歯は周しゅう病びょうの治療ちりょうが全身ぜんしんの病気びょうき予防よぼうになる？医療いりょう費ひ削減さくげんの切きり札ふだは歯科しか医い！

歯科しか医院いいんが医療いりょう費ひ削減さくげんを担になう（depositphotos.com）

　歯科しか医院いいんといえば、むし歯ばの治療ちりょうをしてもらったり、入いれ歯ばをつくってもらうところだと、大概たいがいの人ひとは思おもっているだろう。

　ところが近年きんねんは、歯は周しゅう病びょうとさまざまな内科ないか的てきな病気びょうきとの関連かんれんが注目ちゅうもくされ研究けんきゅうが進すすんでおり、歯科しか医院いいんが生活せいかつ習慣しゅうかん病びょうなどの予防よぼう医療いりょうに大おおきな役目やくめを担になえるのではないかと期待きたいされている。なかでも「糖尿とうにょう病びょう」との関連かんれんは強つよく、「歯は周しゅう病びょう治療ちりょうにより高こう血糖けっとうが改善かいぜんする」という報告ほうこくが数多かずおおくあげられている。

　歯は周しゅう病びょうは慢性まんせいの感染かんせん症しょうで、その細菌さいきんが血液けつえき中ちゅうに入いり込こめば、特とくに心臓しんぞうや脳のう、子宮しきゅうなどでの炎症えんしょうを引ひき起おこすおそれがあり、唾液だえきに混まじって気道きどうに流ながれ込こめば肺炎はいえんを引ひき起おこす可能かのう性せいもある。

　そうした全身ぜんしんのさまざまな病気びょうきを予防よぼうするという意味いみで、歯は周しゅう病びょうの治療ちりょうや予防よぼうが果はたす役割やくわりは大おおきいのだ。

歯科しか医いと内科ないか医いの連携れんけいを模索もさく

　このことを歯科しか医師いしの共通きょうつうの認識にんしきとすべく、セミナーやイベント、執筆しっぴつなどを通つうじて問といかけている歯科しか医いのひとりが、日本にっぽんアンチエイジング歯科しか学会がっかい会長かいちょうの松尾まつお通とおる氏しだ。歯科しか医いと内科ないか医いの連携れんけいを模索もさくしている。

　特とくに糖尿とうにょう病びょう専門医せんもんいである西田にしだ亙わた氏しを招まねいた講演こうえん会かいを歯科しか界かいで積極せっきょく的てきに開催かいさいし、「口腔こうくうケアから、糖尿とうにょう病びょうの予防よぼうと治療ちりょう」を推進すいしんしている。西田にしだ氏しは糖尿とうにょう病びょう専門医せんもんいでありながら、自身じしんの医院いいんで患者かんじゃに歯はブラシを勧すすめている。

　加くわえて推奨すいしょうしているのが「ラクトバチルス・ロイテリ菌きん」という乳酸菌にゅうさんきんだ。一般いっぱん的てきに乳酸菌にゅうさんきんといえば、腸ちょう内ないフローラを改善かいぜんする目的もくてきで摂とるものと考かんがえるが、そればかりではなく口内こうないの環境かんきょう改善かいぜんにも働はたらき、その殺菌さっきん作用さようで炎症えんしょうを抑制よくせいしてむし歯ばや歯は周しゅう病びょう、口臭こうしゅうなどの予防よぼうと改善かいぜんに一役ひとやく買かうという。

無駄むだな医療いりょう費ひを削減さくげんするために歯科しか医いができること

　松尾まつお氏しによると、これまで国くにが目指めざしてきた健康けんこう長寿ちょうじゅにおける歯科しかの目標もくひょうは「80歳さいになっても20本ほん以上いじょう自分じぶんの歯はを保たもとう」という「8020（ハチマルニイマル）運動うんどう」だったが、このメッセージはすでに行いき渡わたっているので、これからは機能きのう面めんに目めを向むけた新あたらしい活動かつどう方針ほうしんをスタートさせなければならないという。

　それが口腔こうくう機能きのうに栄養えいようや運動うんどうなどの「生活せいかつ管理かんりを加味かみした疾病しっぺい予防よぼうの複ふく合あいメニューの開発かいはつ」である。

「歯科しかには、ほかの診療しんりょう科かにはないいくつかのメリットがあります。ひとつは、クリーニングや矯正きょうせいなどの病気びょうきでない方ほうも来院らいいんするということ、2つ目めは、通院つういん頻度ひんどが高たかく対面たいめん時間じかんも長ながいので、生活せいかつ習慣しゅうかん病びょうの予兆よちょうを発見はっけんできるチャンスや予防よぼうのためのアドバイスをする機会きかいがあるということ、また食事しょくじや栄養えいようについての指導しどうを行おこないやすいということです」

　健康けんこうな歯はを維持いじし、口腔こうくう機能きのうを低下ていかさせないことが、食たべることの機能きのうを維持いじするだけでなく、さまざまな病気びょうきの予防よぼうとも関かかわり健康けんこう長寿ちょうじゅをかなえる――。それを理解りかいすれば、私わたしたち患者かんじゃも、もう少すこし積極せっきょく的てきに歯科しか検診けんしんを受うけるべきだと思おもうだろう。

　政府せいふは6月がつ9日にちの臨時りんじ閣議かくぎで、国家こっか経営けいえいの基本きほん方針ほうしんとなる「骨太ほねぶとの方針ほうしん」の「健康けんこう増進ぞうしん・予防よぼうの推進すいしん」において、「口腔こうくうの健康けんこうは全身ぜんしんの健康けんこうにもつながることから、生涯しょうがいを通つうじた歯科しか健診けんしんの充実じゅうじつ、入院にゅういん患者かんじゃや要よう介護かいご者しゃに対たいする口腔こうくう機能きのう管理かんりの推進すいしんなど歯科しか保健ほけん医療いりょうの充実じゅうじつに取とり組くむ」という文言もんごんを明記めいきした。

　この方針ほうしんに則のっとって、今後こんご、無駄むだな医療いりょう費ひを削減さくげんするために歯科しか医いが力量りきりょうを発揮はっきしてくれることを期待きたいしたい。
（文ぶん＝後藤ごとう典子のりこ）

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