『ゼロイチ』女性じょせい視聴しちょう率りつで『王様おうさまのブランチ』に完敗かんぱいの裏側うらがわ…日にっテレが指原さすはら莉乃に賭かけた理由りゆう

　この4月がつから、日本にほんテレビの土曜どよう昼ひるが大おおきく変かわった。指原さすはら莉乃がメインMCを務つとめる新しん番組ばんぐみ『ゼロイチ』がスタートしたのだ。プレスリリースによると、同どう番組ばんぐみは「トレンドや次世代じせだいのスターを“ゼロイチで生うみ出だす”、どこよりも“今いまっぽい＆今いまがわかる”エンタメ情報じょうほうバラエティー」だという。

久本ひさもと雅美まさみから指原さすはら莉乃に賭かけた日にっテレ

　この『ゼロイチ』のために犠牲ぎせいになったのが、それまで25年ねんにわたって親したしまれてきた人気にんきトーク番組ばんぐみ『メレンゲの気持きもち』だ。さらに日にっテレは、この長寿ちょうじゅ番組ばんぐみを終おわらせただけでなく、同おなじく土曜どようの10時じ30分ふんからの1時じ間あいだ、地方ちほうの系列けいれつ局きょく制作せいさくの旅たび番組ばんぐみや過去かこの番組ばんぐみの傑作けっさく選せんを放送ほうそうしてきた枠わくも撤廃てっぱいした。

「2部ぶ構成こうせいの『ゼロイチ』は合計ごうけい165分ふん、2時じ間あいだ45分ふんの超ちょう大型おおがた番組ばんぐみです。第だい1部ぶは10時じ30分ふんから11時じ45分ぶんの75分ふん。そして、料理りょうり番組ばんぐみ『キューピー3分ふんキッキング』を挟はさんだ後のちに始はじまる第だい2部ぶは、11時じ55分ふんから13時じ25分ぶんの90分ふんです。

『メレンゲ』を終おわらせてここまでの時間じかんを『ゼロイチ』に割さいたのは、コアターゲット層そうの取とり込こみを狙ねらったからだと言いわれています。『メレンゲ』は打うち切きりが報ほうじられていた当時とうじから、主おもにF3層そう（女性じょせい50歳さい以上いじょう）しか見みていないという現実げんじつがありましたから。その『メレンゲ』も、打うち切きられる1年ねんほど前まえからは若者わかもの向むけの情報じょうほうに特とく化かしたつくりをしていました。それが最後さいごの悪わるあがきだったのか、次つぎの番組ばんぐみに向むけてのテストだったのかはわかりませんが、落おち込こんでいる番組ばんぐみの次つぎに入いれる第だい2、第だい3のコンテンツを考かんがえている日にっテレですから、すでにプロジェクトは動うごいていたのではないでしょうか。

　いずれにしても、日にっテレは久本ひさもと雅美まさみではなく、次つぎの10年ねん、20年ねんを見据みすえて指原さすはら莉乃に“ベット”したということでしょう、ちなみに、『ゼロイチ』のチーフプロデューサーには『ZIP！』や『ザ！鉄腕てつわん！DASH!!』を手てがけるクリエイターが入はいっています」（テレビ局てれびきょく関係かんけい者しゃ）

『ブランチ』に追おいつけない『ゼロイチ』

　王者おうじゃ・日にっテレが大改革だいかいかくに踏ふみ切きった裏うらには『王様おうさまのブランチ』（TBS系けい）の存在そんざいがある。同どう番組ばんぐみは、奇くしくも『メレンゲ』と同おなじ1996年ねん4月がつ6日にちにスタートした老舗しにせの情報じょうほうバラエティだ。初代しょだい司会しかいを務つとめたのは寺脇てらわき康文やすふみと田中たなか律子りつこ。その後ご、女性じょせい司会しかい者しゃはさとう珠緒たまお、優香ゆかと変かわり、本ほん仮屋かりやユイカ、新川しんかわ優ゆう愛あいをはさみ、現在げんざいは佐藤さとう栞里しおりへとバトンが引ひき継つがれている。男性だんせい司会しかい者しゃは、寺脇てらわきと同おなじ俳優はいゆうの谷原たにはら章介しょうすけが2代目だいめを務つとめた後のち、お笑わらい芸人げいにんのアンジャッシュ・渡部わたなべ建けんへ。変化へんかを恐おそれないキャスティングで、常つねに新あたらしさを追求ついきゅうしてきた。

「『ブランチ』は司会しかいの交代こうたいもドラスティックに断行だんこうしてきました。事情じじょうが若干じゃっかん違ちがいますが、昨年さくねんにはスキャンダルで活動かつどう休止きゅうしに追おい込こまれた渡部わたなべを降板こうばんさせています。また、番組ばんぐみに華はなを添そえる若手わかて女性じょせいタレントの“ブラン娘むすめ”、現在げんざいで言いうブランチリポーターも、25年間ねんかんで約やく100人にんが入いれ替かわっています。かつては坂下さかした千里子ちりこや“姫ひめ”として人気にんきを博はくしたはしのえみも輩出はいしゅつするなど、女性じょせいタレントの登竜門とうりゅうもんにもなっています」（芸能げいのうライター）

　この『ブランチ』が独占どくせんしてきたのが、F1（女性じょせい20～34歳さい）、F2（女性じょせい35～49歳さい）である。日にっテレとしては、その奪取だっしゅをもくろんで当代とうだいナンバー1女性じょせい司会しかい者しゃの指原さすはらを起用きようして殴なぐり込こみをかけたわけだが、その『ゼロイチ』の最近さいきんの視聴しちょう率りつはどうなのだろうか？

「5月がつ22日にちの『ゼロイチ』の第だい1部ぶ（10時じ30分ふん～11時じ45分ふん）は、世帯せたい5.0％（ビデオリサーチ調しらべ、関東かんとう地区ちく／以下いか同どう）、個人こじんは2.4％でした。対たいして『ブランチ』の第だい1部ぶ（9時じ30分ふん～11時じ45分ふん）は世帯せたい5.6％、個人こじん2.9％。世帯せたい・個人こじんともに『ブランチ』がやや有利ゆうりですが、『ゼロイチ』も決けっして戦たたかえていない視聴しちょう率りつではありません。

　続つづく『ゼロイチ』の第だい2部ぶ（11時じ55分ふん～13時じ25分ふん）は世帯せたい3.6％、個人こじん1.8％。対たいして『ブランチ』の第だい2部ぶ（11時じ59分ふん～14時じ）は世帯せたい4.8％、個人こじん2.6％と、こちらもやはり『ブランチ』が優勢ゆうせいです」（前出ぜんしゅつのテレビ局てれびきょく関係かんけい者しゃ）

『ゼロイチ』の差別さべつ化か戦略せんりゃくが不発ふはつ？

『ゼロイチ』はスタートしてまだ約やく2カ月かげつ。全体ぜんたい的てきな比較ひかくで見みると可かもなく不可ふかもなくといったところだが、世代せだい別べつではどうなのだろうか？

「世代せだい別べつとなると、やはり『ブランチ』が強つよいということがわかります。同おなじく5月がつ22日にちの『ブランチ』の第だい1部ぶのF1視聴しちょう率りつは3.0％、F2は3.8％、F3も4.7％と、各かく世代せだいで安定あんていして獲得かくとくしていますが、対たいして同日どうじつの『ゼロイチ』の第だい1部ぶのF1は1.7％、F2は1.6％、F3は3.5％となっています。この差さは、第だい2部ぶに移うつった後のちも変かわりません。ちなみに、男性だんせい視し聴者ちょうしゃも『ゼロイチ』にはほとんど見向みむきもせず、『ブランチ』にチャンネルを合あわせています」（同どう）

　この現状げんじょうを、どう評価ひょうかすればいいのだろうか？

「これは、ある意味いみ仕方しかたないところもあるでしょう。『ゼロイチ』の第だい1部ぶは『ゼロイチ経験けいけん旅たび』というコーナー名めいのもと、関東かんとう近郊きんこうの日帰ひがえり旅たび企画きかくが大半たいはんを占しめています。一方いっぽう、第だい2部ぶは『ゼロイチワードランキング』ということで、注目ちゅうもくしておくべきトレンドをランキング形式けいしきで紹介しょうかいしています。

　これを見みてわかるのが、『ブランチ』とは徹底的てっていてきに差別さべつ化かしているということです。たとえば、『ブランチ』なら阿部あべ寛ひろしや川口かわぐち春奈はるなといった放送ほうそう中ちゅうのドラマの俳優はいゆうが番ばん宣せんで来きたり、話題わだいの映画えいがや本ほんの紹介しょうかい、最近さいきん話題わだいのグルメスポットでのロケなどさまざまなコーナーが配置はいちされていますが、『ゼロイチ』はこうした“かぶり”を一切いっさい排除はいじょしているのです。

　似にたようなコーナーで同おなじ映画えいがや本ほんを紹介しょうかいするわけにはいかないですし、またドラマの出演しゅつえん者しゃをゲストで仕込しこむこともできますが、たとえば裏うらの『ブランチ』に同おなじ事務所じむしょの俳優はいゆうが出でていたら、生放送なまほうそうということもあり、何なにかと調整ちょうせいなども必要ひつようになってきます。日帰ひがえり旅たび企画きかくは『ブランチ』の第だい2部ぶで時々ときどきオンエアされていますが、基本きほん的てきには『ブランチ』にはないコーナーを展開てんかいするのが『ゼロイチ』の戦略せんりゃくのようです」（同どう）

　では、そんな『ゼロイチ』が『ブランチ』に勝かつための秘策ひさくはあるのだろうか？

「今いまのところは見みつかりません（笑）。『ブランチ』優位ゆういの状況じょうきょうについては、『ゼロイチ』に先行せんこうして朝あさ9時半じはんから始はじまっている点てんも大おおきいでしょう。特とくに『ブランチ』は、『ゼロイチ』が始はじまる10時半じはん前後ぜんこうに豪華ごうかな番ばん宣せんゲストをスタジオに登場とうじょうさせたりしています。業界ぎょうかいでは、ある番組ばんぐみの裏うらに似にたような番組ばんぐみをわざと当あてて、一方いっぽうをつぶす手法しゅほうが採とられたりしますが、今いまのところ『ゼロイチ』には『ブランチ』以上いじょうの魅力みりょくが見当みあたらない。指原さすはら1人ひとりの力ちからではどうにもならないということです」（同どう）

　しかし、数字すうじのためなら番組ばんぐみをどんどん進化しんかさせることで知しられるという日にっテレだけに、今後こんごは民放みんぽう王者おうじゃの意地いじをかけて同どう時間じかん帯たい1位いを貪欲どんよくに獲えりにいくに違ちがいない。

（文ぶん＝編集へんしゅう部ぶ）