ド派手なポップや、うず高く積み上げられた、まるでジャングルのようなレイアウトなど、独自の戦略で消費者を惹きつける総合ディスカウントストア、ドン・キホーテ。「情熱価格」は、そんなドンキのプライベートブランドとして、長年同社を支えてきた存在だ。
しかし、ドンキを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスは2021年2月、安さを第一に追求していたこれまでの商品開発の姿勢を反省し、「情熱価格」をリニューアルさせると発表。同時に、顧客と一緒に商品をつくり上げていく“ピープルブランド”という意味での“PB”を目指していくことを表明した。またその際、顧客の声を聞くためのプラットフォームとして、公式サイト「ダメ出しの殿堂」を開設している。
それから1年弱。意識の変化が商品に反映されるのに時間がかかっているのかもしれないが、いまだに「情熱価格」の商品のなかには、消費者からの不満の声が聞こえてくるものもある。そこで、今回はドンキの“この冬、買うなら要注意”な商品を5つ紹介しよう。
情熱価格PLUS 豆乳全身化粧水/767円(税込、以下同)
実は「情熱価格」はコスメグッズも充実している。なかでも「情熱価格PLUS 豆乳全身化粧水」は消費者からの評価も良く、インターネット上では「大容量でバシャバシャ使えて、助かります」「しっとり感があり量もたっぷりで、とても気に入っています」など、ポジティブな口コミが多く集まっている。しかし、一点注意すべきことがあるのだ。
それは、女性誌やクチコミサイトのベストコスメ賞を受賞した実績もある、サナ「なめらか本舗 豆乳イソフラボン」シリーズにパッケージが酷似しているという点。
ひとつずつ確認していこう。サナ「なめらか本舗 豆乳イソフラボン」のパッケージを見ると、白をベースに大豆を思わせるクリーム色のデザインがあしらわれ、黒い文字で“豆乳イソフラボン”と書かれている。一方の「情熱価格PLUS 豆乳全身化粧水」はというと、白いベースに、同じく大豆を思わせるやや濃いめのクリーム色のデザインがあしらわれ、黒い文字で“豆乳イソフラボン”と書かれているのだ。
両者を並べてみると、まったく同じではないことがわかるが、パッケージをなんとなく記憶しているだけでは、店頭で間違って購入してしまう可能性も十分にあるだろう。ただ、「情熱価格PLUS 豆乳全身化粧水」自体は評判も悪くないので、サナ「なめらか本舗 豆乳イソフラボン」シリーズとは別物であることを理解したうえで購入する分には、アリな商品といえるだろう。
鮭フレーク/305円
日用品、雑貨など、さまざまなジャンルの自社製品をラインナップしている「情熱価格」のなかでも、主力のひとつとなっているのが食料品だ。ドンキの店内は多くの場合、地下1階が食料品売り場になっているが、そのなかには「情熱価格」の商品も高い割合で含まれている。
今回紹介する「鮭フレーク」も、そのうちのひとつだ。からふとますを使用した鮭フレーク150gが瓶に入ったこの商品は、保存も楽なうえにいろいろな料理に使える“扱いやすさ”が魅力。しかし、その味については否定的な意見も聞こえてくる。
実際に購入し、ごはんに軽く盛り付けていただいてみると、その塩辛さに驚く。“ごはんが進む”とい換えられるレベルではなく、ごはんと一緒でも食べ進めるのに少々苦労するほど塩味の主張が強い。かなりしょっぱい味付けが好きな人であれば問題ないのかもしれないが、ほどよい塩気と素朴な味わいを求めている人にはマッチしなさそうだ。
豊かな泡立ちのボディタオル ハードタイプ/328円
お風呂で体を洗うためのボディタオルは、使う人によってこだわりや好みがわかれる衛生用品。しかし、泡立ちの良さは多くの人が重視したいポイントではないだろうか。
「情熱価格」から販売されている「豊かな泡立ちのボディタオル ハードタイプ」も、そんなニーズを察知してか、泡立ちの良さをアピールしたボディタオルだ。しかし、実際に使ってみたところ、そのネーミングと実力にはややギャップがあるように感じた。
一度水分を含ませて絞ったボディタオルにボディソープを垂らして揉み込んでみたが、この段階ではなかなか泡立たなかった。その後、15秒ほど根気よく続けると、確かに濃密な泡は生まれてきたが、そのボリュームはいまひとつ。正直、“豊かな泡立ち”を謳うにはやや、実力が不足しているように感じられた。
だが、硬めのボディタオルが背中にガシガシと当たる感覚は爽快だし、299円という手を出しやすい価格もありがたい。泡立ちに過度な期待さえしなければ、十分にアリな商品かもしれない。
減塩 かに風味かまぼこ/96円
さまざまな料理で活躍してくれ、皿に彩りも与えてくれる“縁の下の力持ち”的食材のカニカマ。実は、「情熱価格」からも「減塩 かに風味かまぼこ」がラインナップされており、スーパーと比較しても低価格で販売されている。
だが、その味についてはユーザーから少なからず不満の声が上がっている。実際に店舗で手に取ってみたが、パッケージはスーパーで販売されている一般的なカニカマと大差なく、アンダー100円という低価格でも10本入りなので、この段階では問題は感じられない。
しかし1本食べてみると、すぐに不評の声があがる理由が理解できた。全体的に味が薄く、特に肝心のカニの風味がほとんど感じられないのだ。その味わいはカニカマではなく、もはやただのかまぼこ。いや、かまぼこにしてもかなり薄味な印象だった。減塩を重視した結果、この仕上がりになったのだと推察するが、しっかりとカニの風味を感じたいという人は、他社の製品を選んだほうが賢明だろう。
今回はドン・キホーテのこの冬“要注意”な商品を5つ紹介してきた。しかし、これら“要注意”商品も購入者のニーズに合致すれば、十分に実力を発揮してくれる可能性はある。そのため、自分なりの価値基準や指針を持ち、理想に合う商品を見定めて選択すること重要になってくるだろう。
(取材・文=A4studio)
※情報は全て2021年12月24日時点のものです。