英会話えいかいわ重視じゅうしの英語えいご教育きょういく、子こどもの英語えいご力りょくが極端きょくたんに低下ていか…無口むくちで高こう学力がくりょくの学生がくせいが大学だいがく入試にゅうし不ふ合格ごうかく

「Gettyimages」より

なぜ入試にゅうしで英会話えいかいわ能力のうりょくが問とわれなければならないのか

　大学だいがく入試にゅうしで英会話えいかいわ能力のうりょくが重視じゅうしされるようになっているが、2020年度ねんどからはこれまで問とわれなかったスピーキングの能力のうりょくまでが問とわれることが決きまり、これからは英語えいごでのコミュニケーション能力のうりょくを子こどものうちから磨みがいていく必要ひつようがある、などと言いわれ、英会話えいかいわ熱ねつがますます高たかまっている。

　新あらたな大学だいがく入試にゅうしに備そなえ、英語えいごのスピーチ入試にゅうしなど英会話えいかいわ能力のうりょくを入試にゅうしで重視じゅうしする中学ちゅうがくや高校こうこうも出でてきているという。

　その類るいの報道ほうどうに接せっするたびに、何なにかおかしいのではないかと、違和感いわかんを拭ぬぐえない。なぜなら、英会話えいかいわができるかどうか、上手じょうずかどうかは、学力がくりょくにまったく関係かんけいないからだ。なぜ学力がくりょくと無関係むかんけいの能力のうりょくが入試にゅうしで問とわれるのか。それが理解りかいできない。

『その「英語えいご」が子こどもをダメにする』（榎本えのもと博明ひろあき／青春せいしゅん新書しんしょINTELLIGENCE）

　英会話えいかいわの能力のうりょくが学力がくりょくと関係かんけいないというと、怪訝けげんな顔かおをする人ひとがいる。でも、日本語にほんごで考かんがえれば、すぐにわかるはずだ。日本語にほんごがペラペラな子こは勉強べんきょうができる子こだといえるだろうか。

　3～4歳さいにもなれば、みんな日本語にほんごがペラペラになる。うるさいくらいに饒舌じょうぜつにしゃべる。だからといって学力がくりょくが高たかいと思おもう人ひとはいないだろう。ただおしゃべりができるというだけのことだ。

　英語えいご圏けんに生うまれ育そだてば、3～4歳さいで英語えいごがペラペラになる。日本にっぽんで生うまれ育そだてば、同おなじく3～4歳さいで日本語にほんごがペラペラになる。ただそれだけのことにすぎない。別べつに頭あたまの良よし悪あし、勉強べんきょうができるできないに関係かんけいない。

　学校がっこう時代じだいを振ふり返かえってみよう。おしゃべりな子こが必かならずしも国語こくごの成績せいせきが良よかったわけではないだろう。逆ぎゃくに、無口むくちで、人ひととしゃべるのが苦手にがてでも、国語こくごの成績せいせきが抜群ばつぐんに良よい子こもいたはずだ。それもそのはず。会話かいわが得意とくいかどうかは学力がくりょくとは無関係むかんけいなのだから。

　それなのに大学だいがく入試にゅうしで英会話えいかいわ能力のうりょくが問とわれる。おかしくないだろうか。

学力がくりょく以外いがいの能力のうりょくを問とうなら、もっと多様たような試験しけんにすべきでは

　英会話えいかいわ能力のうりょくが大学だいがく入試にゅうしで問とわれる。学力がくりょくと何なにも関係かんけいないのに、ただおしゃべりが上手じょうずにできるかどうかを入学にゅうがく試験しけんの成績せいせきに算入さんにゅうするわけである。

　そんなことをするなら、英会話えいかいわ能力のうりょくに限かぎらずあらゆる能力のうりょくを入試にゅうしの成績せいせきに算入さんにゅうすべきではないのか。

　たとえば、イラストを上手じょうずに描えがく能力のうりょく、ギターで弾ひき語がたりをする能力のうりょく、天体てんたい観測かんそくの能力のうりょく、マウンテンバイクの運転うんてん能力のうりょくとか、能力のうりょくにはいろいろあるだろう。学力がくりょくと関係かんけいない能力のうりょくを評価ひょうかする入試にゅうしとして一芸いちげいに秀ひいでた人物じんぶつ評価ひょうかも行おこなわれているが、英会話えいかいわ能力のうりょくを他たの学業がくぎょう成績せいせきと同おなじように扱あつかうのなら、これらの能力のうりょくだって学業がくぎょう成績せいせきに組くみ込こんでもいいだろう。本来ほんらい学力がくりょくと関係かんけいない能力のうりょくを学業がくぎょう成績せいせきに組くみ込こむということでは同おなじなのだから。