マッカーサー賞しょう受賞じゅしょうの世界せかい的てき生物せいぶつ学者がくしゃが語かたる、見みた目めも生態せいたいもインパクトが強つよすぎる生物せいぶつたち

　星ほしのような形かたちをした鋭するどい感覚かんかくの鼻はなをもつホシバナモグラ、500ボルトの電気でんきで獲物えものを麻痺まひさせ、自みずからは痺しびれないデンキウナギ、ゴキブリをゾンビ化かさせるエメラルドゴキブリバチなど、世界せかいにはユニークで不思議ふしぎな能力のうりょくをもつ生いきものたちが多おおく生息せいそくしている。

　そんな生いきものの研究けんきゅうをしているのが、ヴァンダービルト大学だいがく教授きょうじゅのケネス・カタニア氏しだ。カタニア氏しは、アメリカでは“天才てんさい賞しょう”として知しられる「マッカーサー賞しょう」を受賞じゅしょうし、ナショナルジオグラフィック誌しや日経にっけいサイエンス誌しにもたびたび寄稿きこうしている。

気泡きほうをセンサーに使つかう　ホシバナモグラの奇妙きみょうな生態せいたい

　『カタニア先生せんせいは、キモい生いきものに夢中むちゅう！』（ケネス・カタニア著ちょ、的場まとば知之ともゆき訳やく、化学かがく同人どうじん刊かん）では、カタニア氏しが自然しぜん界かいで最もっとも注目ちゅうもくすべき「キモい」生いきものを面白おもしろおかしく、そして魅力みりょく的てきに解説かいせつする。

　星ほしのような形かたちの鼻はなをもつホシバナモグラは、モグラの一種いっしゅなのに泳およぎが得意とくいで、代謝たいしゃ力りょくが高たかいのに北きたアメリカでもっとも寒さむい地域ちいきで生活せいかつしてる。泥どろの中なかをひたすら掘ほって暮くらし、フクロウやオコジョなどの捕食ほしょく者しゃの餌食えじきになりながらも、年としに1度どの繁殖はんしょくでかなりの個体こたい数すうを維持いじしている。カタニア氏しは、このホシバナモグラが大好だいすきで、科学かがく者しゃとしてのキャリア形成けいせいには彼かれらが大おおきな役割やくわりを果はたしているという。

　ホシバナモグラは湿地しっちに棲すんでいて、日常にちじょう的てきに泳およいで水中すいちゅうで獲物えものを捕とらえる。採と餌えさ場所ばしょは、小川おがわの端はしの浅瀬あさせや水没すいぼつしたトンネルの中なか。獲物えものを捕つかまえる際さいに使つかうのが星ほしの形かたちの鼻はなだ。獲物えものを探さがしながら絶たえ間まなく気泡きほうを出だす。単純たんじゅんに気泡きほうを噴出ふんしゅつしているだけではなく、1秒びょうに10～12回かいもの頻度ひんどで、噴出ふんしゅつした空気くうきの大だい部分ぶぶんを再ふたたび吸すい込こんでいる。これは水中すいちゅうで動うごきを止とめて獲物えものを調しらべているのだ。

　鼻孔びこうから噴出ふんしゅつされた気泡きほうは、調しらべている物体ぶったいの表面ひょうめんに接触せっしょくしつつ、鼻先はなさきから離はなれないまま、再ふたたび鼻孔びこうに吸すい込こまれる。ホシバナモグラは、水中すいちゅうのにおいの痕跡こんせきを追おうのに長たけており、この能力のうりょくを使つかって上手じょうずに餌えさを見みつけていたのだ。長年ながねんの進化しんかの過程かていで身みにつけたセンサーである。

　本書ほんしょではこのほかにも世よにも珍めずらしい動物どうぶつたちの生態せいたいが、わかりやすく、面白おもしろく解説かいせつされている。多様たよう性せいを学まなぶのにもってこいの一いち冊さつである。不思議ふしぎな生いきものの行動こうどうの背後はいごにある謎なぞに光ひかりを当あてことで研究けんきゅうすることで、生命せいめいがどう進化しんかしてきたかもわかってくる。本書ほんしょからキモい生いきものの世界せかいを楽たのしんでみてはどうだろう。（T・N／新刊しんかんJP編集へんしゅう部ぶ）
※本ほん記事きじは、「新刊しんかんJP」より提供ていきょうされたものです。