核分裂かくぶんれつ単語たんご

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核分裂かくぶんれつとは、原子げんし核かくが分裂ぶんれつすることである。

概要がいよう

1938年ねんオットー・ハーンらによって発見はっけん。

一般いっぱん的てきに不安定ふあんていな核種かくしゅにおいて起おこる現げん象ぞうである。

原子げんし核かくが中性子ちゅうせいしを吸収きゅうしゅうすると、核分裂かくぶんれつが起おこり中性子ちゅうせいしを放出ほうしゅつする。この放出ほうしゅつされた中性子ちゅうせいしが原子げんし核かくにぶつかると、また同様どうように核分裂かくぶんれつが生しょうじ・・・といった連鎖れんさ反応はんのうが起おこる。

この反応はんのうにおいては熱ねつが生しょうじるため、それをうまく利用りようすればエネルギーを手てに入いれることができる。その利用りよう手段しゅだんの代表だいひょう例れいが原子力げんしりょく発電はつでんや原子げんし爆ばく弾だんである。

この核分裂かくぶんれつにおいて2種類しゅるい以上いじょうの原子げんしの生成せいせいが起おこり、これら生成せいせい物ぶつを核分裂かくぶんれつ生成せいせい物ぶつという。

なお核分裂かくぶんれつを起おこす有名ゆうめいな例れいに²³⁵U、²³⁹Pu(原子げんし爆ばく弾だん、原子力げんしりょく発電はつでん)、²³⁸U(水素すいそ爆ばく弾だん(tertiary))がある。

詳細しょうさい

定義ていぎ

核分裂かくぶんれつの定義ていぎは、ヘリウム4より重おもい原子げんし核かくが複数ふくすう、生成せいせい物ぶつとして出でる現げん象ぞうとなる。

ヘリウム4の原子げんし核かく（αあるふぁ線せん）とガンマ線せん、娘むすめ核種かくしゅが生成せいせいするαあるふぁ崩壊ほうかいは、核分裂かくぶんれつに含ふくまれない。

自発じはつ核分裂かくぶんれつ

Acより重おもい元素げんその場合ばあい、核種かくしゅによっては、中性子ちゅうせいしを吸収きゅうしゅうしなくても核分裂かくぶんれつを起おこすことが知しられている。これを自発じはつ核分裂かくぶんれつという。

たとえば、²³⁵Uや²³⁸Uでも、割合わりあいが低ひくいものの、自発じはつ核分裂かくぶんれつを起おこす崩壊ほうかいモードが存在そんざいしている。この反応はんのうは、臨界りんかい事故じこのきっかけになる事こともあるので要注意ようちゅういである。自発じはつ核分裂かくぶんれつを起おこしやすい核種かくしゅとして、²⁴⁰Puが有名ゆうめいである。

鉱物こうぶつの多おおくでは、ごく微量びりょうの²³⁸Uが含ふくまれる。生せい成年せいねん代だいの古ふるい鉱物こうぶつほど、自発じはつ核分裂かくぶんれつを起おこして跳はね飛とばされた原子げんし核かくの軌跡きせきが、結晶けっしょうの傷きずとして多おおく残のこるようになる。鉱物こうぶつの薄片はくへんを薬くすり品しな処理しょりし、顕微けんび鏡かがみで軌跡きせきをカウントして生なま成年せいねん代だいを測定そくていする方法ほうほうをFT法ほう（フィッション･トラック法ほう）という。

臨界りんかい状態じょうたい

核分裂かくぶんれつ反応はんのうの場合ばあい、核分裂かくぶんれつ生成せいせい物ぶつの核種かくしゅでは余剰よじょうとなる中性子ちゅうせいしが、数個すうこ生成せいせいされる。連鎖れんさ反応はんのうが続つづくと、定常ていじょう的てきに、あるいは鼠ねずみ算式さんしきに中性子ちゅうせいしが生成せいせいされる。これを臨界りんかい状態じょうたいという。

反応はんのうが暴走ぼうそうすると、莫大だいな熱ねつと中性子ちゅうせいしが発生はっせいする（臨界りんかい事故じこ）。これを防ふせぐため、中性子ちゅうせいしが燃料ねんりょうの容器ようきに留とまりにくいように形状けいじょうを棒状ぼうじょうにしたり（生成せいせい直後ちょくごの中性子ちゅうせいしは高速こうそくなので、容器ようきの直径ちょっけいが短みじかいとすぐ飛散ひさんする）、周囲しゅういに中性子ちゅうせいしを吸収きゅうしゅうするホウ素ほうそやハフニウムなどを配置はいちしたりする。

「バケツでウラン」（東海とうかい村むらのJCOで1999年ねんに発生はっせいした臨界りんかい事故じこ）の場合ばあいは、量りょうもさることながら、沈殿しんがり槽ふね（事故じこ当初とうしょマスコミ報道ほうどうではバケツと呼よばれた）に一定いってい量りょうウラン溶液ようえきを入いれると、周まわりの冷却れいきゃく設備せつびの水みずも含ふくめて、3次元じげん方向ほうこうのどの向むきでも、容器ようきの差さし渡わたしが十分じゅうぶん大おおきくなり、中性子ちゅうせいしがランダムウォークして容器ようき内ないに留とまる確かく率りつが跳はね上あがるのが根本こんぽん的てきな問題もんだいであった。

原子げんし炉ろ

核かく反応はんのうを用もちいて熱ねつを取とり出だす炉ろとしては、核分裂かくぶんれつを利用りようしたものが実用じつよう化かされている。反応はんのうで生しょうじた熱ねつを主あるじに水みず（水みず蒸気じょうきも含ふくむ）を冷却れいきゃく材ざいとして用もちいて回収かいしゅうし、タービンを回まわして電気でんきに変換へんかんする。普通ふつう、冷却れいきゃく系けいは燃料ねんりょう容器ようきを冷却れいきゃくする系けいと、タービンを回まわす系けいの2段だんに分わける。

原子げんし炉ろの燃料ねんりょう

多おおくの商用しょうよう原子げんし炉ろでは、主あるじに²³⁵Uを燃料ねんりょうとして使用しようしている。燃料ねんりょうは通常つうじょう、²³⁵Uを全ちょんウランの数かず%（研究けんきゅう用よう小しょう型かた炉ろの場合ばあいもうすこし高たかい割合わりあい）まで濃縮のうしゅくしたものを用もちいる。

²³⁹Puは、ウランの主あるじ成分せいぶんである²³⁸Uが高速こうそく中性子ちゅうせいしを吸収きゅうしゅうすることで容易よういに得えられる。これはプルサーマル燃料ねんりょうを使用しようした商用しょうよう原子げんし炉ろ、高速こうそく増殖ぞうしょく炉ろで、ウランなどと共ともに、燃料ねんりょうとして使用しようされる。

この他ほか、トリウムから容易よういに生成せいせいできる²³³Uが、将来しょうらいの燃料ねんりょうとして研究けんきゅうされている。

メルトダウン

冷却れいきゃく系けいのトラブル、または中性子ちゅうせいしを吸収きゅうしゅうする制御せいぎょ棒ぼうのトラブルが起おきて、核かく反応はんのうにより異常いじょうな高熱こうねつが発生はっせいすると、核かく燃料ねんりょうをいれた燃料ねんりょう集合しゅうごう体からだが溶融ようゆうして破損はそんする事故じこが発生はっせいする。これをメルトダウン（炉心ろしん溶融ようゆう）という。

通常つうじょう、燃料ねんりょう集合しゅうごう体からだは圧あつ力ちから容器ようきの中なかに入いれて保護ほごするが、メルトダウンが発生はっせいすると、冷却れいきゃく系けいや圧あつ力ちから容器ようきの損傷そんしょうが発生はっせいすることが多おおく、重大じゅうだいな放射能ほうしゃのう漏洩ろうえい事故じこにつながる。

放射ほうしゃ性せい廃棄はいき物ぶつ

核分裂かくぶんれつ生成せいせい物ぶつには、様々さまざまな元素げんその色々いろいろな同位どうい体たいが含ふくまれる。放射ほうしゃ性せい核種かくしゅで半減はんげん期きが数すう分ふん～数すう万まん年ねんのものも多数たすう含ふくまれる。また、反応はんのうで出でる中性子ちゅうせいしを照射しょうしゃされた物質ぶっしつでも、放射ほうしゃ性せい核種かくしゅが生成せいせいすることが多おおい。

すべての放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつを安全あんぜんに分離ぶんりするのは、関係かんけいする元素げんそが多おおすぎるのと、強つよい放射能ほうしゃのうのために、費用ひようと手間てまの面めんで不可能ふかのうである。このため、使つかい終おわった燃料ねんりょう集合しゅうごう体からだなどは、燃料ねんりょうとして再さい利用りようする分ぶんを除のぞいて、全すべて高だかレベル放射ほうしゃ性せい廃棄はいき物ぶつとして保管ほかんする。

関連かんれん項目こうもく

• 物理ぶつり学がく
• 化学かがく
• 原子げんし爆ばく弾だん
• メルトダウン
• 炉心ろしん融解ゆうかい
• 核かく融合ゆうごう
• 半減はんげん期き
• ゴジラ

関連かんれん商品しょうひん

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