春風しゅんぷうが吹ふく街まち

拙つたない文ぶんとが、読よんで下くださる方ほう、本当ほんとうにありがとうございます。

今日きょうもいい一いち日にちにして下ください。

夢ゆめの彼方かなたに  22

 

名護なご市内しないの繁華はんか街がいにスナック八はち重じゅう桜さくらの里さとはあった。久ひさしぶりだった。週末しゅうまつだったが店みせはすいていた。ママさんがびっくりしていた。そして、湯沢ゆざわ陽一よういちにいろいろ調しらべられたそうね。私わたしね、名護なご港こう警察けいさつ署しょに行いってきたの。店みせの客きゃくが忘わすれたらしい作業さぎょう服ふくを持もってねと言いった。湯沢ゆざわ陽一よういちは、ママさん御ご心配しんぱいをかけました。事件じけん前日ぜんじつに事件じけん現場げんば近ちかくで土壌どじょう調査ちょうさをしていたからなんですと言いった。小川おがわ伸介しんすけは側がわで聞きいていた。大おおきな胸むねを見みせながら、ママさんが、湯沢ゆざわ陽一よういちさん、あの時ときの厭いやな思おもいを私わたしのこの体からだで慰なぐさめてあげるね。来週らいしゅう辺あたりにホテルで過すごしましょうと言いった。暫しばらくして遅おそくなりましたと長身ちょうしんのこれまた美人びじんの女性じょせいが入はいってきた。ママさんが最近さいきん入はいった相川あいかわ桃子ももこですと言いった。小川おがわ伸介しんすけは、どうぞと言いい、ビールを飲のみ交かわしていた。どうも小川おがわ伸介しんすけの好このみのタイプのようだった。相川あいかわ桃子ももこは長ながい間あいだ静岡しずおかにいたと言いった。三さん十じゅうを少すこし過すぎていたが小川おがわの肩かたに手てを置おいて体からだを触ふれさせていた。間違まちがいなく、男おとこが欲ほしそうな妖あやしい目めになっていた。

つづく

夢ゆめの彼方かなたに  21

 

湯沢ゆざわ陽一よういちはその後ご、暫しばらくは何事なにごともなく仕事しごとを続つづけていた。相変あいかわらず、週末しゅうまつには小川おがわ伸介しんすけと名護なごの居酒屋いざかやで飲のんでいた。その日ひも本ほんらしきものを二に冊さつ持もっていた。小川おがわ、仕事しごとは上手うまくいっている？いろいろ勉強べんきょうしなければならないこともあるのと聞きいてみた。いや仕事しごと上じょうの事ことではないんだ。かなり取とり引ひきも上手うまくいっているよ。冬ふゆのボーナスが楽たのしみだよと言いった。小川おがわ、うちの母親ははおやが心臓しんぞう弁膜べんまく症しょうでな。最近さいきんよくないんだ。来年らいねんの新しん年度ねんどに那な覇はに戻もどして欲ほしいと申もうしいれる積つもりだといった。小川おがわは、それは心配しんぱいだな。時々ときどき、那な覇はに帰かえれよ。僕ぼくも来年らいねん、那な覇はに戻もどりそうだといった。そして、小川おがわがこれから名護なご市内しないにあるあのスナック八はち重じゅう桜さくらの里さとに行いってみようと言いった。

つづく

浅野あさのが思おもい出だした

 

ように言いった。

 

たしか洋二ようじに

 

対たいして

 

飛騨古川ひだふるかわの

 

十じゅう五ご万まん坪つぼの

 

果樹かじゅ園えんとその

 

経営けいえい権けんがあったな

 

。俺おれは相続そうぞく遺産いさん

 

ではこれが

 

最大さいだい級きゅうだと思おもって

 

いる。

 

もしかしたら

 

洋よう二にの父親ちちおやである

 

山本やまもと慎之介しんのすけさんは

 

何なにかのつてで

 

洋二ようじが県立けんりつ農大のうだいで

 

園芸えんげいを学まなんでいた

 

ことをしって

 

いたかも知しれぬ。

 

しかしなー。

 

と言いって浅野あさのも

 

下したを向むいた。

 

それからどうした

 

。元気げんきがないぞ

 

洋介ようすけ。と

 

浅野あさのは先さきが

 

聞ききたそうだった

 

。それから最後さいごに

 

沼田ぬまた弁護士べんごしが

 

こう言いった。

 

中部電力ちゅうぶでんりょくと

 

宝酒造たからしゅぞうの株券かぶけんは

 

村野むらの証券しょうけん名古屋なごや

 

中央ちゅうおう支店してんが

 

預あずかっている。

 

沼田ぬまた弁護士べんごしが

 

そこに出向でむき

 

スムーズに

 

山本やまもと慎之介しんのすけさん

 

名義めいぎから

 

山野やまの洋介ようすけ名義めいぎに

 

変更へんこう後ご、

 

那な覇はの村野むらの支店してんで

 

預あずかってもらい

 

その後ごは自由じゆうに

 

売却ばいきゃくしたら

 

いいと言いうような

 

ことだった。

 

浅野あさのは聞きいていた

 

。それから

 

先程さきほどの飛騨古川ひだふるかわの

 

果樹かじゅ園えんの

 

登記とうき簿ぼ謄本とうほんと

 

法人ほうじん定款ていかん等とうは

 

その果樹かじゅ園えんの

 

施設しせつで

 

保管ほかんされている

 

らしい。と

 

言いい私わたしは

 

日本酒にほんしゅを飲のんだ。

 

その果樹かじゅ園えんのこと

 

だが実じつは

 

公正こうせい証書しょうしょ遺言ゆいごん

 

作成さくせいにあたり

 

立会たちあい人じんになった

 

館林たてばやしという

 

中部電力ちゅうぶでんりょくの

 

取締役とりしまりやくの実家じっかが

 

大だい規模きぼ農家のうかで

 

沼田ぬまた弁護士べんごし

 

としてはその

 

館たて林りんさんに

 

果樹かじゅ園えん及および

 

経営けいえい権けんを

 

売却ばいきゃくしたいとの

 

個人こじん的てきな希望きぼうを

 

持もっているとも

 

言いっていた。

 

これが全すべてだ、

 

浅野あさのと言いい

 

日本酒にほんしゅを飲のんだ。

私わたしは岐阜ぎふでの

 

公正こうせい証書しょうしょ遺言ゆいごん執行しっこう

 

時どきのことを

 

思おもい出だしながら

 

言いった。

 

執行しっこう人じんの

 

沼田ぬまた弁護士べんごしが

 

公正こうせい証書しょうしょ遺言ゆいごんの

 

内容ないようを全すべて

 

読よみ上あげられた。

 

そのあと別べつの

 

書状しょじょうを私わたしに渡わたし

 

良よく理解りかいし

 

確認かくにん出来できたら

 

同意どうい書しょに

 

署名しょめい捺印なついんをして

 

欲ほしいと言いった。

 

私わたしとしては

 

母かあさんや洋二ようじが

 

元気げんきだったらと

 

思おもってしばし

 

書状しょじょうを読よんでいた

 

が、これも何なにかの

 

山野さんや家かに対たいする

 

助たすけだと思おもい

 

山野やまのゆき及および

 

山野やまの洋二ようじの相続そうぞくを

 

全すべて山野やまのゆきの

 

長男ちょうなん山野やまの洋介ようすけが

 

相続そうぞくすることに

 

同意どういしここに

 

確認かくにんする。と

 

署名しょめい捺印なついんして

 

帰かえって来きたと

 

言いった。

 

そこに

 

ママさんが

 

客きゃくの間あいだをぬって

 

やっ来きた。

 

浅野あさのさん、

 

洋介ようすけさん

 

日本酒にほんしゅでいき

 

ましょう。と

 

言いって日本酒にほんしゅを

 

二に杯はいついだ。

 

私わたしは岐阜ぎふの飛騨ひだ牛うし

 

を三さん箱はこ渡わたした。

 

岐阜ぎふはいい街がい

 

だったでしょう。

 

岐阜ぎふ城じょう、長良川ながらがわ、

 

飛騨高山ひだたかやま、郡上こおりかみ八幡やはた

 

もう一度いちど

 

行いきたいと

 

思おもいます。と言いい

 

洋介ようすけさん

 

有あり難がたうと言いって

 

席せきを離はなれた。

 

つづく