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玉井 真理子・中澤 英之・阿部 史子「1-2-1 遺伝カウンセリング:実践と原則」
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「1-2-1 遺伝いでんカウンセリング:実践じっせん原則げんそく

玉井たまい 真理子まりこ中澤なかざわ 英之ひでゆき阿部あべ 史子ふみこ 19970901 遺伝いでん医療いりょう倫理りんり』(バイオエシックス資料集しりょうしゅう だいしゅう
信州大学医療技術短期大学しんしゅうだいがくいりょうぎじゅつたんきだいがく心理しんりがく研究けんきゅうしつ

last update: 20131126

◇1-2 遺伝いでんカウンセリングにかんする一般いっぱんてき倫理りんり規定きてい原則げんそくなど

◆1-2-1

遺伝いでんカウンセリング:実践じっせん原則げんそく

Angus Clarke ed. 1994 Genetic Counselling: Practice and Principles, London, Routledge

Introductionの一部いちぶ遺伝いでんカウンセリングとはなにか?」
(What is genetic counselling?, pp.1-5)の訳者やくしゃによる要約ようやく

 遺伝いでんカウンセリングとは、遺伝いでん原因げんいんおもわれる問題もんだい疾患しっかんったクライエン トが相談そうだんたときにはじまるはないをす。実際じっさい発症はっしょうして相談そうだんにやってくるひとすくないから、「患者かんじゃ」よりも「クライエント」のほうてきしているだろう。カウン セラーはかならずしも医師いしである必要ひつようはないが、医学いがくてき所見しょけん診断しんだん注意ちゅういしながらカウ ンセリングをおこな必要ひつようがある。
 クライエントは、自分じぶん家族かぞく影響えいきょうはあるか、どもをつくっても大丈夫だいじょうぶか、治療ちりょう 方法ほうほうはあるのか、などといった様々さまざま疑問ぎもんかかえてやってくる。これらにこたえ、じょう ほう提供ていきょうしていくことが、クライエントの家族かぞく計画けいかくなどの重要じゅうよう決断けつだん手助てだすけとな るのである。
 いまいるどもが遺伝いでん疾患しっかん発症はっしょうする場合ばあいも、様々さまざま心配しんぱいがある。この場合ばあい遺伝いでん 疾患しっかんがどういうものであるかを説明せつめいしたほうがよい。そうすれば自分じぶんのことをめて いる母親ははおや負担ふたんすこしは軽減けいげんすることができる。また診断しんだん確定かくていするなら、医療いりょうしたがえ ごとしゃ(health professionals)は、同様どうよう症例しょうれいから今後こんご対処たいしょ方法ほうほうめることがで きる。同時どうじに、家族かぞく孤立こりつせずに、おなじようなどもを家族かぞくささい、情報じょうほう 交換こうかんすることができる。
 遺伝いでん情報じょうほうもとめてたクライエントに情報じょうほう提供ていきょうするのがカウンセラーのおも役割やくわり である。カウンセリングでは、まずうったえをいてなに問題もんだいなのかを把握はあくする。つぎ診断しんだん内容ないようをできるだけ納得なっとくのいくように説明せつめいする。そして患者かんじゃりたい情報じょうほうひっさげ きょうする。もちろんクライエントの理解りかいレベルにも十分じゅうぶん注意ちゅういすることが大切たいせつである。
 情報じょうほう提供ていきょうしたらカウンセリングはいちとおわったことになるが、クライエント がその情報じょうほうをもとにむかまないか(reproduction)の決断けつだんをする場合ばあい、さらにカ ウンセリングが必要ひつようになる。カウンセラーはまず、前記ぜんき情報じょうほう意味いみについて はなしをし、どの選択肢せんたくしえらぶとどのような問題もんだいきて、いかなる葛藤かっとうこるかな どを、シュミレーションしてみるのである。結局けっきょくクライエントはどれかをえらばなけ ればならないのだが、このカウンセリングをけないよりは後悔こうかいすくない決断けつだんした せるだろう。また、最終さいしゅう決断けつだんつね女性じょせいがするということも明記めいきすべきだろう。
 そしてカウンセリング継続けいぞくてき支援しえんすることが必要ひつようで、それがカウンセリン グの最終さいしゅう段階だんかいだといえる。大人おとなになって発症はっしょうする疾患しっかん場合ばあいなど、発症はっしょうしてよわって いくのを家族かぞくるのはしのびない。そういう場合ばあいこそ専門せんもん連絡れんらくるべきであ る。発症はっしょうしたひとのみでなく、発症はっしょうまえひとのケアも重要じゅうようなのである。

      [資料集しりょうしゅうp.10]

カウンセリングの実践じっせん項目こうもく(Issues of Practice)

傾聴けいちょう(Listening):
 クライエントのはなしいてなに問題もんだいであるかを把握はあくすること
診断しんだん確定かくていおよび確認かくにん(Establishing or confirming the diagnosis):
 診断しんだん確定かくてい診断しんだん内容ないようをわかりやすく解説かいせつすること
情報じょうほう伝達でんたつ(Communication of information):
 クライエントがりたい情報じょうほう提供ていきょうすること
・シナリオにもとづく意思いし決定けっていのカウンセリング(Scenario-based decision counsel  ling):
 情報じょうほうもとづいて選択肢せんたくしげ、かく選択肢せんたくしごとにこりうる心理しんりてき葛藤かっとう家族かぞくとの  問題もんだいについてはなうこと
継続けいぞく支援しえん(Ongoing support):
 カウンセリング終了しゅうりょう継続けいぞくてき支援しえん必要ひつようであること

      [資料集しりょうしゅうp.11]



作成さくせい小川おがわ 浩史こうじ
REV: 20131126
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