24種類しゅるいと6種類しゅるいのジャム試食ししょく、多おおく売うれるのはどっち？人ひとはなぜそれを買かうのか？

なぜ売うれない？ なぜ買かわない？

「Thinkstock」より

　モノが売うれないと悩なやむ売うり手ては多おおい。

　ビジネスをしている、即すなわち何なにかを売うっている人ひとのなかで、「私わたしはもう十分じゅうぶん売うり上あげをあげていますので、これ以上いじょうは結構けっこうです」という人ひとはどれだけいるだろうか。限定げんてい数すうを販売はんばいしたら店みせを閉しめる人気にんきラーメン店みせなど一部いちぶの例外れいがいを除のぞけば、皆みなが売うりたいのに売うれない、と不満ふまんを抱かかえている。

　そして、悩なやみながら売うれない理由りゆうを考かんがえる。価格かかく設定せっていを間違まちがえた、広告こうこくやプロモーションが足たりず認知にんち度どが上あがらない、販売はんばいチャネルがうまく機能きのうしないなど商品しょうひん自体じたいの問題もんだいがある。また、強力きょうりょくな競合きょうごうがいるため売うれないこともあるだろう。あるいは、相変あいかわらず消費しょうひ者しゃの所得しょとくが増ふえないといった社会しゃかい環境かんきょうが原因げんいんとなる場合ばあいもある。

　これら個々ここの要因よういんにより売うれない場合ばあいもあれば、複ふく合あい的てきに影響えいきょうすることもある。いずれにしろ考かんがえるほどに、往々おうおうにして自社じしゃや社会しゃかいにおける「現象げんしょう」に目めが行いきがちだ。

　消費しょうひ者しゃなど買かい手ての「心理しんり」にまでは、考かんがえが及およばない人ひとは意外いがいに多おおい。なぜならば心理しんりの把握はあくは難むずかしいと思おもわれているからだ。

『モノは感情かんじょうに売うれ!』（橋本はしもと之の克かつ／PHP研究所けんきゅうじょ）

　その理由りゆうは第だい一いちに、売うり手てと買かい手ての接点せってんが少すくないことだ。一部いちぶの流通りゅうつうの現場げんばなどに接点せってんはあるものの、そこで得えられる数値すうちデータや接客せっきゃく経験けいけんは限かぎられている。結果けっか的てきに、心理しんりに関かんする情報じょうほうは少すくない。従したがって、買かい手ての心理しんりと売うれない原因げんいんを結むすびつけて考かんがえることは容易よういではない。

　第だい二にの理由りゆうは、心理しんりは個人こじんによって異ことなると考かんがえられていることだ。あらゆる人間にんげんの心理しんりをすべて把握はあくするのは無理むりだ。汎用はんよう的てきな法則ほうそくがあるかもわからない。考かんがえても仕方しかたないと思おもってしまう。

モノを買かうことは「選えらぶ」こと

　実じつはマーケティングにおいて、AIDMA（Attention：注意ちゅうい / Interest：関心かんしん / Desire：欲求よっきゅう / Memory：記憶きおく / Action：行動こうどう）や、AISAS（Attention：注意ちゅうい / Interest：関心かんしん / Search：検索けんさく / Action：購買こうばい / Share：情報じょうほう共有きょうゆう）など、購買こうばい行動こうどうのプロセスを示しめすモデルが、すでにいくつかある。

　まず注目ちゅうもくしたいのは、これらは買かい手てが主語しゅごとなった「選択せんたく」のプロセスであるということだ。彼かれらは、この世よに存在そんざいするすべての商品しょうひんに注意ちゅういを払はらって関心かんしんを抱いだき、欲求よっきゅうを感かんじて調しらべて購入こうにゅうするわけではない。目めについた商品しょうひん群ぐんを、プロセスのなかで少すこしずつ絞しぼり込こんで、最終さいしゅう的てきに買かう商品しょうひんを決きめるのだ。

　もうひとつ注目ちゅうもくしたいのは、このプロセスのなかでは、Interest（関心かんしん）や、Desire（欲求よっきゅう）など心理しんり的てき要因よういんが影響えいきょうしていることだ。Attention（注意ちゅうい）の段階だんかいで選択せんたくされる方法ほうほうについては、かなり研究けんきゅうが行おこなわれてきた。これは主おもに「目めに入いれる回数かいすうを増ふやせば、注意ちゅういを引ひくことができる」という単純たんじゅんな理屈りくつがあるからだ。