テスラ・サイバートラック、外装がいそうにサビ、ドア自動じどう開閉かいへいが止とまらず指ゆび切断せつだんの恐おそれ

　米べいテスラの電動でんどうピックアップトラック「サイバートラック」が、発売はつばいから間あいだもないにもかかわらず、続つづけてリコールの対象たいしょうになったり、購入こうにゅう者しゃからたて続つづけに不具合ふぐあいが報告ほうこくされるなど、ネガティブな話題わだいばかりが注目ちゅうもくを浴あびている。

　2019年ねん11月に発表はっぴょうされた、テスラ初はつの電動でんどうピックアップトラック「サイバートラック」。さまざまな改良かいりょうが加くわえられ、発表はっぴょうから4年ねんが経過けいかした2023年ねん12月に米国べいこくでデリバリーが開始かいしされた。そのアメリカでのデリバリーを記念きねんして、2024年ねん2月がつの東京とうきょうを皮切かわきりに東海とうかい、関西かんさい、九州きゅうしゅうでサイバートラック日本にっぽん展示てんじツアーが開催かいさいされた。

　全長ぜんちょう約やく5.7mという存在そんざい感かんたっぷりのサイバートラックのボディは、「ウルトラハードステンレススチールエクソスケルトン」と名付なづけられた強力きょうりょくなステンレス素材そざいを採用さいよう。高たかい防弾ぼうだん能力のうりょくを誇ほこるだけでなく、高たかい衝突しょうとつ安全あんぜん性せいも実現じつげんしている。また、サイバートラックに採用さいようされているアーマーガラスは時速じそく112km/hで飛とんでくるボールや、クラス4の雹の衝撃しょうげきにも耐たえられるという。現在げんざいのところ日本にっぽんでの販売はんばいはないものの、アメリカでは約やく920万まん～約やく1500万まん円えんで販売はんばいされているのだ。

　しかし、このサイバートラックで、アクセルペダルのパッドが外はずれて、ペダルが上部じょうぶのトリム部分ぶぶんに挟はさまる恐おそれがあるという重大じゅうだいな欠陥けっかんが発生はっせいし、2023年ねん11月～2024年ねん４月がつまでに生産せいさんされた約やく4000台だいに対たいして、米国べいこくの運輸省うんゆしょう道路どうろ交通こうつう安全あんぜん局きょく（NHTSA）がリコールを発表はっぴょうした。

　BEV（電気でんき自動車じどうしゃ）のパイオニアであるテスラは、2023年ねん12月にも運転うんてん支援しえんシステム「オートパイロット」で誤あやま使用しよう防止ぼうし機能きのうを追加ついかするリコールを200万まん台だい超ちょうで行おこなったばかり。ソフトウェアのアップデートで対応たいおうできるとはいえ、リコールの対象たいしょう台数だいすうの多おおさには驚おどろきを隠かくせない。

　また、納車のうしゃが始はじまって間あいだもないにもかかわらず、サイバートラックの購入こうにゅう者しゃたちから、さまざまな不具合ふぐあいが報告ほうこくされている。たとえば、サイバートラックの特徴とくちょうであるステンレスの外装がいそうパネルに、サビが発生はっせいするという報告ほうこくが相次あいついでいる。塗装とそうを施ほどこしていない外装がいそうが近きん未来みらい感かんを醸かもしだしているが、それがサビを生うみやすいと考かんがえられる。ほかにも、バックドアの安全あんぜん装置そうちのセンサー感度かんどが低ひくいのか、開閉かいへいボタンを押おしてドアを閉しめる際さい、物ものが挟はさまっても止とまらずに閉しまってしまうという現象げんしょうが報告ほうこくされている。指ゆびなどを挟はさんだらと思おもうと、恐怖きょうふでしかない。

国内こくないメーカー偏重へんちょうの補助ほじょ金きん制度せいど、かえってBEV普及ふきゅうの妨さまたげになる恐おそれも

　他方たほうで、BEVを取とり巻まく環境かんきょうにも変化へんかが生しょうじている。日本にっぽん国内こくないでのBEV販売はんばい台数だいすうは、前年度ぜんねんど比ひ2％増ぞうの7万まん9198台だいとなり過去かこ最高さいこうを更新こうしんしたものの、前年度ぜんねんど比ひで約やく3倍ばいとなった2022年度ねんどから伸のび率りつは鈍化どんか。10月から2四半期しはんき連続れんぞくでの前年ぜんねん割われとなっている。これは新あたらしい商品しょうひんに興味きょうみを示しめし購入こうにゅうする層そうの購入こうにゅうが一巡いちじゅんした表あらわれといえ、これから幅広はばひろいユーザーにどうやって普及ふきゅうさせるかが勝負しょうぶといえるだろう。

　普及ふきゅうさせるためのポイントとなっているのが、CEV補助ほじょ金きんだ。これは、BEVやPHEV、燃料ねんりょう電池でんち車しゃなど環境かんきょう性能せいのうの高たかい次世代じせだい自動車じどうしゃを購入こうにゅうする際さいの車両しゃりょう本体ほんたい価格かかくに対たいして補助ほじょ金きんが出でるという制度せいどだ。このCEV補助ほじょ金きんの額がくが令れい和わ6年ねんから大おおきく変かわった。

　これまでは、走行そうこう距離きょりの長ながさによって補助ほじょ金きんの額がくが決きまっていたのだが、今年ことしから自動車じどうしゃ分野ぶんやのグリーントランスフォーメーション（GX）実現じつげんに向むけた車種しゃしゅごと、企業きぎょうごとの取組とりくみを相当そうとう評価ひょうかし、各かく車種しゃしゅの点数てんすうを算出さんしゅつ。その点数てんすうに応おうじて、複数ふくすう段階だんかいの補助ほじょ金きんを適用てきようしているのだ。

　評価ひょうか項目こうもくは車両しゃりょう性能せいのう（車種しゃしゅごと）、充電じゅうでんインフラ整備せいび（企業きぎょうごと）、整備せいびの体制たいせい・質しつの確保かくほ（車種しゃしゅごと/企業きぎょうごと）の３項目こうもくが各かく40点てん。整備せいび人材じんざいの育成いくせい（企業きぎょうごと）、サイバーセキリュティへの対応たいおう（車種しゃしゅごと）、ライフサイクル全体ぜんたいでの持続じぞく可能かのう性せいの確保かくほ（企業きぎょうごと）、自動車じどうしゃの活用かつようを通つうじた他た分野ぶんやへの貢献こうけん（車種しゃしゅごと/企業きぎょうごと）の4項目こうもくが各かく20点てんの合計ごうけい200点てん満点まんてんとなっている。

　獲得かくとくした点数てんすうが130点てん以上いじょうならば、BEVが85万まん円えん、軽けいEVが55万まん円えん、PHEVが55万まん円えんの満点まんてんとなり、54点てん以下いかであれば、BEV、軽けいEV、PHEVすべて15万まん円えんとなっている。個人こじん的てきには従来じゅうらいの補助ほじょ金きんの算出さんしゅつ方法ほうほうと比くらべると、非常ひじょうに不公平ふこうへい感かんを感かんじる部分ぶぶんが多おおい。たしかに、日本にっぽんの税金ぜいきんを輸入ゆにゅう車しゃに投入とうにゅうするのはどうかという声こえもあるだろうが、この補助ほじょ金きんはBEVを普及ふきゅうさせるためのものであって、輸入ゆにゅう車しゃを迫害はくがいするものであってはならないと思おもっている。

　特とくに輸入ゆにゅう車しゃを迫害はくがいしていると感かんじるのが、評価ひょうか項目こうもくの整備せいび人材じんざいの育成いくせい。なかでも自動車じどうしゃ整備せいび士し養成ようせい施設しせつの設立せつりつ・運営うんえいに貢献こうけんしているか。自動車じどうしゃ整備せいび士し養成ようせい施設しせつに対たいして、車両しゃりょうや技能ぎのう講習こうしゅうを提供ていきょうしているか。自動車じどうしゃ整備せいび士しを目指めざす学生がくせいに対たいする奨学しょうがく金きん制度せいどの有無うむといった項目こうもくは、トヨタ自動車とよたじどうしゃや日産自動車にっさんじどうしゃ、本田技研工業ほんだぎけんこうぎょう（ホンダ）といった国産こくさんメーカーは自動車じどうしゃ大だい学校がっこうを運営うんえいしているのでクリアできるが、輸入ゆにゅう車しゃの日本にっぽん法人ほうじんに国産こくさんメーカーと同おなじように学校がっこうを運営うんえいしろというのは、厳きびし過すぎると言いわざるを得えない。

　こういった国産こくさんメーカー偏重へんちょうの補助ほじょ金きんは、万まんが一いち、今年ことしの米べい大統領だいとうりょう選せんでトランプ政権せいけんが再ふたたび発足ほっそくすると、やり玉だまに挙あげられることになるのは間違まちがいないだろう。反対はんたいに、トランプ氏しはBEV嫌きらいなので安心あんしんという見方みかたもある。

　エンジン車しゃと比くらべ、BEVはメンテナンスの頻度ひんどやしやすさが特徴とくちょうとなっていることが、まったく無視むしされた評価ひょうか基準きじゅんとなっていると言いわざるを得えない。補助ほじょ金きんの対象たいしょう車しゃを見みると、輸入ゆにゅう車しゃで満額まんがくとなったのは、テスラ「モデル3ロングレンジ」と、マイナーチェンジしたメルセデス・ベンツ「EQA250＋」の2車種しゃしゅのみとなっている。この不公平ふこうへい感かんの高たかい補助ほじょ金きん制度せいどが車種しゃしゅ選択せんたくを少すくなくして、次世代じせだい車しゃの普及ふきゅうに水みずを差ささないことだけを祈いのりたい。

（文ぶん＝萩原はぎはら文博ふみひろ／自動車じどうしゃライター）