夫婦ふうふ2人にんで月つき19万まん円えんの年金ねんきん、半分はんぶん以下いかに削減さくげんか…受給じゅきゅう開始かいし年齢ねんれいも75歳さいへ引ひき上あげも

「Thinkstock」より

社会しゃかい保障ほしょう体制たいせいの崩壊ほうかいの構図こうず

　あと約やく10年ねんで、まず年金ねんきん積立つみたて金きんが底そこを突つき始はじめます。2015年ねん9月がつ時点じてんで135兆ちょう円えんあった年金ねんきん積立つみたて金きん（過去かこの余剰よじょう分ぶん）は、すでに毎年まいとし6～7兆ちょう円えんが取とり崩くずされ、株式かぶしきの運用うんよう損そんもあり、今後こんごまたさらに負まけが込こみ急速きゅうそくに減少げんしょうしていきます。先進せんしん国こくはいずれも戦後せんご成長せいちょうの限界げんかいに達たっし、経済けいざい停滞ていたいは常態じょうたい化かする兆候ちょうこうをみせているからです。

　年金ねんきん受給じゅきゅう年齢ねんれいも、現行げんこうの65歳さい以降いこうから70歳さい、75歳さい以降いこうへと繰くり延のべされるか、現行げんこう受給じゅきゅう額がくの半分はんぶん以下いかの水準すいじゅんへと急減きゅうげんせざるを得えなくなるでしょう。日本人にっぽんじんのほとんどが満足まんぞくな貯蓄ちょちく額がくもないまま、「老後ろうご貧困ひんこん」地獄じごくに陥おちいる恐おそれがあります。

　15年ねんの医療いりょう費ひ（薬剤やくざい費ひ含ふくむ）は40兆ちょう円えんでしたが、あと10年ねんで50兆ちょう円えん超ちょうに膨ふくらみます。医療いりょう機関きかんに掛かかった際さいの現行げんこうの3割わり負担ふたんでは到底とうてい賄まかなえず、5～6割わり負担ふたんになるともいわれています。高額こうがくな医薬品いやくひんも増ふえており、現行げんこうでは年とし10兆ちょう円えんの薬剤やくざい費ひが、大幅おおはばに増ふえていくと50兆ちょう円えん以内いないにとどまるかどうかも懸念けねんされます。

　介護かいご保険ほけん制度せいどの報酬ほうしゅう総額そうがくも15年ねんの10兆ちょう円えん（税金ぜいきん投入とうにゅう2.8兆ちょう円えん）が10年ねん後ごには25兆ちょう円えんになります。保険ほけん料りょうもアップされたうえ、現行げんこうの利用りよう者しゃ1割わり負担ふたんなどでは到底とうてい制度せいどは持もたず、3～4割わり負担ふたんの時代じだいになるはずです。生活せいかつ保護ほご費ひも14年ねんで3.8兆ちょう円えんを突破とっぱしもはや限界げんかいで（国くに75％・自治体じちたい25％負担ふたん）、8つの扶助ふじょのうち、すでに「生活せいかつ扶助ふじょ」「住宅じゅうたく扶助ふじょ」の減額げんがくも始はじまっています。

　受給じゅきゅう者しゃの半数はんすうが60歳さい以上いじょうですが、現行げんこうの1人ひとり世帯せたいで10万まん円えん弱じゃく、夫婦ふうふ2人にん世帯せたいで20万まん円えん弱じゃくの支給しきゅう額がくも、今後こんご貧困ひんこん者しゃの激増げきぞうが予想よそうされますから、給付きゅうふ額がくは減へらさざるを得えず、現行げんこう水準すいじゅんの半分はんぶん程度ていどにまで圧縮あっしゅくされるとの見通みとおしも多おおいです。

　いずれにしろ約やく10年ねん後ごの25年ねんには、団塊だんかい世代せだい（敗戦はいせん直後ちょくごの1947～49年ねん生うまれ、約やく700万まん人にん）の全員ぜんいんがすべて75歳さい以上いじょうの後期こうき高齢こうれい者しゃとなり、そして65歳さい以上いじょう高齢こうれい者しゃの人口じんこう比率ひりつが現在げんざいの27％から30％へ増加ぞうかし、社会しゃかい保障ほしょう費ひの総額そうがくは現在げんざいの110兆ちょう円えんから150兆ちょう円えん規模きぼになると推計すいけいされています。なかでも年金ねんきん制度せいどは莫大ばくだいな負担ふたんに耐たえきれず、現行げんこうの厚生こうせい年金ねんきん平均へいきん受給じゅきゅう額がくは夫婦ふうふで19万まん円えんですが、将来しょうらい的てきには5割わり以下いかの給付きゅうふ水準すいじゅんにならざるを得えないのです。