年金ねんきんを4割わり増ましで受うけ取とる簡単かんたんな方法ほうほう…よくわからない投資とうしよりよっぽど高利回こうりまわり

「Thinkstock」より

　現在げんざい、公的こうてき年金ねんきんを受うけ取とることができるのは６５歳さいからとなっています。厚生こうせい年金ねんきんについては一部いちぶの人ひとは６０代だい前半ぜんはんで「特別とくべつ支給しきゅうの老齢ろうれい厚生こうせい年金ねんきん」を受うけ取とれますが、ほとんどの人ひとの受うけ取とり開始かいしは６５歳さいからです。

　ところが、この公的こうてき年金ねんきんは必かならずしも６５歳さいからしか受うけ取とれないわけではありません。最大さいだい５年間ねんかん繰くり上あげて６０歳さいから受うけ取とることもできますし、逆ぎゃくに６５歳さいから受うけ取とらなければならないというわけでもなく、７０歳さいまで受うけ取とることを繰くり下さげすることもできます。

『老後ろうご不安ふあんがなくなる 定年ていねん男子だんしの流儀りゅうぎ』（大江おおえ英樹ひでき／ビジネス社しゃ）

「だったら早はやくもらっちゃったほうが得とくではないか」と思おもわれるかもしれませんが、そんなにうまい話はなしがあるわけではありません。繰くり上あげて早はやくもらってしまうと、年金ねんきん支給しきゅう額がくが減へらされるからです。具体ぐたい的てきにどれぐらい減へらされるかというと、支給しきゅう開始かいし時期じきを１カ月かげつ繰くり上あげるごとに０．５％ずつ減額げんがくされます。１年ねんだと６％となり、仮かりに６０歳さいから受うけ取とり始はじめたいということで５年ねん繰くり上あげると、３０％も減額げんがくされることになります。しかも一旦いったん繰くり上あげ支給しきゅうを受うけると、その減額げんがく幅はばは生涯しょうがいにわたって固定こていされます。

　逆ぎゃくに支給しきゅう開始かいしを遅おくらせたらどうなるかというと、今度こんどは逆ぎゃくに支給しきゅう額がくが増額ぞうがくされます。しかも今度こんどは０．５％ではなく、１カ月かげつ遅おくらせるごとに０．７％ずつ増額ぞうがくされます。したがって、１年ねん遅おくらせると年間ねんかんでは０．７％×１２カ月かげつ＝８．４％の増額ぞうがく。もし仮かりに６５歳さいからもらう予定よていのものを７０歳さいまで遅おくらせると、８．４％×５年ねん＝４２％もの増額ぞうがくになるのです。こちらも減額げんがくと同様どうよう、この増額ぞうがく幅はばは生涯しょうがいにわたって固定こていされます。

　だとすれば７０歳さいまではがんばって働はたらき、公的こうてき年金ねんきんの支給しきゅうを５年ねん遅おくらせることによって一生いっしょう、年金ねんきんを４割わり増ましでもらえるわけですから、これはどんな資産しさん運用うんようよりも有利ゆうりな利回りまわりで運用うんようできることになります。退職たいしょく金きんをよくわからない投資とうし信託しんたくや株式かぶしきで運用うんようして不ふ確実かくじつな利益りえきを期待きたいするよりも、そのお金かねを７０歳さいまでの生活せいかつ費ひとして使つかって４割わり増ましの年金ねんきんをもらうというのもひとつの方法ほうほうです。

年金ねんきんは損得そんとくで考かんがえるべきではない？

　ただ、このように言いうと、「もらえるものは早はやくもらっておかないと損そんだ」とか「いくら割わり増ましでもらえるといっても長生ながいきしなきゃ損そんだし、いつ死しぬかはわからないのだから早はやくもらったほうがいい」という意見いけんが必かならず出でてきます。そういう人ひとたちのい分いぶんはわからないことはないのですが、どうもそういう人ひとたちは、年金ねんきんというものの本質ほんしつを誤解ごかいしているように思おもいます。