日産にっさん「オーラニスモ」、想像そうぞうを超こえるパワーが炸裂さくれつ…切きれ味あじ鋭するどく、俊敏しゅんびんな走はしりが味あじわえる！

　日産自動車にっさんじどうしゃのコンパクトe-POWER攻勢こうせいが止とまらない。最さい量販りょうはんが期待きたいされる「ノート」の発売はつばいを皮切かわきりに、ノートの全幅ぜんぷくを3ナンバーサイズに拡大かくだいした「ノートオーラ」を発売はつばい。その余勢よせいを維持いじしたまま「オーラニスモ」をリリース。ノートを基本きほんに、さまざまな派生はせいモデルが増殖ぞうしょく中ちゅうなのである。

　日産にっさんのラインナップ拡充かくじゅう構成こうせいで驚おどろかされるのは、筆者ひっしゃが今回こんかい試乗しじょうしたオーラニスモが証明しょうめいするように、スポーティ路線ろせんにも手てを広ひろげたことだ。それは同時どうじに、e-POWERがレンジエクステンダー形式けいしきのハイブリッドであっても、スポーティカーとして成立せいりつすることを証明しょうめいする。経済けいざい性せいと環境かんきょう性能せいのうに秀ひいでているのは当然とうぜんのこととして、走はしりの躍動やくどう感かんを得えるのにも適てきしていることを声高こわだかに叫さけぶのである。

　ニスモとは、日産にっさんのモータースポーツ部隊ぶたいであり、高度こうどな技術ぎじゅつと豊富ほうふな資金しきん力りょくを持もつ。これまで、国内外こくないがいを問とわずさまざまなカテゴリーで勝利しょうりを重かさねてきた。今いまでは日産にっさんのスポーティブランドとしても発展はってん。スポーティに味付あじつけをした量販りょうはんモデルにその名なが与あたえられるのである。

　だから、ニスモのバッヂを担になうモデルは、今回こんかい誕生たんじょうしたオーラニスモが証明しょうめいするように、短絡たんらく的てきにスポーティなエアロデザインをまとっただけの軟弱なんじゃくなモデルではなく骨ほねが太ふとい。スポーツカーとして徹底的てっていてきに鍛きたえ上あげた形跡けいせきが残のこるのである。

　先代せんだいのノートオーラに比較ひかくして、モーターパワーは25％アップ。スロットルと出力しゅつりょく特性とくせいが攻撃こうげき的てきになった。わずかなアクセル開ひらき度どで、想像そうぞうを超こえるパワーが炸裂さくれつするのだ。好このみの加減かげん速そく具合ぐあいが選択せんたくできる「ドライブモード」には、穏おだやかな走はしり味あじの「エコモード」が設定せっていされているが、オーラニスモの「エコモード」は、ベースとなるオーラのなかで、もっとも活発かっぱつな「スポーツモード」と同おなじ設定せっていだというのだから腰こしを抜ぬかしかける。オーラニスモは、通勤つうきん通学つうがくの日常にちじょうですらスポーティな気持きもちでいる必要ひつようがありそうだ。

　それほどだから、操縦そうじゅう安定あんてい性せいも尖とがっている。サスペンションやダンパーのセットが攻撃こうげき的てきであるのは想像そうぞうのとおりだが、電動でんどうステアリングさえチューニングされており、微小びしょうな舵かじ角かくからシャープに反応はんのうする。このままワインディングに足あしを延のばしてスポーティドライブを楽たのしみたくなるのは当然とうぜんのこと、それを超こえてサーキットドライブや、あるいはジムカーナといったスポーツ競技きょうぎに参加さんかしたくなるほどだ。モータースポーツの最前線さいぜんせんで戦たたかうニスモの面目めんぼく躍如やくじょである。

　ちなみに、オーラには2WDと4WDの設定せっていがある。だが、オーラニスモは2WDのみの設定せっていである。その理由りゆうを開発かいはつ担当たんとうのセッティングドライバーに問とうと、こんな言葉ことばを聞きくことができた。

「（2WDは）軽かるいからです。オーラの4WDの安定あんてい性せいは秀ひいでていますが、質量しつりょうが軽かるくありません。軽快けいかいな走はしりのために、軽量けいりょうなFF（前輪ぜんりん駆動くどう）を選えらびました」

　つまり、切きれ味あじが鋭するどく、俊敏しゅんびんな走はしり味あじが信条しんじょうなのである。ちなみに、出力しゅつりょく特性とくせいを攻撃こうげき的てきにセットしたことで、燃費ねんぴ等とうの経済けいざい性せいは多少たしょう犠牲ぎせいになっていることだろう。だが、そんなことを考かんがえていてはいけない。単純たんじゅんに走はしりの凄すごさを味あじわうためのクルマなのである。
（文ぶん＝木下きのした隆之たかゆき／レーシングドライバー）