シンクが3つ以上いじょうない飲食いんしょく店てんは避さけたほうがよい理由りゆう

「Thinkstock」より

　食品しょくひんによる事故じこは、下痢げり、吐はき気けなどの食中毒しょくちゅうどくだけでなく、怪我けがによる事故じこも考かんがえられます。

　学校がっこう給食きゅうしょくに異物いぶつ混入こんにゅうが多おおくみられるという報道ほうどうもありましたが、食品しょくひんの中なかに異物いぶつが混入こんにゅうしていて、それに気きがつかないまま噛かんだり飲のんでしまうと、大おおきな怪我けがをする場合ばあいがあります。

　特とくに、金属きんぞく、ガラス、陶器とうき、骨ほねなどの硬かたい異物いぶつが混入こんにゅうした場合ばあいは、歯はを折おるなどの大おおきな事故じこになってしまいます。レストランで料理りょうりの中なかにガラス片へん、食器しょっきのかけらなどが混入こんにゅうし、子供こどもが口くちにした場合ばあいなどを考かんがえるぞっとしてしまいます。

　飲食いんしょく店てんの厨房ちゅうぼうでガラスコップが割われると、割われた破片はへんは厨房ちゅうぼう内ないに飛とび散ちってしまいます。蛍光けいこう灯とうなども割われると広範囲こうはんいに飛とび散ちってしまうため、厨房ちゅうぼう内ないで使用しようする蛍光けいこう灯とうは、割われた時ときでも破片はへんが飛とび散ちらない製品せいひんを使用しようする必要ひつようがあります。ガラスコップ、食器しょっきなどを洗あらっているときに破損はそんしても、レタスなどの食材しょくざいに破片はへんが飛とび散ちらないように、飲食いんしょく店てんでは食材しょくざいと食器しょっきを洗あらうシンクは別べつに設置せっちしてあることが必要ひつようです。

　また、生魚なまざかなの鱗うろこには腸ちょう炎えんビブリオ菌きんが必かならず付着ふちゃくしています。そのため、生魚なまざかなの鱗うろこを取とったり洗あらったりするシンクと、刺身さしみを切きる包丁ほうちょうやまな板いたを洗あらうシンクは別べつにする必要ひつようがあります。

　実際じっさいに魚さかなをさばいてみるとわかりますが、鱗うろこを取とる際さいには思おもったよりも厨房ちゅうぼう内ないに飛とび散ちります。したがって、鱗うろこを取とるシンクは刺身さしみを切きるまな板いたから充分じゅうぶん離はなれた所ところに設置せっちすることが必要ひつようです。生いけ簀すから魚さかなをとって目めの前まえで調理ちょうりする店みせがありますが、鱗うろこの付ついた魚さかなについては十分じゅうぶん取とり扱あつかいに注意ちゅういしなければ、食中毒しょくちゅうどくの要因よういんになりかねません。

　私わたしたちは、魚さかなを刺身さしみとしておいしく安全あんぜんに食たべるために、鱗うろこを取とる場所ばしょと刺身さしみを切きる場所ばしょを分わける知恵ちえを見みいだしてきているのです。

　生魚なまざかなと同おなじ様さまに生肉せいにくについても、生肉せいにくを取とり扱あつかう皿さらを洗あらうシンクと、サラダを取とり扱あつかうシンクは分わける必要ひつようがあります。

　このように飲食いんしょく店てんでは、ガラスコップなどの食器しょっきを洗あらうシンク、潜在せんざい的てきに食中毒しょくちゅうどくになる可能かのう性せいのある食材しょくざいを取とり扱あつかうシンク、生なま野菜やさいサラダのようにそのまま口くちにする可能かのう性せいのある食材しょくざいを取とり扱あつかうシンクの最低さいてい3カ所かしょは必要ひつようなのです。

　私わたしが経験けいけんした中国ちゅうごく・深しんセンの飲食いんしょく店てんでは、取とり分わける皿さら、箸置はしおき、箸はしなどを客席きゃくせきに出だすとき、沸騰ふっとうしたお湯ゆの中なかから取とり出だし、熱々あつあつの皿さらを提供ていきょうしてくれました。熱々あつあつの食器しょっきを提供ていきょうすることで、安全あんぜんであることをアピールしているようです。

　焼やき肉にく店てんなど、潜在せんざい的てきに食中毒しょくちゅうどくを起おこす可能かのう性せいのある食材しょくざいを取とり扱あつかっているお店みせでは、生なま野菜やさいサラダなどを提供ていきょうする食器しょっきは、洗剤せんざいを使用しようして洗浄せんじょうするだけでなく、皿さらの表面ひょうめん温度おんどが1分ふん以上いじょう75度どになるように洗浄せんじょう機きなどを使用しようして加熱かねつ殺菌さっきんするべきです。特とくに、一部いちぶの出血しゅっけつ性せい大腸菌だいちょうきん、サルモネラは、菌きん数すうが非常ひじょうに少すくなくても食中毒しょくちゅうどくを発症はっしょうする可能かのう性せいがあるので、生なま野菜やさいサラダなどを提供ていきょうする食器しょっきは、洗浄せんじょうだけでなく殺菌さっきんして提供ていきょうすることが必要ひつようです。

　飲食いんしょく店てんなどでは、従業じゅうぎょう員いんに衛生えいせい教育きょういくを行おこなうだけでなく、どうすれば仕組しくみとして食中毒しょくちゅうどく事故じこを出ださないかを考かんがえる時期じきに来きていると思おもいます。
（文ぶん＝河岸かわぎし宏和こうわ／食品しょくひん安全あんぜん教育きょういく研究所けんきゅうじょ代表だいひょう）