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奥村敏
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奥村おくむら さとし

おくむら・さとし


1956年生ねんせい
1991ねんがつまつ  検査けんさ入院にゅういん
1991ねん     岸和田きしわだ市民しみん病院びょういんでALSと診断しんだんされる
1993ねん     呼吸こきゅう装着そうちゃく
1999ねんがつ24にち 逝去せいきょ

 http://www2u.biglobe.ne.jp/~tahara/okumura.htm

生年せいねん1956ねん昭和しょうわ31ねん
 ……
・1991ねん岸和田きしわだ市民しみん病院びょういんにてALSと診断しんだんされ、93ねん呼吸こきゅう装着そうちゃく
・「ベッドにつながれたサイボーグ」とみずか形容けいようする状態じょうたいを、点滴てんてきはずし、チューブをとり、人工じんこう呼吸こきゅうだけをって自宅じたくかえるまで8ヶ月かげつあいだ地域ちいきでは前例ぜんれいのない在宅ざいたく人工じんこう呼吸こきゅう療養りょうようは、奥村おくむらさとし奮闘ふんとうから実現じつげんした
 (うえ掲ホームページより)

連載れんさい 「あすをしんじて」
 http://www2u.biglobe.ne.jp/~tahara/okumura/shuki/shuki.htm
 『日本にっぽんALS協会きょうかい近畿きんきブロック会報かいほう


・「自己じこ紹介しょうかい
 『近畿きんきブロック会報かいほう』19(199506)
 http://www2u.biglobe.ne.jp/~tahara/okumura/shuki/shuki1.htm

・「自覚じかく症状しょうじょう
 http://www2u.biglobe.ne.jp/~tahara/okumura/shuki/shuki2.htm
 「平成へいせいねんの1がつから岸和田きしわだ市民しみん病院びょういん受診じゅしんするようになったのですが、先生せんせい直接ちょくせつ病名びょうめいわれず、筋肉きんにく神経しんけいがおかしいようだとだけかされました。しかし、その時点じてんすで家内かないには病名びょうめいとどういう病気びょうきかはげられていたようで、このときには家内かない相当そうとうなやくるしんだとおもいます。」

・「告知こくち
 http://www2u.biglobe.ne.jp/~tahara/okumura/shuki/shuki3.htm
 「しかし検査けんさ結果けっか自体じたい先生せんせいからはっきりした説明せつめいもなく、医療いりょう無料むりょうになるので、特定とくてい疾患しっかん身体しんたい障害しょうがいしゃ手帳てちょう申請しんせいをするようにとわれ、申請しんせいすることになったのです。そして特定とくてい疾患しっかん受給じゅきゅうしょうときに、家内かないにしてみれば病名びょうめいわたしにはかくしていたために、どうしようかとおもなやんだものの、いつまでも特定とくてい疾患しっかん受給じゅきゅうしょうせないわけにもいかず、そのときわたし正式せいしき病名びょうめいることになったのです。そしてその特定とくてい疾患しっかん病名びょうめいらんには、すじ萎縮いしゅくせいがわさく硬化こうかしょうかれてあり、「ああ、やはりそうだってのか」とおもいましたが、それまでに自分じぶん自身じしんではある程度ていど医学いがくしょなどをかっていたので、自分じぶん自身じしんでは不思議ふしぎとそれほどのショックはかんじられませんでしたが、ALSがどういう病気びょうきかというのもっていたので、これからさきは、もちろん自分じぶんつらいがわかころくらべるといま収入しゅうにゅう安定あんていしてきているし、すこ余裕よゆうてきたころなのに、それがいずれちか将来しょうらい仕事しごともできなくなり、収入しゅうにゅうもなくなってしまう。それにもしていずれたいまったうごかなくなり、家族かぞくたすけなくてはきてけなくなるというのが、本当ほんとう家族かぞくたいしてもうわけないなというおもいでいちはいになりました。ましてや子供こどもにとっては、そのときはまだ11さいという年齢ねんれいでまだまだあそびたいりだし、これから中学ちゅうがく高校こうこう大学だいがく自分じぶん人生じんせいにとっては、大事だいじころしかかってときに、勉強べんきょうはしなくてはいけないし、わたしのめんどうもなくてはいけないというおおきな負担ふたんををかけてしまうのではとおもいました。そういう諸々もろもろことかんがえるとのち10年間ねんかん、いや、たとえ5年間ねんかんでもいい、いまなにとか仕事しごともできている状態じょうたいなので、せめて進行しんこういま時点じてんまってくれたら、あとは、5ねんには子供こどもなにとか一人ひとりででも頑張がんばれるちからいているのではとあわのぞみをもったものの、そのねがいもかなえられることはなかったのです。
 それから告知こくちについては大変たいへんむずかしい問題もんだいだとおもいます。もちろん患者かんじゃさん本人ほんにん性格せいかくかんがかたにより、告知こくちするかしないかが一番いちばんになるとはおもいますが、告知こくちするがわ医師いし前向まえむきなかんがかた家族かぞくおおきな協力きょうりょくがあれば、わたし告知こくちするほう本人ほんにんにとっても家族かぞくにとっても、有意義ゆういぎ闘病とうびょう生活せいかつおくるのにはいのではないかとおもいます。
 そして、わたし告知こくちをされるうえで患者かんじゃ本人ほんにんにとっては、ALS協会きょうかい会報かいほう存在そんざい非常ひじょうおおきく意義いぎのあるものであるし、これからもそうであってしいとおもいます。というのは、わたし自身じしんALS協会きょうかい出会であったのは平成へいせいねんなつに、新聞しんぶんにたまたまALS協会きょうかい紹介しょうかい記事きじっているのをつけ、ああこういう患者かんじゃかいがあるのかとおもい、早々そうそう家内かない相談そうだん自分じぶんにとっては、これから闘病とうびょう生活せいかつおくじょうできっとプラスになることがあるにちがいない、ということをはなしたうえで、自分じぶん自身じしん協会きょうかい入会にゅうかいもうみをしたのです。しばらくして会報かいほうおくられてきたのですが、その会報かいほうんでわたし大変たいへんおどろかされました。その内容ないよう一般いっぱん医学いがくしょ医師いしわれるような患者かんじゃにとってはつめたく希望きぼうのない言葉ことばではなく、この病気びょうき大変たいへん病気びょうきではあるが、こういうふうにやればいまのこされた機能きのう最大限さいだいげん使つかってこんなこともやれるし、精一杯せいいっぱい頑張がんばってきていけるんだという、患者かんじゃさん本人ほんにんせいこえくことができたし、病気びょうき自体じたいのことや現在げんざい研究けんきゅうされていることもくわしくることができたことにより、どんなにはげまされたことかかりません。そしてそういうことの知識ちしきがあるのとないのとでは、告知こくち闘病とうびょう生活せいかつおくるうえでどんなにおおきなちがいがまれてくるかはかれないとおもうのです。
 それからALS自体じたいなかられなさぎるとおもいます。そのために悲惨ひさん状態じょうたいおちいっておられる患者かんじゃ家族かぞくほう大勢おおぜいおられるようなもします。そのためにも、ご苦労くろうさまですがALS協会きょうかい方々かたがたにもっともっと頑張がんばっていただき、一般いっぱん人々ひとびとにALSの現状げんじょうってもらうことにより、ALSを理解りかいしてもらい、さらには治療ちりょう研究けんきゅうおおいにすすめられることにもつながり、告知こくちもごく普通ふつうおこなわれ、それからの闘病とうびょう生活せいかつも、希望きぼうてるものになっていくのではないかとおもいます。
 告知こくちけたら、まず自分じぶんいまおかれている現実げんじつ家族かぞく共々ともどもしっかりとめてください。そしてその現実げんじつからげずに、自分じぶん病気びょうきのことをってください。それをすることでそこからはじめてつぎ段階だんかいすすむことができ、闘病とうびょう生活せいかつおくるうえでの前向まえむきな姿勢しせいまれてくるのではないかとおもうのです。」

・「進行しんこう
 http://www2u.biglobe.ne.jp/~tahara/okumura/shuki/shuki4.htm

・「気管きかん切開せっかい
 http://www2u.biglobe.ne.jp/~tahara/okumura/shuki/shuki5.htm

 「[…]平成へいせいねん10がつすこ体調たいちょうくずし、風邪かぜいてしまったのです。微熱びねつがずっとつづき、食欲しょくよくもまったくなくなり、ものすここうにすると気分きぶんわるく、もどしてしまうようになり、健康けんこうときのベスト体重たいじゅうで52〜53kgぐらいだったのが、このころには30kgをっていたとおもいます。まえもって保健ほけんさんに往診おうしんしてもらえる医師いしつけていただいていたので、さっそく往診おうしんしていただき、注射ちゅうしゃ点滴てんてきをしてもらっていたのですが、一向いっこうねつがらず、回復かいふくしませんでした。それどころか動悸どうきがしだすし、息苦いきぐるしさもかんじるようになってきたのです。そして11月4にちよるには息苦いきぐるしさもひどくなってきたので、家内かない相談そうだんして明日あした入院にゅういんして調しらべてもらおうとめたのですが、それからも息苦いきぐるしさはひどくなったりすこらくになったりのかえしとなり、5にちがたにはその息苦いきぐるしさは普通ふつうではなくなり、人工じんこう呼吸こきゅうをしてほしいと家内かないたのんだのですが、家内かない人工じんこう呼吸こきゅうなどやったことがなかったのであわてるばかりでした。家内かないもこれは普通ふつうではないということで救急きゅうきゅうしゃんでくれたのですが、そうこうしているとまったくの呼吸こきゅう困難こんなんになってしまい、救急きゅうきゅうたいひとときには意識いしきもなくなり、そのはまったくおぼえていません。
 そしてがついたときには、病院びょういんのベッドのうえくちには気管きかんない挿管され、あたまほうではシューシューという人工じんこう呼吸こきゅうおとがしているは、点滴てんてきはり肩口かたぐちけられているし、はなにはけいかんチューブがはいり、心電図しんでんずのモニターがつながれ、自動じどう血圧けつあつけいもつながれ、尿にょうかんまでつながれていました。まるでベッドにつながれているサイボーグのようでした。  あと家内かないいたはなしですが、救急きゅうきゅうたいほう処置しょちわるく、血圧けつあつはかれないくらいがるし、酸素さんそマスクをてるだけで人工じんこう呼吸こきゅうはしてくれず、病院びょういんはこぶのも相当そうとう手間取てまどったため、かなりあぶない状態じょうたいだったらしいです。気管きかんない挿管されて人工じんこう呼吸こきゅうをつながれてからは、呼吸こきゅう不全ふぜん心配しんぱいはなくなったのですが、尿にょうがまったくなかったので、先生せんせいには、ここ1週間しゅうかんやまでしょうとわれ、家内かないにはではなかったようですが、それもしばらくするとすこしずつですがはじめたので、ホッとしたそうです。しかし気管きかん切開せっかいをするまでも、かなり意識いしきもうろうとした状態じょうたいつづき、いちてんつめたまま家内かないこえをかけても全然ぜんぜん反応はんのうしないので、あまりにも心配しんぱいになり、看護かんごさんに、わたしあたまがおかしくなったのではないかきにいったくらい相当そうとう心配しんぱいしたそうです。
 いよいよ気管きかん切開せっかい手術しゅじゅつおこなわれたのですが、手術しゅじゅつ自体じたいはほんの30ふん程度ていどんだらしいのですが、術後じゅつご出血しゅっけつまらず、その処置しょちに2時間じかん以上いじょうかかってしまい、大変たいへんだったようです。気管きかん切開せっかいについては、こえうばわれ、たのしみのひとつでもある家族かぞくとのコミュニケーションがれなくなるとうことが、わたしにとってはえられないくらいいやだったために呼吸こきゅう困難こんなんになるまではしないつもりでした。いのちにかかわってくればもちろん気管きかん切開せっかい人工じんこう呼吸こきゅう装着そうちゃくしてでも、のこされたいのち精一杯せいいっぱい家族かぞく一緒いっしょ頑張がんばるつもりだったので、覚悟かくごもしていたのでまったくショックはなかったとはいませんが、べつ自分じぶん自身じしんそんなに動揺どうようすることはありませんでした。気管きかん切開せっかいなやんでおられるほうには、ぜひ気管きかん切開せっかいをして、人工じんこう呼吸こきゅう装着そうちゃくするくらいならんだほうがましだというようなかんがえはたないでください。どんなかたちであっても、家族かぞくにとってはあなたは大事だいじ一員いちいんであり、かけがえのないひとであることには間違まちがいないはずです。どうか自分じぶん自身じしんはもちろん家族かぞくのためにも頑張がんばってみてください。きっときていてよかったなとおもわれるはずです。」

・「入院にゅういん生活せいかつ
 http://www2u.biglobe.ne.jp/~tahara/okumura/shuki/shuki6.htm

・「在宅ざいたく療養りょうよう
 http://www2u.biglobe.ne.jp/~tahara/okumura/shuki/shuki7.htm

 「在宅ざいたく療養りょうよううつさいには絶対ぜったいに、人工じんこう呼吸こきゅう管理かんり衛生えいせい材料ざいりょう消耗しょうもう品等ひんとう負担ふたん分担ぶんたんとうについては、自分じぶん充分じゅうぶん納得なっとくできるまで病院びょういんがわはなってください。たとえば、人工じんこう呼吸こきゅうだけについても、保険ほけん点数てんすう在宅ざいたく人工じんこう呼吸こきゅう指導しどう管理かんりりょうが2000てんあつ人工じんこう呼吸こきゅう使用しようによる加算かさんてんが5400てん合計ごうけいで7400てん(74000えん)のわくがあるのです。ですから、病院びょういんがわ経営けいえいじょう人工じんこう呼吸こきゅう購入こうにゅう貸出かしだし無理むりだとしても、なにとか人工じんこう呼吸こきゅうれれば、業者ぎょうしゃとの保守ほしゅ契約けいやくりょう充分じゅうぶんまかなえるどころか、衛生えいせい材料ざいりょう消耗しょうもうひんについても在宅ざいたく医学いがく管理かんりりょう3000てん在宅ざいたく患者かんじゃ訪問ほうもんりょう680てん在宅ざいたく患者かんじゃ訪問ほうもん看護かんご指導しどうりょう480てんという保険ほけん点数てんすう用意よういされているのですから、そういうことをったうえで病院びょういんがわ充分じゅうぶんはなえば、患者かんじゃがわ負担ふたんもできるだけさえることができるものとおもいます。  これは、訪問ほうもん診察しんさつをしてもらえる病院びょういんがあるだけでもいほうなのに、というようなみたいなものをかんじているのに、それ以上いじょうえないというひともおられるかもれませんが、患者かんじゃがわとしては当然とうぜん権利けんりなので、病院びょういんがわ充分じゅうぶんはなうことで双方そうほうとも理解りかいし、納得なっとくできるものになっていくとおもいます。」

・「人工じんこう呼吸こきゅう
 http://www2u.biglobe.ne.jp/~tahara/okumura/shuki/shuki8.htm

 「さいわいにもわたし場合ばあい今年度こんねんどから大阪おおさかでは在宅ざいたく人工じんこう呼吸こきゅう補助ほじょ事業じぎょうという制度せいどはじまり、担当たんとう保健ほけんさんはもちろん保健所ほけんじょちょうさんまでご助力じょりょくしていただき、その審査しんさをパスすることができ、人工じんこう呼吸こきゅう購入こうにゅう補助ほじょることにまり、非常ひじょうにラッキーだったとおもいます。こういうきていくために最低限さいていげん必要ひつよう医療いりょう器具きぐは、日本にっぽん全国ぜんこくどこへってもまったく制限せいげんでどんなひとにもおなじように貸出かしだし援助えんじょけられるようになってこそ、公平こうへい医療いりょうであるとおもうのです。」

・「コミュニケーション」
 http://www2u.biglobe.ne.jp/~tahara/okumura/shuki/shuki9.htm

・「明日あしたしんじて」
 http://www2u.biglobe.ne.jp/~tahara/okumura/shuki/shuki10.htm

 
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立岩たていわ『ALS――不動ふどう身体しんたいいきする機械きかいにおける引用いんよう言及げんきゅう

 [79]いちきゅうきゅういちねんいちがつから岸和田きしわだ市民しみん病院びょういん受診じゅしんするようになったのですが、先生せんせい直接ちょくせつ病名びょうめいわれず、筋肉きんにく神経しんけいがおかしいようだとだけかされました。しかし、その時点じてんすで家内かないには病名びょうめいとどういう病気びょうきかはげられていたようで、このときには家内かない相当そうとうなやくるしんだとおもいます。」(奥村おくむら[1995])  [94]「検査けんさ結果けっか自体じたい先生せんせいからはっきりした説明せつめいもなく、医療いりょう無料むりょうになるので、特定とくてい疾患しっかん身体しんたい障害しょうがいしゃ手帳てちょう申請しんせいをするようにとわれ、申請しんせいすることになったのです。そして特定とくてい疾患しっかん受給じゅきゅうしょうときに、家内かないにしてみれば病名びょうめいわたしにはかくしていたために、どうしようかとおもなやんだものの、いつまでも特定とくてい疾患しっかん受給じゅきゅうしょうせないわけにもいかず、そのときわたし正式せいしき病名びょうめいることになったのです。そしてその特定とくてい疾患しっかん病名びょうめいらんには、すじ萎縮いしゅくせいがわさく硬化こうかしょうかれてあり、「ああ、やはりそうだったのか」とおもいました」(奥村おくむら[1995])
 [95]つまはこのことをつぎのようにう。「特定とくてい疾患しっかん医療いりょう受給じゅきゅうしゃしょう申請しんせいということから主人しゅじん病名びょうめいらせざるをず、なやんだのですが仕方しかたありませんでした。もちろん受給じゅきゅうしゃしょうせただけでわたしなにらないふりをしていました。でも主人しゅじん自分じぶんなりに調しらべて病気びょうきのことはっていたようで、そのときとくおどろくようなこともなくいつもとわりなかったのです。わたし先生せんせいから病名びょうめいげられていることをはなしたのは最近さいきんで、在宅ざいたく療養りょうよううつるにあたっていろいろなほうとおはなしをするようになってからのことです。」(奥村おくむら[1995]。奥村おくむらいちきゅうきゅうねん発症はっしょういちきゅうきゅういちねんにこうして病名びょうめいる。きゅうさんねん人工じんこう呼吸こきゅう装着そうちゃくきゅうきゅうねん逝去せいきょ。)
 [128]いちきゅうきゅういちねん奥村おくむらさとし[79][94]のつま岸和田きしわだ市民しみん病院びょういんでALSとげられる。「告知こくちにより希望きぼうをなくしたわたしは、主人しゅじん子供こどものことをかんがえるとかなしくなるばかりで、こんなごとなら一層いっそうのことさんにんくるまっているときなにかの事故じこにでもまれてしまえばいいのにとさえおもってしまいました。いまおもえばとんでもないことをかんがえたものだと反省はんせいしていますが、そのころわたしさんねん主人しゅじんんでしまうかもれないという不安ふあんばかりで、前向まえむきにかんがえる余裕よゆうさえなかったのです。でもいろいろとかんがえているうちに主人しゅじん本当ほんとうのことをって、これからどのようにすればいかを相談そうだんしてみようかともおもったのですが、それはわたし自身じしんくるしみを二人ふたりけて半分はんぶんにすること、つまりその半分はんぶん主人しゅじんしつけることになり、それで自分じぶん気持きもちをらくにするのはずるいことだし、げてはいけないとおもったのです。だから絶対ぜったいわずにおこうとしんめました。」(奥村おくむら[1995]、こののち記述きじゅつは[95]、本人ほんにん告知こくちについてのかんがえは[161])
 [161]「告知こくちについては大変たいへんむずかしい問題もんだいだとおもいます。もちろん患者かんじゃさん本人ほんにん性格せいかくかんがかたにより、告知こくちするかしないかが一番いちばんになるとはおもいますが、告知こくちするがわ医師いし前向まえむきなかんがかた家族かぞくおおきな協力きょうりょくがあれば、わたし告知こくちするほう本人ほんにんにとっても家族かぞくにとっても、有意義ゆういぎ闘病とうびょう生活せいかつおくるのにはいのではないかとおもいます。 そして、わたし告知こくちをされるうえで患者かんじゃ本人ほんにんにとっては、ALS協会きょうかい会報かいほう存在そんざい非常ひじょうおおきく意義いぎのあるものであるし、これからもそうであってしいとおもいます。[…]会報かいほうんでわたし大変たいへんおどろかされました。その内容ないよう一般いっぱん医学いがくしょ医師いしわれるような患者かんじゃにとってはつめたく希望きぼうのない言葉ことばではなく、この病気びょうき大変たいへん病気びょうきではあるが、こういうふうにやればいまのこされた機能きのう最大限さいだいげん使つかってこんなこともやれるし、精一杯せいいっぱい頑張がんばってきていけるんだという、患者かんじゃさん本人ほんにんせいこえくことができたし、病気びょうき自体じたいのことや現在げんざい研究けんきゅうされていることもくわしくることができたことにより、どんなにはげまされたことかかりません。そしてそういうことの知識ちしきがあるのとないのとでは、告知こくち闘病とうびょう生活せいかつおくるうえでどんなにおおきなちがいがまれてくるかはかれないとおもうのです。/[…]/告知こくちけたら、まず自分じぶんいまおかれている現実げんじつ家族かぞく共々ともどもしっかりとめてください。そしてその現実げんじつからげずに、自分じぶん病気びょうきのことをってください。それをすることでそこからはじめてつぎ段階だんかいすすむことができ、闘病とうびょう生活せいかつおくるうえでの前向まえむきな姿勢しせいまれてくるのではないかとおもうのです。」(奥村おくむら[1995])
 [170]奥村おくむらさとし[128]はいちきゅうきゅういちねんにALSと診断しんだんされる。きゅうさんねんじゅういちがつよんにちよるには息苦いきぐるしさもひどくなってきたので、家内かない相談そうだんして明日あした入院にゅういんして調しらべてもらおうとめたのですが、それからも息苦いきぐるしさはひどくなったりすこらくになったりのかえしとなり、五日いつかがたにはその息苦いきぐるしさは普通ふつうではなくなり、人工じんこう呼吸こきゅうをしてほしいと家内かないたのんだのですが、家内かない人工じんこう呼吸こきゅうなどやったことがなかったのであわてるばかりでした。家内かないもこれは普通ふつうではないということで救急きゅうきゅうしゃんでくれたのですが、そうこうしているとまったくの呼吸こきゅう困難こんなんになってしまい、救急きゅうきゅうたいひとときには意識いしきもなくなり、そのはまったくおぼえていません。/そしてがついたときには、病院びょういんのベッドのうえくちには気管きかんない挿管され、あたまほうではシューシューという人工じんこう呼吸こきゅうおとがしているし、点滴てんてきはり肩口かたぐちけられているし、はなにはけいかんチューブがはいり、心電図しんでんずのモニターがつながれ、自動じどう血圧けつあつけいもつながれ、尿にょうかんまでつながれていました。まるでベッドにつながれているサイボーグのようでした。/あと家内かないいたはなしですが、救急きゅうきゅうたいほう処置しょちわるく、血圧けつあつはかれないくらいがるし、酸素さんそマスクをてるだけで人工じんこう呼吸こきゅうはしてくれず、病院びょういんはこぶのも相当そうとう手間取てまどったため、かなりあぶない状態じょうたいだったらしいです。」(奥村おくむら[1995])

 [181]奥村おくむらさとし[170]、いちきゅうきゅうさんねん。「気管きかん切開せっかいについては、こえうばわれ、たのしみのひとつでもある家族かぞくとのコミュニケーションがれなくなるとうことが、わたしにとってはえられないくらいいやだったために呼吸こきゅう困難こんなんになるまではしないつもりでした。いのちにかかわってくればもちろん気管きかん切開せっかい人工じんこう呼吸こきゅう装着そうちゃくしてでも、のこされたいのち精一杯せいいっぱい家族かぞく一緒いっしょ頑張がんばるつもりだったので、覚悟かくごもしていたのでまったくショックはなかったとはいませんが、べつ自分じぶん自身じしんそんなに動揺どうようすることはありませんでした。」(奥村おくむら[1995])

※おことわり
・このページは、公開こうかいされている情報じょうほうもとづいて作成さくせいされた、ひと組織そしき「について」のページです。そのひと組織そしき「が」作成さくせいしているページではありません。
・このページは、文部もんぶ科学かがくしょう科学かがく研究けんきゅう補助ほじょきんけている研究けんきゅう基盤きばん(C)・課題かだい番号ばんごう12610172)のための資料しりょう一部いちぶでもあります。
作成さくせい立岩たていわ しん
更新こうしん:20011207,20020711,1015
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