遠別えんべつ離はなれ

遠別えんべつ離はなれ
作者さくしゃ：李白りはく　唐とう

↑ 全ぜん唐詩とうし·卷まき162

遠別えんべつ離はなれ，古こ有ゆう皇すめらぎ、英之ひでゆき二女じじょ，乃在洞ほら庭にわ之の南みなみ，瀟湘之の浦うら。
海水かいすい直下ちょっか萬まん里深さとみ，誰だれ人にん不言ふげん此離苦く。
日ひ慘むご慘むご兮雲冥冥めいめい，猩猩しょうじょう啼煙兮鬼嘯雨。
我わが縱たて言ごと之の將はた何なに補おぎなえ，皇すめらぎ穹竊恐おそれ不ふ照あきら余あまり之の忠誠ちゅうせい。
雲くも憑憑兮欲吼ほえ怒いか，堯舜當とう之の亦また禪ぜん禹。
君きみ失しつ臣しん兮龍為ため魚ぎょ，權けん歸き臣しん兮鼠變へん虎とら。
或ある言げん堯幽囚しゅう，舜しゅん野の死し。
九疑聯綿皆相似，重じゅう瞳ひとみ孤こ墳ふん竟何なに是ぜ。
帝みかど子こ泣兮綠みどり雲間くもま，隨ずい風波ふうは兮去無な還かえ。
慟哭どうこく兮遠望えんぼう，見み蒼梧そうご之の深山ふかやま。
蒼梧そうご山崩やまくずれ湘水絕ぜっ，竹たけ上之うえの淚なみだ乃可滅めつ。