吉田東洋よしだとうよう単語たんご

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吉田東洋よしだとうようとは幕末ばくまつの土佐とさ藩はん士し。大だい目め付づけ、仕置しおき役やく(参政さんせい)などを歴任れきにんした天才てんさいである。

概要がいよう

文化ぶんか13年ねん(1816年ねん)、高知こうち城しろ下したにて馬うま廻まわり格かく吉田よしだ家いえの四よん男なんに生うまれる。諱いみなは豊ゆたか誉ほまれ(とよたか)。通称つうしょう官かん兵衛ひょうえ、または元吉もとよし(もとよし)。後藤ごとう象二しょうじ郎ろうの義理ぎりの叔父おじに当あたる。

兄あにの夭折おりで嗣子ししになり、天てん保ほ12年ねん(1841年ねん)、父ちちの死しに伴ともない家いえ督とくを継つぐ。翌よく天てん保ほ13年ねん(1842年ねん)から藩はんに出仕しゅっし。船ふね奉行ぶぎょう、郡ぐん奉行ぶぎょうなどを歴任れきにん。飢饉ききん対策たいさくや海うみ防ぼう対策たいさくを主あるじに藩はん政せい改あらため革かわに取とり組くむ。

弘ひろし化か2年ねん（1845年ねん）病気びょうきにより一旦いったん無む役やくとなるが弘ひろし化か4年ねん（1847年ねん）に船ふね奉行ぶぎょうで再度さいど出仕しゅっし。

嘉よしみ永なが元年がんねん(1848年ねん)に藩はん主あるじ・山内やまうち豊ゆたか熈(とよてる)が死去しきょすると辞職じしょく。その後ご畿内きないを遊歴ゆうれきし、梁りょう川かわ星ほし巌いわお、頼よりゆき三さん樹き三郎さぶろうらと交流こうりゅうする。

嘉よしみ永なが6年ねん(1853年ねん)、15代だい藩はん主あるじに就任しゅうにんしていた山内やまうち容堂ようどうの命いのちを受うけ幕府ばくふに提出ていしゅつする対外たいがい政策せいさくの上書うわがきを起おこり草くさ。交易こうえきを拒絶きょぜつしオランダから技術ぎじゅつ者しゃを呼よんで洋式ようしき軍艦ぐんかんを全ちょん国くに諸しょ藩はんに作つくらせよと提唱ていしょうした。この年としに大だい目め付づけに任命にんめいされる。

安政あんせい4年ねん(1854年ねん)、酒さけ宴うたげで山内やまうち家いえの親おや戚による無む礼れいな行為こういに怒おこって殴なぐり付つけたため罷免ひめんされ隠居いんきょ。吾われ川かわ郡ぐん長浜ながはまにて鶴田つるた塾じゅく(少すくな林はやし塾じゅく)を開ひらき子こ弟おとうとの育成いくせいを行おこなう。この塾じゅくから後藤ごとう象二しょうじ郎ろうや福岡ふくおか孝こう弟おとうと、板垣いたがき退助たいすけ、岩崎いわさき弥太郎やたろうなど後のちに土佐とさ藩はんの政経せいけいを司つかさる人にん々が輩出はいしゅつされる。吉田よしだ以下いかこの一いち派はは土佐とさの故事こじにちなんで「新しんおこぜ組ぐみ」^[1]と呼よばれた。

安政あんせい4年ねん(1857年ねん)から仕置しおき役やく(参政さんせい)として再ふたたび出仕しゅっし。以後いご上士じょうし階級かいきゅうの改あらため変へん、教育きょういく機関きかんの新設しんせつ、大砲たいほうの鋳造ちゅうぞう、洋式ようしき帆船はんせんや西洋せいようの技術ぎじゅつの研究けんきゅう・導入どうにゅう、長崎ながさきでの外そと国くにとの交易こうえきなど先進せんしん的てきな改あらため革かわ策さくを実行じっこうしていく。

だが土佐とさ藩はん上士じょうし層そうは吉田よしだの政策せいさくを階級かいきゅうを脅おびやかす政策せいさくと見み、領民りょうみんからは政策せいさくによる増税ぞうぜいで不満ふまんが高たかまった。また、文久ぶんきゅう元年がんねん(1861年ねん)に発足ほっそくした土佐とさ勤王きんのう党とうの武市たけいち半平はんぺん太ふとしは、佐幕さばくから勤王きんのうに藩はん論ろんを転換てんかんするよう吉田よしだに訴うったえたが、吉田よしだは書生しょせい論ろんだと一蹴いっしゅうして採用さいようしなかった。このため武市たけいちは吉田よしだに反感はんかんを持もつ土佐とさ藩はん上士じょうし層そうの保守ほしゅ派はや勤王きんのう派はと密ひそかに手てを組くみ、藩はん内うちクーデターを画策かくさくした。

文久ぶんきゅう3年ねん(1861年ねん)4月がつ8日にち、藩はん主あるじ・山内やまうち豊ゆたか範はんの侍さむらい講こうを終おえ帰宅きたくするところを土佐とさ勤王きんのう党とうの那須なす信吾しんご、安岡やすおか嘉助かすけ、大石おおいし団だん蔵ぞうらの襲撃しゅうげきを受うける。吉田よしだは刀かたなを抜ぬいて応戦おうせんしたが打うち倒たおされ斬首ざんしゅされた。享年きょうねん47。

脚注きゃくちゅう

[1]…おこぜは貝かいの一種いっしゅで、「山やまのおこぜを持もてば山やまの幸さちを得え、海うみのおこぜを持もてば海うみの幸こうを得える」という土佐とさの俗信ぞくしんにちなみ、弘ひろし化か元年がんねん(1844年ねん)、特定とくていの昇進しょうしんグループにいれば出世しゅっせできると揶揄やゆして「おこぜ組ぐみ」と呼よばれるようになった。「新しんおこぜ組ぐみ」は吉田よしだ門下もんかのグループなら出世しゅっせできるという揶揄やゆから生うまれた呼よび名な。

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