「お客様は神様！」と主張する高齢クレーマーを一瞬で黙らせるウラ技写真しゃしんはイメージです　Photo:PIXTA

些細ささいなことでイライラしたり、空気くうきが読よめずにトンデモ発言はつげんをしたり、武勇ぶゆう伝でんを何なん度ども繰くり返かえしたり。そうした言動げんどうで周囲しゅういに迷惑めいわくを掛かける中高年ちゅうこうねん層そうは、たとえ過去かこに仕事しごとで成功せいこうしていても、若者わかものたちから「老害ろうがい」だと認定にんていされてしまいます。ですが、もちろん本人ほんにんたちは悪気わるぎがあって老害ろうがいっぽい言動げんどうをしているわけではありません。では、なぜ「やらかす」のでしょうか。医学いがく博士はかせ・平松ひらまつ類るい氏しの著書ちょしょ『「老害ろうがいの人ひと」にならないコツ』（アスコム）から抜粋ばっすいして、その答こたえをお届とどけします。今回こんかいのテーマは「クレーマー」について。

お客きゃくも高齢こうれい者しゃも敬うやまわれて当然とうぜんと信しんじて疑うたがわない「老害ろうがい」

　これは友人ゆうじんのVさんから聞きいた話はなしです。

　Vさんがある平日へいじつの昼下ひるさがり、駅前えきまえのファミリーレストランで、遅おそめのランチをとっていたときのこと。

 　高齢こうれいの二人ふたり連づれの女性じょせいが入いれ店てんしてきて、隣となりのテーブル席せきに座すわりました。ほどなくして、「すみません。ちょっといいかしら」と店員てんいんさんを呼よび出だし、何なにやら質問しつもんをしている様子ようす。ああでもない、こうでもないと、くり返がえしやり取とりをしていたといいます。

　どうやら、タッチパネルの操作そうさ方法ほうほうがわからなかったようです。そのファミレスは、テーブルに設置せっちされているタブレットから、タッチパネル方式ほうしきですべての注文ちゅうもんを行おこなえるようになっていました。

　しかし結局けっきょく、二人ふたりともシステムや操作そうさ方法ほうほうをしっかり理解りかいできず、口頭こうとうでの注文ちゅうもんを希望きぼうしていました。そして、店員てんいんさんが口頭こうとうによる注文ちゅうもんを受うけ付つけ、テーブルをあとにするやいなや、二人ふたりは話はなし始はじめたそうです。

「口頭こうとうで注文ちゅうもんできるのなら、最初さいしょからそうしてくれればいいのにねえ」
「なんでもかんでも新あたらしくして、年寄としよりなんて来こなければいいと思おもっているのよ」
「そうねえ。高齢こうれい者しゃを敬うやまう姿勢しせいが足たりないわよねえ」
「お客様きゃくさまは神様かみさまなのに、なんだと思おもっているのかしら」
「責任せきにん者しゃを呼よんで、ひと言こと伝つたえてあげる？」
「いいわよ、そこまでしなくても。どうせ理解りかいできないんだから」

　隣となりで聞きいていた（というより、聞きこえてきてしまった）Vさんは思おもいました。

　お二人ふたりのいわんとすることはわかる。でも、高齢こうれい者しゃを敬うやまう姿勢しせいが足たりないとか、お客様きゃくさまは神様かみさまとか、それはさすがに大おおげさすぎるのではないかと。店員てんいんさんは、ていねいに説明せつめいしていましたし、口頭こうとうによる注文ちゅうもんにも快こころよく対応たいおうしていました。終始しゅうし笑顔えがおで、接客せっきゃく態度たいどは完璧かんぺきだったと思おもいます。

　だからこそVさんは、この二人ふたりの会話かいわがとても残念ざんねんに感かんじたそうです。