源みなもと有ゆう綱つな

凡例はんれい 源みなもと有ゆう綱つな
時代じだい	平安へいあん時代じだい末期まっき
死没しぼつ	文治ぶんじ2年ねん6月16日にち（1186年ねん7月がつ4日にち）
墓所はかしょ	栃木とちぎ県けん那須塩原なすしおばら市し塩原しおばら 源はじめ三さん窟くつ有ゆう綱つな神社じんじゃ
官位かんい	従したがえ五ご位い下か、検非違使けびいし、右みぎ衛門えもん尉じょう
氏族しぞく	摂津せっつ源氏げんじ
父母ちちはは	源みなもと仲なか綱つな
兄弟きょうだい	宗そう綱つな、有ゆう綱つな、成なり綱つな（盛もり綱つな）、頼よりゆき季き（頼よりゆき重じゅう）
妻つま	源義経みなもとのよしつねの娘むすめ?

源みなもと 有ゆう綱つな（みなもと の ありつな）は、平安へいあん時代じだい末期まっきの武将ぶしょう。伊豆いず守もり源みなもと仲なか綱つなの次男じなん。大内おおうち守護しゅご源頼政みなもとのよりまさの孫まご。

生涯しょうがい

治ち承うけたまわ4年ねん（1180年ねん）、祖父そふ・頼政よりまさ、父ちち・仲なか綱つならが以仁王もちひとおうを擁ようして挙兵きょへいし敗はい死しした際さいには、有ゆう綱つなは弟おとうとの成なり綱つなとともに祖父そふの知行ちぎょう国こくであった伊豆いずに滞在たいざいしており難なんを逃のがれた。直後ちょくごに同地どうちで配流はいるの身みであった同族どうぞくの源みなもと頼朝よりともが挙兵きょへいするとその麾下きかに入はいり、父祖ふその仇敵きゅうてきである平家ひらか討滅を目指めざすことになる。

寿ことぶき永ひさし元年がんねん（1182年ねん）、頼朝よりともの命いのちにより土佐とさに出陣しゅつじんする。これは頼朝よりともの同母どうぼ弟おとうとの希まれ義よしを殺害さつがいした蓮池はすいけ家綱いえつな・平田ひらた俊しゅん遠とおら平家へいけ方かた勢力せいりょくの掃討そうとうを目的もくてきとしており、土佐とさ出身しゅっしんの御家人ごけにん・夜須やす行こう宗むねを先導せんどうに立たてたものだった。この戦たたかいで有ゆう綱つなは行こう宗むねとともに大軍たいぐんを統括とうかつし、蓮池はすいけらを討うち果はたすことに成功せいこうしている。これと前後ぜんごして、頼朝よりともの弟おとうとである源義経みなもとのよしつねの与力よりきに組くみ込こまれる。家柄いえがらや官位かんい、年としの頃ころも義経よしつねと差さはなく、家臣かしんというより同盟どうめい者しゃに近ちかい関係かんけいであったとも考かんがえられている。

また『吾妻あづま鏡きょう』の元もと暦こよみ2年ねん（1185年ねん）5月がつ19日にち条じょうに、有ゆう綱つなが義経よしつねの婿むこであると称しょうして多おおくの荘園しょうえん公おおやけ領りょうを掠かすめ取とっているとの記録きろくがある事ことから、有ゆう綱つなは義経よしつねの女婿じょせいとされている。しかし義経よしつねが平泉ひらいずみ時代じだいに娘むすめをもうけたとしても10歳さい未満みまんであり、すでに成年せいねんである有ゆう綱つなとは年齢ねんれいが合あわず、養女ようじょの可能かのう性せいが高たかい（#有ゆう綱つなの妻つまについての節ふしを参照さんしょう）。そのことの真偽しんぎはともかく、有ゆう綱つなが義経よしつねの忠実ちゅうじつな部将ぶしょうとして行動こうどうしたのは事実じじつであり、頼朝よりともと義経よしつねが対立たいりつした後のちも都とを落おちる義経よしつねの一いち行ぎょうに加くわわっている。途中とちゅうで、一族いちぞくの多田ただ行こう綱つならとの合戦かっせん（河かわ尻しりの戦たたかい）にも加くわわったものと考かんがえられ、九州きゅうしゅうへ向むかう船ふねが暴風雨ぼうふううによって難破なんぱし一いち行ぎょうが離散りさんした時ときも、有ゆう綱つなと武蔵坊むさしぼう弁慶べんけい、堀ほり景けい光こう、静御前しずかごぜんの4人にんのみが残のこっており、義経よしつねと共ともに吉野山よしのやまに逃にげ込こんでいる。

その後ご義経よしつねと別わかれ、有ゆう綱つなは郎党ろうとうと共ともに大和やまと国こく宇陀うだ郡ぐんに潜伏せんぷくするが、文治ぶんじ2年ねん（1186年ねん）6月16日にち、義経よしつねの残党ざんとうを捜索そうさくしていた北条ほうじょう時じ定じょうの手勢てぜいに発見はっけんされ、合戦かっせんの末すえに敗北はいぼくし深山みやまに入はいって自害じがいした。

死後しご

有ゆう綱つなの死しから5年ねんを経へた建たて久ひさ2年ねん（1191年ねん）11月14日にち、家人かじんであった前ぜん右みぎ兵衛ひょうえ門もん尉じょう平たいら康やすし盛もりが鎌倉かまくらに潜伏せんぷくし、由比ヶ浜ゆいがはまで梶原かじはら景時かげときに捕とらえられている。康かん盛もりは景けい時じに素性すじょうを問とわれても明あかさず、直じかに頼朝よりともに訴うったえたいとして御簾みす越ごしに頼朝よりともと対面たいめんし、有ゆう綱つなの仇かたきである北条ほうじょう時じ定じょうを討うつつもりであった事ことを述のべた。鶴岡つるおか遷宮せんぐうの後のちに罪状ざいじょうの沙汰さたが出だされ、康かん盛もりは12月6日にち、腰越こしごえで梟首きょうしゅされた。

有ゆう綱つなの妻つまについて

「義経よしつねの聟むこ」の意味いみについては、『愚ぐ管かん抄しょう』（巻まき五ご）に関白かんぱく藤原ふじわら基はじめ実みが「信頼しんらいが妹いもうとに聟むことられて有ゆうければ」（基もと実じつは信頼しんらいの妹いもうとと結婚けっこんして信頼しんらいの聟むことなった）とあるように、妹いもうとの夫おっと＝聟むこを意味いみする場合ばあいもあり、この場合ばあい「義経よしつねの聟むこ」は妹いもうと聟むこであると考かんがえられる。逃亡とうぼうした有ゆう綱つなが潜ひそんでいたのは義経よしつねの母はは常盤御前ときわごぜんに縁えんのある大和やまと国こく宇陀うだ郡ぐんであり、都とで常盤ときわと義経よしつねの妹いもうと（有ゆう綱つなの妻つまと推測すいそくされる）が鎌倉かまくら方かたに捕とらわれた12日にち後ごに有ゆう綱つなが潜伏せんぷく先さきを襲撃しゅうげきされている事ことから、彼かれらもしくはその周辺しゅうへんから情報じょうほうが漏もれたものと思おもわれる。また史料しりょうによる根拠こんきょはないが、義経よしつねに対たいする佐藤さとう継つぎ信しん・忠信ちゅうしん兄弟きょうだいの普通ふつうでない奉仕ほうしぶりから、有ゆう綱つなの妻つまは平泉ひらいずみ時代じだいに義経よしつねと佐藤さとう兄弟きょうだいの姉妹しまいとの間あいだに生うまれた娘むすめであるとする説せつもある。

伝承でんしょう

栃木とちぎ県けん塩原しおばらの伝承でんしょうによると終焉しゅうえんの地ちは下野げや国こくであったとも云いわれるが定さだかではない。那須塩原なすしおばら市しの中塩原なかしおばら温泉おんせんには鎌倉かまくらに追おわれた有ゆう綱つなが再起さいきを図はかるために潜ひそんでいたと伝つたわる「源みなもと三さん窟くつ」と呼よばれる鍾乳洞しょうにゅうどうがある。

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テレビドラマ

• 『新しん・平家ひらか物語ものがたり』（1972年ねん、NHK大河たいがドラマ、演えんじ：山本やまもと聡さとし）