免めん死し，配流はいる為ため允まこと。」從したがえ之これ。自じ是ぜ比ひ古こ死刑しけい，殆除其半。

玄げん齡よわい等とう遂とげ與あずか法ほう司し定律ていりつ五ご百ひゃく條じょう，分ふん為ため十じゅう二に卷かん：一いち曰名例れい，二に曰衛禁きん，三さん曰職制せい，四よん曰戶婚こん，五ご曰廄庫こ，六ろく曰擅興きょう，七なな曰賊盜ぬすめ，八はち曰鬥訟，九きゅう曰詐偽さぎ，十じゅう曰雜律りつ，十じゅう一いち曰捕亡ほろび，十じゅう二に曰斷獄だんごく。有ゆう笞むち、杖つえ、徒と、流ながれ、死し，為ため五ご刑けい。笞むち刑けい五ご條じょう，自じ笞むち十じゅう至いたり五ご十じゅう；杖つえ刑けい五ご條じょう，自じ杖つえ六ろく十じゅう至いたり杖つえ一いち百ひゃく；徒刑とけい五ご條じょう，自じ徒と一いち年ねん，遞加半年はんとし，至いたり三さん年ねん；流刑りゅうけい三さん條じょう，自流じりゅう二に千里せんり，遞加五ご百ひゃく里り，至いたり三さん千里せんり；死刑しけい二に條じょう：絞しぼ、斬き。大凡おおよそ二に十じゅう等とう。又また有ゆう議ぎ請減贖當免めん之の法ほう八はち：一いち曰議親おや，二に曰議故こ，三さん曰議賢けん，四よん曰議能のう，五ご曰議功こう，六ろく曰議貴き，七なな曰議賓まろうど，八はち曰議勤つとむ。八はち議ぎ者しゃ，犯はん死罪しざい者しゃ皆みな條じょう所しょ坐すわ及應議ぎ之の狀じょう奏請そうせい，議定ぎてい奏そう裁さい。流罪るざい已やめ下か，減げん一等いっとう。若わか官爵かんしゃく五ご品ひん已上いじょう，及皇太子たいし妃ひ大功たいこう已上いじょう親おや，應おう議ぎ者しゃ周しゅう以上いじょう親おや，犯はん死罪しざい者しゃ上じょう請。流罪るざい已やめ下か，亦また減げん一等いっとう。若わか七なな品ひん已上いじょう官かん，及官爵得請者之の祖父母そふぼ、父母ちちはは、兄弟きょうだい、姊妹、妻つま、子孫しそん，犯はん流罪るざい已やめ下か，各かく減げん一等いっとう。若わか應おう議ぎ請減及九きゅう品ひん已上いじょう官かん，若わか官かん品ひん得とく減げん者しゃ之の祖父母そふぼ、父母ちちはは、妻つま、子孫しそん，犯はん流罪るざい已やめ下か，聽贖。其贖法ほう：笞むち十じゅう，贖銅一いち斤きん，遞加一いち斤きん，至いたり杖つえ一いち百ひゃく，則のり贖銅十じゅう斤きん。自じ此已上じょう，遞加十じゅう斤きん，至いたり徒と三さん年ねん，則のり贖銅六ろく十じゅう斤きん。流ながれ二に千せん里さと者しゃ，贖銅八はち十じゅう斤きん；流りゅう二に千せん五ご百ひゃく里さと者しゃ，贖銅九きゅう十じゅう斤きん；流りゅう三さん千せん里さと者しゃ，贖銅一いち百ひゃく斤きん。絞しぼ斬き者しゃ，贖銅一いち百ひゃく二に十じゅう斤きん。又また許もと以官當とう罪つみ。以官當とう徒者ただもの，五品已上犯私罪者，一いち官かん當とう徒と二に年ねん；九きゅう品ひん已上いじょう，一いち官かん當とう徒と一いち年ねん。若わか犯はん公おおやけ罪ざい者しゃ，各かく加か一いち年ねん。以官當流とうりゅう者しゃ，三流さんりゅう同どう比ひ徒と四よん年ねん，仍各解かい見み任にん。除名じょめい者しゃ，比ひ徒と三さん年ねん。免官めんかん者しゃ，比ひ徒と二に年ねん。免めん所しょ居きょ官かん者しゃ，比ひ徒と一いち年ねん。又また有ゆう十惡じゅうあく之これ條じょう：一いち曰謀反ぼうほん，二に曰謀大逆だいぎゃく，三さん曰謀叛ぼうほん，四よん曰謀惡逆あくぎゃく，五ご曰不道どう，六ろく曰大不敬ふけい，七なな曰不孝ふこう，八はち曰不睦むつみ，九きゅう曰不義ふぎ，十じゅう曰內亂らん。其犯十じゅう惡者わるもの，不ふ得え依よ議ぎ請之例れい。年とし七なな十じゅう以上いじょう、十じゅう五ご以下いか及廢疾はいしつ，犯はん流罪るざい以下いか，亦また聽贖。八はち十じゅう已上いじょう、十歲以下及篤疾，犯はん反逆はんぎゃく殺人さつじん應おう死者ししゃ，上うえ請，盜とう及傷人じん，亦また收おさむ贖，餘よ皆みな勿論もちろん。九きゅう十じゅう以上いじょう、七なな歲さい以下いか，雖有死罪しざい，不ふ加か刑けい。比ひ隋ずい代だい舊きゅう律りつ，減げん大だい辟者九きゅう十じゅう二に條じょう，減げん流入りゅうにゅう徒者ただもの七なな十じゅう一いち條じょう。其當徒之かちの法ほう，唯ただ奪だつ一いち官かん，除名じょめい之これ人にん，仍同士どうし伍ご。凡削煩はん去さ蠹，變へん重おも為ため輕けい者しゃ，不可ふか勝紀かつのり。

又また定じょう令れい一いち千せん五ご百ひゃく九きゅう十じゅう條じょう，為ため三さん十じゅう卷かん。貞さだ觀かん十じゅう一いち年ねん正月しょうがつ，頒下之の。又また刪武德ぶとく、貞さだ觀かん已やめ來らい敕格三さん千せん餘よ件けん，定留さだのみ七なな百ひゃく條じょう，以為格かく十じゅう八はち卷かん，留とめ本ほん司し施行しこう。斟酌しんしゃく今こん古いにしえ，除じょ煩はん去さ弊へい，甚為寬ひろし簡，便びん於人者しゃ。以尚書しょ省しょう諸しょ曹為之の目め，初はつ為ため七なな卷かん。其曹之の常つね條じょう，但ただし留とめ本ほん司つかさ者しゃ，別べつ為ため《留とめ司つかさ格かく》一いち卷かん。蓋ぶた編へん錄ろく當時とうじ制せい敕，永なが為ため法則ほうそく，以為故事こじ。《貞さだ觀かん格かく》十じゅう八はち卷かん，房ぼう玄げん齡よわい等とう刪定。《永えい徽留司つかさ格かく》十じゅう八はち卷かん，《散ち頒格》七なな卷かん，長ちょう孫まご無む忌き等とう刪定，永えい徽中，又また令れい源みなもと直心ひたごころ等とう刪定，惟おもんみ改易かいえき官かん號ごう曹局之の名な，不易ふえき篇目へんもく。《永えい徽留司し格かく後ご本ほん》，劉りゅう仁ひとし軌等刪定。《垂たれ拱留司つかさ格かく》六ろく卷かん，《散ち頒格》三さん卷かん，裴居道どう刪定。《太極たいきょく格かく》十じゅう卷かん，岑羲等とう刪定。《開ひらく元もと前ぜん格かく》十じゅう卷かん，姚崇等とう刪定。《開ひらき元もと後ご格かく》十じゅう卷かん，宋そう璟等刪定。皆みな以尚書しょ省しょう二に十じゅう四よん司つかさ為ため篇目へんもく。凡式三さん十じゅう有ゆう三さん篇へん，亦また以尚書しょ省しょう列れつ曹及秘書ひしょ、太ふとし常つね、司つかさ農みのり、光ひかり祿ろく、太ふと僕ぼく、太たい府ふ、少しょう府ふ及監門もん、宿衛しゅくえい、計けい帳とばり名めい其篇目め，為ため二に十じゅう卷かん。《永えい徽式》十じゅう四よん卷かん，《垂たれ拱》、《神かみ龍りゅう》、《開ひらく元もと式しき》並なみ二に十じゅう卷かん，其刪定てい格かく令れい同どう。

太ふとし宗そう又また制せい在京ざいきょう見み禁きん囚しゅう，刑部おさかべ每月まいつき一いち奏そう，從したがえ立春りっしゅん至いたり秋分しゅうぶん，不ふ得とく奏そう決死けっし刑けい。其大祭祀さいし及致齋とき、朔さく望のぞむ、上下じょうげ弦つる、二十四氣にじゅうしき、雨あめ未み晴はれ、夜よる未明みめい、斷だん屠ほふ日月じつげつ及假日び，並なみ不ふ得とく奏そう決死けっし刑けい。其有赦之日び，武庫むこ令れい設しつらえ金きん雞及鼓こ于宮城みやぎ門外もんがい之の右みぎ，勒集囚徒しゅうと于闕前まえ，撾鼓千せん聲こえ訖，宣せん詔みことのり而釋之の。其赦書しょ頒諸州しゅう，用よう絹きぬ寫うつし行ぎょう下か。又また系けい囚しゅう之の具ぐ，有ゆう枷かせ、杻鉗、鎖くさり，皆みな有ゆう長短ちょうたん廣狹こうきょう之これ制せい，量りょう罪ざい輕重けいちょう，節せつ級きゅう用よう之の。其杖皆みな削そぎ去さ節目ふしめ，長ちょう三さん尺しゃく五ご寸すん。訊囚杖つえ，大頭おおと徑みち三さん分ふん二に厘りん，小頭こがしら二に分ふん二に厘りん。常行つねゆき杖つえ，大頭おおと二分にぶん七なな厘りん，小頭こがしら一いち分ふん七なな厘りん。笞むち杖つえ，大頭おおと二に分ふん，小頭こがしら一いち分ふん半はん。其決笞むち者しゃ，腿もも分ぶん受。決けつ杖つえ者しゃ，背せ、腿もも、臀しり分ぶん受。及須數すう等とう拷訊者しゃ，亦また同どう。其拷囚しゅう不ふ過か三さん度ど，總數そうすう不ふ得とく過か二に百ひゃく。杖つえ罪ざい已やめ下か，不ふ得とく過か所ところ犯はん之の數かず。諸しょ斷罪だんざい而無正せい條じょう，其應出で罪ざい者しゃ，則のり舉重以明輕けい；其應入いれ罪ざい者しゃ，則のり舉輕以明重じゅう。稱しょう加か者しゃ，就重次じ；稱しょう減げん者しゃ，就輕次じ。惟おもんみ二死にし三さん流りゅう，同どう為ため一いち減げん，不ふ得とく加か至いたり於死。斷獄だんごく而失於出入でいり者しゃ，以其罪ざい罪ざい之の。失しつ入いれ者しゃ，各かく減げん三さん等とう；失しつ出で者しゃ，各かく減げん五ご等とう。

初はつ，太ふとし宗そう以古者しゃ斷獄だんごく，必訊於三さん槐えんじゅ九きゅう棘とげ之の官かん，乃詔大だい辟罪，中書ちゅうしょ、門下もんか五品已上及尚書等議之。其後河かわ內人李り好德よしのり，風ふう疾やまし瞀亂，有ゆう妖妄之の言げん，詔みことのり按其事ごと。大だい理り丞すすむ張ちょう蘊古奏そう，好德よしのり癲病有ゆう征せい，法ほう不當ふとう坐すわ。治ち書しょ侍さむらい御ご史し權けん萬まん紀き，劾蘊古こ貫ぬき相州あいしゅう，好こう德之のりゆき兄けい厚あつ德とく，為ため其刺史し，情じょう在ざい阿おもね縱たて，奏そう事ごと不實ふじつ。太ふとし宗そう曰：「吾われ常つね禁きん囚しゅう於獄內，蘊古與あずか之これ弈棋，今こん復ふく阿おもね縱たて好德よしのり，是ぜ亂らん吾われ法ほう也。」遂とげ斬き於東おひがし市し。既すんで而悔之の。又また交州都と督とく盧の祖そ尚なお，以忤旨むね斬き於朝堂どう，帝みかど亦また追つい悔。下した制せい，凡決死刑しけい，雖令即そく殺ころせ，仍三覆くつがえ奏そう。尋ひろ謂いい侍臣じしん曰：「人命じんめい至いたり重じゅう，一死いっし不可ふか再生さいせい。昔むかし世よ充たかし殺ころせ鄭てい頲，既すんで而悔之の，追つい止とめ不ふ及。今春こんしゅん府ふ史し取と財ざい不ふ多た，朕ちん怒いか殺ころせ之の，後ご亦また尋ひろ悔，皆みな由よし思おもえ不ふ審也しんや。比ひ來らい決けつ囚しゅう，雖三覆くつがえ奏そう，須臾しゅゆ之の間あいだ，三さん奏そう便びん訖，都みやこ未得みとく思おもえ，三さん奏そう何なん益えき？自今じこん已やめ後ご，宜むべ二に日にち中ちゅう五ご覆くつがえ奏そう，下した諸しょ州しゅう三さん覆くつがえ奏そう。又また古いにしえ者しゃ行刑ぎょうけい，君きみ為ため徹てっ樂らく減げん膳ぜん。朕ちん今こん庭にわ無む常設じょうせつ之の樂らく，莫知何なん徹てっ，然しか對たい食しょく即そく不ふ啖酒肉しゅにく。自今じこん已やめ後ご，令れい與あずか尚なお食しょく相知おうち，刑けい人じん日び勿進酒肉しゅにく。內教坊ぼう及太常つね，並なみ宜むべ停とま教きょう。且曹司し斷獄だんごく，多た據よりどころ律りつ文ぶん，雖情在ざい可か矜，而不敢違法ほう，守まもり文ぶん定じょう罪ざい，或ある恐こわ有ゆう冤。自今じこん門下もんか覆くつがえ理り，有ゆう據よりどころ法ほう合ごう死し而情可か宥なだめ者しゃ，宜むべ錄ろく狀じょう奏そう。」自じ是ぜ全ぜん活かつ者しゃ甚眾。其五覆くつがえ奏そう，以決前まえ一いち日にち、二に日覆ひおい奏そう，決けつ日び又また三さん覆くつがえ奏そう。惟おもんみ犯はん惡逆あくぎゃく者しゃ，一覆奏而已，著ちょ之の於令。

太ふとし宗そう既すんで誅張蘊古之これ後ご，法官ほうかん以出罪ざい為ため誡，時じ有ゆう失しつ入いれ者しゃ，又また不ふ加か罪ざい焉，由ゆかり是ぜ刑けい網もう頗密。帝みかど嘗問大だい理り卿きょう劉りゅう德いさお威い曰：「近來きんらい刑けい網もう稍やや密みつ，何なに也？」德とく威い對たい曰：「律りつ文ぶん失しつ入いれ減げん三さん等とう，失しつ出で減げん五ご等とう。今こん失しつ入いれ則そく無辜むこ，失しつ出で則のり便びん獲え大罪だいざい，所由しょゆう吏皆深ふか文ぶん。」太ふとし宗むね然しか其言。由よし是ぜ失しつ於出入でいり者しゃ，令れい依よ律りつ文ぶん，斷獄だんごく者しゃ漸やや為平ためひら允まこと。十じゅう四よん年ねん，又また制せい流罪るざい三さん等とう，不ふ限きり以里數すう，量りょう配はい邊べ惡あく之の州しゅう。其後雖存寬ひろし典てん，而犯者しゃ漸やや少すくな。

高こう宗はじめ即位そくい，遵貞觀かん故事こじ，務つとむ在ざい恤刑。嘗問大だい理り卿きょう唐から臨在獄ごく系けい囚しゅう之の數すう，臨對曰：「見み囚しゅう五ご十じゅう餘人よにん，惟おもんみ二に人にん合ごう死し。」帝みかど以囚數すう全ぜん少しょう，怡然形がた於顏色しょく。永えい徽初，敕太尉じょう長ちょう孫まご無む忌き、司つかさ空そら李り勣、左ひだり僕ぼく射しゃ于志寧やすし、右みぎ僕ぼく射しゃ行ぎょう成なり、侍さむらい中高なかだか季き輔、黃門こうもん侍さむらい郎ろう宇文うぶん節ぶし柳やなぎ奭、右みぎ丞すすむ段だん寶たから玄げん、太ふとし常つね少しょう卿きょう令れい狐きつね德とく棻、吏部侍さむらい郎ろう高だか敬けい言ごと、刑部おさかべ侍さむらい郎ろう劉りゅう燕つばめ客きゃく、給きゅう事ごと中ちゅう趙ちょう文ぶん恪つとむ，中書ちゅうしょ舍人とねり李り友とも益えき、少しょう府ふ丞すすむ張ちょう行實ぎょうじつ、大だい理り丞すすむ元もと紹、太たい府ふ丞すすむ王おう文ぶん端はし、刑部おさかべ郎ろう中ちゅう賈敏行ぎょう等とう，共きょう撰せん定律ていりつ令れい格式かくしき。舊制きゅうせい不便ふべん者しゃ，皆みな隨ずい刪改。遂とげ分ぶん格かく為ため兩部りょうぶ：曹司ぞうし常務じょうむ為ため《留とめ司つかさ格かく》，天下てんか所しょ共ども者しゃ為ため《散ち頒格》。其《散ち頒格》下しも州しゅう縣けん，《留とめ司つかさ格かく》但ただし留とめ本ほん司し行用ぎょうよう焉。三さん年ねん，詔みことのり曰：「律りつ學がく未み有定ありさだ疏，每年まいとし所しょ舉明法ほう，遂とげ無む憑准。宜廣のぶひろ召解律りつ人じん條じょう義よし疏奏聞そうもん。仍使中書ちゅうしょ、門下もんか監かん定じょう。」於是太ふとし尉じょう趙ちょう國こく公おおやけ無む忌き、司つかさ空そら英國えいこく公こう勣、尚書しょうしょ左ひだり僕ぼく射しゃ兼けん太子たいし少しょう師し監修かんしゅう國史こくし燕つばめ國こく公おおやけ志こころざし寧やすし、銀ぎん青あお光こう祿ろく大夫たいふ刑部おさかべ尚書しょうしょ唐から臨、太ふと中なか大夫たいふ守もり大だい理り卿きょう段だん寶たから玄げん、朝議ちょうぎ大夫たいふ守もり尚書しょうしょ右みぎ丞すすむ劉りゅう燕つばめ客きゃく、朝議ちょうぎ大夫たいふ守もり御ご史し中ちゅう丞すすむ賈敏行ぎょう等とう，參まいり撰せん《律りつ疏》，成なり三さん十じゅう卷かん，四よん年ねん十じゅう月がつ奏そう之の，頒於天下でんか。自じ是ぜ斷獄だんごく者しゃ皆みな引疏分析ぶんせき之の。永えい徽五ご年ねん五ご月がつ，上うえ謂いい侍臣じしん曰：「獄ごく訟繁多はんた，皆みな由よし刑罰けいばつ枉濫，故こ曰刑者しゃ成なり也，一成いっせい而不可變かへん。末代まつだい斷獄だんごく之これ人にん，皆みな以苛刻こく為ため明あきら，是ぜ以秦氏し網もう密みつ秋あき荼，而獲罪ざい者しゃ眾。今こん天下てんか無事ぶじ，四海しかい乂安，欲ほし與あずか公おおやけ等とう共ども行ぎょう寬政かんせい。今日きょう刑罰けいばつ，得とく無む枉濫乎？」無む忌き對たい曰：「陛下へいか欲得よくとく刑法けいほう寬平かんぺい，臣下しんか猶なお不ふ識聖意い。此法弊へい來らい已やめ久ひさし，非ひ止とめ今日きょう。若わか情じょう在ざい體からだ國こく，即そく共とも號ごう癡人ちじん，意い在ざい深ふか文ぶん，便びん稱たたえ好こう吏。所以ゆえん罪ざい雖合杖つえ，必欲遣や徒と，理り有可ゆか生せい，務つとむ入にゅう於死，非ひ憎にく前人ぜんじん，陷おちい於死刑しけい。陛下へいか矜而令れい放ひ，法ほう司し亦また宜むべ固かた請，但ただし陛下へいか喜怒きど不ふ妄加於人，刑罰けいばつ自然しぜん適中てきちゅう。」上じょう以為然しか。永えい徽六ろく年ねん七なな月がつ，上うえ謂いい侍臣じしん曰：「律りつ通どおり比ひ附ふ，條例じょうれい太ふと多おお。」左ひだり僕ぼく射しゃ志こころざし寧やすし等とう對たい：「舊きゅう律りつ多比たび附ふ斷だん事ごと，乃稍難解なんかい。科か條じょう極ごく眾，數すう至いたり三さん千せん。隋ずい日び再さい定じょう，惟おもんみ留とめ五ご百ひゃく。以事類るい相似そうじ者しゃ，比ひ附ふ科か斷だん。今日きょう所しょ停とま，即そく是ぜ參さん取と隋ずい律りつ修おさむ易えき。條章じょうしょう既すんで少しょう，極きょく成なり省しょう便びん。」

龍りゅう朔ついたち二に年ねん，改易かいえき官かん號ごう，因いん敕司刑けい太ふとし常つね伯はく源げん直心ひたごころ、少しょう常つね伯はく李り敬たかし玄げん、司つかさ刑けい大夫たいふ李り文ぶん禮れい等とう重定しげさだ格式かくしき，惟おもんみ改あらため曹局之の名な，而不易ふえき篇へん第だい。麟德二に年ねん奏上そうじょう。至いたり儀ぎ鳳中おおとりなか，官かん號ごう復舊ふっきゅう，又また敕左僕ぼく射しゃ劉りゅう仁ひとし軌、右みぎ僕ぼく射しゃ戴至德しとく、侍さむらい中ちゅう張ちょう文ぶん瓘、中書ちゅうしょ令れい李り敬たかし玄げん、右みぎ庶子しょし郝處俊しゅん、黃門こうもん侍さむらい郎ろう來らい恆つね、左ひだり庶子しょし高だか智さとし周しゅう、右みぎ庶子しょし李り義よし琰、吏部侍さむらい郎ろう裴行儉馬載の、兵部ひょうぶ侍さむらい郎ろう蕭しょう德とく昭あきら裴炎、工こう部ぶ侍さむらい郎ろう李り義よし琛、刑部おさかべ侍さむらい郎ろう張ちょう楚すわえ、金かね部ぶ郎ろう中ちゅう盧の律師りっし等とう，刪緝格式かくしき。儀ぎ鳳おおとり二に年ねん二に月がつ九きゅう日にち，撰せん定てい奏上そうじょう。先さき是ぜ詳しょう刑けい少しょう卿きょう趙ちょう仁ひとし本ほん撰せん《法例ほうれい》三さん卷かん，引以斷獄だんごく，時じ議ぎ亦また為ため折衷せっちゅう。後こう高だか宗むね覽らん之の，以為煩はん文ぶん不便ふべん。因よし謂いい侍臣じしん曰：「律りつ、令れい、格かく、式しき，天下てんか通どおり規ぶんまわし，非ひ朕ちん庸いさお虛きょ所しょ能のう創そう制せい。並なみ是ぜ武德ぶとく之の際さい，貞さだ觀かん已やめ來らい，或ある取と定てい宸衷，參まいり詳しょう眾議，條章じょうしょう備舉，軌躅昭あきら然しか，臨事遵行，自じ不能ふのう盡つき。何なに為ため更さら須作例れい，致使觸さわ緒いとぐち多た疑うたぐ。計けい此因循いんじゅん，非ひ適てき今日きょう，速はや宜むべ改あらため轍わだち，不ふ得とく更さら然しか。」自じ是ぜ，《法例ほうれい》遂とげ廢はい不用ふよう。

則のり天てん臨朝，初はつ欲よく大だい收おさむ人望じんぼう。垂たれ拱初年ねん，令れい熔銅為ため匭，四面しめん置おけ門もん，各かく依よ方かた色しょく，共きょう為ため一いち室しつ。東面とうめん名めい曰延恩おん匭，上うえ賦ふ頌及許もと求もとめ官爵かんしゃく者しゃ封ふう表ひょう投とう之の。南面なんめん曰招諫匭，有ゆう言げん時政ときまさ得失とくしつ及直言ちょくげん諫諍者しゃ投とう之の。西にし面めん曰申冤匭，有ゆう得とく罪ざい冤濫者しゃ投とう之の。北面ほくめん曰通玄げん匭，有ゆう玄げん象ぞう災わざわい變へん及軍謀はかりごと秘策ひさく者しゃ投とう之の。每まい日置ひおき之の於朝堂どう，以收天下でんか表ひょう疏。既出きしゅつ之これ後ご，不逞ふてい之の徒と，或ある至いたり攻おさむ訐陰私わたし，謗そし訕朝政ちょうせい者しゃ。後こう乃令中書ちゅうしょ、門下もんか官かん一いち人にん，專せん監かん其所投とう之の狀じょう，仍責識官，然しか後こう許もと進しん封ふうじ，行ぎょう之の至いたり今こん焉。則のり天てん又また敕內史し裴居道どう、夏なつ官かん尚書しょうしょ岑長倩、鳳おおとり閣かく侍さむらい郎ろう韋方質しつ與あずか刪定官かん袁智弘ひろ等とう十じゅう餘人よにん，刪改格式かくしき，加計かけ帳ちょう及勾帳ちょう式しき，通つう舊式きゅうしき成なり二に十じゅう卷かん。又また以武德ぶとく已やめ來らい、垂たれ拱已前ぜん詔みことのり敕便於時者しゃ，編へん為ため《新しん格かく》二に卷かん，則のり天てん自製じせい序じょ。其二そのじ卷まき之の外そと，別べつ編へん六ろく卷かん，堪こらえ為當ためとう司し行用ぎょうよう，為ため《垂たれ拱留司つかさ格かく》。時とき韋方質しつ詳しょう練ねり法理ほうり，又また委ゆだね其事于咸陽ひ尉じょう王おう守まもる慎まき，又また有ゆう經理けいり之の才ざい，故こ《垂たれ拱格》、《式しき》，議ぎ者しゃ稱しょう為ため詳密しょうみつ。其律令れい惟おもんみ改あらため二に十じゅう四よん條じょう，又また有ゆう不便ふべん者しゃ，大だい抵依舊きゅう。

然しか則のり天てん嚴げん于用刑けい，屬ぞく徐じょ敬たかし業ぎょう作さく亂みだれ，及豫、博はく兵へい起おこり之これ後ご，恐おそれ人心じんしん動搖どうよう，欲よく以威制せい天下でんか，漸やや引酷吏こくり，務つとむ令れい深ふか文ぶん，以案刑けい獄ごく。長壽ちょうじゅ年ねん有ゆう上じょう封ふう事ごと言げん嶺みね表ひょう流人るにん有ゆう陰謀いんぼう逆ぎゃく者しゃ，乃遣司し刑けい評ひょう事ごと萬國俊攝監察御史就案之，若わか得え反はん狀じょう，斬き決けつ。國くに俊しゅん至いたり廣州こうしゅう，遍へん召流人じん，擁よう之の水みず曲きょく，以次加か戮。三さん百ひゃく餘人よにん，一時いちじ並なみ命いのち，然しか後ご鍛きたえ煉ねり曲きょく成なり反はん狀じょう。乃更誣奏云うん：「諸道しょどう流人るにん，多た有ゆう怨望。若わか不ふ推究，為ため變へん不ふ遙はるか。」則のり天てん深ふか然しか其言。又また命めいじ攝と監かん察御史し劉りゅう光ひかり業ぎょう、王おう德壽とくじゅ、鮑あわび思おもえ恭きょう、王おう處しょ貞さだ、屈こごめ貞さだ筠等，分ふん往劍南みなみ、黔中、安やす南みなみ、嶺みね南みなみ等とう六道ろくどう，按鞫流人るにん。光ひかり業ぎょう所在しょざい殺戮さつりく。光ひかり業ぎょう誅九百ひゃく人にん，德壽とくじゅ誅七なな百ひゃく人にん，其餘少しょう者しゃ不ふ減數げんすう百ひゃく人にん。亦また有ゆう雜ざつ犯はん及遠年ねん流人るにん，亦また枉及禍か焉。時とき周しゅう興きょう、來らい俊しゅん臣しん等とう，相そう次じ受制推究大獄たいごく。乃于都城みやこのじょう麗うらら景けい門もん內，別置べっち推事使し院いん，時人じじん謂いい之の「新開しんかい獄ごく」。俊しゅん臣しん又また與あずか侍さむらい御ご史し侯こう思止おもいとま王おう弘義ひろよし郭かく霸李敬けい仁じん、評ひょう事ごと康やすし暐衛遂とげ忠ちゅう等とう，招集しょうしゅう告つげ事ごと數すう百ひゃく人にん，共きょう為ため羅ら織お，以陷良りょう善ぜん。前後ぜんご枉遭殺害さつがい者しゃ，不可ふか勝かち數すう。又また造みやつこ《告つげ密みつ羅ら織お經けい》一いち卷かん，其意旨むね皆みな網羅もうら前人ぜんじん，織お成なり反はん狀じょう。俊しゅん臣しん每ごと鞫囚，無む問とい輕重けいちょう，多た以醋灌鼻。禁きん地ち牢ろう中ちゅう，或ある盛もり之の於甕，以火圍繞いじょう炙あぶ之これ。兼けん絕ぜっ其糧餉，至いたり有ゆう抽衣絮以啖之者しゃ。其所作さく大だい枷かせ，凡有十じゅう號ごう：一いち曰定百ひゃく脈みゃく，二に曰喘不ふ得とく，三さん曰突地ち吼ほえ，四曰著即承，五ご曰失魂膽こんたん，六ろく曰實同どう反はん，七なな曰反是ぜ實じつ，八はち曰死豬愁，九きゅう曰求即死そくし，十曰求破家。又また令れい寢ね處しょ糞くそ穢けがれ，備諸苦く毒どく。每まい有ゆう制せい書しょ寬ひろし宥なだめ囚徒しゅうと，俊しゅん臣しん必先遣せんけん獄卒ごくそつ，盡つき殺ころせ重罪じゅうざい，然しか後こう宣せん示しめせ。是ぜ時じ海うみ內懾懼，道路どうろ以目。麟台正字せいじ陳ひね子こ昂のぼる上書うわがき曰：

臣しん聞古之の禦天下か者しゃ，其政有三ゆうぞう：王者おうじゃ化か之の，用よう仁じん義也よしや；霸者威い之の，任にん權けん智也ともや；強國きょうこく脅おびえ之これ，務つとむ刑罰けいばつ也。是ぜ以化之の不足ふそく，然しか後こう威い之の，威い之の不足ふそく，然しか後こう刑けい之の。故こ至いたり於刑，則のり非ひ王者おうじゃ之の所ところ貴たか矣。況きょう欲ほっ光こう宅たく天下でんか，追つい功こう上皇じょうこう，專任せんにん刑けい殺ころせ以為威い斷だん，可か謂いい策さく之の失しつ者しゃ也。

臣しん伏ふく睹陛下か聖德せいとく聰明そうめい，遊ゆう心こころ太古たいこ，將しょう制せい靜しずか宇宙うちゅう，保ほ乂黎民みん，發はつ號ごう施ほどこせ令れい，出で於誠慊。天下てんか蒼生そうせい，莫不懸かか望もち聖ひじり風ふう，冀見神化しんか，道德どうとく為政いせい，將はた侍さむらい于陛下か矣。臣しん聞之，聖人せいじん出で，必有驅除くじょ，蓋ぶた天人てんにん之の符ふ，應おう休きゅう命いのち也。日にち者しゃ東南とうなん微ほろ孽，敢謀亂らん常つね。陛下へいか順じゅん天てん行ぎょう誅，罪惡ざいあく咸伏，豈あに非ひ天意てんい欲よく彰あきら陛下へいか威武いぶ之の功こう哉！而執事しつじ者しゃ不ふ察天心しん，以為人じん意い，惡あく其首亂らん唱禍，法ほう合あい誅屠，將はた息いき奸源，窮きゅう其黨與あずか。遂とげ使し陛下へいか大開おおひらき詔みことのり獄ごく，重じゅう設しつらえ嚴刑げんけい，冀以懲奸，觀かん於天下か。逆ぎゃく党とう親おや屬ぞく及其交遊こうゆう，有ゆう涉わたる嫌疑けんぎ，辭じ相しょう連れん及，莫不窮きゅう捕と考こう校こう，枝葉えだは蟠わだかま拿。大だい或ある流血りゅうけつ，小しょう禦魑魅み。至いたり有ゆう奸人熒惑，乘じょう險相けんそう誣，糾告疑似ぎじ，冀圖爵賞，叫さけべ于闕下か者しゃ，日にち有數ゆうすう矣。于時朝廷ちょうてい徨徨，莫能自じ固かた，海うみ內傾聽けいちょう，以相驚おどろき恐こわ。賴よりゆき陛下へいか仁慈じんじ，憫其危懼きく，賜たまもの以恩詔みことのり，許もと其大功たいこう已上いじょう，一切いっさい勿論もちろん。人ひと時じ獲え泰やすし，謂いい生せい再さい造みやつこ。愚ぐ臣しん竊以忻然，賀が陛下へいか聖ひじり明あきら，得とく天てん之の機き也。不ふ謂いい議ぎ者しゃ異見いけん，又また執と前ぜん圖ず，比ひ者しゃ刑けい獄ごく，紛紛ふんぷん復ふく起おこり。陛下へいか不ふ深ふか思おもえ天意てんい，以順休きゅう期き，尚なお以督察為理り，威い刑けい為ため務つとむ，使つかい前者ぜんしゃ之の詔みことのり，不信ふしん於人。愚ぐ臣しん昧焉，竊恐非ひ五ご帝みかど、三王伐罪吊人之意也。

臣しん竊觀當今とうぎん天下でんか百姓ひゃくしょう，思おもえ安久やすひさ矣。曩屬北きた胡えびす侵おかせ塞ふさが，西戎せいじゅう寇邊，兵革へいかく相しょう屠ほふ，向こう曆こよみ十じゅう載の。關せき、河かわ自じ北きた，轉てん輸幽、燕つばめ；秦はた、蜀しょく之の西にし，馳はせ騖湟、海うみ。當時とうじ天下てんか疲つかれ極ごく矣！重じゅう以大兵へい之これ後ご，屬ぞく遭凶年ねん，流離りゅうり饑餓きが，死し喪も略りゃく半はん。幸さいわい賴よりゆき陛下へいか以至聖ひじり之の德とく，撫なで寧やすし兆ちょう人にん，邊境へんきょう獲え安やす，中國ちゅうごく無事ぶじ，陰陽いんよう大だい順じゅん，年ねん穀こく累るい登とう，天下てんか父子ふし，始はじめ得とく相しょう養やしなえ矣。揚あげ州しゅう構禍，殆有五ご旬しゅん，而海中ちゅう晏然，纖塵不動ふどう，豈あに非ひ天下てんか蒸ふけ庶厭凶きょう亂らん哉？臣しん以此卜ぼく之の，百姓思安久矣。今こん陛下へいか不ふ務つとむ玄げん默だま，以救疲つかれ民みん，而又任にん威い刑けい以失其望，欲よく以察察為政いせい，肅理寰區。愚ぐ臣しん暗くら昧，竊有大だい惑。且臣聞刑者しゃ，政之まさゆき末まつ節也せつや。先王せんおう以禁暴厘亂みだれ，不ふ得とく已やめ而用之の。今こん天下てんか幸安ゆきやす，萬物ばんぶつ思おもえ泰やすし，陛下へいか乃以末節まっせつ之の法ほう，察理平たいら人じん，愚ぐ臣しん以為非ひ適てき變へん隨時ずいじ之これ義也よしや。頃ころ年ねん以來いらい，伏見ふしみ諸方しょほう告つげ密みつ。囚しゅう累るい百ひゃく千せん輩やから。大抵たいてい所しょ告つげ，皆みな以揚州しゅう為ため名めい，及其窮きゅう竟，百ひゃく無む一實かずみ。陛下へいか仁恕じんじょ，又また屈こごめ法ほう容よう之の，傍はた訐他事たじ，亦また為ため推劾。遂とげ使し奸臣かんしん之の党とう，快かい意い相しょう讎，睚眥之の嫌いや，即そく稱たたえ有ゆう密みつ。一人ひとり被告ひこく，百ひゃく人にん滿まん獄ごく。使者ししゃ推捕，冠かん蓋ぶた如市。或ある謂いい陛下へいか愛あい一いち人にん而害百ひゃく人にん，天下てんか喁喁，莫知寧やすし所しょ。

臣しん聞自非ひ聖人せいじん，不ふ有ゆう外患がいかん，必有內憂，物理ぶつり自然しぜん也。臣しん不ふ敢以古ふる遠どお言げん之の，請指隋ずい而說。臣しん聞長老ろう云うん：隋ずい之の末世まっせ，天下てんか猶なお平たいら。煬帝不ふ恭きょう，窮きゅう毒どく威武いぶ，厭いや居きょ皇すめらぎ極ごく，自じ總元ふさもと戎えびす，以百ひゃく萬まん之これ師し，觀兵かんぺい遼りょう海うみ，天下てんか始はじめ騷然そうぜん矣。遂とげ使し楊玄感かん挾はさみ不ふ臣しん之の勢いきおい，有ゆう大盜たいとう之の心しん，欲よく因いん人じん謀はかりごと，以竊皇すめらぎ業ぎょう。及稱兵へい中ちゅう夏なつ，將はた據よりどころ洛陽らくよう，哮たけ寔まこと之の勢いきおい傾かたぶけ宇宙うちゅう矣。然しか亂みだれ未み逾月，而頭足あし異い處しょ。何者なにもの？天下てんか之の弊へい，未み有ゆう土ど崩くずれ，蒸ふけ人じん之の心しん，猶なお望もち樂らく業ぎょう。煬帝不ふ悟さとる，暗くら忽ゆるがせ人じん機き。自じ以為元もと惡あく既すんで誅，天下てんか無む巨きょ猾也，皇すめらぎ極きょく之の任にん，可か以刑罰ばつ理之まさゆき。遂とげ使し兵部ひょうぶ尚書しょうしょ樊子蓋ぶた專行せんこう屠ほふ戮，大だい窮きゅう黨とう與あずか，海うみ內豪士し，無む不ふ罹かか殃。遂とげ至いたり殺人さつじん如麻，流血りゅうけつ成澤なりさわ，天下てんか靡然思おもえ為ため亂らん矣。於是蕭しょう銑ずく、硃粲起おこり于荊南みなみ，李り密ひそか、竇建德けんとく亂らん于河北きた。四海しかい雲くも搖ゆら，遂とげ並なみ起おこり而亡隋ずい族ぞく矣。豈あに不ふ哀あい哉！長老ちょうろう至いたり今いま談だん之の，委曲いきょく如是にょぜ。

觀かん三さん代だい夏なつ、殷いん興亡こうぼう，已やめ下か至いたり秦しん、漢かん、魏ぎ、晉すすむ理り亂みだれ，莫不皆みな以毒刑けい而致敗はい壞也。夫おっと大獄たいごく一いち起おこり，不能ふのう無む濫。何者なにもの？刀かたな筆ひつ之の吏，寡識大方おおかた，斷獄だんごく能のう者しゃ，名めい在ざい急きゅう刻こく。文ぶん深ふか網もう密みつ，則のり共ども稱しょう至いたり公こう，爰及人じん主ぬし，亦また謂いい其奉法ほう。於是利り在ざい殺人さつじん，害がい在ざい平ひら恕じょ，故こ獄吏ごくり相しょう誡，以殺為ため詞し。非ひ憎にく於人也，而利在ざい己おのれ。故こ上うえ以希人じん主ぬし之の旨むね，以圖榮さかえ身み之の利り。徇利既すんで多た，則のり不能ふのう無む濫，濫及良りょう善ぜん，則のり淫いん刑けい逞たくまし矣。夫おっと人情にんじょう莫不自愛じあい其身，陛下へいか以此察之，豈あに非ひ無む濫矣！冤人籲嗟，感傷かんしょう和氣わき；和氣わき悖もと亂みだれ，群生ぐんせい癘疫；水すい旱ひでり隨ずい之の，則のり有ゆう凶年きょうねん。人ひと既すんで失業しつぎょう，則のり禍か亂らん之の心こころ怵然而生矣。頃ころ來き亢陽愆候，雲くも而不雨う，農夫のうふ釋しゃく耒，瞻望嗷嗷，豈あに不ふ由よし陛下へいか之の有ゆう聖德せいとく而不降くだ澤さわ於人也？儻旱遂とげ過か春はる，廢はい于時種しゅ，今年ことし稼穡，必有損そん矣。陛下へいか可か不ふ敬承けいしょう天意てんい，以澤恤人？臣しん聞古者しゃ明王みょうおう重しげる慎まき刑罰けいばつ，蓋ぶた懼此也。《書しょ》不ふ雲くも乎，「與あずか其殺不ふ辜，寧やすし失しつ不ふ經けい。」陛下へいか奈何いかん以堂堂どう之の聖きよし，猶なお務つとむ強國きょうこく之の威い。愚ぐ臣しん竊為陛下へいか不ふ取と。

且愚人じん安則やすのり樂らく生せい，危則思おもえ變へん。故事こじ有ゆう招禍，法ほう有ゆう起おこり奸。倘大獄たいごく未み休きゅう，支ささえ黨とう日び廣こう，天下てんか疑惑ぎわく，相そう恐おそれ無辜むこ，人情にんじょう之の變へん，不可ふか不ふ察。昔むかし漢かん武たけ帝みかど時じ巫みこ蠱獄起おこり，江こう充たかし行ぎょう詐いつわり，作さく亂らん京師けいし，至いたり使し太子たいし奔走ほんそう，兵へい交宮闕，無辜むこ被害ひがい者しゃ以萬まん千せん數すう。當時とうじ劉りゅう宗はじめ幾いく覆滅ふくめつ矣，賴よりゆき武たけ帝みかど得とく壺つぼ關せき三さん老ろう上書うわがき，幡はた然しか感かんじ悟さとる，夷えびす江こう充たかし三さん族ぞく，餘よ獄ごく不ふ論ろん，天下てんか少しょう以安耳みみ。臣しん讀書どくしょ至いたり此，未み嘗不為ふため戾もど太子たいし流りゅう涕也。古人こじん云うん：「前ぜん事こと不ふ忘，後事こうじ之の師し。」伏ふく願ねがい陛下へいか念ねん之の。今こん臣しん不ふ避湯鑊之罪ざい，以螻蟻あり之の命めいじ，輕けい觸さわ宸嚴。臣しん非ひ不ふ惡あく死し而貪生せい也，誠まこと以負陛下へいか恩おん遇ぐう，以微命いのち蔽塞聰明そうめい，亦また非ひ敢欲陛下へいか頓ひたぶる息いき嚴刑げんけい，望もち在ざい恤刑耳みみ。乞與三さん事大じだい夫おっと，圖ず其可否ひ。夫おっと往者おうしゃ不可ふか諫，來者らいしゃ猶なお可か追おい，無む以臣微ほろ而忽其奏，天下てんか幸甚こうじん。

疏奏不ふ省しょう。

時どき司し刑けい少しょう卿きょう徐じょ有功ゆうこう常つね駁酷吏こくり所しょ奏かなで，每日まいにち與あずか之これ廷爭得失とくしつ，以雪冤濫，因いん此全濟ずみ者しゃ亦また不可ふか勝かち數すう，語ご在ざい《有功ゆうこう傳でん》。及俊臣しん、弘義ひろよし等とう伏ふく誅，刑けい獄ごく稍やや息いき。前後ぜんご宰相さいしょう王おう及善、姚元崇たかし、硃敬則そく等とう，皆みな言げん垂たれ拱已來らい身み死し破やぶ家いえ者しゃ，皆みな是ぜ枉濫，則のり天てん頗亦覺悟かくご。於是監かん察御史し魏ぎ靖やすし上じょう言げん曰：

臣しん聞國之の綱紀こうき，在ざい乎生殺ころせ。其周興きょう、來らい俊しゅん臣しん、丘おか神しん勣、萬國ばんこく俊しゅん、王おう弘義ひろよし、侯ほう思止おもいとま、郭かく弘ひろし霸、李り敬たかし仁ひとし、彭先覺せんかく、王おう德壽とくじゅ、張ちょう知とも默だま者しゃ，即そく堯年四よん凶きょう矣。恣ほしいまま騁愚暴，縱たて虐しいたげ含毒，讎嫉在位ざいい，安あん忍しのぶ朝臣あそん，罪つみ逐情加か，刑けい隨意ずいい改あらため。當とう其時也，囚しゅう囹如市し，朝廷ちょうてい以目。既すんで而素虛むなし不ふ昧，冤魂有ゆう托たく，行ぎょう惡あく其報，禍わざわい淫いん可か懲，具ぐ嚴げん天刑てんけい，以懲亂らん首くび。竊見來らい俊しゅん臣しん身み處しょ極きょく法ほう者しゃ，以其羅ら織お良よ善ぜん，屠ほふ陷おちい忠ちゅう賢けん，籍せき沒ぼつ以勸將來しょうらい，顯あらわ戮以謝しゃ天下でんか。臣しん又また聞之道路どうろ，上うえ至いたる聖せい主あるじ，傍はた洎貴臣しん，明あきら明知めいち有ゆう羅ら織お之これ事ごと矣，俊しゅん臣しん既すんで死し，推者獲え功こう，胡えびす元もと禮れい超ちょう遷，裴談顯あらわ授，中外ちゅうがい稱しょう慶けい，朝あさ廷載安やす。破やぶ其黨者しゃ，即そく能のう賞しょう不ふ逾時；被ひ其陷者しゃ，豈あに可か淹之累るい歲とし。且稱反はん徒と，須得反はん狀じょう。惟おもんみ據よりどころ片へん辭やめ，即そく請行刑けい，拷楚妄加，款答何なん限げん。故こ徐じょ有功ゆうこう以寬平ひら而見忌き，斛瑟羅ら以妓女おんな而受拘，中外ちゅうがい具ぐ知ち，枉直斯在，藉以為ため喻，其餘可か詳しょう。臣しん又また聞之，郭かく弘ひろし霸自刺とげ而唱快かい，萬國俊被遮而遽亡。霍獻可か臨終りんじゅう，膝ひざ拳けん于項；李り敬たかし仁じん將しょう死し，舌した至いたり於臍。皆みな眾鬼滿まん庭にわ，群ぐん妖橫道どう，惟おもんみ徵集ちょうしゅう應おう，若わか響ひびき隨ずい聲ごえ。備在人じん謠うたい，不為ふため虛說きょせつ，伯はく有ゆう晝ひる見み，殆無以過。此亦羅ら織お之これ一いち據よりどころ也。臣しん以至愚ぐ，不ふ識大體だいたい，儻使平ひら反はん者しゃ數すう人にん，眾共詳しょう覆くつがえ來らい俊しゅん臣しん等とう所しょ推大獄たいごく，庶鄧艾もぐさ獲え申さる於今日び，孝こう婦ふ不ふ濫于昔時せきじ，恩おん渙きよし一流いちりゅう，天下てんか幸甚こうじん。

疏奏，制令せいれい錄ろく來らい俊しゅん臣しん、丘おか神しん勣等所しょ推鞫人身じんしん死し籍せき沒ぼつ者しゃ，令れい三さん司つかさ重じゅう推勘，有ゆう冤濫者しゃ，並なみ皆みな雪ゆき免めん。

中ちゅう宗そう神かみ龍りゅう元年がんねん，制せい以故司し僕ぼく少しょう卿きょう徐じょ有功ゆうこう，執と法ほう平ひら恕じょ，追贈ついぞう越えつ州都しゅうと督とく，特とく授一いち子し官かん。又また以丘神しん勣、來らい子こ珣、萬國ばんこく俊しゅん、周しゅう興きょう、來らい俊しゅん臣しん、魚さかな承うけたまわ曄、王おう景けい昭あきら、索さく元もと禮れい、傅でん遊藝ゆうげい、王おう弘義ひろよし、張ちょう知とも默だま、裴籍、焦こげ仁じん亶、侯ほう思止おもいとま、郭かく霸、李り敬たかし仁ひとし、皇すめらぎ甫はじめ文ぶん備、陳ちん嘉言よしとき、劉りゅう光ひかり業ぎょう、王おう德壽とくじゅ、王おう處しょ貞さだ、屈こごめ貞さだ筠、鮑あわび思おもえ恭きょう二に十じゅう三さん人にん，自じ垂たれ拱已來らい並なみ枉濫殺人さつじん，所有しょゆう官爵かんしゃく，並なみ令れい追つい奪だつ。天下てんか稱しょう慶けい。時とき既すんで改易かいえき，制せい盡つき依よ貞さだ觀かん、永えい徽故事こじ。敕中書しょ令れい韋安石せき、禮れい部ぶ侍さむらい郎ろう祝しゅく欽明、尚書しょうしょ右みぎ丞すすむ蘇そ瑰、兵部ひょうぶ郎ろう中ちゅう狄光嗣等，刪定《垂たれ拱格》後ご至いたり神しん龍りゅう元年がんねん已やめ來き制せい敕，為ため《散ち頒格》七なな卷かん。又また刪補舊式きゅうしき，為ため二に十じゅう卷かん，頒於天下でんか。景けい雲くも初はつ，睿宗又また敕戶部ぶ尚書しょうしょ岑羲、中書ちゅうしょ侍さむらい郎ろう陸りく象ぞう先さき、右みぎ散ち騎き常つね侍さむらい徐じょ堅けん、右みぎ司郎しろう中ちゅう唐から紹、刑部おさかべ員いん外郎ういろう邵知與あずか、刪定官かん大だい理り寺てら丞すすむ陳ちん義よし海うみ、右みぎ衛まもる長ちょう史し張ちょう處しょ斌あきら、大だい理り評ひょう事ごと張ちょう名めい播、左ひだり衛まもる率りつ府ふ倉くら曹參軍ぐん羅ら思おもえ貞さだ、刑部おさかべ主事しゅじ閻義顓凡十じゅう人にん，刪定格かく、式しき、律りつ、令れい。太極たいきょく元年がんねん二に月がつ奏上そうじょう，名めい為ため《太極たいきょく格かく》。

開ひらけ元もと初はつ，玄げん宗むね敕黃門もん監かん盧の懷ふところ慎まき、紫むらさき微ほろ侍さむらい郎ろう兼けん刑部おさかべ尚書しょうしょ李り乂、紫むらさき微ほろ侍さむらい郎ろう蘇そ頲、紫むらさき微ほろ舍人とねり呂りょ延のべ祚、給きゅう事ごと中ちゅう魏ぎ奉たてまつ古こ、大だい理り評ひょう事ごと高こう智さとし靜せい、同どう州しゅう韓城縣かんじょうけん丞すすむ侯こう郢璡、瀛州司法しほう參さん軍ぐん閻義顓等，刪定格かく、式しき、令れい，至いたり三さん年ねん三さん月がつ奏上そうじょう，名めい為ため《開ひらく元もと格かく》。六ろく年ねん，玄げん宗そう又また敕吏部ぶ侍さむらい郎ろう兼けん侍さむらい中ちゅう宋そう璟、中書ちゅうしょ侍さむらい郎ろう蘇そ頲、尚書しょうしょ左ひだり丞すすむ盧の從したがえ願ねがい、吏部侍さむらい郎ろう裴漼慕容珣、戶部とべ侍さむらい郎ろう楊滔、中書ちゅうしょ舍人とねり劉りゅう令れい植うえ、大だい理り司直しちょく高だか智さとし靜せい、幽かそけ州しゅう司つかさ功いさお參さん軍ぐん侯こう郢璡等とう九きゅう人にん，刪定律ていりつ、令れい、格かく、式しき，至いたり七なな年ねん三さん月がつ奏上そうじょう。律りつ、令れい、式しき仍舊名めい，格かく曰《開ひらき元もと後ご格かく》。十じゅう九きゅう年ねん，侍さむらい中ちゅう裴光庭にわ、中書ちゅうしょ令れい蕭しょう嵩かさ，又また以格後ご制せい敕行用よう之これ後ご，頗與格よかく文ぶん相違そうい，於事非ひ便びん，奏そう令れい所司しょし刪撰《格かく後ご長行おさゆき敕》六ろく卷かん，頒於天下でんか。二に十じゅう二に年ねん，戶部とべ尚書しょうしょ李り林はやし甫はじめ又また受詔改修かいしゅう格かく令れい。林はやし甫はじめ遷中書しょ令れい，乃與侍さむらい中ちゅう牛うし仙客せんかく、御ご史し中ちゅう丞すすむ王おう敬たかし從したがえ，與あずか明あかり法ほう之の官かん前ぜん左ひだり武たけ衛まもる胄曹參さん軍ぐん崔ちぇ見み、衛まもる州しゅう司つかさ戶ど參さん軍ぐん直中ただなか書しょ陳ひね承うけたまわ信しんじ、酸さん棗なつめ尉じょう直ちょく刑部おさかべ俞元杞等，共きょう加か刪緝舊きゅう格かく、式しき、律りつ、令れい及敕，總そう七なな千せん二に十じゅう六ろく條じょう。其一千せん三さん百ひゃく二に十じゅう四よん條じょう於事非ひ要よう，並なみ刪之。二に千せん一いち百ひゃく八はち十じゅう條じょう隨ずい文ぶん損益そんえき，三さん千せん五ご百ひゃく九きゅう十じゅう四よん條じょう仍舊不ふ改あらため。總そう成なり律りつ十じゅう二に卷かん，《律りつ疏》三さん十じゅう卷かん，《令れい》三さん十じゅう卷かん，《式しき》二に十じゅう卷かん，《開ひらき元新もとしん格かく》十じゅう卷かん。又また撰せん《格式かくしき律令りつりょう事ごと類るい》四よん十じゅう卷かん，以類相しょう從したがえ，便びん於省覽らん。二に十じゅう五ご年ねん九きゅう月がつ奏上そうじょう，敕于尚書しょうしょ都と省しょう寫うつし五ご十じゅう本ほん，發はつ使し散ち於天下か。其年刑部おさかべ斷獄だんごく，天下てんか死罪しざい惟おもんみ有ゆう五ご十じゅう八はち人にん。大だい理り少しょう卿きょう徐じょ嶠上言ごと：大だい理り獄ごく院いん，由來ゆらい相傳そうでん殺氣さっき太ふとし盛もり，鳥とり雀すずめ不ふ棲，至いたり是ぜ有ゆう鵲かささぎ巢す其樹。於是百僚以幾至刑措，上表じょうひょう陳ひね賀が。玄げん宗むね以宰相しょう變へん理り、法官ほうかん平たいら允まこと之の功こう，封ふう仙客せんかく為ため邠國公こう，林はやし甫はじめ為ため晉すすむ國こく公おおやけ，刑部おさかべ大だい理り官かん共ども賜たまもの帛二に千せん匹ひき。

自明じめい慶けい至いたり先天せんてん六ろく十じゅう年間ねんかん，高こう宗そう寬仁ひろひと，政せい歸き宮みや閫。則のり天女てんにょ主ぬし猜忌さいき，果はて于殺戮さつりく，宗枝むねだ大臣だいじん，鍛きたえ于酷吏こくり，至いたり於移易えき宗むね社しゃ，幾いく亡ほろび李り氏し。神かみ龍りゅう之これ後ご，後こう族ぞく幹みき政せい，景けい雲くも繼立つぎたて，歸かえり妹いもうと怙權。開ひらき元之もとゆき際さい，刑けい政せい賞罰しょうばつ，斷だん於宸極きょく，四よん十じゅう餘よ年ねん，可か謂いい太平たいへい矣。及塚臣しん懷ふところ邪よこしま，邊へん將はた內侮，乘じょう輿こし幸こう于巴、蜀しょく，儲もうか副ふく立たて于朔方かた，曾未逾年，載の收おさむ京きょう邑，書契しょけい以來いらい，未み有ゆう克復こくふく宗むね社しゃ若わか斯之速そく也。而兩京きょう衣冠いかん，多た被ひ脅おびえ從したがえ，至いたり是ぜ相しょう率りつ待まち罪ざい闕下。而執事しつじ者しゃ務つとむ欲よく峻たかし刑けい以取威い，盡つき誅其族ぞく，以令天下でんか。議ぎ久ひさし不定ふてい，竟置三さん司つかさ使し，以御史し大夫たいふ兼けん京きょう兆ちょう尹いん李り峴、兵部ひょうぶ侍さむらい郎ろう呂りょ諲、戶部とべ侍さむらい郎ろう兼けん御ご史し中ちゅう丞すすむ崔ちぇ器き、刑部おさかべ侍さむらい郎ろう兼けん御ご史し中ちゅう丞すすむ韓かん擇よ木き、大だい理り卿きょう嚴げん向むこう等とう五ご人にん為之ためゆき。初はつ，西京にしぎょう文武ぶんぶ官かん陸りく大だい鈞ひとし等とう陷おちい賊ぞく來らい歸き，崔ちぇ器き草くさ儀ぎ，盡つき令れい免めん冠かんむり徒跣かちはだし，撫なで膺號泣ごうきゅう，以金吾われ府縣ふけん人じん吏圍之の，於朝謝罪しゃざい，收おさむ付づけ大だい理り京きょう兆ちょう府ふ獄ごく系けい之の。及陳希まれ烈れつ等とう大臣だいじん至いたり者しゃ數すう百ひゃく人にん，又また令れい朝ちょう堂どう徒跣かちはだし如初，令れい宰相さいしょう苗なえ晉すすむ卿きょう、崔ちぇ圓まどか、李り麟等百ひゃく僚同視し，以為棄辱，宣せん詔みことのり以責之の。朝廷ちょうてい又また以負罪ざい者しゃ眾，獄中ごくちゅう不ふ容よう，乃賜楊國忠ちゅう宅たく鞫之。器うつわ、諲多希まれ旨むね深刻しんこく，而擇木き無む所しょ是非ぜひ，獨どく李り峴力爭そう之の，乃定所しょ推之罪ざい為ため六ろく等とう，集しゅう百ひゃく僚尚書しょ省議しょうぎ之の。肅宗方かた用よう刑けい名めい，公卿くぎょう但ただし唯唯ただただ署名しょめい而已。於是河南かなん尹いん達いたる奚珣等とう三さん十じゅう九きゅう人にん，以為罪ざい重じゅう，與あずか從したがえ共きょう棄。珣等十じゅう一いち人にん，於子城西じょうさい伏ふく誅。陳ちん希のぞみ烈れつ、張ちょう垍、郭かく納おさむ、獨どく孤こ朗ろう等とう七なな人にん，於大おだい理り寺てら獄ごく賜たまもの自盡じじん。達いたる奚摯、張ちょう岯、李り有ゆう孚まこと、劉りゅう子こ英えい、冉大華はな二に十じゅう一いち人にん，於京兆府門決重杖死。大だい理り卿きょう張ちょう均ひとし引至獨どく柳やなぎ樹下じゅか刑けい人じん處しょ，免めん死し配流はいる合浦がつぽ郡ぐん，而達奚珣、韋恆乃至ないし腰こし斬き。先さき是ぜ，慶けい緒いとぐち至いたり相州あいしゅう，史し思おもえ明あきら、高秀たかひで岩いわ等とう皆みな送おく款請命いのち，肅宗各かく令れい復位ふくい，便びん領りょう所管しょかん，至いたり是ぜ懼不自じ安やす，各かく率りつ其黨叛。其後三さん司つかさ用よう刑けい，連年れんねん不定ふてい，流りゅう貶相繼ままし。及王璵為相しょう，素す聞物ききもの議ぎ，請下詔みことのり自今じこん已やめ後ご，三司推勘未畢者，一切いっさい放免ほうめん，大だい收おさむ人望じんぼう。後こう蕭しょう華はな拔魏州しゅう歸國きこく，嘗話於朝云うん：「初はつ河北かほく官かん聞國家こっか宣せん詔みことのり放ひ陳ちん希のぞみ列れつ等とう脅おびえ從したがえ官かん一切いっさい不問ふもん，各かく令れい復位ふくい，聞者悔歸國きこく之の晚ばん，舉措自失じしつ。及後聞希烈れつ等とう死し，皆みな相賀あいが得とく計けい，無む敢歸者しゃ。於是河北かわきた將すすむ吏，人人ひとびと益えき堅けん，大兵だいひょう不ふ解かい。」

後こう有毛ありげ若わか虛きょ、敬けい羽わ之の流ながれ，皆みな深ふか酷こく割わり剝，驟求權柄けんぺい，殺人さつじん以逞刑けい，厚あつ斂以資し國こく。六ろく七なな年間ねんかん，大獄たいごく相しょう繼つぎ，州しゅう縣けん之の內，多た是ぜ貶降人じん。肅宗復ふく聞三司し多た濫，嘗悔云うん：「朕ちん為ため三さん司つかさ所しょ誤あやま，深ふか恨之。」及彌留とめ之の際さい，以元載の為相ためすけ，乃詔天下でんか流ながれ降ぶ人ひと等とう一切いっさい放ひ歸き。

代だい宗むね寶たから應おう元年がんねん，回かい紇與史し朝あさ義戰ぎせん，勝しょう，擒とりこ其將士し妻子さいし老幼ろうよう四よん百ひゃく八はち十じゅう人にん。上うえ以婦人ふじん雖為賊ぞく家か口こう，皆みな是ぜ良家りょうけ子女しじょ，被ひ賊ぞく逼略，惻然湣之，令れい萬年縣於勝業佛寺安置，給きゅう糧かて料りょう。若わか有ゆう親おや屬ぞく認みとめ者しゃ，任にん還かえ之これ；如無親族しんぞく者しゃ，任にん其所適てき，仍給糧かて遞過。於是人情にんじょう莫不感かん戴忻悅えつ。大だい曆こよみ十じゅう四よん年ねん六ろく月がつ一いち日にち，德とく宗むね禦丹鳳おおとり樓ろう大赦たいしゃ。赦書節ぶし文ぶん：「律りつ、令れい、格かく、式しき條目じょうもく有ゆう未み折衷せっちゅう者しゃ，委い中書ちゅうしょ門下もんか簡擇理り識通明あかり官かん共ども刪定。自じ至德しとく已やめ來き制せい敕，或ある因いん人じん奏請そうせい，或ある臨事頒行，差さ互不同ふどう，使つかい人じん疑惑ぎわく，中書ちゅうしょ門下もんか與あずか刪定官かん詳しょう決けつ，取と堪こらえ久長ひさなが行用ぎょうよう者しゃ，編入へんにゅう格かく條じょう。」三さん司つかさ使し，准じゅん式しき以御史し中ちゅう丞すすむ、中書ちゅうしょ舍人とねり、給きゅう事ごと中ちゅう各かく一いち人にん為之ためゆき，每日まいにち於朝堂どう受詞，推勘處分しょぶん。建けん中ちゅう二に年ねん，罷やめ刪定格かく令れい使し並なみ三さん司つかさ使し。先さき是ぜ，以中書しょ門下もんか充たかし刪定格かく令れい使し，又また以給事ごと中ちゅう、中書ちゅうしょ舍人とねり、御ご史し中ちゅう丞すすむ為ため三さん司つかさ使し。至いたり是ぜ中書ちゅうしょ門下もんか奏請そうせい復舊ふっきゅう，以刑部ぶ、御ご史し臺だい、大だい理り寺てら為之ためゆき。其格令れい委い刑部おさかべ刪定。元和がんわ四よん年ねん九きゅう月がつ敕：「刑部おさかべ大だい理り決斷けつだん系けい囚しゅう，過か為ため淹遲，是長これなが奸幸。自今じこん已やめ後ご，大だい理り寺てら檢けん斷だん，不ふ得とく過か二に十じゅう日にち，刑部おさかべ覆くつがえ下した，不ふ得とく過か十じゅう日にち。如刑部ぶ覆くつがえ有ゆう異同いどう，寺てら司つかさ重しげる加か不ふ得とく過か十じゅう五ご日にち，省司しょうじ量りょう覆くつがえ不ふ得とく過か本日ほんじつ。如有牒外州しゅう府ふ節目ふしめ及於京きょう城じょう內勘，本ほん推即日び以報。牒到後ご計けい日數にっすう，被ひ勘かん司し卻報不ふ得とく過か五ご日にち。仍令刑部おさかべ具ぐ遣や牒及報ほう牒月日び，牒報都と省しょう及分察使，各かく准じゅん敕文勾舉糾訪。」

六ろく年ねん九きゅう月がつ，富平とみひら縣けん人じん梁りょう悅えつ，為ため父ちち殺ころせ仇かたき人じん秦しん果はて，投とう縣けん請罪。敕：「復仇ふっきゅう殺人さつじん，固有こゆう彝つね典てん。以其申さる冤請罪ざい，視し死し如歸，自じ詣まい公門くもん，發はつ於天性せい。志こころざし在ざい徇節，本ほん無む求もとめ生せい之の心しん，寧やすし失しつ不ふ經けい，特とく從したがえ減げん死し之の法ほう。宜むべ決けつ一いち百ひゃく，配流はいる循州。」職方しょくかた員いん外郎ういろう韓かん愈いよいよ獻けんじ議ぎ曰：

伏ふく奉たてまつ今月こんげつ五ご日にち敕：復仇ふっきゅう，據よりどころ禮れい經けい則そく義ぎ不同ふどう天てん，征せい法令ほうれい則そく殺人さつじん者しゃ死し。禮法れいほう二に事こと，皆みな王おう教之のりゆき端はし，有ゆう此異同いどう，必資論辯ろんべん，宜むべ令れい都と省しょう集しゅう議ぎ聞奏者しゃ。伏ふく以子復ふく父ちち仇かたき，見み於《春秋しゅんじゅう》，見み於《禮れい記き》，又また見み於《周しゅう官かん》，又また見み於諸子しょし史し，不可ふか勝かち數すう，未み有ゆう非ひ而罪之これ者しゃ也。最さい宜むべ詳しょう於律，而律無む其條，非ひ闕文也ふみや。蓋ぶた以為不ふ許もと復仇ふっきゅう，則のり傷きず孝子こうし之の心しん，而乖先王せんおう之の訓くん；許もと復仇ふっきゅう，則のり人じん將はた倚法專せん殺ころせ，無む以禁止きんし其端矣。夫おっと律りつ雖本于聖人じん，然しか執と而行之これ者しゃ，有司ゆうし也。經けい之の所ところ明あきら者しゃ，制せい有司ゆうし也。丁ちょう甯其義ぎ於經，而深沒ぼつ其文於律者しゃ，其意將はた使つかい法ほう吏一斷だん於法，而經術じゅつ之の士し，得とく引經而議也。《周しゅう官かん》曰：「凡殺人じん而義者しゃ，令れい勿仇，仇かたき之の則のり死し。」義よし，宜むべ也，明あきら殺人さつじん而不得とく其宜者しゃ，子し得とく復仇ふっきゅう也。此百姓之相仇者也。《公おおやけ羊ひつじ傳でん》曰：「父ちち不ふ受誅，子こ復仇ふっきゅう可也かなり。」不ふ受誅者しゃ，罪つみ不當ふとう誅也。又また《周しゅう官かん》曰：「凡報仇かたき讎者，書しょ於士，殺ころせ之の無罪むざい。」言げん將しょう復仇ふっきゅう，必先言げん於官，則のり無罪むざい也。今こん陛下へいか垂たれ意い典章てんしょう，思おもえ立たて定じょう制せい。惜有司し之の守もり，憐孝子こ之の心しん，示しめせ不ふ自じ專せん，訪おとずれ議ぎ群ぐん下か。臣しん愚ぐ以為復仇ふっきゅう之の名めい雖同，而其事ごと各かく異こと。或ある百姓ひゃくしょう相しょう仇かたき，如《周しゅう官かん》所しょ稱たたえ，可か議ぎ於今者しゃ；或ある為ため官吏かんり所しょ誅，如《公おおやけ羊ひつじ》所しょ稱たたえ，不可ふか行ぎょう於今者しゃ。又また《周しゅう官かん》所しょ稱たたえ，將はた復仇ふっきゅう，先さき告つげ於士則そく無罪むざい者しゃ。若わか孤こ稚やや羸弱るいじゃく，抱だき微志びし而伺敵てき人じん之の便びん，恐こわ不能ふのう自じ言げん於官，未み可か以為斷だん於今也。然しか則のり殺ころせ之の與あずか赦，不可ふか一いち例れい。宜むべ定てい其制曰：凡有復ふく父ちち仇かたき者しゃ，事こと發はつ，具ぐ其事由じゆう，下しも尚書しょうしょ省しょう集しゅう議ぎ奏聞そうもん。酌しゃく其宜而處之の，則のり經けい律りつ無む失しつ其指矣。

元和がんわ十じゅう三さん年ねん八はち月がつ，鳳おおとり翔しょう節度せつど使し鄭てい余慶よけい等とう詳しょう定じょう《格かく後ご敕》三さん十じゅう卷かん，右みぎ司郎しろう中ちゅう崔ちぇ郾等六ろく人にん修おさむ上じょう。其年，刑部おさかべ侍さむらい郎ろう許もと孟はじめ容よう、蔣乂等とう奉たてまつ詔みことのり刪定，復ふく勒成三さん十じゅう卷かん。刑部おさかべ侍さむらい郎ろう劉りゅう伯はく芻等考こう定じょう，如其舊きゅう卷まき。

長慶ちょうけい元年がんねん五ご月がつ，御ご史し中ちゅう丞すすむ牛うし僧そう孺奏：「天下てんか刑けい獄ごく，苦く於淹滯，請立程ほど限かぎり。大事だいじ，大だい理り寺てら限げん三さん十じゅう五ご日にち詳しょう斷だん畢，申さる刑部おさかべ，限げん三さん十じゅう日にち聞奏。中ちゅう事こと，大だい理り寺てら三さん十じゅう日にち，刑部おさかべ二に十じゅう五ご日にち。小事しょうじ，大だい理り寺てら二に十じゅう五ご日にち，刑部おさかべ二十日はつか。一いち狀じょう所しょ犯はん十じゅう人にん以上いじょう，所しょ斷罪だんざい二に十じゅう件けん以上いじょう，為ため大だい。所ところ犯はん六ろく人にん以上いじょう，所しょ斷罪だんざい十じゅう件けん以上いじょう，為ため中ちゅう。所ところ犯はん五ご人にん以下いか，所しょ斷罪だんざい十じゅう件けん以下いか，為ため小しょう。其或所しょ抵罪狀じょう並なみ所しょ結ゆい刑けい名めい並なみ同どう者しゃ，則のり雖人數にんずう甚多，亦また同どう一いち人にん之の例れい。違たがえ者しゃ罪ざい有ゆう差さ。」二に年ねん四よん月がつ，刑部おさかべ員いん外郎ういろう孫まご革かわ奏そう：「京きょう兆府雲陽縣人張蒞，欠かけ羽林はばやし官かん騎き康かん憲けん錢ぜに米まい。憲けん征之まさゆき，蒞承醉よい拉ひしげ憲けん，氣息きそく將しょう絕ぜっ。憲男のりお買得かいどく，年ねん十じゅう四よん，將はた救すくい其父。以蒞角かく牴力人じん，不ふ敢捴解かい，遂とげ持木もちき鍤擊蒞之首しゅ見み血ち，後ご三さん日にち致死ちし者しゃ。准じゅん律りつ，父ちち為ため人じん所しょ毆なぐ，子こ往救，擊げき其人折おり傷きず，減げん凡鬥三さん等とう。至いたり死者ししゃ，依よ常つね律りつ。即そく買得かいどく救すくい父ちち難なん是ぜ性せい孝こう，非ひ暴；擊げき張ちょう蒞是心こころ切きり，非ひ凶きょう。以髫丱之歲とし，正せい父子ふし之の親おや，若わか非ひ聖ひじり化か所しょ加か，童子どうじ安やす能のう及此？《王制おうせい》稱しょう五ご刑けい之の理り，必原父子ふし之の親しん以權之の，慎まき測はか淺あさ深ふか之これ量りょう以別之の。《春秋しゅんじゅう》之の義よし，原はら心こころ定じょう罪ざい。周しゅう書しょ所しょ訓くん，諸しょ罰ばっ有權ゆうけん。今こん買得かいどく生せい被ひ皇すめらぎ風ふう，幼よう符ふ至孝しこう，哀あい矜之宥なだめ，伏在ふくざい聖せい慈。臣しん職しょく當とう讞刑，合ごう分ぶん善惡ぜんあく。」敕：「康かん買得かいどく尚なお在ざい童わらわ年ねん，能のう知子ともこ道どう，雖殺人じん當とう死し，而為父ちち可か哀あい。若わか從したがえ沉命之の科か，恐おそれ失しつ原げん情じょう之の義よし，宜むべ付づけ法ほう司し，減げん死罪しざい一等いっとう。」

大和やまと七なな年ねん十二月じゅうにがつ，刑部おさかべ奏そう：「先さき奉たてまつ敕詳定てい前ぜん大だい理り丞すすむ謝しゃ登とう《新編しんぺん格かく後ご敕》六ろく十じゅう卷かん者しゃ。臣しん等とう據よりどころ謝しゃ登とう所しょ進すすむ，詳しょう諸しょ理り例れい，參まいり以格式しき，或ある事こと非ひ久ひさ要よう，恩おん出で一いち時じ，或ある前後ぜんご差さ殊こと，或ある書寫しょしゃ錯誤さくご，並なみ已やめ落下らっか及改正かいせい訖。去さ繁しげる舉要，列れつ司し分ぶん門もん，都と為ため五ご十じゅう卷かん。伏ふく請宣下か施行しこう。」可か之これ。八はち年ねん四よん月がつ，詔みことのり應おう犯はん輕けい罪人ざいにん，除じょ情狀じょうじょう巨きょ蠹，法ほう所しょ難なん原はら者しゃ，其他過誤かご罪ざい愆，及尋常つね公事こうじ違犯いはん，不ふ得とく鞭むち背せ。遵太宗之むねゆき故事こじ也。俄にわか而京兆尹韋長奏：「京師けいし浩ひろし穰みのる，奸豪所しょ聚。終日しゅうじつ懲罰ちょうばつ，抵犯猶なお多おお，小しょう有ゆう寬容かんよう，即そく難なん禁きん戢。若わか恭きょう守もり敕旨，則のり無む以肅清しゅくせい；若わか臨事用よう刑けい，則のり有ゆう違たがえ詔みことのり使し。伏ふく望もち許もと依よ前ぜん據よりどころ輕重けいちょう處置しょち。」從したがえ之これ。

開成かいせい四よん年ねん，兩省りょうしょう詳しょう定じょう《刑法けいほう格かく》一いち十じゅう卷かん，敕令施行しこう。

會かい昌あきら元年がんねん九きゅう月がつ，庫くら部ぶ郎ろう中ちゅう、知ち制せい誥紇幹みき泉いずみ等とう奏そう：「准じゅん刑部おさかべ奏そう，犯はん贓官五ご品ひん已上いじょう，合ごう抵死刑しけい，請准獄ごく官かん令れい死し於家者しゃ，伏ふく請永為ため定じょう格かく。」從したがえ之これ。大中おおなか五ご年ねん四よん月がつ，刑部おさかべ侍さむらい郎ろう劉りゅう彖等奉たてまつ敕修《大中おおなか刑法けいほう總そう要よう格かく後ご敕》六ろく十じゅう卷かん，起おこり貞さだ觀かん二に年ねん六ろく月がつ二に十じゅう日にち，至大しだい中ちゅう五ご年ねん四よん月がつ十じゅう三さん日にち，凡二に百ひゃく二に十じゅう四よん年ねん雜ざつ敕，都と計けい六ろく百ひゃく四よん十じゅう六ろく門もん，二に千せん一いち百ひゃく六ろく十じゅう五ご條じょう。七なな年ねん五ご月がつ，左ひだり衛まもる率りつ倉くら曹參軍ぐん張ちょう戣進《大中おおなか刑けい法統ほうとう類るい》一いち十じゅう二に卷かん，敕刑部ぶ詳しょう定てい奏そう行ぎょう之の。