プロが選えらぶ“入はいってはいけない”ワースト1の保険ほけんとは？確実かくじつに積立つみたてが減へり、負担ふたんがアップしていく

　保険ほけんは不測ふそくの事態じたいに備そなえて加入かにゅうするものだが、あれもこれもと特約とくやくをつけていくと月々つきづきの保険ほけん料りょうがけっこうかさむものである。そのせいか、「掛かけ捨すてはもったいない」と考かんがえる人ひとは少すくなくないようだ。

　確たしかに掛かけ捨すての場合ばあい、平穏へいおん無事ぶじに過すごせれば戻もどってくるものはない。そのため、積立つみたて型がたのほうが魅力みりょく的てきに見みえるのだろうが、よくよく理解りかいして入はいらないと痛いたい目めを見みることになる。とりわけ注意ちゅういが必要ひつようなのが「アカウント型がた保険ほけん」だ。

　このアカウント型がたの商品しょうひんには、「ライフアカウントL.A.」（明治めいじ安田やすだ生命せいめい）、「ライブワン」（住友生命すみともせいめい）などがある。

　アカウント型がた保険ほけんは、保障ほしょうと積立つみたて（アカウント部分ぶぶん）の2段だん構造こうぞうになっている。毎月まいつきの保険ほけん料りょうが、それぞれに振ふり分わけられる仕組しくみだ。アカウント部分ぶぶんに積つみ立たてられたお金かねは、保障ほしょうの見直みなおしに充あててもいいが、引ひき出だして旅行りょこうや養育よういく費ひなど好すきなように使つかえるのが特徴とくちょうである。

　保障ほしょうがありお金かねも貯たまる、自由じゆうに引ひき出だして使つかえる、ということで、アカウント型がた保険ほけんはいいことづくめに思おもえるかもしれない。ところが、専門せんもん家かが常つねにワースト1に挙あげるほど、とんでもないシロモノなのだ。

●積立つみたてが、ほとんど増ふえていかない仕組しくみ

　アカウント型がた保険ほけんは、正式せいしきには「利率りりつ変動へんどう型がた積立つみたて終身しゅうしん保険ほけん」という。この名称めいしょうは一見いっけんすると終身しゅうしん保険ほけんのようだが、実じつは終身しゅうしん保険ほけんではない。更新こうしん型がたの定期ていき保険ほけんと積立つみたてを組くみ合あわせたもので、保険ほけん料りょう払込はらいこみ期間きかんが終おわったあとに終身しゅうしん保険ほけんを購入こうにゅうする権利けんりがあるというだけである。

　では、アカウント型がた保険ほけんの実態じったいとは、どういうものなのだろうか。主しゅ契約けいやくはアカウント部分ぶぶんで、医療いりょう保障ほしょうや死亡しぼう保障ほしょうなど、保障ほしょうに関かんする部分ぶぶんはすべて特約とくやく。期限きげんが来くれば更新こうしんしなければならず、そのたびに保険ほけん料りょうは上あがっていく。値上ねあがりした分ぶんをアカウント部分ぶぶんから充あてることも可能かのうなので、実際じっさいにはそれほど負担ふたんが大おおきくはならないことも多おおい。だが、確実かくじつに積立つみたては減へっていくのである。

　しかも、この積立つみたてがクセモノだ。仮かりに1万まん5000円えんの保険ほけん料りょうを払はらったとしても大半たいはんが保障ほしょう部分ぶぶんに回まわってしまい、積立つみたてはせいぜい1000円えん余あまりといった具合ぐあいなのだ。将来しょうらいのために貯蓄ちょちくをと思おもっても、とてもアテにはできないことがわかるだろう。

　保険ほけん料りょうの払はらい込こみが終了しゅうりょうすれば、その時点じてんで一切いっさいの保障ほしょうもなくなる。医師いしの診査しんさがなくても終身しゅうしん保険ほけんに加入かにゅうできる権利けんりだけは持もっているとはいえ、新あらたに購入こうにゅうしなければならない。この時とき、積立つみたて金きんを利用りようすることはできるのだが、実際じっさいに貯たまっているお金かねは微々びびたるもの。さらに高額こうがくな保険ほけん料りょうを支払しはらわなくては、終身しゅうしん保険ほけんには加入かにゅうできないのだ。

　オイシイ部分ぶぶんばかりに気きを取とられてしまうが、素人しろうとが手てを出だすには複雑ふくざつすぎるのがアカウント型がた保険ほけん。どんなに誘さそわれても加入かにゅうしないほうが賢明けんめいだ。必要ひつよう最低限さいていげんの保険ほけんに掛かけ捨すてで入はいり、残のこりを自分じぶんで貯蓄ちょちくしたり運用うんようしたほうが、ずっとメリットは大おおきいといえるだろう。
（文ぶん＝長尾ながお義弘よしひろ／フィナンシャル・プランナー）