天皇てんのう論ろん(小林こばやしよしのり)単語たんご

テンノウロン

2.4千せん文字もじの記事きじ

天皇てんのう論ろんとは、小林こばやしよしのりによる「ゴーマニズム宣言せんげん」系列けいれつの天皇てんのうに関かんする漫画まんがである。天皇てんのう論ろんから派は生むした作品さくひんも多おおく、それらについても述のべる。
「天皇てんのう論ろん」の名なを関かんする書籍しょせきは数多あまた存在そんざいするが、現在げんざいは小林こばやしよしのり著ちょのものしか大だい百科ひゃっかにないため、「天皇てんのう論ろん」はこのページにリダイレクトされます。

天皇てんのう論ろん(無印むじるし)

平成へいせい21年ねん 6月4日にち発売はつばい。当時とうじ氏しはマルクスに(若わかい頃ころ程ほどではないものの)傾倒けいとうしており、社会しゃかい主義しゅぎの観点かんてんから天皇てんのうの存在そんざいに疑問ぎもんを持もっていた(『蒲焼かばやきの日ひ』騒動そうどうが当時とうじ有名ゆうめいだった)が、知しらないのに批判ひはんしてもしょうがないと、一いちから天皇てんのうについて徹とおる底そこ的てきに学まなび、天皇てんのうがいかなる存在そんざいかを述のべた一いち冊さつ。天皇てんのうについて学まなんでいくうちに自おのずと恋こい闕の念ねんを抱だいたという。

じわじわと売うり上あげを伸のばし、単発たんぱつ・厚あつ本ほんでありながら20万まん部ぶを達成たっせいし、平成へいせい25年ねん 11月6日にちに文庫本ぶんこぼん化か。
しかし、後述こうじゅつの「天皇てんのう論ろん平成へいせい29年ねん」に置おき換かえると氏しは宣言せんげんしており、これらはお隠かくれになる。ただし、この一いち冊さつのエッセンスはしっかり引ひき継つがれているので問題もんだいない。

というのも、当時とうじ氏しは「天皇てんのうは祭まつり祀まつを行おこなっていればそれでいい」「陛下へいかが『国旗こっき・国歌こっかは強制きょうせいすべきでない』とおっしゃったが、わしは逆賊ぎゃくぞくになろうとも強制きょうせいすべき」等とうという考かんがえを持もっていたが、今上きんじょう天皇てんのうの活動かつどうを見みていくうちに考かんがえを改あらためめ、当時とうじの思想しそうと照てらし合あわせた上うえで抜本ばっぽん的てきに書かき直なおす必要ひつようが出でてきたからである。

新しん天皇てんのう論ろん

平成へいせい22年ねん 12月15日にち発売はつばい。
天皇てんのう論ろんは多おおくの反はん響ひびきを呼よんだが前述ぜんじゅつの天皇てんのう論ろんの最後さいごに「女おんな帝みかどが生うまれても失望しつぼうしない」と書かいたが故ゆえに批判ひはんも殺到さっとう。
「皇統こうとうは男系だんけい継承けいしょうでなければならない」という自称じしょう保守ほしゅの考かんがえに真しんっ向むこうから反論はんろんし、天てん照あきら大神おおがみ、継つぎ体たい天皇てんのう、元正がんしょう天皇てんのう等ひとし「男系だんけい継承けいしょうの禁忌きんき」を交まじえつつ、自称じしょう保守ほしゅの欺瞞ぎまんを穿ほじった作品さくひん。

当とう記事きじの初版しょはん編集へんしゅう者しゃは継つぎ体たい天皇てんのう・元正がんしょう天皇てんのうの記事きじでしこたま「天皇てんのうは皆みな男系だんけい継承けいしょう」という欺瞞ぎまんを否定ひていした(後のちに別べつの人ひとによって表現ひょうげんがマイルドになった)のでそちらも参照さんしょうされたし(ステマ)。

この作品さくひんに対たいし、幾いく人にんもの人ひとが批判ひはんを書かいている。以下いかは実際じっさいに出版しゅっぱん済ずみ。

天皇てんのう論ろん平成へいせい29年ねん

我わが々、国くに民みんは天皇てんのうをいただく資格しかくがあるのだろうか？

平成へいせい29年ねん 2月がつ27日にち発売はつばい。
皇統こうとう断絶だんぜつの危機ききを無視むしする政権せいけんに平成へいせい28年ねん 8月がつ8日にち、天皇陛下てんのうへいかは「玉音ぎょくおん放送ほうそう」をなさった。「象ぞう徴ちょう天皇てんのうの務つとめが常つねに途切とぎれることなく，安定あんてい的てきに続つづいていくこと」を国くに民みんに伝つたえるも安倍あべ政権せいけんは反旗はんきを翻ひるがえす。
陛下へいかの願ねがいを叶かのうえるべく、「象ぞう徴ちょう天皇てんのうの座ざについていらっしゃる」天皇陛下てんのうへいかへの恩返おんがえしとして無印むじるし天皇てんのう論ろんをフルリメイクした作品さくひん。リメイクと言いってもマグマ団だんのホムラの如ごとくガラッと変かわっており「生うまれ変かわった」というべき作品さくひんのようで、様々さまざまな箇所かしょの改あらため訂てい、追記ついき、別べつ作品さくひんからの転載てんさいを経へて552ページというコロコロコミック級きゅうの分厚ぶあつさを誇ほこる作品さくひんとなった(ちなみに「おぼっちゃまくん」が掲載けいさいされた平成へいせい28年ねんコロコロアニキ第だい6号ごうが558ページ)。無印むじるしで書かかれた公おおやけ務つとむに対たいする考かんがえや国歌こっか強制きょうせいの件けんも改あらためめられている。

天皇てんのう論ろんのリメイクに当あたり、上記じょうきのこともさることながら「天皇てんのうや皇族こうぞくの人権じんけん」について多おおく加筆かひつされている。自称じしょう保守ほしゅからの美智子みちこ皇后こうごう、雅みやび子こ殿下でんか妃ひの壮絶そうぜつなる大だいバッシングを改あらためめてまとめて詳細しょうさいに載のせられており、「雅みやび子こさまや現げん皇太子こうたいし殿下でんかが将来しょうらい『幸しあわせでした』と振ふり返かえられるような皇室こうしつでなければ滅ほろぶ」と主あるじ張ちょう。
男尊女卑だんそんじょひの因習いんしゅうにとらわれ、「国くに民主みんしゅ権けん」の名なのもとに陛下へいかの意向いこうに叛き、「自分じぶんに都合つごうのいい」天皇てんのうに仕立したてて上あげようとする者もの達たちをさらに厳きびしく追及ついきゅうする。

ちなみにラスト直前ちょくぜんに「リベラル知識ちしき人じんが言いう『天皇てんのう制せいは最後さいごの奴隷どれい制せいだから廃はい止よすべき』という意見いけんに賛成さんせいしたくなる」という文言もんごんは名なは出だしてないものの十中八九じっちゅうはっくこの対談たいだんによる影かげ響ひびきを受うけたものだと思おもわれる。天皇てんのうを蔑ないがしろにしながら天皇てんのうを戴いただく資格しかくなどない。天皇てんのう・皇族こうぞくが自みずからその立場たちばを去さるようなことがあるなら、もはや誰だれにも止とめられないのである。