台湾、陽明山

タイペイ、陽明ようめい山さん国家こっか公園こうえん、七なな星山ほしやま

毎年まいとし、年としに一いち回かいは外国がいこくの山やまに登のぼっています。去年きょねんまでに６年ねん連続れんぞく、今年ことしもどこかに行いきたいな。
漢字かんじと英語えいごが通用つうようする国くにがええな。台湾たいわんにはまだ行いっていない、そうだ、台湾たいわんに行いこう。
台湾たいわんには三さん千せん米べい級きゅうの山やまがなんぼでもあるが、抽選ちゅうせんなんですよね。くじが当あたると決きめ込こんで日程にっていを組くむわけにもいかない。
いつかは３０００Ｍ超ちょうの山やまを目指めざすとしても、まずは台湾たいわんの低てい山やまから始はじめなきゃならないな。
ネットで探さがして、タイペイの郊外こうがいに、陽明ようめい山さん国家こっか公園こうえんというのがあるのだそうな。そこの最高峰さいこうほうが七なな星山ほしやまというのだそうな。そこを登のぼろう。
去年きょねん、一昨年いっさくねんと香港ほんこんの山やまに登のぼっています。
広島ひろしまから香港ほんこんヘは直通ちょくつう便びんがないんですよ。タイペイの桃園ももぞのエアポートで乗のり換かえて香港ほんこんへ向むかわなきゃなりません。
だから、桃園ももぞのエアポートも、馴染なじみがあるような、始はじめてのような、去年きょねんまではトランジットの方向ほうこうへ曲まがっていたが、正面しょうめんのイミグレーションの窓口まどぐちに向むかうのは始はじめてのことです。
この空港くうこうは鉄道てつどうがないので、バスでタイペイ市内しないまで向むかわなきゃならない。

えーと、バスは、バスは、案内あんないに従したがって、こっちの方向ほうこうかい。その前まえに、コインが要いるから両替りょうがえしとかなきゃね。
ここから先さきは、ガイドブックにも書かいてない応用おうよう問題もんだいです。
ここで降おりればええだろうと見当けんとうを付つけたバス停ばすていで降おりる。
こっちのほうだろうと付つけた見当けんとうはぴたりと当あたって、第だい一大いちだい飯店はんてん、ファーストホテルに到着とうちゃくしました。
安やすい値段ねだんで予約よやくしたので、窓まどのない部屋へや、しゃぁないなぁ、これも値段ねだん相応そうおうだと諦あきらめなきゃしょうがないね。
翌日よくじつは雨あめ、どうにもならんな、今日きょうは市内しない観光かんこうに充当じゅうとうするか、明日あした、晴はれるとええね。
その明日あした、降ふったり止やんだりの不安定ふあんていな天気てんきだが、昨日きのうよりはましだね。麓ふもとまで行いって判断はんだんしよう。
ここタイペイでは地下鉄ちかてつのことをＭＲＴと呼よぶんですよ。同おなじ地下鉄ちかてつを香港ほんこんではＭＴＲと呼よぶ。
台湾たいわんでは　Mass Rapid Transit 、香港ほんこんでは　Mass Transit Railway 、省略しょうりゃくせずに呼よべばこういうことだそうです。
北きた投とう駅えきまで行いく、ここでは駅えきとは呼よばない、北きた投とう站（たん）、同おなじ漢字かんじでも用もちい方かたが違ちがうんだねぇ。
バスに乗のるんだが、料金りょうきんは知しらない、解わからない、コインをいっぱい握にぎり締しめて、運転うんてん手しゅに適当てきとうに取とってもらうのですよ。

バスは坂道さかみちをどんどん登のぼって、眼下がんかに湯煙ゆけむりの出でる地獄谷じごくだにが広ひろがっている。バスの中なかにも硫黄いおうの臭においが流ながれてくる。
北きた投とうは温泉おんせんの保養ほよう地ちで、スパーやホテルがたくさんあるが、温泉おんせんの源泉げんせんはここなんだろうか。
陽明ようめい山さんのバス停ばすていに到着とうちゃく、登山とざん口こうだろう、寂さびしいところだろうと思おもい込こんでいたのだが、なんのなんの、バス停ばすていの前まえに郵便ゆうびん局きょくもある、住宅じゅうたく地ちでした。
バスの車庫しゃこがあって、名前なまえが陽明ようめい山さん站（たん）、陽明ようめい山さんのバスターミナルといった意味いみなんだろうね。
車道しゃどうと歩道ほどうを分わけてある、遊ゆう旅客りょかくは車道しゃどうを歩あるいちゃいけない、歩道ほどうを歩あるくように、ということだな。
その歩道ほどうを歩あるくと、陽明ようめい山さん旅客りょかく中心ちゅうしん、センターがあって、陽明ようめい山さんの自然しぜんの展示てんじがあったり、イラスト地図ちずがあったり、そんな施設しせつなんだね。
なんてったって、国家こっか公園こうえん、ナショナルパーク、日本にっぽんでいう国立こくりつ公園こうえんと同おなじことなんだろうね。
居合いあわせたジジババ軍団ぐんだんに、七なな星山ほしやまの地図ちずを見みせて、山やまの方向ほうこうを指差ゆびさして、あっち？こっち？と聞きいたのだがーーー

手招てまねきして一緒いっしょに行いこう、こっちこっち、と案内あんないしてくれる。
言葉ことばは解わからなくても、しぐさは解ほどける、こっちだよと道標どうひょうの矢印やじるしを示しめしてくれて、別べつの方向ほうこうへ歩あるいていった。
ほんとは、困こまったな、と戸惑とまどっていたのですよ。
ほんまにジジババなんですよ、ずっとこのまま一緒いっしょに歩あるくには体力たいりょくが違ちがう、別べつのコースへ別わかれてくれて助たすかったな。
道みちには、道標どうひょうが繰くり返かえし出でてくるが、ありゃぁ、どういうことだろ、なんぼ歩あるいても示しめす距離きょりが縮ちぢまらない。
こういうことなんだよ。
さっきの分岐ぶんきが苗圃びょうほ登山とざん口こう、目標もくひょうの七なな星山ほしやま主峰しゅほうまで２．２７ＫＭ、目前もくぜん位置いちyou are here この数字すうじがスライドする。
数字すうじが動うごいて出発しゅっぱつ地ちからなんぼ歩あるいたが示しめされる、頂上ちょうじょうまでどれだけか、それは引ひき算ざんして答こたえを出だすことになるのだよ。
いくつもの道標どうひょうをながめて、やっと標示ひょうじの意味いみを理解りかいしたもんです。へぇぇ、そういうことだったの。
立派りっぱ過すぎる石段いしだんだね。出発しゅっぱつ地ちからどこまでも木きの階段かいだん、石いしの階段かいだんが続つづく。

頂上ちょうじょうまで途切とぎれることなく続つづいていて、ほとんど地面じめんを踏ふむことはなかった、のだよ。
冷水れいすい坑あな、七星ななえ公園こうえんへの分岐ぶんきがあるが、七なな星山ほしやま主峰しゅほう目指めざして歩あるいて行いくのだよ。
七なな星山ほしやまの現地げんち読よみにMt.Cising とある。
道標どうひょうを指差ゆびさして、道端みちばたのひとに、シーシン？チーシン？と問といかけると、チーシンと帰かえってくる。そうか、チーシンシャンと発音はつおんするのか。
七なな星ほし公園こうえんへの分岐ぶんきを過すぎると、道みちは尋常じんじょうではない傾斜けいしゃで、反そり返かえっている。
こんな場合ばあい、石段いしだんがあるのは有難ありがたいよなぁ。
石段いしだんが無なかったら、雨水あまみずの流りゅう路ろでえぐれて溝みぞになって、道みちは崩壊ほうかいして崖がけ地ちになっていたことだろう。
登のぼるにつれて、背せの高たかい喬木きょうぼくは背丈せたけが低ひくい潅木かんぼくに姿すがたを変かえ、ススキなどの草原そうげんに植生しょくせいを譲ゆずっていく。
海抜かいばつ高度こうど１０００公おおやけ尺じゃくと標示ひょうじがある、１０００Ｍなんですよ。
実じつは、この山やまは１０００Ｍを越こえる山やまと認識にんしきしていなかった。

神戸こうべの六甲ろっこう山さん、大阪おおさかの生駒いこま山さん、その程度ていどの都市とし郊外こうがいの山やまだと思おもい込こんでいたのですよ。
ここで始はじめて値打ねうちがわかったぞ、大都市だいとし近郊きんこうで１０００Ｍの山やまに登のぼれることはそんなにあるもんじゃないのだぞ。
ネットで調しらべたのだが、印刷物いんさつぶつと違ちがって、標高ひょうこうなどの基本きほんがスルーしてしまう、ネットでは見みても頭あたまに残のこらないものだねぇ。
乗のっ越ごしをまたいで頂上ちょうじょう部分ぶぶんに入はいる。七なな星山ほしやまの主峰しゅほうと東峰とうほうとの分岐ぶんきがあって、主峰しゅほうへ向むかう。
岩いわの間あいだをすり抜ぬけて、ここが七なな星山ほしやまの主峰しゅほうなのかい。
標高ひょうこう１１２０Ｍとある。へぇぇ、おみそれしました、そんなに高たかいとは思おもっていなかった。
風ふうに乗のって、硫黄いおうの臭においがここまで届とどいている。反対はんたい斜面しゃめんには温泉おんせんが湧わいて硫黄いおうも析出せきしゅつする湯ゆ畑はたけがあるのだねぇ。
一等いっとう三角さんかく点てんがある。帝国ていこく陸軍りくぐん参謀さんぼう本部ほんぶの様式ようしきそのままに残のこっているよ。
韓国かんこくでは、風水ふうすいでいう都市としの龍りゅう脈みゃくに杭くいを打うち込こんで流ながれを止とめた、ということで、三角さんかく点てんを掘ほり出だして廃棄はいきしているのだそうな。
そのまま大日本帝国だいにっぽんていこくの遺産いさんを流用りゅうようする台湾たいわんと、日にち帝みかどの残滓ざんしがあるのが我慢がまんできない韓国かんこく、これほど違ちがうのだよ。

雨あめはあがったのだが、ガスの中なかでなんにも見みえない。
このまま居いてもしょうがないから、東峰とうほうへ向むかおうか。
七なな星山ほしやま、東峰とうほう、海抜かいばつ高度こうど１１０６公おおやけ尺じゃく、公おおやけ尺じゃくとはメめートル法とるほうでメートルのこと。
三さん等とう三角さんかく点てんがある、ここのも帝国ていこく陸軍りくぐん参謀さんぼう本部ほんぶの様式ようしきそのままの姿すがたで存在そんざいする。
山頂さんちょうは平たいらなんだが、平たいらなのはここだけ、下くだりの道みちはただごとじゃない傾斜けいしゃで落おち込こんでいる。
その下くだりの道みちがことごとく石段いしだんで設しつらえ（しつら）えられているのには驚おどろくね。
こんな作業さぎょうがしづらい急きゅう傾斜けいしゃで、よくまぁ石いしを運はこび上あげて、並なべて、垂直すいちょく水平すいへいを守まもって、石段いしだんに仕立したてたことだと感心かんしんするよ。
ほぼ麓ふもと近ちかくまで降おりてきたのかな、目めの前まえのアズマヤは七なな星ほし公園こうえんの一部いちぶなんだろうね。
そっちへ歩あるけば、もと来きた道みちと合流ごうりゅうするのだろうが、このまま進すすみ続つづけるコースを選えらびたい。
通信つうしんの鉄塔てっとうがあって、その先さきに別べつのアズマヤがお出いでお出いでと手招てまねきしている。冷水れいすい坑あなへ進すすむ道みちを行いきたいよね。

尾根おねは曲まがりくねって、段々だんだんと冷水れいすい坑あなの駐車ちゅうしゃ場じょうのほうへ誘導ゆうどうされている。
駐車ちゅうしゃ場じょうの管理かんり事務所じむしょでバスの便びんを聞きいたが、おおむね２コースあるということだった。
管理かんり事務所じむしょから出でれば、バスが近ちかづいてくるのが見みえている。バスの番号ばんごうを見みると、ＭＲＴ北きた投とう站（たん）へ進すすむ番号ばんごうだった。
ラッキーと飛とび乗のったが、そうはうまくはいかない、陽明ようめい山さん站（たん）、陽明ようめい山さんのバスターミナルまでで、ここで別べつのバスに乗のり換かえなきゃならなかったのだ。
ここでは、ＭＲＴ北きた投とう站（たん）へのバスより、台北たいぺい站（たん）へのバスのほうがダイヤが多おおいのだそうな。
乗のり込こんで、今度こんどは後払あとばらい、途中とちゅうの中国ちゅうごく文化ぶんか大学だいがくで学生がくせいたちを乗のせて満員まんいんで、終点しゅうてんは剣けん潭站（たん）で降おろされてしまった。
ま、ええさ、ぜひとも台北たいぺい駅えきまで行いきたいわけじゃない、ＭＲＴの駅えきまで運はこんでくれれば文句もんくはない。
例れいによって、コインを手てのひらにいっぱい並ならべて、運転うんてん手しゅに適当てきとうにピックアップしてもらう。
翌日よくじつのこと、台湾たいわんで一番いちばん高たかいビル、タイペイ１０１に登のぼって陽明ようめい山さんを見みる。ビルの展望てんぼう台だいに登のぼる目的もくてきはこういうことなのだよ。

七なな星山ほしやま、あそこに登のぼったのだよぉ。山やまの姿すがた、それを確認かくにんしたいじゃないか。
その日ひはまだ降ふったり止やんだりで、陽明ようめい山さんの方向ほうこうはガスに包つつまれている。肝心かんじんのところが見みえない。
山やまの稜線りょうせんはぼんやりと霞かすんで絵姿えすがたにならないので、代かわりの手段しゅだん、展望てんぼう台だいの説明せつめい板ばんの写真しゃしんをパシャリ、本来ほんらいなら、こんな姿すがたの山やまなのだよ。

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