(Translated by https://www.hiragana.jp/)
立岩真也『ＡＬＳ――不動の身体と息する機械』

Ａ　Ｌ　Ｓ

不動ふどうの身体しんたいと息いきする機械きかい

立岩たていわ真しん也　2004.11.15，医学書院いがくしょいん，449p.　ISBN：4260333771　2800+　［amazon］／［kinokuniya］

◇目次もくじ　 ◇書評しょひょう・紹介しょうかい(別べつ頁ぺーじ)　 ◇著者ちょしゃ・編集へんしゅう者しゃによる紹介しょうかい　 ◇文献ぶんけん表ひょう(別べつ頁ぺーじ)　 ◇[English]　 ◇[Korean]

表紙写真

　「サイボーグたちは、
　真しんの生命せいめい／生活せいかつを得えんがための
　犠牲ぎせいといった発想はっそうをイデオロギーの源泉げんせん
　とすることを拒こばむ。［…］
　生存せいぞんこそが最大さいだいの関心事かんしんじである。」
　（Haraway［1991＝2000:339］）

　私わたしたちの社会しゃかいでは一方いっぽうで、身近みぢかな、
　とくに善意ぜんいもなにも必要ひつようとせず、
　むしろそれがうっとおしく感かんじられるような場面ばめんで、
　やさしさやふれあいが語かたられる。
　善意ぜんいが押おしつけがましく押おしつけられ、
　それは問題もんだいにされない。
　他方たほうで、生死せいしに関かかわるような場面ばめんになると、
　本人ほんにんの意志いしを尊重そんちょうして云々うんぬんと言いう。
　周囲しゅういは口くちを出ださないようにしようと言いう。
　これは逆さかさではないか。
　（p.143　第だい４章しょう６節せつ「「中立ちゅうりつ」について」）

・2004年ねんの発行はっこうですが、このＨＰ内ないのＡＬＳ関連かんれん情報じょうほうと合あわせ、「使つかえる」本ほんです。手てにとっていただければ幸さいわいです。
・分量ぶんりょうは字数じすう換算かんさんで400字じ詰つめ850枚まい程ほど（索引さくいん・文献ぶんけん表ひょう除のぞく）。

◇本ほんを購入こうにゅうされた方ほうで活字かつじが不便ふべんな方ほうには、テキスト・ファイルを用意よういします。あるいはこのＨＰの会員かいいん限定げんていエリアで読よんでいただけます。立岩たついわまでＥメイルで連絡れんらくをください。→TAE01303@nifty.ne.jp

◇2018/01/26　第だい９章しょう「その先さきを生いきること」の英訳えいやくを掲載けいさい。

　
　

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■著者ちょしゃ・編集へんしゅう者しゃによる紹介しょうかい

◆医学書院いがくしょいんのＨＰでの紹介しょうかい
　http://www.igaku-shoin.co.jp/prd/00133/0013301.html

　「生いきろ」と言いえる生命せいめい倫理りんり　白石しらいし正明まさあき（この本ほんの編集へんしゅうを担当たんとう）　2004/11

　ＡＬＳ（エイ・エル・エス）とは、「筋すじ萎縮いしゅく性せい側がわ索さく硬化こうか症しょう」という日本にっぽん名めいをもつ神経しんけい難病なんびょうだ。手足てあしが動うごかなくなり、話はなすことも食たべることも、やがて呼吸こきゅうすることも困難こんなんになってくる。人工じんこう呼吸こきゅう器きを付つければ生いきることができるが、必かならずしも装着そうちゃく率りつは高たかくはない。　　「息いきが苦くるしいのに呼吸こきゅう器きを付つけない」という不思議ふしぎな状況じょうきょうに、ＱＯＬ(クオリティ・オブ・ライフ)の高たかい生なま／無意味むいみな延命えんめい／自然しぜんな死し……という口当くちあたりのよい言葉ことばたちが荷担かたんしていることを見みて取とった著者ちょしゃはこう反問はんもんする。
　「質しつのわるい生なま」に代かわるべきは「質しつのよい生なま」であって、「美うつくしい死し」ではないのではないか？　死しの受容じゅようなどと唱となえる前まえにやるべきことがあり、呼よびかけるべき声こえがあるのではないか？　だいいち、息いきができなければ苦くるしいではないか！
　以来いらい著者ちょしゃは、ＡＬＳ闘病とうびょう記き（あまり知しられていないが、その少すくなくない数かずが「ハリーポッター」の静しず山さん社しゃから出でている）やホームページから、当事とうじ者しゃの語かたりを渉猟しょうりょうする。彼かれ、彼女かのじょたちが舌先したさきで、眼球がんきゅうの動うごきで、あるいは額がくのシワの動うごきで文字もじどおり必死ひっしに語かたっていること――それを執拗しつように追おうことによって、やがて「生いきろと言いえない生命せいめい倫理りんり」の浅薄せんばくさが浮うき彫ぼりにされ、人工じんこう呼吸こきゅう器きと人ひとがいれば生いきられることが証あかされていく。
　《いつもは、ほとんど人じんの議論ぎろんを参照さんしょうせず、独善どくぜん的てきな文章ぶんしょうを書かいている私わたしだが、こんどのは違ちがう。400字じ詰つめ850枚まいの過半かはんを引用いんようが占しめている。528の引用いんように通とおし番号ばんごうがついている。私わたしのぐねぐねした文章ぶんしょうに読者どくしゃはあまり悩なやまされずにすむ。……他たの私わたしの本ほんは、できればどうぞくらいだが、この本ほんはぜひ読よんでほしい》と著者ちょしゃみずから述のべる、渾身こんしんの一いち冊さつ。

◆2004/00　「（著者ちょしゃによるコメント）」　amazon.co.jp　800字じ　［送おく：20041111］

　「自分じぶんらしく」、「自然しぜんに」、はもちろんよいことだと思おもう。けれど、息いきが苦くるしくなったら、自分じぶんらしく、自然しぜんに、死しぬだろうか。
　筋すじ萎縮いしゅく性せい側がわ索さく硬化こうか症しょう＝ＡＬＳというやっかいな病気びょうきがある。全身ぜんしんの筋肉きんにくが動うごかなくなっていく、まだ治療ちりょう法ほうのない病気びょうきだ。やがて呼吸こきゅうも苦くるしくなるから、呼吸こきゅうを続つづけるためには人工じんこう呼吸こきゅう器きが必要ひつようだ。けれど実際じっさいにはかなり多おおくの人ひとがそれを使つかわず、亡なくなる。そして、そのことが、その人ひとによって選えらばれた死しとして、また自然しぜんな死しとして、よいこととされる。それは違ちがう、ように思おもう。
　私わたしたちは、昨今さっこんの決きまり文句もんくである、「本人ほんにんの決定けってい」のための、「中立ちゅうりつ」の、「情報じょうほう提供ていきょう」という路線ろせんを、そのまま受うけ入いれてよいのだろうか。死しぬとか生いきるとか、こんな時じに、こんな時じだけ、リベラリストになってしまうのは、妙みょうではないか。あるいは「機械きかい的てきな延命えんめい」「たんなる延命えんめい」に対たいする「自然しぜんな死し」「人間にんげん的てきな死し」。こんな時じだけ、私わたしたちは自然しぜん主義しゅぎ者しゃに、人間にんげん主義しゅぎ者しゃになってしまう。それもやはり妙みょうではないか。
　しかし他方たほう、身体しんたいがまったく動うごかなくなるというのは、やはり究極きゅうきょく的てきなことのようにも思おもう。完全かんぜんな無為むい、あるいは身体しんたいに閉とじ込こめられる恐怖きょうふ。そうなって私わたしはやっていけるだろうか。私わたしは、間違まちがいなく臆病おくびょうな人間にんげんだから、息いきが苦くるしくなるのは恐怖きょうふだ。しかし、私わたしに限かぎればそれよりはまだましとしても、身体しんたいのどこも動うごかないとはどんなことだろう。その前まえに生いきるのをやめるのも無理むりのないことなのだろうか。
　これらを知しりたいと私わたしは思おもった。ＡＬＳになった人ひとたちが、例たとえばわずかに動うごく身体しんたいの動うごきを感知かんちするコンピュータを使つかって書かいた文章ぶんしょうがある。そうして作つくられたＨＰも多おおくあり、また本ほんも出版しゅっぱんされている。そうした文章ぶんしょうをできるだけ集あつめ、並ならべ、私わたし自身じしんもできるだけ考かんがえ、書かいた。結果けっか450頁ぺーじになったこの本ほんに書かき切きれなかったこと、より詳くわしい本ほんの紹介しょうかい、等ひとしは私わたしのＨＰ（http://www.arsvi.com）からご覧らんになれる。

◆201006　紀伊國屋きのくにや書店しょてん・ブックファア

Ｑ１……『ＡＬＳ不動ふどうの身体しんたいと息いきする機械きかい』をどのような思おもいで書かかれたか。あるいは作成さくせい時じのエピソードなど。
一ひとつには、死しぬほど辛つらい病気びょうき・障害しょうがいってものがあるのだろうかという、素朴そぼくな？疑問ぎもんから。そして、すこし動うごくところを使つかったりしてたくさんの人ひとが本ほんやＨＰにものを書かいていることを知しった。それを集あつめることに、しばらく、かなりはまってました。
Ｑ２きゅーつー……成城せいじょうの人々ひとびとにおすすめする一いち冊さつとその理由りゆう。
（ケアのことをよく知しらない、医療いりょう従事じゅうじ者しゃではない人ひとへ）
自薦じせんです。すいません。立岩たていわ真しん也『良よい死し』（２００９、筑摩書房ちくましょぼう）。『ＡＬＳ』と合あわせてお読よみください。

□著者ちょしゃによる紹介しょうかい・講演こうえん等とう

◆2004/09/00　「不動ふどうの身体しんたいと息いきする機械きかいとの生なま――知しってることは力ちからになる・34」
　『こちら”ちくま”』41:［送おく：20041110］
◆2004/09/00　「（著者ちょしゃによるコメント）」
　amazon.co.jp
◆2004/12/18「その先さきを生いきること」
　ヘルパー養成ようせい講座こうざ『進化しんかする介護かいご』　主催しゅさい：（NPO）ALS／MNDサポートセンター　さくら会かい　於：東京とうきょう
　http://homepage2.nifty.com/ajikun/sinkasuru-kaigo/2004121218nakano.htm
◆2004/12/25　「ＡＬＳの本ほん・１」（医療いりょうと社会しゃかいブックガイド・44）
　『看護かんご教育きょういく』45-11:（医学書院いがくしょいん）［送おく：20041103］
◆2005/01/21　「ＡＬＳ　不動ふどうの身体しんたいと息いきする機械きかい」
　障害しょうがい学がく研究けんきゅう会かい関東かんとう部会ぶかい第だい43回かい研究けんきゅう会かい
◆2005/01/25　「ＡＬＳの本ほん・２」（医療いりょうと社会しゃかいブックガイド・45）
　『看護かんご教育きょういく』46-01:（医学書院いがくしょいん）［送おく：20041206］
◆2005/02/25　「ＡＬＳの本ほん・３」（医療いりょうと社会しゃかいブックガイド・46）
　『看護かんご教育きょういく』46-02:（医学書院いがくしょいん）［送おく：20040104］
◆2005/02/01　「「自己じこ決定けってい」「自然しぜんな死し」を問とう」（見出みだしは編集へんしゅう部ぶによる・370字じ）
　『おそい・はやい・ひくい・たかい』26:98
◆2005/03/03　「ＡＬＳと向むき合あって・社会しゃかいは人ひとが生いきていくための場ば・中立ちゅうりつでなく”生せいの支持しじ”こそ」
　『聖教せいきょう新聞しんぶん』20../03:9　（題だい・見出みだしは編集へんしゅう部ぶによる）
◆2005/05/13　「『ＡＬＳ――不動ふどうの身体しんたいと息いきする機械きかい』」
　障害しょうがい学がく研究けんきゅう会かい九州きゅうしゅう部会ぶかい第だい４回かい研究けんきゅう会かい
　……

　

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■目次もくじ

□□　序章じょしょう

　□１　ＡＬＳという病やまい
　□２　不思議ふしぎなこと
　□３　書かかれたものを読よむ
　□４　名前なまえを記しるす
　□５　必然ひつぜん的てきな限界げんかいについて
　□６　言いえるだろうこと

□□第だい１章しょう　間違まちがい

　□１　「予後よご」について言いわれたこと
　□２　書かかれていたこと
　□３　予定よてい通どおりにならなかった人ひとたち
　□４　なぜ、と思おもえる

□□第だい２章しょう　まだなおらないこと

　□１　今いまのところなおらない
　□２　近年きんねん試ためされた薬くすり
　□３　その他た
　□４　引ひき換かえに払はらうもの
　□５　なおすための空間くうかんになおらない人ひとがいること
　□６　なおらない間あいだにすべきことができないこと
　□７　補ほ・医療いりょうの社会しゃかい（科か）学がくについて

□□第だい３章しょう　わかること

　□１　わかることについてわからないこと
　□２　医師いしがわかる／わからないこと
　□３　医師いしから伝つたえられる／伝つたえられないこと
　□４　書類しょるい・カルテから知しる
　□５　医療いりょうの方ほうからでなく知しる
　□６　ほかに
　□７　家族かぞくが知しらされる
　□８　わかってしまうこと

□□第だい４章しょう　わかることについて

　□１　言いわれたこと
　□２　知しるのがよいか、わからない
　□３　ＡＬＳに限かぎれば言いえること
　□４　だれがどのように
　□５　家族かぞくの位置いち
　□６　「中立ちゅうりつ」について

□□第だい５章しょう　呼吸こきゅう器きのこと

　□１　選択せんたく、とされること
　□２　事態じたいの到来とうらい
　□３　家族かぞくが尋たずねられる
　□４　本人ほんにんが決きめる
　□５　決定けっていの変更へんこう
　□６　まず起おこること
　□７　知しった上うえで決きめればよい、か

□□第だい６章しょう　既すでにあったものの出現しゅつげん

　□１　簡略かんりゃくな歴史れきし
　□２　『平ひら眠ねむり』（一いち九きゅう七なな八はち年ねん）
　□３　普及ふきゅうについて

□□第だい７章しょう　川口かわぐち武久たけひさのこと・１

　□１　略歴りゃくれき
　□２　「人工じんこう的てき」について
　□３　意識いしきの存在そんざい・意思いしの表出ひょうしゅつ
　□４　ＪＡＬＳＡ

□□第だい８章しょう　川口かわぐち武久たけひさのこと・２

　□１　苦痛くつうの位置いち
　□２　死しに引ひき寄よせるもの
　□３　よい死しという言説げんせつ・教義きょうぎ
　□４　引ひき止とめたかもしれぬもの
　□５　逝去せいきょ（一いち九きゅう九きゅう四よん年ねん）

□□第だい９章しょう　その先さきを生いきること　[English]

　□１　危険きけん
　□２　機械きかいの肯定こうてい
　□３　無為むい
　□４　遮断しゃだん
　□５　世界せかいの受信じゅしん
　□６　送信そうしん

□□第だい10章しょう　その先さきを生いきること・２

　□１　暮くらすこと
　□２　暮くらすためのもの
　□３　暮くらすためのもの・二に〇〇〇年ねん以降いこう
　□４　「医療いりょう行為こうい」
　□５　戦略せんりゃくについて

□□第だい11章しょう　死しの位置いちの変容へんよう

　□１　『依頼いらいされた死し』（一いち九きゅう九きゅう四よん年ねん）
　□２　変位へんい
　□３　拒否きょひされているという現実げんじつの浮上ふじょう
　□４　世界せかいに向むかって言いう
　□５　ここまで：死しに寄よせられること・引ひき返かえすこと

□□第だい12章しょう　さらにその先さきを生いきること

　□１　自分じぶんで決きめるという案あん
　□２　外はずすこと
　□３　外はずすこととつけないこと
　□４　条件じょうけんについて
　□５　価値かちについて
　□６　肯定こうていに懸かかる負荷ふか
　□７　ロックトイン
　□８　発信はっしんの可能かのう性せいについて
　□９　世界せかいの受信じゅしん
　□10　補ほ・死しの自由じゆうについて
　□11　その場ばにいる人ひとについて・無責任むせきにんについて
　□12　再度さいど・引ひき返かえすためのもの

□□あとがき

UP:20041028,1109,10,11,12,15,..24,25 1201,1207(484),13(1203,1400),19(94,81),26(2441),27(493),29(1286),31(1077), 20050102(445),03(666,1455),04(657), 06(916), 08(948,953-), 11(1147-),12(962-),13(560-),16(2232),18(2851),19(900-9469),23,25(1764-),28(547-637-1429) ..0303,13 ..0414 0521　20061204, 20100601, 0918, 20141201, 20160928, 20180125[English]

◇ＡＬＳ　 ◇安楽あんらく死し・尊厳そんげん死し　 ◇医療いりょう社会しゃかい学がく　 ◇立岩たていわ真しん也　

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