東京とうきょう23区くでは30代だい子育こそだて世帯せたいの年収ねんしゅう中央ちゅうおう値ちが1,000万まん円えんに迫せまる

近年きんねん、東京とうきょう23区くでは、30代だい子育こそだて世帯せたい（※１）の世帯せたい年収ねんしゅうが急激きゅうげきに上昇じょうしょうし、中央ちゅうおう値ちが1,000万まん円えんに迫せまっている。

2017年ねんから2022年ねんにかけて、全国ぜんこく的てきに子育こそだて世帯せたいの世帯せたい年収ねんしゅうは上昇じょうしょうしているが、年代ねんだいで区切くぎると30代だいが最もっとも上昇じょうしょう率りつが高たかい。保育ほいく所しょの待機たいき児童じどう問題もんだいが解消かいしょうに向むかい、育休いくきゅう制度せいどが整備せいびされることにより、女性じょせいが子こどもを持もっても正規せいき雇用こようで働はたらき続つづけられるようになることで、前まえの世代せだいと比くらべて世帯せたい収入しゅうにゅうが大おおきく上昇じょうしょうしているのだ。

その傾向けいこうが最もっとも顕著けんちょだったのが東京とうきょう23区くだ。2017年ねん時点じてんでは、東京とうきょう23区くは待機たいき児童じどうが5,665人にんと特とくに多おおく、全国ぜんこくの待機たいき児童じどう数すうの2割わり以上いじょうを占しめていた。しかし、東京とうきょう23区くの保育ほいく所しょの増設ぞうせつペースは速はやく、5年間ねんかんで保育ほいくサービス利用りよう児童じどう数すうは19.6％増加ぞうかした（全国ぜんこくは＋7.2％）。これにより、2022年ねんには、東京とうきょう23区内くないの待機たいき児童じどうは32人にんとなった（全国ぜんこくは2,944人にん）（※２）。

2017年ねん時点じてんでは、東京とうきょう23区くはどの年齢ねんれいでも子育こそだて世帯せたいの共働ともばたらき率りつが全国ぜんこく平均へいきんより低ひくい地域ちいきだった。しかし、その後ごの5年間ねんかんの共働ともばたらき率りつの上昇じょうしょうは30代だいで顕著けんちょで（58.4％→74.8％）、2022年ねん時点じてんでは、30代だいに限かぎれば、東京とうきょう23区くの共働ともばたらき率りつは全国ぜんこく平均へいきん（72.4％）を上回うわまわっている。

この結果けっか、東京とうきょう23区くの30代だい子育こそだて世帯せたいの世帯せたい年収ねんしゅうの中央ちゅうおう値ちは、2017年ねんの799万まん円えんから2022年ねんの986万まん円えんへと23.4％も上昇じょうしょうした。同おなじ30代だいの全国ぜんこく平均へいきん（＋13.2％）や、東京とうきょう23区くの40代だい（＋10.1％）や50代だい（＋9.1％）の子育こそだて世帯せたいでも世帯せたい年収ねんしゅうの中央ちゅうおう値ちは上昇じょうしょうしているが、群ぐんを抜ぬいている。

ただし、これだけ世帯せたい年収ねんしゅうが伸のびている東京とうきょう23区くでも、出生しゅっしょう率りつは低下ていかが続つづいており（2017年ねん：1.20、2021年ねん：1.09、2022年ねんは未み公表こうひょう）、しかもその水準すいじゅんは全国ぜんこく平均へいきん（2017年ねん：1.42、2021年ねん：1.30、2022年ねん：1.26）よりずいぶんと低ひくい（※３）。

共働ともばたらきのまま子育こそだてに入はいることができ、当面とうめんの世帯せたい年収ねんしゅうを確保かくほできていても、それが持続じぞく可能かのうでなければ、もう1人ひとり、子こどもを持もちたいと考かんがえにくいだろう。当社とうしゃの調査ちょうさでは、民間みんかん企業きぎょうに勤つとめる健康けんこう保険ほけんの「被ひ保険ほけん者しゃ女性じょせい」の出生しゅっしょう率りつは、女性じょせいの就業しゅうぎょう継続けいぞく率りつと強つよい相関そうかん関係かんけいがあった。（※４）

保育ほいく所しょの問題もんだいをクリアしても、親おやたちには次つぎなる「小１しょういちの壁かべ」が立たちふさがっている。小学生しょうがくせいの日にち中ちゅうの居場所いばしょである「放課後ほうかご児童じどうクラブ」には、全国ぜんこくで15,180人にんの待機たいき児童じどうがいて、うち15.8％の2,405人にんを東京とうきょう23区くが占しめる。（※５）

政府せいふは「こども未来みらい戦略せんりゃく方針ほうしん」（2023年ねん6月がつ13日にち閣議かくぎ決定けってい）にて、「小１しょういちの壁かべ」打破だはに向むけた「放課後ほうかご児童じどうクラブ」の量りょう・質しつの拡充かくじゅうを掲かかげているが、特とくに待機たいき児童じどうの多おおい東京とうきょう23区くは対策たいさくを急いそぐ必要ひつようがあるだろう。

（※１）妻つまが30代だい（40代だい、50代だい）の「夫婦ふうふと子こどもから成なる世帯せたい」を30代だい（40代だい、50代だい）子育こそだて世帯せたいとした。本稿ほんこう中ちゅう、特とくに記載きさいのないデータは総務そうむ省しょう「就業しゅうぎょう構造こうぞう基本きほん調査ちょうさ」による。
（※２）厚生こうせい労働省ろうどうしょう「保育ほいく所しょ等とう関連かんれん状じょう況きょう取とりまとめ」、東京とうきょう都と「都内とないの保育ほいくサービスの状況じょうきょうについて」による4月がつ1日にち現在げんざいの値ね。
（※３）厚生こうせい労働省ろうどうしょう「人口じんこう動態どうたい調査ちょうさ」、東京とうきょう都と「東京とうきょう都と人口じんこう動態どうたい統計とうけい年報ねんぽう」による。
（※４）是枝これえだ俊しゅん悟さとる・佐藤さとう光ひかり・和田わだ恵めぐみ・石川いしかわ清香きよか「『次元じげんの異ことなる少子化しょうしか対策たいさく』として何なにを実施じっしすべきか」（大和総研だいわそうけんレポート、2023年ねん2月がつ27日にち）参照さんしょう。
（※５）厚生こうせい労働省ろうどうしょう「令れい和わ4年ねん（2022年ねん）放課後ほうかご児童じどう健全けんぜん育成いくせい事業じぎょう（放課後ほうかご児童じどうクラブ）の実施じっし状じょう況きょう」、東京とうきょう都と「東京とうきょう都と　放課後ほうかご児童じどう健全けんぜん育成いくせい事業じぎょう（学童がくどうクラブ事業じぎょう）実施じっし状じょう況きょう」による2022年ねん5月がつ1日にち現在げんざいの値ね。

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