拮抗きっこうするスタバとドトール、意外いがいに多おおい共通きょうつう点てんとは？出発しゅっぱつ点てんやコンセプト、店みせづくり…

「スターバックス コーヒー ジャパン HP」より

「現象げんしょうの裏うらにある本質ほんしつを描えがく」をモットーに、「企業きぎょう経営けいえい」「ビジネス現場げんばとヒト」をテーマにした企画きかくや著作ちょさくも多数たすうあるジャーナリスト・経営けいえいコンサルタントの高井たかい尚之なおゆき氏しが、経営けいえい側がわだけでなく、商品しょうひんの製作せいさく現場げんばレベルの視点してんを織おり交まぜて人気にんき商品しょうひんの裏側うらがわを解説かいせつする。

　ここ数すう年ねんのコーヒーブームなどを背景はいけいに、競争きょうそうが激化げきかする一方いっぽうのカフェ・喫茶店きっさてん市場いちば。一般いっぱん的てきに、カフェと喫茶店きっさてんは明確めいかくに区分くぶんされていない。店名てんめいは店主てんしゅの好このみによって、現代げんだい性せいを前面ぜんめんに出だしたい場合ばあいはカフェ、古ふるき良よき雰囲気ふんいきを打うち出だしたい場合ばあいは喫茶きっさとつけられる傾向けいこうにあるようだ。

　カフェという言葉ことばが一般いっぱんに浸透しんとうしたのは2000年ねん頃ごろに起おきた「東京とうきょうカフェブーム」からなので、昭和しょうわ時代じだいにできた個人こじん店てんの多おおくは喫茶店きっさてんだ。それもあって、総務そうむ省しょう調査ちょうさなど各種かくしゅの統計とうけい資料しりょうでも現在げんざいに至いたるまで、「喫茶店きっさてん数すう」「喫茶きっさ代だい」などと「喫茶きっさ」という文言もんごんが用もちいられる。

　しかし、業態ぎょうたいとして区別くべつされることはある。「フルサービスの喫茶店きっさてん」と「セルフカフェ」だ。前者ぜんしゃは、店員てんいんが注文ちゅうもんを取とりにきて飲食いんしょく物ぶつも運はこんでくれる店みせ。後者こうしゃは、自分じぶんで注文ちゅうもんをして飲食いんしょく物ぶつも自分じぶんで運はこぶ店みせだ。特とくに繁華はんか街がいやビジネス街がいでは後者こうしゃが目立めだっている。

　こうした前提ぜんていの上うえで紹介しょうかいしたいのが、セルフカフェの2強きょうである「スターバックスコーヒー」（スタバ）と「ドトールコーヒー」（ドトール）だ。

●売上うりあげ高だかではスタバが圧勝あっしょう

　現在げんざいの国内こくない店舗てんぽ数すうはドトールが1095店てん（14年ねん5月がつ末まつ現在げんざい）、スタバは1034店てん（14年ねん3月がつ末まつ現在げんざい）と、まだ店舗てんぽ数すうはドトールのほうが多おおい。

　外食がいしょく産業さんぎょうで1000店てんというのは、メガブランドの指標しひょうの一ひとつといえる。「マクドナルド」「ケンタッキーフライドチキン」「吉野家よしのや」などがこれに当あたり、全国ぜんこく各地かくちで見みかけるおなじみの店みせといえる。

　店舗てんぽ数すうに「まだ」をつけたのには理由りゆうがある。ドトールの1号ごう店てんが1980年ねん開業かいぎょうなのに対たいして、スタバが日本にっぽん1号ごう店てんを開業かいぎょうしたのは96年ねんで、16年ねん後ごに店みせを展開てんかいし始はじめたのにもかかわらず、ここまで追おいついたのだ。

　すでに売上うりあげ高だかではスタバが1256億おく6600万まん円えん（14年ねん3月がつ期き）、ドトールがグループ全体ぜんたいで734億おく9500万まん円えん（同どう2月がつ期き）と、大差たいさがついている。店舗てんぽ数すうに比くらべて売上うりあげ高だかでスタバが大おおきく上回うわまわっているのは、スタバが基本きほんは直営店ちょくえいてんで運営うんえいするのに対たいして、ドトールは大半たいはんの店舗てんぽがフランチャイズ店てんであるという面めんが影響えいきょうしている。

　ちなみにスタバは1ブランドで展開てんかいするが、ドトールは「エクセルシオール カフェ」や「カフェコロラド」など、複数ふくすうブランドで展開てんかいしている。エクセルシオールは100店舗てんぽを超こえており、コロラドの1号ごう店てんは72年ねんにフルサービスの喫茶店きっさてんとして開業かいぎょう。ここで得えた運営うんえいノウハウが、セルフカフェのドトールに結むすびついた。