アベノミクスで年間ねんかん雇用こよう者しゃ報酬ほうしゅう2兆ちょう円えん増ぞう、家計かけいの金融きんゆう資産しさん170兆ちょう円えん増ぞうという真実しんじつ

10円えんの円えん安やすで0.6兆ちょう円えんの実質じっしつ所得しょとく増加ぞうか

　今回こんかいは円えん安やすによる影響えいきょうや対策たいさくについて考かんがえてみたい。

　まず、大胆だいたんな金融きんゆう緩和かんわに伴ともなう円えん安やすにより、輸入ゆにゅう物価ぶっかが上あがり、家計かけいに悪影響あくえいきょうをもたらしているとの批判ひはんがある。実際じっさい、過去かこ10年間ねんかんのドル円えんレートと消費しょうひデフレーターの関係かんけいをみると、ドル円えんレートが10円えん円えん安やすになると、3四半期しはんき後ごの消費しょうひデフレーターを約やく0.845％押おし上あげるとの関係かんけいがある。つまり、2014年度ねんどの家計かけい消費しょうひ（除のぞく帰属きぞく家賃やちん）が約やく239兆ちょう円えんであることからすれば、円えんが対たいドルで10円えん円えん安やすになると、4四半期しはんき遅おくれて家計かけい負担ふたんを年額ねんがくで239兆ちょう円えん×0.845％＝2.0兆ちょう円えん程度ていど増ふやすことになる。これは、アベノミクスで40円えん以上いじょう円えん安やすが進すすんだことにより、家計かけいの負担ふたんが年間ねんかん8兆ちょう円えん以上いじょう増ふえることを示唆しさする。

　ただ、円えん安やすにはメリットもある。まず、国内こくないの雇用こよう機会きかいを増ふやす。事実じじつ、過去かこ10年間ねんかんのドル円えんレートと就業しゅうぎょう者しゃ数すうの推移すいいをみると、就業しゅうぎょう者しゃ数すうがドル円えんレートに遅おくれて明確めいかくに正せいの相関そうかん関係かんけいにあることがわかる。そこで、過去かこ10年間ねんかんのドル円えんレートと就業しゅうぎょう者しゃ数すうの関係かんけいをみると、ドル円えんレートが10円えん円えん安やすになると、5カ月かげつ遅おくれて就業しゅうぎょう者しゃ数すうが34万まん人にん程度ていど増加ぞうかすることになる。さらに、過去かこ10年間ねんかんのドル円えんレートと雇用こよう者しゃ報酬ほうしゅうの関係かんけいをみると、ドル円えんレートが10円えん円えん安やすになれば、3四半期しはんき遅おくれて雇用こよう者しゃ報酬ほうしゅうが年額ねんがくで2.6兆ちょう円えん増加ぞうかすることになる。これは、アベノミクスで40円えん以上いじょう円えん安やすが進すすんだことにより、130万まん人にん以上いじょうの就業しゅうぎょう者しゃ数すうの増加ぞうかなどを通つうじて、雇用こよう者しゃ報酬ほうしゅうが年間ねんかん10兆ちょう円えん以上いじょう増ふえることを示唆しさする。

　このように、円えん安やすになると仕事しごとが増ふえる背景はいけいには、円えん安やすに伴ともない国内こくないで生うみ出だされたモノが相対そうたい的てきに割安わりやすになることがある。このため、輸出ゆしゅつ関連かんれん産業さんぎょうでは製品せいひんの競争きょうそう力りょくが増ますことで人手ひとでが必要ひつようになる。また、輸入ゆにゅう代替だいたい産業さんぎょうにおいても競合きょうごうする輸入ゆにゅう品ひんの価格かかくが上あがるため、国産こくさん品ひんの需要じゅようが高たかまり、雇用こようが必要ひつようとなる。さらには、国内こくないのサービスも価格かかく面めんから競争きょうそう力りょくを増ますため、外国がいこく人じん観光かんこう客きゃくの増加ぞうかなどによりサービス産業さんぎょうへの需要じゅようも高たかまるため、雇用こようが生うみ出だされる可能かのう性せいが指摘してきできる。

雇用こようの質しつも改善かいぜん

　一方いっぽう、雇用こようの質しつの面めんについても、アベノミクス期間きかん中ちゅうに増加ぞうかした100万まん人にん以上いじょうの雇用こよう者しゃ数すうの多おおくが非ひ正規せいきと批判ひはんされた。しかし、昨年さくねん秋あき以降いこうは正規せいき雇用こようも増加ぞうかに転てんじており、年明としあけ以降いこうは非ひ正規せいきを上回うわまわる増加ぞうかを示しめしている。従したがって、アベノミクスに伴ともなう雇用こようの増加ぞうかを非ひ正規せいきと決きめつけるのはもはや誤あやまりであり、むしろ年明としあけ以降いこうは正規せいき雇用こようの増加ぞうかがけん引いんしているといえる。

　結果けっかとして、10円えんの円えん安やすは家計かけい負担ふたんを2兆ちょう円えん増ふやす一方いっぽうで、2.6兆ちょう円えんの雇用こよう者しゃ所得しょとくの増加ぞうかを通つうじて、実質じっしつ的てきには0.6兆ちょう円えん程度ていどの所得しょとく増加ぞうかをもたらす関係かんけいがある。これは、アベノミクスで40円えん以上いじょう円えん安やすが進すすんだことにより、実質じっしつ雇用こよう者しゃ報酬ほうしゅうが年間ねんかん2兆ちょう円えん以上いじょう増ふえることを示唆しさする。