禄lù

禄lù（ろく）とは、仕shì官guānしている者zhěに対duìし、その生shēng活huóの資zīとして給geĭ与yŭされた金jīn銭qián・物wù資zīあるいはその代daì替tìのこと。

概gaì要yaò

古gŭ代daì

日rì本běnにおいて整zhěng備beìされた禄lùの体tĭ系xìが登dēng場chángしたのは、大dà宝baŏ律lw令lìng・養yăng老laŏ律lw令lìngにおいて禄lù令lìngが制zhì定dìngされ、貴guì族zú・官guān人rénへの支zhī給geĭが行xíngわれて以yĭ降jiàngのことである。
食shí封fēngとも称chēngされた封fēng戸hù（位weì封fēng・職zhí封fēngなど）・位weì禄lù・季jì禄lùが令lìngで定dìngめられた基jī本běn的deな禄lùである。食shí封fēngと位weì禄lù・季jì禄lùはその身shēn分fēnの上shàng下xiàに応yīngじて支zhī給geĭに差chaīがあり、封fēng戸hùはそこから徴zhēng収shoūされた租zūの半bàn分fēnと庸yōng調diaòの全quán部bùが封fēng主zhŭ（支zhī給geĭ対duì象xiàng者zhě）に与yŭえられ、位weì禄lùや季jì禄lùは諸zhū国guóから徴zhēng収shoūされた庸yōng調diaòを財caí源yuánとして支zhī給geĭ対duì象xiàng者zhěに規guī定dìngの物wù品pĭnが支zhī給geĭされる仕shì組zŭとなっていた。
また、位weì封fēng・位weì禄lùは職zhí事shì・散sàn位weìを問wènわず身shēn分fēn（保baŏ持chíする位weì階jiē）のみに基jīづいて支zhī給geĭされたため、両liăng者zhěを合héわせて封fēng禄lù（ほうろく）と称chēngした。ただし、広guăng義yìでの封fēng禄lùには季jì禄lùなどの他tāの禄lùや位weì田tián・職zhí田tiánのように田tián地dìの形xíng式shìでの支zhī給geĭ、資zī人rén・事shì力lìのように人rénの形xíng式shìでの支zhī給geĭを含hánむ場cháng合héもある。

また、后hoù妃feī・皇huáng親qīnに対duìしては、中zhōng宮gōng湯tāng沐mù・東dōng宮gōng雑zá用yòng料liaò（湯tāng沐mùの代daì替tì）・皇huáng親qīn時shí服fúおよび後hoù宮gōng号haò禄lùが支zhī給geĭされており、その支zhī給geĭ形xíng態taìは封fēng戸hù・位weì禄lù・季jì禄lùと対duì応yīngする。その他tā、令lìng外waìに支zhī給geĭされた禄lù、もしくは後hoù世shìに追zhuī加jiāされた禄lùとして諸zhū司sī時shí服fú・要yaò劇jù料liaò・月yuè料liaò・馬mă料liaò・番fān上shàng粮liáng・公gōng廨xiè稲daòなどがあげられる。

日rì本běnの律lw令lìng制zhìのモデルとなった中zhōng国guóの制zhì度dùでは、上shàng（皇huáng帝dì）からの恩ēn恵huìである「賜sì」と官guān人rénとしての生shēng活huóを支zhīえる給geĭ与yŭである「禄lù」は分fēn離líされ、後hoù者zhěは官guān人rénとしての奉fèng仕shìに対duìする反făn対duì給geĭ付fùとして「給geĭ」されるものと理lĭ解jiěされていた。ところが、日rì本běnでは賜sìと禄lùの明míng確quèな分fēn離líはなされずに王wáng権quán・朝zhaō廷tíngに対duìする奉fèng仕shìの代daì償chángとして上shàng（天tiān皇huáng）から与yŭえられる恩ēn恵huìとみなされ、位weì封fēng・位weì禄lùのように致zhì仕shì後hoùも支zhī給geĭを停tíng止zhĭ・削xuē減jiănされずに終zhōng身shēn与yŭえられる禄lùも存cún在zaìした。また、季jì禄lù・位weì禄lùを支zhī給geĭされる際jìに天tiān皇huángへの謝xiè意yìを示shìすために賜sì禄lù儀yíが伴bànわれるのも日rì本běn独dú自zìのシステムであった。

位weì封fēngは慶qìng雲yún3年nián（706年nián）から大dà同tóng3年nián（808年nián）まで一yī時shí増zēng額éされていたが、財caí政zhèng難nánとともに元yuánに戻lìされ、10世shì紀jì初chū頭toú遅chíくても延yán長cháng年nián間jiānには他tāの封fēng戸hùとともに令lìng制zhìの3/4に削xuē減jiănされている。また、この時shí期qīには季jì禄lùなども支zhī給geĭが滞zhìったり、地dì方fāngの国guó衙yáから集jíめられた穎yĭng稲daòを代daì替tì品pĭnとして支zhī給geĭして補bŭう方fāng法făも採caĭられた（禄lù物wù価jià法fă）。

中zhōng世shì

院yuàn政zhèng期qī（12世shì紀jì）に入rùると封fēng戸hù制zhì度dùは急jí速sùに崩bēng壊huaìし、代daìわって貴guì族zúが土tŭ地dìを私sī有yoŭ化huàする荘zhuāng園yuánや国guó司sīの地dì位weìを私sī物wù化huàする知zhī行xíng国guó制zhì度dùが成chéng立lìし、そこから上shàngがる様yàng々な収shoū益yìをもって収shoū入rùとするようになる。応yīng保baŏ2年nián（1162年nián）頃qĭngに太taì政zhèng大dà臣chén藤téng原yuán伊yī通tōngが二èr条tiaó天tiān皇huángに献xiànじた意yì見jiàn書shū『大dà槐huaí秘mì抄chaō』には、かつての上shàng達dá部bù（公gōng卿qīng）は封fēng戸hùを与yŭえられ、節jié会huìなどには臨lín時shíの禄lùも支zhī給geĭされていた。だが、今jīnはそれがないため、荘zhuāng園yuánを持chíたなければ生shēng活huóが成chéngり立lìたないし、同tóng様yàngに知zhī行xíng国guóの制zhì度dùがあるのも封fēng戸hùが支zhī給geĭされないからであるとして、荘zhuāng園yuán整zhěng理lĭ令lìngを進jìnめる朝zhaō廷tíngの方fāng針zhēnを批pī判pànしている。その後hoù、源yuán頼laì朝zhaōが鎌lián倉cāng幕mù府fŭを開kaīき、配peì下xiàの御yù家jiā人rénとの間jiānで御yù恩ēnと奉fèng公gōngの関guān係xìを結jiéび、御yù恩ēnの中zhōng核héとして所suŏ領lĭng安ān堵dŭや新xīn恩ēn給geĭ与yŭの形xíngで土tŭ地dìの知zhī行xíngをあてがい（宛wăn行xíng・充chōng行xíng）、そこからの収shoū益yìを給geĭ与yŭとする仕shì組zŭを確què立lìさせた。こうした武wŭ家jiā社shè会huìの動dòngきは貴guì族zúにも影yĭng響xiăngを与yŭえ、文wén永yŏng年nián間jiān（1270年nián前qián後hoù）に元yuán太taì政zhèng大dà臣chénであった徳dé大dà寺sì実shí基jīが後hoù嵯cuó峨é院yuànに充chōngてた奏zoù状zhuàngでは、荘zhuāng園yuánを貴guì族zúにとっての給geĭ与yŭとみなし、その保baŏ護hùこそが朝zhaō廷tíngが廷tíng臣chénに与yŭえられる最zuì大dàの「朝zhaō恩ēn（天tiān子zĭの恩ēn恵huì）」である主zhŭ張zhāngした。こうして、配peì下xiàに土tŭ地dìの知zhī行xíngを保baŏ障zhàngし、そこからの収shoū益yìを給geĭ与yŭとして上shàngの者zhěに仕shìえるというあり方fāngが中zhōng世shìにおいて確què立lìされることになった。

近jìn世shì

日rì本běn全quán国guóの土tŭ地dìが幕mù藩fān体tĭ制zhìの支zhī配peì下xiàに入rùる近jìn世shìになると、俸fèng禄lùとして将jiāng軍jūnから大dà名míngおよび旗qí本běn・御yù家jiā人rén、あるいは大dà名míngからその家jiā臣chénに対duìし、石shí高gaō制zhìに基jīづいて土tŭ地dìあるいは蔵cáng米mĭ（金jīn銀yínで代daì替tìされる場cháng合héもある）の形xíngでの知zhī行xíngが与yŭえられるようになる。後hoù者zhěの場cháng合hé、名míng目mù上shàngの知zhī行xíng高gaōが認rènめられて石shí高gaōに免miăn（年nián貢gòng率lw）を掛guàけた額éを藩fānから蔵cáng米mĭの形xíngで支zhī給geĭされる蔵cáng米mĭ知zhī行xíngと実shí際jìの手shoŭ取qŭ額éのみが明míng示shìされる蔵cáng米mĭ取qŭが存cún在zaìし、両liăng者zhěを合héわせて俸fèng禄lù制zhì（ほうろくせい）とも称chēngする。もっとも、大dà名míngの家jiā臣chénで土tŭ地dìを知zhī行xíngする地dì方fāng知zhī行xíngが許xŭされたのは上shàng級jí家jiā臣chénが多duōく、大dà名míngの土tŭ地dì支zhī配peìの強qiáng化huà（蔵cáng入rù地dìの拡kuò大dà）に伴bànって蔵cáng米mĭを知zhī行xíngする蔵cáng米mĭ知zhī行xíngへと切qiēり替tìえられ、更gèngに借jiè上shàngなどの措cuò置zhìが採caĭられる場cháng合héもあった。なお、江jiāng戸hù幕mù府fŭの旗qí本běn・御yù家jiā人rénの場cháng合héには地dì方fāng知zhī行xíngと蔵cáng米mĭ取qŭの2種zhŏng類leìからなる支zhī給geĭ体tĭ系xìとなっていた。

17世shì紀jì中zhōng期qī以yĭ降jiàng、武wŭ士shì階jiē層céngの官guān僚liaó化huàとともに、俸fèng禄lù制zhìへの切qiēり替tìえも進jìn展zhănしていったが、その反făn面miàn、中zhōng世shìの間jiānに所suŏ領lĭng（知zhī行xíng）を持chíたない者zhěは庶shù子zĭ・郎láng党dăng・武wŭ家jiā奉fèng公gōng人rénなど一yī人rén前qiánの武wŭ士shìではない者zhěとする意yì識shìが定dìng着zhaóしており、地dì方fāng知zhī行xíngから俸fèng禄lù制zhìへの移yí行xíngには必bìずしも順shùn調diaòとは言yánえなかった。

実shí際jìに知zhī行xíngに多duō少shaŏの余yú裕yùがあった江jiāng戸hù幕mù府fŭの場cháng合héには、俸fèng禄lù制zhì移yí行xíngの流liúれに逆nì行xíngして、地dì方fāng直zhí（じかたなおし）を行xíngって蔵cáng米mĭ取qŭから地dì方fāng知zhī行xíngに切qiēり替tìえるという措cuò置zhìを採caĭることもあった。

明míng治zhì維weí新xīn後hoù、禄lùの問wèn題tíは国guó家jiā的deなものとなった。維weí新xīnの功gōng績jī者zhěに対duìしては賞shăng典diăn禄lùと呼hūばれる禄lùが新xīnたに支zhī給geĭされたが、これらが政zhèng府fŭ財caí政zhèngを圧yā迫pòすることは明míngらかであった。版băn籍jí奉fèng還huánの直zhí後hoùである明míng治zhì2年nián6月yuè25日rì、旧jiù藩fān主zhŭである知zhī藩fān事shìに対duìして現xiàn石shí高gaōの10％を家jiā禄lùとするとともに、旧jiù家jiā臣chén団tuánの家jiā禄lùについて適shì宜yí改gaĭ革géを行xíngうよう指zhĭ令lìngが下xiàった。明míng治zhì4年niánの廃feì藩fān置zhì県xiàn後hoù、政zhèng府fŭは各gè地dìの家jiā禄lùを掌zhăng握wòする政zhèng策cèを続xùいて行xíngい、明míng治zhì6年nián12月yuè27日rìに家jiā禄lùの国guóへの奉fèng還huánと、禄lùに対duìする家jiā禄lù税shuìの開kaī始shĭを布bù告gaòした。明míng治zhì9年nián（1876年nián）8月yuè25日rì、禄lùを廃feì止zhĭして金jīn禄lù公gōng債zhaìを対duì象xiàng者zhěに渡dùす、「金jīn禄lù公gōng債zhaì証zhèng書shū発fā行xíng条tiaó例lì」の発fā令lìngによって禄lù制zhì度dùは全quán廃feìされた（秩zhì禄lù処chŭ分fēn）。しかしこれら禄lù制zhì改gaĭ革géの混hún乱luànで、不bù当dāngに禄lùの支zhī払fúいを差chaīし止zhĭめられたと訴sùえる士shì族zúや旧jiù卒zú族zúが多duō数shù存cún在zaìし、秩zhì禄lù処chŭ分fēnの撤chè回huíを求qiúめて運yùn動dòngを行xíngった。この運yùn動dòngの結jié果guŏ、明míng治zhì30年nián (1897年nián)10月yuè29日rìに家jiā禄lù賞shăng典diăn禄lù処chŭ分fēn法făが成chéng立lìし、秩zhì禄lù処chŭ分fēnが正zhèng当dāngであるということが宣xuān言yánされる一yī方fāngで、正zhèng当dāngな支zhī払fúいを受shoùけなかった者zhěに対duìして補bŭ償chángの道daòが開kaīかれることとなった。しかし請qĭng求qiúが増zēng加jiāすることを危weī惧jùした大dà蔵cáng省shěngは、家jiā禄lù賞shăng典diăn禄lù処chŭ分fēn法fă施shī行xíng法făの制zhì定dìngによって支zhī払fú対duì象xiàng者zhěを限xiàn定dìngする動dòngきに出chūた。このため復fù禄lù申shēn請qĭngを行xíngった訴sùえの大dà半bànが却què下xiàされたが、その後hoùも訴sùえの審shěn理lĭは継jì続xùされた。昭zhaō和hé23年nián（1948年nián）に家jiā禄lù賞shăng典diăn禄lù処chŭ分fēn法făは廃feì止zhĭされ、秩zhì禄lù処chŭ分fēnはこの時shí点diănで完wán全quánに終zhōng了liaŏした。

参cān考kaŏ文wén献xiàn

• 高gaō橋qiaó崇chóng「封fēng禄lù」（『国guó史shĭ大dà辞cí典diăn 12』（吉jí川chuān弘hóng文wén館guăn、1991年nián）ISBN 4-642-00512-9）
• 鈴líng木mù寿shoù「俸fèng禄lù制zhì」（『国guó史shĭ大dà辞cí典diăn 12』（吉jí川chuān弘hóng文wén館guăn、1991年nián）ISBN 4-642-00512-9）
• 時shí野yě谷gŭ滋zī「禄lù」（『平píng安ān時shí代daì史shĭ事shì典diăn』（角jiaŏ川chuān書shū店diàn、1994年nián） ISBN 978-4-040-31700-7）
• 俣yŭ野yě好haŏ治zhì「封fēng禄lù」（『日rì本běn歴lì史shĭ大dà事shì典diăn 3』（小xiaŏ学xué館guăn、2001年nián） ISBN 978-4-095-23003-0）
• J・F・モリス「俸fèng禄lù制zhì」（『日rì本běn歴lì史shĭ大dà事shì典diăn 3』（小xiaŏ学xué館guăn、2001年nián） ISBN 978-4-095-23003-0）
• 山shān下xià信xìn一yī郎láng『日rì本běn古gŭ代daìの国guó家jiāと給geĭ与yŭ制zhì』（吉jí川chuān弘hóng文wén館guăn、2012年nián） ISBN 978-4-642-04601-5
  • 「律lw令lìng俸fèng禄lù制zhìと賜sì禄lù儀yí」（P26-52、原yuán論lùn文wén『史shĭ学xué雑zá誌zhì』第dì103編biān第dì10号haò（1994年nián））
  • 「皇huáng親qīn給geĭ禄lùの諸zhū問wèn題tí」（P155-177）
  • 「平píng安ān時shí代daìの給geĭ与yŭ制zhìと位weì禄lù」（P256-283、原yuán論lùn文wén『日rì本běn歴lì史shĭ』第dì587号haò（1997年nián））
  • 「古gŭ代daì・中zhōng世shì貴guì族zúの給geĭ与yŭ制zhì変biàn貌maò観guān」（P284-294）
• 落luò合hé弘hóng樹shù「帝dì国guó議yì会huìにおける秩zhì禄lù処chŭ分fēn問wèn題tí--家jiā禄lù賞shăng典diăn禄lù処chŭ分fēn法fă制zhì定dìngをめぐって」『人rén文wén学xué報baò』第dì73巻juàn、京jīng都dū大dà学xué人rén文wén科kē学xué研yán究jiū所suŏ、1994年nián1月yuè、177-199頁yè、NAID 120000901703。