住宅じゅうたくローン審査しんさ甘あまい今いまだからこそ危険きけん！「ローン借かりられるから買かう」で多額たがくの借金しゃっきんや負担ふたんも

「Thinkstock」より

　さまざまなメディアでも言いわれている通とおり、今いま、不動産ふどうさん価格かかくはかなり高たかい水準すいじゅんになっています。個人こじんの不動産ふどうさん投資とうしも活発かっぱつで、投資とうし用ようの不動産ふどうさん価格かかくも数すう年ねん前まえから比くらべて都内とないの物件ぶっけんでは、2～3割わり高たかくなったイメージがあります。

　しかし、売うり側がわがどんなに高たかく不動産ふどうさんを売うりたいと思おもっても、買かい側がわが買かえなければ取引とりひきが成立せいりつしませんから、高たかくても買かえる要因よういんがないところまで価格かかくは上昇じょうしょうしません。その最大さいだいの要因よういんは、銀行ぎんこうなど金融きんゆう機関きかんによる住宅じゅうたくローンなど不動産ふどうさんへの積極せっきょく的てきな融資ゆうしです。

　今年ことし2月がつから日本銀行にっぽんぎんこうが実行じっこうしたマイナス金利きんり政策せいさくは、民間みんかん銀行ぎんこうが保有ほゆうする資金しきんを投資とうしへと向むかわせる圧力あつりょくとなっています。そのため、融資ゆうしを出だすための条件じょうけんが緩和かんわされる方向ほうこうに働はたらき、資金しきんの貸かし出だしが増加ぞうかしています。

　実際じっさいに、住宅じゅうたくローンでは変動へんどう金利きんりながら年利ねんり0.5％台だいの金利きんりも登場とうじょうしていますが、不動産ふどうさん投資とうし向むけのアパートローンでも1％以下いかの金利きんりで実行じっこうされている例れいが現あらわれています。

　不動産ふどうさん向むけ融資ゆうしが積極せっきょく的てきになる理由りゆうとして、金融きんゆう機関きかんはできるだけ安全あんぜんに資金しきんを貸かしたいと考かんがえるため、法人ほうじんの事業じぎょう資金しきんなどの無む担保たんぽ融資ゆうしより、担保たんぽ（抵当ていとう権けん）が取とれる不動産ふどうさん向むけ融資ゆうし（住宅じゅうたくローンやアパートローン等とう）へ先さきを争あらそって融資ゆうししたいと考かんがえるためです。

　こうした背景はいけいもあり、現在げんざいの投資とうし用よう不動産ふどうさんに対たいする融資ゆうしはやや過剰かじょう気味ぎみといえます。数すう年ねん前まえは不動産ふどうさん投資とうし向むけの融資ゆうしでは、なかなか出でなかった物件ぶっけん価格かかくまで融資ゆうしするフルローンが融資ゆうし先さき（お金かねを借かりる方ほう）の属性ぞくせい（勤務きんむ先さき、年収ねんしゅう、年齢ねんれい、金融きんゆう資産しさん等とう）次第しだいでは、思おもったより簡単かんたんに出でるようになっているのです。通常つうじょうは、融資ゆうしの借主かりぬし（不動産ふどうさん購入こうにゅう者しゃ）が、不動産ふどうさんの金融きんゆう機関きかん評価ひょうか額がくを超こえる部分ぶぶんについては一部いちぶ自己じこ資金しきんを出だすのが一般いっぱん的てきですが、担保たんぽがあり貸かしやすいということから、最近さいきんは本来ほんらいの不動産ふどうさん評価ひょうか額がくを超こえて融資ゆうしされているようです。

“融資ゆうしの罠わな”にハマり失敗しっぱい

　こうした融資ゆうし状じょう況きょうから「目的もくてきと手段しゅだんが逆ぎゃく」になっているケースをよく聞きくようになりました。つまり、「融資ゆうしが出でるから不動産ふどうさんを買かう」という行動こうどうを取とる人ひとが増ふえてきているのです。本来ほんらいは、欲ほしい不動産ふどうさんがあり、それを取得しゅとくする手段しゅだんとして融資ゆうしを利用りようするべきですが、融資ゆうしが出でるなら不動産ふどうさんの質しつにある程度ていど目めをつぶって買かってしまうのです。

　金利きんり条件じょうけんは今いまのほうが良よいのですが、リーマンショック前まえにも似にたような融資ゆうし状じょう況きょうがあり、こうした「目的もくてきと手段しゅだんが逆ぎゃく」で不動産ふどうさんを購入こうにゅうした人ひとがたくさんいました。その当時とうじ、筆者ひっしゃが相談そうだんを受うけたある投資とうし家かは、リーマンショック前まえに築きずけ20年ねん、表面ひょうめん利回りまわり15％の投資とうし用ようマンションを3億おく円えんのフルローンで購入こうにゅうしていました。