就活しゅうかつ＆転職てんしょく面接めんせつ、コミュ障さわの方ほうでも絶対ぜったいに受うかってしまう“危険きけんな面接めんせつ攻略こうりゃく法ほう”

「Gettyimages」より

「面接めんせつ」は精度せいどの低ひくい選考せんこう手法しゅほう

　面接めんせつをせずに人ひとを採用さいようする会社かいしゃはありません。むしろ面接めんせつは採用さいよう選考せんこうにおいてもっとも重視じゅうしされている手法しゅほうでしょう。ところが、近年きんねんの研究けんきゅうで、残念ざんねんながら面接めんせつは、ちゃんとトレーニングを積つまなければ、SPIなどの適性てきせい検査けんさや、インターンなどで実際じっさいに仕事しごとをやってもらう「ワークサンプル」などと比較ひかくすると、妥当だとう性せいの低ひくい選考せんこう手法しゅほうであることがわかってきました。私わたしは人事じんじコンサルタントとして企業きぎょうの人事じんじの皆様みなさまに面接めんせつトレーニングを行おこなうことも多おおいのですが、その際さい、同どうじ人じんを複数ふくすうの担当たんとう者しゃに模擬もぎ面接めんせつしてもらい評価ひょうかをしていただくと、ほとんどの場合ばあい、評価ひょうかはかなり広範囲こうはんいにばらつくのを見みているので、実感じっかんがあります。

人ひとは「偏見へんけん」に満みち溢あふれている

『コミュ障さわのための面接めんせつ戦略せんりゃく』（曽和そわ利光としみつ／星ほし海うみ社しゃ新書しんしょ）

　なぜ面接めんせつは精度せいどが低ひくいのでしょうか。それは人間にんげんには非常ひじょうにたくさんの心理しんり的てきバイアス＝偏見へんけんがあるからです。「体育たいいく会かいの人ひとはガッツがある。文化ぶんか系けいの人ひとは繊細せんさいである」といったステレオタイプでモノを見みてしまうような見みたいものしか見みない傾向けいこう（確証かくしょうバイアス）や、自分じぶんと似にている人ひとを高たかく評価ひょうかする傾向けいこう（類似るいじ性せい効果こうか）、一ひとつの美点びてんでほかのすべての側面そくめんの評価ひょうかが高たかまる傾向けいこう（ハロー効果こうか）などなど、数かぞえ上あげればきりがありません。

　また、ある採用さいよう選考せんこうの研究けんきゅうでは、面接めんせつ評価ひょうかに影響えいきょうを与あたえるのは応募おうぼ者しゃの外向がいこう性せいや情緒じょうちょ安定あんてい性せいであり、面接めんせつ評価ひょうかに関係かんけいない、つまり面接めんせつであまり見みられていないのは誠実せいじつ性せいや知能ちのうであるという結果けっかもありました。これだけ偏見へんけんがあれば、評価ひょうかの妥当だとう性せいが低ひくいのもさもありなんです。

特とくに「コミュ障さわ」が報むくわれない

　
　人ひととの会話かいわが苦手にがてな人ひとが自虐じぎゃく的てきに自分じぶんを「コミュ障さわ」（最近さいきんの俗語ぞくごで、コミュニケーションに差さし障さわりがある人ひとの意い）と呼よぶことがあります（実じつは私わたしもそうなのですが）。採用さいよう面接めんせつでもっとも報むくわれないのが彼かれらです。内向ないこう的てきで繊細せんさいな彼かれらは、上述じょうじゅつのような採用さいよう面接めんせつにおけるバイアス（偏見へんけん）の影響えいきょうをもろに受うけてしまいます。誠実せいじつさや高たかい知能ちのうは、実じつは仕事しごとのパフォーマンスに強つよい相関そうかんがあるのですが、それらを持もつ人ひとでも面接めんせつを受うけると、結局けっきょくジャッジされてしまうのは明あかるさや情緒じょうちょの安定あんてい性せいであるとなると、評価ひょうかはされないわけです。

　面接めんせつは、いきなり知しらないおじさんに人生じんせいを根ね掘ほり葉は掘ほり短時間たんじかんで聞きかれるという、異常いじょうな場ばでのコミュニケーションに長たけているかどうかが大切たいせつになってしまいます。これは日本にっぽん社会しゃかいにとって大おおきな損失そんしつ、問題もんだいだと思おもいます。面接めんせつがうまいことと仕事しごとができることとは別べつです。