心しんを休やすませる「マイクロ・レジリエンス」実践じっせん編へん（1）

『心しんを休やすませるために今日きょうできる5つのこと』（集英社しゅうえいしゃ／ボニー・セント・ジョン、アレン・P・ヘインズ著ちょ、三浦みうら和子かずこ訳やく）

　忙いそがしい日々ひびのなかで、自分じぶんのパフォーマンスが下さがりがちだと感かんじたり、いまいち調子ちょうしが出でていないと実感じっかんしたりすることがある。

　労働ろうどうによるアウトプットの基準きじゅんは大おおきく変化へんかしてきている。「どれだけ長ながく働はたらいたか」よりも「どれだけ効率こうりつ的てきに大おおきな成果せいかを上あげられたか」が重視じゅうしされるようになっているのだ。では、そうした時代じだいのなかで、常つねに生産せいさん的てきでハイパフォーマンスを出だせる人間にんげんになるには、どうすればいいのだろうか。

『心しんを休やすませるために今日きょうできる5つのこと』（集英社しゅうえいしゃ／ボニー・セント・ジョン、アレン・P・ヘインズ著ちょ、三浦みうら和子かずこ訳やく）では、その秘訣ひけつを「日々ひびのなかのこまめな回復かいふく」だと指摘してきしている。トップスポーツ選手せんしゅも、プレーとプレーの合間あいまにこまめな回復かいふくを実践じっせんし、自分じぶんのパフォーマンスが落おちないようにしているというのだ。そして、これはビジネスの現場げんばでも応用おうようできるものである。

　では、「こまめな回復かいふく」とは、いったいどのようなものなのだろうか。それには、以下いかの5つの要素ようそがある。

1.脳のうの使つかい方かたを切きり替かえる（リフォーカス）
2.原始げんし的てきな恐怖きょうふをリセットする（リセット）
3.思考しこうのクセを見直みなおす（リフレーム）
4.体からだをリフレッシュする（リフレッシュ）
5.心しんを活性かっせい化かする（リニュー）

　今回こんかいは、このなかから「1.脳のうの使つかい方かたを切きり替かえる（リフォーカス）」「2.原始げんし的てきな恐怖きょうふをリセットする（リセット）」をピックアップし、その方法ほうほうを紹介しょうかいしていこう。

脳のうの使つかい方かたを切きり替かえる（リフォーカス）

（1）ゾーンをつくる

　ほとんどのマルチタスクは活力かつりょくを奪うばって効率こうりつを低下ていかさせ、正確せいかく性せいや創造そうぞう力りょく、仕事しごとの質しつを損そこなわせる。一般いっぱん的てきな職場しょくばには、メール、同僚どうりょうの会話かいわ、予想よそう外がいの緊急きんきゅう事態じたいなど、気きを散ちらすものがあふれているため、これらを避さけなければいけない。

　そのために必要ひつようなのが、ほかの人ひとが邪魔じゃまできない空間くうかんの「ゾーン」をつくりだすことだ。「集中しゅうちゅうしているので邪魔じゃまをしないでほしい」というシグナルを決きめて（共有きょうゆうする予定よてい表ひょうに書かき込こんでしまってもいい）、同僚どうりょうに知しらせる。着信ちゃくしん音おんや通知つうち音おんはオフにし、集中しゅうちゅうできる環境かんきょうをつくるのである。

『心しんを休やすませるために今日きょうできる5つのこと』（集英社しゅうえいしゃ／ボニー・セント・ジョン、アレン・P・ヘインズ著ちょ、三浦みうら和子かずこ訳やく）

　情報処理じょうほうしょりもまた、脳のうの重荷おもにになる。そこで使つかうべき手法しゅほうが、メモやノート、ホワイトボードなどを使つかってアイデアを図ずにして表あらわすというものである。人ひとはすべてを覚おぼえておくことができない。どんどん新あたらしいことを思おもいつき、それを実践じっせんしていくためには、外そとに出だすことが重要じゅうようだ。

　メモの書かき込こみはスマートフォンで撮影さつえいし、記録きろくとして残のこすことがベターだが、もし記録きろくを残のこしておかなくても、メモを取とるプロセスによって思考しこうの質しつが向上こうじょうするという。

（3）決断けつだんの切きり替かえ

　日々ひびは決断けつだんの連続れんぞくだが、「時間じかんがたつにつれて、その決断けつだんの質しつは落おちていくもの」だと本書ほんしょの著者ちょしゃは語かたる。変かえるとするならば、決断けつだんするタイミングだ。重要じゅうような決断けつだんを下くだすのであれば、朝あさ早はやく。もしくは、ポジティブな感情かんじょうを高たかめてからにすることをすすめる。

　また、「決断けつだん疲づかれ」は貴重きちょうな知力ちりょくを浪費ろうひする大おおきな要素ようそでもあるので、「疲つかれている」と感かんじるときは、意思いし決定けっていの回数かいすうを減へらすように努つとめることが大事だいじだ。