東京とうきょう都心としんで堪能たんのうできる「常識じょうしき」覆くつがえす魚さかな化石かせきの数々かずかず…珍奇ちんきな「ぐるぐる巻まきの歯は」の謎なぞ

　いったいなぜ、歯はがぐるぐる巻まきなのか。どのように顎あごについていたのか。研究けんきゅう者しゃは1世紀せいき以上いじょうにわたって議論ぎろんを続つづけてきた。歯はの形かたちから、軟骨なんこつ魚類ぎょるい（サメやエイ、ギンザメなどの仲間なかま）であることはわかったものの、この歯はの持もち主ぬしをどのように復元ふくげんしたらいいのかについては諸説しょせつが入いり乱みだれてきた。

　そんな珍奇ちんきなヘリコプリオンの実物じつぶつ化石かせきが展示てんじされている。しかも、標本ひょうほんの状態じょうたいが良よく、大おおきな欠かけなどは見みられない。「これが私わたしのお気きに入いりですね」と宮田みやた氏しは言いう。形かたちの謎なぞで来館らいかん者しゃを惹ひきつけ、そして話はなしが膨ふくらむ。化石かせきには、大だいなり小しょうなりそうした“楽たのしみ”が内含ないがんされている。大石おおいし化石かせきギャラリーにおいては、ヘリコプリオンの化石かせきが、まさにその「楽たのしみの代表だいひょう」ともいえる存在そんざいとのことだ。

　さて、本ほん記事きじではヘリコプリオンの写真しゃしんだけを掲載けいさいし、その先さきの情報じょうほうについてはあえて伏ふせておこう。大石おおいし化石かせきギャラリーには復元ふくげん画がが展示てんじされているので、来館らいかんの際さいにはぜひ確認かくにんしていただきたい。

「大石おおいし化石かせきギャラリーにはなかなか行いけないけれど、気きになる！」という方ほうは、拙著せっちょの宣伝せんでんで恐縮きょうしゅくではあるが、『石炭せきたん紀き・ペルム紀きの生物せいぶつ』（技術評論社ぎじゅつひょうろんしゃ）をご覧らんいただきたい。

　ちなみに、ヘリコプリオンはサンタナ層そう産さんではない。大石おおいし化石かせきギャラリーには、サンタナ層そう以外いがいの世界せかいの地層ちそうから発見はっけんされた化石かせきも数多かずおおく展示てんじされている。産地さんちをチェックしながら展示てんじを比較ひかくすると、新あらたな発見はっけんがあるかもしれない。

　また、大石おおいし化石かせきギャラリーでは希望きぼう者しゃはいつでも学芸がくげい員いんの宮田みやた氏しによる解説かいせつを聞きくことができる。専門せんもん家かによる見みどころなどを聞ききたい場合ばあいは、受付うけつけでその旨むねを告つげれば対応たいおうしてくれる。前述ぜんじゅつしたように不在ふざいの場合ばあいもあるが、基本きほん的てきに予約よやくは不要ふようだ。

　そのほかにも、「見みて、触さわって、考かんがえる」をコンセプトとした数すう多おおくのワークショップも開催かいさいしている。ワークショップの情報じょうほうは公式こうしきウェブサイトでも確認かくにんすることができ、常時じょうじ受うけ付つけているものもあるという。こちらも、遠慮えんりょなく問とい合あわせてみてほしい。

　魚さかな化石かせきを十分じゅうぶんに堪能たんのうした後のちは、受付うけつけで販売はんばいしている落雁らくがんをおみやげにいかがだろう。シーラカンスとアンモナイトを模もしたそれは、ほかではなかなか見みられないものだ。

　入場にゅうじょうは無料むりょう。静しずかな空間くうかんの博物館はくぶつかんである。仕事しごとなどで近ちかくに来きたときには、ぜひ寄よってみてほしい。もちろん、ご家族かぞくでの来館らいかんもオススメである。
（文ぶん＝土屋つちや健けん／オフィス ジオパレオント代表だいひょう、サイエンスライター）

●「城西大学じょうさいだいがく水田すいでん記念きねん博物館はくぶつかん大石おおいし化石かせきギャラリー」

【参考さんこう文献ぶんけん】
『世界せかいの化石かせき遺産いさん』（著ちょ：P. A. セルデン, J. R. ナッズ，2009年ねん刊行かんこう，朝倉書店あさくらしょてん）

『石炭せきたん紀き・ペルム紀きの生物せいぶつ』（監修かんしゅう：群馬ぐんま県立けんりつ自然しぜん史し博物館はくぶつかん，著ちょ：土屋つちや 健けん，2014年ねん刊行かんこう，技術評論社ぎじゅつひょうろんしゃ）

『白はく亜紀あきの生物せいぶつ 下巻げかん』（監修かんしゅう：群馬ぐんま県立けんりつ自然しぜん史し博物館はくぶつかん，著ちょ：土屋つちや 健けん，2015年ねん刊行かんこう，技術評論社ぎじゅつひょうろんしゃ）