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ゼロ%インフレ目標 2007年02月01日 | 大和総研 | 原田 泰

ゼロ%インフレ目標もくひょう

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2007ねん02がつ01にち

  • 原田はらだ やすし
日本銀行にっぽんぎんこう金利きんり引上ひきあげるかかがいつもだい問題もんだいになる。日銀にちぎん金利きんり引上ひきあげたいらしいが、消費しょうひしゃ物価ぶっか上昇じょうしょうりつは、現在げんざい前年ぜんねん同期どうき0.2%程度ていどいており、エネルギー価格かかくのぞいた消費しょうひしゃ物価ぶっか指数しすうではマイナスである。原油げんゆ価格かかく低下ていかないし安定あんていしているから、原油げんゆ価格かかく影響えいきょうがなくなれば、消費しょうひしゃ物価ぶっか上昇じょうしょうりつはマイナスになるかもしれない。エネルギー価格かかくのぞいた消費しょうひしゃ物価ぶっか指数しすうは、将来しょうらい消費しょうひしゃ物価ぶっか上昇じょうしょうりつがマイナスになるかもしれないと予測よそくしているわけだ。

物価ぶっか上昇じょうしょうりつがほとんどゼロであり、今後こんごがる可能かのうせいではなくてがる可能かのうせいがあるときに、日銀にちぎん金利きんり引上ひきあげようとしているとは、日銀にちぎん金融きんゆう政策せいさく目標もくひょう物価ぶっか上昇じょうしょうりつをゼロ%にする、すなわち、ゼロ%インフレ目標もくひょう政策せいさく採用さいようしているということだ。

消費しょうひしゃ物価ぶっか上昇じょうしょうりつがゼロ%であれば、GDPデフレータはマイナスになるだろうが、はなしがごちゃごちゃするのをけるために、これもゼロとしよう。長期ちょうきてき実質じっしつGDPのりつ弱気よわきひとで1.5%、強気つよきひとで2.5%程度ていどだ。すると、長期ちょうきてき名目めいもくGDPの成長せいちょうりつは1.5~2.5%となる。これは、政府せいふ名目めいもくGDPの上昇じょうしょうりつを3%以上いじょうとしたいとしていることと矛盾むじゅんする。

ここで、昨年さくねんの3がつごろまで、経済けいざい財政ざいせい諮問しもん会議かいぎひろげられた論争ろんそうおもしてしい。長期ちょうき金利きんり名目めいもくGDPの上昇じょうしょうりつよりもたかいのか、ひくいのかという論争ろんそうだ。論争ろんそう決着けっちゃくかなかったが、長期ちょうき金利きんり名目めいもくGDPの上昇じょうしょうりつとほぼひとしいということで合意ごういられたとおもう。

すると、長期ちょうき金利きんりは1.5~2.5%となる。金利きんり永久えいきゅうがらないということだ。しかし、金利きんりを「正常せいじょうする」というのが日銀にちぎん目標もくひょうのようだった。正常せいじょうされた金利きんりとは2%の金利きんりではなくて、4~5%の金利きんりだろう。ゼロ%インフレ目標もくひょう政策せいさくしたでは、金利きんり永久えいきゅう正常せいじょうしない。これにたいして、インフレ目標もくひょうを2%とするとどうなるか。名目めいもくGDPの長期ちょうきてき上昇じょうしょうりつ実質じっしつGDPの長期ちょうきてき上昇じょうしょうりつに2%をして3.5~4.5%になり、金利きんり正常せいじょうされる。

日銀にちぎんのゼロ%インフレ目標もくひょうは、政府せいふ名目めいもくGDP目標もくひょう矛盾むじゅんするばかりでなく、「金利きんり正常せいじょう」という日銀にちぎん目標もくひょうとも矛盾むじゅんするのではないか。

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