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異議いぎ」をゼロにするために ~いつもしんにリスペクト Vol.132~

2024ねん05がつ27にち

「異議」をゼロにするために ~いつも心にリスペクト Vol.132~

サッカーのルール改正かいせいおもいつきでおこなわれているわけではありません。ルール改正かいせいめるのは国際こくさいサッカー連盟れんめい(FIFA)のそともうけられた国際こくさいサッカー評議ひょうぎかい(IFAB)という組織そしきです。重大じゅうだいなルール改正かいせいについては通常つうじょうすう年間ねんかんの「公式こうしきテスト期間きかん」をもうけ、ユース年代ねんだいのリーグなどで試行しこうしてからほん採用さいようとなります。ところがいま、その試行しこうが7ねんから8ねんになろうというアイデアがあります。2017ねんのIFABの年次ねんじ総会そうかいでテストがみとめられた「一時いちじてき退場たいじょう(シンビン)」の制度せいどです。

アイスホッケーではふるくからおこなわれ、近年きんねんになってラグビーでもれられた一時いちじてき退場たいじょう。サッカーでえば、「イエローカード」と「レッドカード」の中間ちゅうかんってみれば「オレンジカード」にたるものでしょうか。

しかしいくつかの国々くにぐにでは、この制度せいどをまったくちがった意味いみ利用りようし、サッカーの価値かちたかめようとしています。イングランドサッカー協会きょうかいがそのいちれいです。

17ねんに「公式こうしきテスト」が許可きょかされると、イングランドではすうおおくの「グラスルーツ」の大会たいかいで「シンビン」をれることをめました。その目的もくてきはただひとつ。レフェリーへの「異議いぎ」をなくすことです。

レフェリーとは、本来ほんらい公平こうへい試合しあいをするためにりょうチームから委託いたくされて試合しあい判定はんていまかされたひとです。人間にんげんですからもちろん間違まちがいはあるでしょう。しかし「自分じぶんたちからおねがいした」という本来ほんらい意味いみかんがえれば、レフェリーの決定けってい異議いぎとなえるのがかんがちがいであることはだれにでもかります。レフェリーだけでなく選手せんしゅ人間にんげんですから、「え!いまのがファウル?」とおも瞬間しゅんかんがあるでしょう。しかしその一瞬いっしゅんには、レフェリーの決定けっていしたがって行動こうどうしようとおもうのが、本来ほんらいのサッカー選手せんしゅというものです。

ところが近年きんねんでは、判定はんていはげしく、あるいは執拗しつよう抗議こうぎしたり、行為こういやジェスチャーで不服ふふくしめしたりすることが非常ひじょうおおくなりました。ある調査ちょうさによると、イエローカードの4ぶんの1は、こうした「異議いぎ」によるものだそうです。

そこでイングランドでは、男女だんじょ年代ねんだいわず、週末しゅうまつおこなわれているグラスルーツ(くさ)のサッカー大会たいかいで、「異議いぎによるイエローカードには10分間ふんかん(80ふんゲームでは8分間ふんかん)の一時いちじてき退場たいじょう」という規定きていをつくってIFABの「公式こうしきテスト」に参加さんかしたのです。

目的もくてきは「かせ、かんがえる時間じかんあたえる」ことにあります。一時いちじてき退場たいじょうめいじられた選手せんしゅはチームのベンチにもどり、監督かんとくやコーチとはなすことができます。そして10ふんたったらプレーにもどることができるのです。

ラグビーの「シンビン」は「イエローカードよりおもく、レッドカードよりかるい」たぐいの反則はんそく違反いはん行為こういたいしてされる「懲罰ちょうばつ」ですが、イングランドサッカー協会きょうかいのものは、より「教育きょういくてき意味いみっているようにおもいます。

一時いちじてき退場たいじょう」があるため、のこりの時間じかんたとえばラフプレーによってもう1まいイエローカードをけても退場たいじょうにはならないそうです。

イングランドサッカー協会きょうかいはレフェリーにたいする異議いぎがサッカーという競技きょうぎおよぼしている害悪がいあく注目ちゅうもくし、なんとかゼロにしようという努力どりょくつづけてきました。この協会きょうかい世界せかい先駆さきがけて「リスペクト・プログラム」をはじめた最大さいだい目的もくてきは、レフェリーをまもり、サッカーという競技きょうぎまもることにありました。

IFABの承認しょうにんけてはじまった「公式こうしきテスト」の結果けっかは、おどろくべきものでした。なんと、このテストに参加さんかした大会たいかいでは、「異議いぎ」によるイエローカードが38パーセントも減少げんしょうしたというのです。そして参加さんかした選手せんしゅ、コーチ(監督かんとく)、レフェリーのおおくが、アンケートにたいし、この制度せいどつづけるべきだとこたえているそうです。

「シンビン(つみはこ)」という名称めいしょうおもいものですが、なに適切てきせつ名称めいしょうかんがえて、日本にっぽんでも「公式こうしきテスト」に参加さんかしてみたらどうだろうかと、イングランドサッカー協会きょうかいのホームページでこの制度せいど解説かいせつみながらかんがえました。

寄稿きこう大住おおすみ良之よしゆき(サッカージャーナリスト)

※このコラムは、公益こうえき財団ざいだん法人ほうじん日本にっぽんサッカー協会きょうかい機関きかん『JFAnews』2024ねん4がつごうより転載てんさいしています。

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