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生活保護世帯から東大に進学→大学院で博士号取得までの経緯が壮絶すぎると話題 | ビジネスジャーナル
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生活せいかつ保護ほご世帯せたいから東大とうだい進学しんがく大学院だいがくいん博士はかせごう取得しゅとくまでの経緯けいい壮絶そうぜつすぎると話題わだい

ぶん=Business Journal編集へんしゅう協力きょうりょく小林こばやし雅之まさゆき桜美林大学おうびりんだいがくとくにん教授きょうじゅ
生活保護世帯から東大に進学→大学院で博士号取得までの経緯が壮絶すぎると話題の画像1
東京大学とうきょうだいがく(「gettyimages」より)

 ある数学すうがくしゃ男性だんせいが、生活せいかつ保護ほご世帯せたいから東京とうきょう大学だいがく進学しんがくして東大とうだい大学院だいがくいん博士はかせごう取得しゅとくするまでの壮絶そうぜつ体験たいけんだんを「note」じょう投稿とうこうし、話題わだいんでいる。大学だいがく大学院だいがくいん在籍ざいせき学費がくひ生活せいかつをすべて奨学しょうがくきんとうとアルバイトでまかなったということだが、現在げんざい制度せいどにおいて、それがどれほど困難こんなんなことなのか。また、現在げんざい奨学しょうがくきん制度せいど問題もんだいてんとはなにか。専門せんもん見解けんかいまじえてってみたい。

「note」への投稿とうこうによれば、男性だんせい高校こうこう時代じだい授業じゅぎょうりょう免除めんじょ制度せいど安価あんか学生がくせいりょうがあり、条件じょうけん給付きゅうふがた奨学しょうがくきんけられ、将来しょうらいてき理系りけい研究けんきゅうができるという条件じょうけんそなわっているという理由りゆう東京大学とうきょうだいがく受験じゅけん決意けつい。その奨学しょうがくきん文系ぶんけい学部がくぶのみを対象たいしょうとしていたため(当時とうじ)、大学だいがく3ねん進学しんがく文系ぶんけい学部がくぶから理系りけい学部がくぶうつれる制度せいどがある東大とうだい入学にゅうがくし、数学すうがく研究けんきゅうしゃ目指めざすという計画けいかくてた。

 男性だんせい受験じゅけんりょう問題もんだいからいちこうだけ受験じゅけんした東大とうだい合格ごうかく授業じゅぎょうりょう免除めんじょ奨学しょうがくきんけるためには一定いってい以上いじょう成績せいせき維持いじする必要ひつようがあるためアルバイトと勉強べんきょういそしみ、大学院だいがくいん進学しんがく給与きゅうよられるこう倍率ばいりつ日本にっぽん学術がくじゅつ振興しんこうかい特別とくべつ研究けんきゅういん大学だいがくから奨励しょうれいきん支給しきゅうされる教育きょういくリーディングプログラムに採用さいようされ、博士はかせごう取得しゅとく現在げんざい数学すうがくしゃとして研究けんきゅう従事じゅうじしているというが、男性だんせい自身じしん高校こうこう時代じだいから博士はかせごう取得しゅとくまでをかえって「精一杯せいいっぱい努力どりょくし、これらすべてを達成たっせいしましたが、そのためにはどうしてもくじきでたりをかなきゃいけないような場面ばめんなんもありました」とつづっている。

奨学しょうがくきん制度せいど問題もんだいてん

 この男性だんせいれいのように奨学しょうがくきんとうとアルバイトだけで大学だいがく卒業そつぎょう大学院だいがくいん博士はかせ課程かてい修了しゅうりょうげることは、おおくのひとにとって可能かのうなものなのか。日本にっぽん高等こうとう教育きょういく学会がっかい会長かいちょう中央ちゅうおう教育きょういく審議しんぎかい臨時りんじ委員いいん衆議院しゅうぎいん調査ちょうさきょく客員きゃくいん調査ちょうさいんなどをつとめた桜美林大学おうびりんだいがく小林こばやし雅之まさゆき教授きょうじゅはいう。

非常ひじょう困難こんなんなことだとおもいます。現在げんざい奨学しょうがくきん制度せいどは、全体ぜんたいてきにみると学生がくせいにたくさんのチャンスをあたえるようにはできていません。大学院だいがくいん理系りけいとく最近さいきんではデータサイエンスけいや、まえ総長そうちょう積極せっきょくてきんでいた東大とうだい資産しさんてき余裕よゆうがある早稲田大学わせだだいがくなどは比較的ひかくてき手厚てあつ支援しえんけやすい一方いっぽう大半たいはん大学だいがく人文じんぶん社会しゃかいけい学部がくぶ制度せいど手薄てうすなため奨学しょうがくきん大学だいがくから大学院だいがくいんまで進学しんがくするのはむずかしいです。全体ぜんたいでみると問題もんだいおおいといわざるをません。

 たとえば、JASSO(日本にっぽん学生がくせい支援しえん機構きこう)のだい一種いっしゅ奨学しょうがくきんには貸与たいよけた学生がくせいすぐれた業績ぎょうせきげた場合ばあい返還へんかん免除めんじょする制度せいどがありますが、対象たいしょう大学院生だいがくいんせいのみであり、学部がくぶせい対象たいしょうがいです。前身ぜんしん日本にっぽん育英いくえいかい時代じだいには学部がくぶせい成績せいせき一定いってい条件じょうけんたす場合ばあい返還へんかん免除めんじょけられ、十分じゅうぶんではないものの大学だいがく進学しんがくこころざひとみちひらいていました。かならずしも全額ぜんがく返還へんかん免除めんじょとなるわけではないものの、もしこの制度せいど利用りようできればかなり経済けいざいてき負担ふたんかるくなる学部がくぶせいすくなくないでしょう」

 現在げんざい奨学しょうがくきん制度せいどおおきな転換期てんかんきむかえている。2024年度ねんどより修学しゅうがく支援しえんしん制度せいど拡充かくじゅうされ、従来じゅうらい奨学しょうがくきんからしん制度せいどへの移行いこうすすめられているのだ。

従来じゅうらい奨学しょうがくきん授業じゅぎょうりょう減免げんめん制度せいどでは世帯せたい年収ねんしゅう700まんえんだい以下いかであれば、学費がくひ全額ぜんがくではなくとも、なんらかの支援しえんけられましたが、しん制度せいどでは住民じゅうみんぜい非課税ひかぜい世帯せたいとそれにじゅんずる世帯せたいのみのてい所得しょとく世帯せたい限定げんていされました。これによって、世帯せたい年収ねんしゅう600まんえんだいくらいでなんらかの事情じじょう経済けいざいてきくるしいちゅう所得しょとく世帯せたいのなかには、奨学しょうがくきん授業じゅぎょうりょう減免げんめんけられないひとてきます。また、全額ぜんがく授業じゅぎょうりょう無償むしょう対象たいしょう国公立こっこうりつ大学だいがくのみであったり、このたびなか所得しょとくそうへの拡充かくじゅう対象たいしょう私立しりつ大学だいがく場合ばあい理系りけい学部がくぶだけで文系ぶんけい学部がくぶはいっていないというてん見直みなおしが必要ひつようでしょう。

 もっともおおきな問題もんだいは、給付きゅうふがくが3段階だんかいしかなく、世帯せたい年収ねんしゅうのみでまるてんです。年収ねんしゅうが1えんちがうだけで支給しきゅうがくすうじゅうまんえんちがってきたり、年収ねんしゅうえると支給しきゅうりになったりします。そのため、『収入しゅうにゅうえると奨学しょうがくきんられるのではたらかない』というモラルハザードを誘発ゆうはつします。このほか、成績せいせき下位かい4ぶんの1が連続れんぞくすると支給しきゅうりになるという相対そうたい評価ひょうかてき成績せいせき要件ようけんにも問題もんだいがあります。おな学力がくりょく学生がくせいでも在籍ざいせきする大学だいがく学部がくぶによって成績せいせき下位かい4ぶんの1はいるかどうかがわってくるので、たとえば難関なんかん大学だいがく学生がくせい不利ふりになるなどの不公平ふこうへいしょうじるというかんがかたもできます」(小林こばやし教授きょうじゅ

 見直みなおしのうごきはあるのか。

「JASSOではそれまでなかった給付きゅうふがた奨学しょうがくきんが17年度ねんどからはじまり、20年度ねんどからは支援しえん対象たいしょうおおきく拡大かくだいされるなど、それ自体じたいはよいことです。その一方いっぽう問題もんだいおおいのも事実じじつであり、現在げんざい見直みなおしの議論ぎろんおこなわれてはいるものの、制度せいど欠陥けっかんそのものをただそうという方向ほうこうにはなっていません」

奨学しょうがくきん制度せいど拡充かくじゅう意義いぎ

 東京とうきょう大学だいがくをはじめとする国立こくりつ大学だいがくがく納金のうきん文科ぶんかしょう省令しょうれい年間ねんかん53まん5800えんさだめられている。3月、慶応義塾けいおうぎじゅくちょう伊藤いとう公平こうへい文部もんぶ科学かがくしょう中央ちゅうおう教育きょういく審議しんぎかい大学だいがく分科ぶんかかいの「高等こうとう教育きょういくかたかんする特別とくべつ部会ぶかい」において、国立こくりつ大学だいがくがく納金のうきん現在げんざいやく3ばいにあたる年間ねんかん150まんえん程度ていど値上ねあげするという提言ていげんおこない、物議ぶつぎかもしたことが記憶きおくあたらしい。伊藤いとう塾長じゅくちょうはその理由りゆうについて「国公私立こっこうしりつ大学だいがく設置せっち形態けいたいかかわらず、大学だいがく教育きょういくしつげていくためには公平こうへい競争きょうそう環境かんきょうととのえることが必要ひつようである」「私立しりつだい短大たんだいは、公平こうへい土壌どじょうけんがく精神せいしんもとづく経営けいえい努力どりょくむことができる」(部会ぶかいへの提出ていしゅつ資料しりょうより)としているが、大手おおて予備校よびこう関係かんけいしゃはいう。

東大とうだい進学しんがくする学生がくせい世帯せたい年収ねんしゅう大学だいがくのそれと比較ひかくしてたか傾向けいこうがあるのは事実じじつです。学歴がくれきというめんでは、どもが小中学生しょうちゅうがくせいころから高額こうがく進学しんがくじゅくかよわせ、大学だいがく受験じゅけんつよ難関なんかん私立しりつ高校こうこうかよわせるほどの経済けいざいりょくのある家庭かていにアドバンテージがあるのが現実げんじつです。その一方いっぽうで、学費がくひやすいという理由りゆうで、経済けいざいてきくるしい世帯せたいどもが勉強べんきょうはげんで国立こくりつ大学だいがくすすむというケースがいち定数ていすう存在そんざいすることも事実じじつであり、国立こくりつ大学だいがく存在そんざいてい所得しょとく世帯せたいどもに高等こうとう教育きょういくへの門戸もんこひろげているという側面そくめんがあります。くににとってまな意欲いよくがあり学力がくりょくたかどもに高等こうとう教育きょういくけさせることは将来しょうらい国益こくえきにかなうため、世帯せたい年収ねんしゅう高低こうていにかかわらず大学だいがく大学院だいがくいん進学しんがくできる奨学しょうがくきん制度せいど拡充かくじゅう必要ひつようです」

ぶん=Business Journal編集へんしゅう協力きょうりょく小林こばやし雅之まさゆき桜美林大学おうびりんだいがくとくにん教授きょうじゅ

小林雅之/桜美林大学特任教授

小林こばやし雅之まさゆき桜美林大学おうびりんだいがくとくにん教授きょうじゅ

1976ねん東京とうきょう大学だいがく教育きょういく学部がくぶ卒業そつぎょう。1982ねん東京大学とうきょうだいがく大学院だいがくいん教育きょういくがく研究けんきゅう博士はかせ課程かてい単位たんい取得しゅとく満期まんき退学たいがく広島修道大学ひろしましゅうどうだいがく人文学部じんぶんがくぶ助教授じょきょうじゅ放送大学ほうそうだいがく教養きょうよう学部がくぶ助教授じょきょうじゅ東京大学とうきょうだいがく大学だいがく総合そうごう教育きょういく研究けんきゅうセンター助教授じょきょうじゅどう教授きょうじゅて、2019ねん4がつから桜美林大学おうびりんだいがく 教育きょういく探求たんきゅう科学かがくぐん がくぐんちょう教授きょうじゅ日本にっぽん高等こうとう教育きょういく学会がっかい会長かいちょう、あしなが育英会いくえいかい理事りじ文部もんぶ科学かがくしょう中央ちゅうおう教育きょういく審議しんぎかい臨時りんじ委員いいん衆議院しゅうぎいん調査ちょうさきょく客員きゃくいん調査ちょうさいんなどを歴任れきにん
教員きょういん情報じょうほう 小林こばやし 雅之まさゆき 桜美林大学おうびりんだいがく

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