財務省ざいむしょう、年金ねんきん支給しきゅう開始かいし68歳さいに引ひき上あげ「検討けんとう」報道ほうどう…引ひき上あげはあり得えると考かんがえる理由りゆう

財務ざいむ相しょう庁舎ちょうしゃ（「Wikipedia」より／っ）

年金ねんきん支給しきゅう開始かいし年齢ねんれいが68歳さいに？

　
　4月がつ11日にちに行おこなわれた財務省ざいむしょうの財政ざいせい制度せいど等とう審議しんぎ会かいの分科ぶんか会かいにおいて、社会しゃかい保障ほしょうの改革かいかく案あんが提示ていじされました。そのなかで医療いりょう費ひの抑制よくせいと併あわせて、年金ねんきん支給しきゅう開始かいし年齢ねんれいの繰くり下さげということが提起ていきされています。具体ぐたい的てきなシミュレーションの案あんのなかで68歳さいにした場合ばあい、というのがあるため、報道ほうどうでは68歳さいへの引ひき上あげが検討けんとうされているという書かき方かたがされています。

　まず事実じじつ関係かんけいから考かんがえてみますと、財政ざいせい制度せいど等とう審議しんぎ会かいというのは、財務省ざいむしょうに付属ふぞくして設もうけられている財務ざいむ大臣だいじんの諮問しもん機関きかんで、基本きほん的てきな財政ざいせい制度せいどや各かく年度ねんどの予算よさんのあり方かたなどについて重要じゅうような勧告かんこくや提言ていげんを行おこなうという役割やくわりを持もっています。6月に策定さくていされる予定よていの財政ざいせい健全けんぜん化か計画けいかくのなかにおいて、社会しゃかい保障ほしょう費ひの増大ぞうだいをいかに抑制よくせいするかという提言ていげんを盛もり込こむために議論ぎろんされたもののまとめといって良よいでしょう。

『お金かねの常識じょうしきを知しらないまま社会しゃかい人じんになってしまった人ひとへ』（大江おおえ英樹ひでき／PHP研究所けんきゅうじょ）

　ただ、これはあくまでも財務省ざいむしょうが財政ざいせい上じょうの懸念けねんから作成さくせいしたもので、実際じっさいに年金ねんきん制度せいどを管掌かんしょうしているのは厚生こうせい労働省ろうどうしょうですから、この提言ていげんでもってただちに支給しきゅう開始かいし年齢ねんれいが繰くり下さげられるというわけではありません。ただ、厚生こうせい労働省ろうどうしょうが5年ねんに一度いちど行いっている年金ねんきんの財政ざいせい検証けんしょう、直近ちょっきんでは平成へいせい26年ねんに実施じっしされた検証けんしょうのなかで年金ねんきん支給しきゅう開始かいし年齢ねんれいを繰くり下さげた場合ばあいのシミュレーションが出でていますので、それらの数字すうじも踏ふまえた上うえでの財務省ざいむしょうの資料しりょうということになるでしょう。

　別べつに両者りょうしゃが対立たいりつしているというわけではありませんが、年金ねんきんの原資げんしは厚労省こうろうしょうが管轄かんかつの社会しゃかい保険ほけん料りょうと財務省ざいむしょうが管轄かんかつする税金ぜいきんの両方りょうほうから出でていますから、財務省ざいむしょうとしても口くちを出だすのはある意味いみ当然とうぜんだといえます。ただ、年金ねんきん支給しきゅう開始かいし年齢ねんれいは60歳さいから65歳さいまでの引ひき上あげがようやく完了かんりょうしようとしているところですから、ここからただちに68歳さいとか70歳さいまで繰くり下さげられる可能かのう性せいは少すくないでしょう。マスコミはややもすれば国民こくみん的てきに関心かんしんの高たかい年金ねんきん問題もんだいをセンセーショナルに取とり上あげる傾向けいこうがありますが、あまり短絡たんらく的てきに心配しんぱいする必要ひつようはないと思おもいます。

将来しょうらいは繰くり下さげが起おこり得える2つの理由りゆう

　さて、ここからが本題ほんだいです。では今後こんごは年金ねんきん支給しきゅう開始かいし年齢ねんれいの繰くり下さげはないのか？　ということになると、私わたしが考かんがえる答こたえはノーです。すぐに実施じっしされることはないと思おもいますが、いずれその可能かのう性せいはあります。その理由りゆうは2つあります。