洗練せんれんされたボーカルで定評ていひょうのある山本やまもと潤子じゅんこが、新あたらしいコーラス・グループ「April」を結成けっせいした。
　山本やまもとを中心ちゅうしんにした、ショーン星野ほしの、花木はなき佐千子さちこ、松谷まつや麗うらら王おう（れお）というラインナップによる男女だんじょ４人組にんぐみは、この６月ろくがつ21日にちにファースト・アルバム『10cc of Tears』を発売はつばいする。
　かつて「赤あかい鳥とり」のリード・ボーカリストとして「竹田たけだの子守こもり唄うた」や「翼つばさをください」のヒットを放はなって以来いらい、Hi-Fi Setでの活動かつどう、「童わらわ神しん（わらびがみ）」ほか多おおくの業績ぎょうせきを残のこしてきた山本やまもとに、現在げんざいの心境しんきょうを聞きいた。（取材しゅざい：藤田ふじた正ただし）

　Aprilのアルバムに関かんして、山本やまもとはこれまでになくこだわったという。かつては少すこし不本意ふほんいではあっても周囲しゅういの事情じじょうを考かんがえて、自分じぶんの主張しゅちょうを引ひき込こめることがあった。
　今回こんかいは違ちがう。発売はつばい元もとであるビクターへ完成かんせいした音おとを収おさめる直前ちょくぜんになって、彼女かのじょはもう一度いちど、やり直なおしすらしたそうである。
「これが最後さいごになるかも知しれないから（笑）」
　ベテラン・シンガーとして数々かずかずのプロジェクトもこなす山本やまもとは、静しずかに応こたえてくれる。「ではアルバム『10cc of Tears』の出来できは？」と聞きけば、「80％です」
　プロとしての自分じぶんの活動かつどうに、常つねに冷静れいせいな目めをそそぐ山本やまもと潤子じゅんこだった。

『10cc of Tears』は、「おとなな青春せいしゅん」をキーワードに作成さくせいされたアルバムである。山本やまもと自身じしんも「大人おとなである自分じぶんたちの世代せだいが楽たのしめるものを」と準備じゅんびに取とりかかった。
「今いま、コーラス･グループはたくさんあるけど、Aprilはもっと特徴とくちょうのあるものを目指めざしたかったんです。こういった私わたしたちの姿勢しせいは、若わかい世代せだいにもきっと通つうじると思おもうんです」
　ニューヨークへ出向でむきアレンジをギル・ゴールドステイン（キーボードも）に依頼いらいした。プロデューサーは有賀ありが恒夫つねおである。
　収録しゅうろくされたのは、松任谷まつとうや由実ゆみが書かき下おろした「Finally」や、英語えいご詞しでも歌うたわれるサザン・オールスターズの「いとしのエリー」といった話題わだい曲きょくに加くわえ、「Moonlight Serenade」といったスタンダード、そしてメンバーであるショーン星野ほしのの美うつくしい作品さくひん「月つきを抱だいて」など、いずれの曲きょくにも洗練せんれんされた歌声うたごえを聴きくことができる。
「今いまのAprilは充分じゅうぶんに満足まんぞくしています。でも、まだどうなるか、わかりません（笑）。だって（インタビューした時点じてんで）、ちゃんとデビューしてないんですから。私わたしたちは、これからもっともっと良よくなっていきます。だから（アルバムの評価ひょうかは）80％なんですね」
「別べつのい方いかたをすると、このアルバムは＜懐なつかしさ＞があるサウンドなんです。自分じぶんがいちばん心地ここち良よかった時代じだいに、ふと戻もどったような曲きょくとアレンジ。こういう味あじわいは、若わかいコーラス・グループにはちょっと出だせないと思おもいますよ」

Beats21推薦すいせんCD（１）-『April／10cc of Tears』
Beats21推薦すいせんCD（２）-「山本やまもと潤子じゅんこ／童わらわ神しん〜天てんの子守こもり唄うた／」
Beats21推薦すいせんCD（３）-『THE BEST Hi-Fi SET／GOLDEN J-POP』
Beats21推薦すいせんCD（４）-『赤あかい鳥とり／GOLDEN☆BEST』