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鈴木すずき祐司ゆうじ「メディアのいま、そして次世代じせだい

フジテレビがれんドラで快挙かいきょ反転はんてん攻勢こうせいか…カギにぎるバラエティは視聴しちょうりつトップ10りゼロ

ぶん鈴木すずき祐司ゆうじ次世代じせだいメディア研究所けんきゅうじょ代表だいひょう
フジテレビが連ドラで快挙、反転攻勢か…カギ握るバラエティは視聴率トップ10入りゼロの画像1フジテレビ本社ほんしゃビル(「wikipedia」より)

 このところフジテレビ元気げんきもどってきたと、もっぱら評判ひょうばんだ。ドラマについては、月曜げつようよる9だいの“つき9”がぜんいまクールと好評こうひょうだ。木曜もくようよる10だいいまクールは調子ちょうしい。とくりょうわくこんクールは4までの平均へいきんけたと、16ねんどうクール以来いらい快挙かいきょとなっている。

 昨年さくねん6がつ就任しゅうにん早々そうそう非常ひじょう事態じたい宣言せんげん”をした宮内みやうち正喜まさよし社長しゃちょうは、今年ことし7がつ定例ていれい会見かいけんで1ねんかえり、「かなら復活ふっかつするという手応てごたえをかんじた1ねんだった」と総括そうかつした。また編成へんせい担当たんとう石原いしはらたかし取締役とりしまりやくも、どう会見かいけんで「最近さいきん『フジのドラマおもしろいんじゃないの』というこえをちらほらく」とかたった。番組ばんぐみいきおいがていると、経営けいえいじん手応てごたえをかんじているようだ。

 しかし、その好調こうちょうぶりは本物ほんものだろうか。たしかに今年度こんねんどだい1四半期しはんき編成へんせいひょう全体ぜんたい視聴しちょうりつまりをかんじさせるものがある。各種かくしゅデータをまじえ、フジの反転はんてん攻勢こうせい可能かのうせい課題かだい検証けんしょうしてみたい。

つき9はそこち?

 フジを象徴しょうちょうする番組ばんぐみといえば、トレンディドラマでヒットをばしまくったつき9がさきおもかぶ。1990年代ねんだいなかばまでは視聴しちょうりつ20%ちょう(ビデオリサーチ調しらべ、関東かんとう地区ちく以下いかどう)がたりまえだったからだ。『東京とうきょうラブストーリー』『101かいのプロポーズ』『ひとつ屋根やねした』『あすなろ物語ものがたり』『ロングバケーション』と、だいヒットさく枚挙まいきょひまがない。とくに『ひとつ屋根やねした2』(ぜんはなし平均へいきん視聴しちょうりつ:27%)と『ラブジェネレーション』(どう30.8%)などで、つき9の年間ねんかん平均へいきん視聴しちょうりつ25%ちょう達成たっせいした97ねんは、連続れんぞくドラマのベスト4をつき9がすべて独占どくせんした空前絶後くうぜんぜつごの1ねんだった。

 しかしいきおいは、そのおとろえていく。2002ねん以降いこうつき9の年間ねんかん平均へいきんが20%をえなくなり、09ねん以降いこうは15%未満みまんつづくようになった。さらに16ねんには、年間ねんかん平均へいきんがついにいちけたにまでんでしまったのである。17ねんは『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急きんきゅう救命きゅうめい- THE THIRD SEASON』がぜんはなし平均へいきん14.8%と久々ひさびさいたが、18ねんふゆクールには『海月くらげひめ』がどう6.1%とつき9史上しじょう最低さいてい記録きろくすなど、トンネルの出口でぐちえない状況じょうきょうだったのである。

 ところがぜんクールの『コンフィデンスマンJP』はどう8.9%とけたにはとどかなかったものの、SNSじょうではかなり評判ひょうばんになった。そしてこんクールの『絶対ぜったいれい未然みぜん犯罪はんざい潜入せんにゅう捜査そうさ~』は、初回しょかいから4までの平均へいきんが10.6%。しかも3~4初回しょかいより数字すうじ上昇じょうしょうしている。「つき9復活ふっかつ」というこえはじめているほどだ。

フジテレビが連ドラで快挙、反転攻勢か…カギ握るバラエティは視聴率トップ10入りゼロの画像2

だったのしくなければテレビじゃない」

 つき9以外いがい10ドラマにもあかるいきざしがえてきた。昨年さくねんあきクールの『刑事けいじゆがみ』はエンタテインメントビジネス『コンフィデンス』が主催しゅさいする「コンフィデンスアワード・ドラマしょう」を受賞じゅしょうするなど、見応みごたえがあると評判ひょうばんになった。今年ことしふゆクールの『となり家族かぞくあおえる』も、にん治療ちりょう・LGBT・教育きょういくなど社会しゃかい問題もんだい対峙たいじした力作りきさくひょうされた。そしてはるクールの『モンテ・クリストはく-華麗かれいなる復讐ふくしゅう-』は、フランス古典こてん文学ぶんがくいど傑作けっさくほまたか出来できとなった。

 いずれもぜんはなし平均へいきん視聴しちょうりつこそ6%だい結果けっかはついてこなかった。それでも録画ろくが再生さいせい視聴しちょうりつ見逃みのが配信はいしんすう満足まんぞくなど、視聴しちょうりつ以外いがい指標しひょうではこう結果けっかし、大人おとなたのしめる本格ほんかくドラマとして、どうわく認知にんち評価ひょうか大幅おおはばげた。

 前述ぜんじゅつのとおり「最近さいきん『フジのドラマおもしろいんじゃないの』というこえをちらほらくようになった」と石原いしはら取締役とりしまりやくかたるが、これはつき9より10の貢献こうけんおおきかったとおもわれる。

 ドラマ以外いがいにも、“フジの可能かのうせい”をしめ番組ばんぐみてきていた。筆頭ひっとうはおひるおび番組ばんぐみバイキング』だ。32ねんつづいた『わらっていいとも!』の後継こうけい番組ばんぐみだが、当初とうしょは3%だい前半ぜんはん苦戦くせんした。やがて坂上さかがみしのぶ全日ぜんじつでMCをつとめるようになり、“ちょっとエッジのいた生活せいかつ情報じょうほうバラエティ番組ばんぐみ”をて“なまホンネトークバラエティ”として社会しゃかい問題もんだいげるようになり、数字すうじ徐々じょじょがりはじめた。

 16ねん後半こうはんには4%だいるようになり、17ねん後半こうはんには5%だいまできた。そして今年ことし6がつには6%前後ぜんこうで2しゅう連続れんぞく民放みんぽう横並よこならびトップをるところまで成長せいちょうした。かつて12ねん連続れんぞく三冠王さんかんおう時代じだいはじめにされたキャッチフレーズ「たのしくなければテレビじゃない」は、30ねんとき硬派こうは要素ようそ進化しんかはじめているようにえる。

編成へんせい全体ぜんたい風景ふうけい

 編成へんせいひょう全体ぜんたい見渡みわたしても、同局どうきょくにはあかるいきざしがすこはじめている。じつはフジは、1982ねんから12ねん連続れんぞく三冠王さんかんおうつづけたのちにっテレと30ねんちか首位しゅいあらそいをえんじてきた。ところが直近ちょっきん10ねん不調ふちょうつづいた。05年度ねんど視聴しちょうりつは、全日ぜんじつ9.5%・G(ゴールデン)おび14.3%・P(プライム)おび14.6%。追随ついずいゆるさないトップだったが、17年度ねんど全日ぜんじつ5.7%・Gおび7.8%・Pおび7.7%と、10ねんあまりで半減はんげんちかがりかたをしていた。

 ところが今年度こんねんどだい1四半期しはんきは、前年ぜんねん同期どうき全日ぜんじつ±0%・Gおび0.2%ぞう・Pおび0.2%ぞうと、ながつづいた減少げんしょう傾向けいこう歯止はどめをかけたのである。反転はんてん攻勢こうせいのスタート地点ちてんにようやくてた可能かのうせいがある。

フジテレビが連ドラで快挙、反転攻勢か…カギ握るバラエティは視聴率トップ10入りゼロの画像3

 昨年さくねん6がつにフジの社長しゃちょう就任しゅうにんした宮内みやうちは、社長しゃちょう内定ないてい会見かいけんで「現在げんざい低迷ていめいしているフジテレビ業績ぎょうせきげる、この1てんきると」と明言めいげんした。また1がつ今年ことし抱負ほうふかれたさいには、「4がつ改編かいへん、10月改編かいへん結果けっかさなくてはいけない勝負しょうぶ」とこたえた。その4月改編かいへん視聴しちょうりつ下落げらく歯止はどめをかけたわけで、今年ことし7がつの「かなら復活ふっかつするという手応てごたえをかんじた1ねんだった」との総括そうかつにつながったのである。

広告こうこく収入しゅうにゅう実態じったい

 ただし、不安ふあん材料ざいりょうはまだ完全かんぜん払拭ふっしょくされたわけではない。最大さいだい問題もんだい広告こうこく収入しゅうにゅう減少げんしょうだ。10ねん以上いじょうにわたり下落げらくつづけた視聴しちょうりつ影響えいきょうで、広告こうこく収入しゅうにゅう減少げんしょうつづいている。その下落げらくぶりは、2~3ねんいて視聴しちょうりつ広告こうこく収入しゅうにゅう反映はんえいしているようにえる。総額そうがくでは11年度ねんどの2481おくえんが、17年度ねんどに1907おくえんとなった。そのは574おくえんのぼり、ほぼ4ぶんの1をうしなった計算けいさんだ。

かなら復活ふっかつする」ためにちからそそいだ今春こんしゅん編成へんせい改訂かいてい結果けっかとしてだい1四半期しはんき視聴しちょうりつ微増びぞうてんじた。ところが広告こうこく収入しゅうにゅうは、前年ぜんねん同期どうきやく3おくえんげん比率ひりつにして0.6%の減少げんしょうとなった。フジ単体たんたい売上うりあげだかでも9000まんえんどう0.1%の減少げんしょうとなった。番組ばんぐみ制作せいさくやく12おくえん圧縮あっしゅくしたこともあり、営業えいぎょう利益りえきは16おくえんえているが、全体ぜんたい見渡みわたすとこう循環じゅんかんはいったとまではれない。

 ちなみに同局どうきょくは17年度ねんど決算けっさん発表はっぴょうで、18年度ねんど通期つうき広告こうこく収入しゅうにゅう見通みとおしをたい前年ぜんねん61おくえん、3.2%のマイナスと予想よそうしていた。ところが視聴しちょうりつ微増びぞうしただい1四半期しはんき決算けっさんでも、その予想よそういた。つまり状況じょうきょう一挙いっきょ改善かいぜんかうとまでは楽観らっかんしていないようだ。

フジテレビが連ドラで快挙、反転攻勢か…カギ握るバラエティは視聴率トップ10入りゼロの画像4

課題かだい解決かいけつ今後こんご次第しだい

 ドラマがくなるなど雰囲気ふんいきくなっているものの、依然いぜんとして課題かだいのこる。最大さいだい問題もんだいよるたいのバラエティ番組ばんぐみだ。フジのGPたい日曜にちようよる10報道ほうどう情報じょうほう番組ばんぐみがあるほかは、ドラマが3わくで、のこりすべてがバラエティだ。その意味いみ同局どうきょく浮上ふじょうする最大さいだい要因よういんは、バラエティにかかっている。

 ところが過去かこなんねんも、そのバラエティで苦戦くせんしてきた。たとえばビデオリサーチが発表はっぴょうする週間しゅうかんだか視聴しちょうりつ番組ばんぐみ10のバラエティ部門ぶもん。ここすうねんにっテレが6わり以上いじょうめることがおおい。しかもその比率ひりつ年々ねんねんたかまっている。17年度ねんど全体ぜんたい529番組ばんぐみのうち、にっテレは400番組ばんぐみ、76%をめた。『世界せかいてまでイッテQ!』『ザ!鉄腕てつわん!DASH!!』などの日曜にちよう番組ばんぐみがベスト10の常連じょうれんで、ほかに『おどる!さんま御殿ごてん!!』『人生じんせいわる1分間ふんかんふかイイばなし』など、10%だいなかばをとる番組ばんぐみ目白押めじろおし。独走どくそう態勢たいせいはますます強固きょうこになっていた。

 一方いっぽう、フジはベスト10にランクインした前年度ぜんねんど番組ばんぐみは6ほんしかなかった。トップのにっテレはとおおよばず、TBSの75ほん、NHKの30ほんテレビ朝日てれびあさひの18ほんにもおおきくみずをあけられていた。占有せんゆうりつは1%ほどにすぎない。しかもその大半たいはんは、『AKB48選抜せんばつそう選挙せんきょ』や『27あいだテレビ』などの特別とくべつ番組ばんぐみで、レギュラーがほとんどない。いかにバラエティの基礎きそ体力たいりょくちているかがわかるデータだ。

 今年度こんねんどだい1四半期しはんきもパッとしない。バラエティのベスト10のなかに前年ぜんねん同期どうきは1ほんあったが、今期こんきはゼロにわってしまった。ドラマや『バイキング』など、てんとしては元気げんきてきたフジ。問題もんだいはそのてんせんにつなげ、編成へんせいひょう全体ぜんたいめん波及はきゅうしていけるかかだろう。そのためには、にっテレはうにおよばず、TBSやテレ朝てれあさにもおくれをとってしまったバラエティ番組ばんぐみなおしが急務きゅうむだろう。

たのしくなければテレビじゃない」になにくわえて付加ふか価値かちたかめていくのか。フジの知恵ちえ実行じっこうりょく期待きたいしたい。
ぶん鈴木すずき祐司ゆうじ次世代じせだいメディア研究所けんきゅうじょ代表だいひょう

鈴木祐司/メディアアナリスト、次世代メディア研究所代表

鈴木すずき祐司ゆうじ/メディアアナリスト、次世代じせだいメディア研究所けんきゅうじょ代表だいひょう

東京大学とうきょうだいがく文学部ぶんがくぶ卒業そつぎょうにNHK入局にゅうきょく。ドキュメンタリー番組ばんぐみなどの制作せいさくのち放送ほうそう文化ぶんか研究所けんきゅうじょ解説かいせつ委員いいんしつ編成へんせい、Nスペ事務じむきょくて2014ねんより現職げんしょく。メディアのおくしゅ・コンテンツ・がどう変化へんかしていくのかを取材しゅざい分析ぶんせきとく既存きそんメディアと新興しんこうメディアがどう連携れんけいしていくのかに関心かんしんつ。代表だいひょうさくにテレビ60周年しゅうねん特集とくしゅう「1000にんかんがえるテレビ ミライ」、放送ほうそう記念きねん特集とくしゅう「テレビ 60ねんいかけ」など。オンラインフォーラムやヤフー個人こじんでも発信はっしんちゅう
次世代じせだいメディア研究所けんきゅうじょのHP

Twitter:@ysgenko

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