韓国かんこく大統領だいとうりょう、訪中ほうちゅうで歴史れきし的てき冷遇れいぐう…日米にちべいとの合意ごういを勝手かってに破やぶり、中国ちゅうごくに屈辱くつじょく的てき擦すり寄より

中ちゅう韓かん首脳しゅのう会談かいだんでの文ぶん在ざい寅とら大統領だいとうりょう（左ひだり）と習近平ひら国家こっか主席しゅせき（右みぎ）（写真しゃしん：代表だいひょう撮影さつえい/ロイター/アフロ）

　韓国かんこくの文ぶん在ざい寅とら大統領だいとうりょうの中国ちゅうごく訪問ほうもんが終おわった。文ぶん大統領だいとうりょうは12月13～16日にちに国賓こくひんとして訪中ほうちゅうし、習近平ひら国家こっか主席しゅせきや李り克かつ強きょう首相しゅしょうと会談かいだんを行おこなったが、その中身なかみはおおいに疑問符ぎもんふがつくものであった。

　習主席しゅせきとの中ちゅう韓かん首脳しゅのう会談かいだんでは、「半島はんとうでの戦争せんそうを容認ようにんしない」などとする「朝鮮半島ちょうせんはんとうの平和へいわと安定あんていを確保かくほするための4原則げんそく」で合意ごういしたが、「北朝鮮きたちょうせん問題もんだいは対話たいわで解決かいけつする」としており、日本にっぽんおよびアメリカと合意ごういしたはずの「最大限さいだいげんの圧力あつりょく」とは温度おんど差さがある。言いうまでもなく、対話たいわ路線ろせんの中国ちゅうごくに韓国かんこくが配慮はいりょした結果けっかだろう。

　韓国かんこくが擦すり寄よる姿勢しせいを見みせたにもかかわらず、中国ちゅうごくとの間あいだで共同きょうどう声明せいめいはおろか共同きょうどう記者きしゃ会見かいけんすらなかった。首脳しゅのう会談かいだんにおいて、両国りょうこくが個別こべつに内容ないようを発表はっぴょうするというかたちは、実質じっしつ的てきな“失敗しっぱい”を意味いみするといっても過言かごんではない。特とくに、韓国かんこくにとっては具体ぐたい的てきな成果せいかは皆無かいむであったといえるだろう。

　また、文ぶん大統領だいとうりょうの訪中ほうちゅうをめぐっては“場外じょうがい乱闘らんとう”ともいえる事態じたいも起おきた。北京ぺきんで韓国かんこく人じん記者きしゃ2人にんが中国人ちゅうごくじん警備けいび員いんから暴行ぼうこうを受うけて病院びょういん送おくりにされており、韓国かんこく側がわからは「韓国かんこくへのテロだ」という声こえが出でるなど、反はん中ちゅう感情かんじょうが高たかまっている。

　さらに、文ぶん大統領だいとうりょうに対たいする中国ちゅうごくの冷遇れいぐうも波紋はもんを呼よんでいる。空港くうこうで出迎でむかえた人物じんぶつが外務がいむ次官補じかんほだったことについて、朴ほお槿むくげ恵めぐみ前ぜん大統領だいとうりょうやフィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領だいとうりょうの訪中ほうちゅう時じよりも格かくが低ひくいことを問題もんだい視しする向むきがあるのだ。また、文ぶん大統領だいとうりょうは国賓こくひんとして訪中ほうちゅうしたにもかかわらず、指導しどう部ぶと食事しょくじをしたのは14日にちの習主席しゅせきとの公式こうしき晩餐ばんさんのみで、同日どうじつ朝あさには夫人ふじんと共ともに北京ぺきん市内しないの大衆たいしゅう食堂しょくどうで朝食ちょうしょくを取とったという。

　韓国かんこくの野党やとうやメディアからは「屈辱くつじょく外交がいこう」などと文政ぶんせい権けんに対たいする非難ひなんの声こえが出でており、大統領だいとうりょう府ふは火消ひけしに躍起やっきになっている。いずれにせよ、中国ちゅうごくに擦すり寄よる韓国かんこくの姿勢しせいは日にち米べい韓かんの連携れんけいを反古ほごにするものであり、北朝鮮きたちょうせん問題もんだいをよりややこしくしかねない動うごきである。

　そもそも、文政ぶんせい権けんが発足ほっそくしたことで韓国かんこくの国家こっか情報じょうほう院いんや軍ぐん内部ないぶには親おや北きた勢力せいりょくが大量たいりょうに入はいり込こんでいるといわれている。そのため、今いまは日米にちべい共どもに韓国かんこくとの間あいだで情報じょうほう共有きょうゆうを行おこなうリスクが大おおきく、軍事ぐんじ機密きみつをどのレベルまで共有きょうゆうすべきかが大おおきな問題もんだいになっている。

ロシア介入かいにゅうで北朝鮮きたちょうせん情勢じょうせいが新あらたな局面きょくめんへ

　そんななか、北朝鮮きたちょうせん問題もんだいに関かんして沈黙ちんもくを続つづけてきたロシアが、ついに介入かいにゅうする動うごきを見みせ始はじめた。

　北朝鮮きたちょうせんが75日にちぶりの弾道だんどうミサイル発射はっしゃとなる「火星かせい15」を発射はっしゃした11月29日にちから数日すうじつ後ご、イーゴリ・モルグロフ外務がいむ次官じかんが「ロシアと北朝鮮きたちょうせんの連絡れんらくチャネルは開ひらいており、ロシア政府せいふは北朝鮮きたちょうせん政府せいふに対たいして影響えいきょう力りょくを行使こうしする用意よういがある」という旨むねの考かんがえを示しめしたのだ。

　同氏どうしは、アメリカも北朝鮮きたちょうせんも本当ほんとうの戦争せんそうは望のぞんでいないものの、「そのようなシナリオは存在そんざいする」「（北朝鮮きたちょうせんを孤立こりつさせるだけでは）状況じょうきょうは悪化あっかし、危険きけんとなる。我々われわれは本当ほんとうの戦争せんそうの危機ききに瀕ひんしている」と語かたっている。