進水しんすい式しき単語たんご

シンスイシキ

1.4千せん文字もじの記事きじ

　進水しんすい式しきとは、新あらたに造みやつこ船ふねされた船舶せんぱくの誕生たんじょうを祝いわう式典しきてんであり、一般いっぱん的てきには船舶せんぱくを初はじめて水みずに触ふれさせる際さいに行おこなう作業さぎょうや儀式ぎしきの事ことをさす。

概要がいよう

進水しんすい式しきの式しき進行しんこうはだいたい以下いかのような流ながれとなる。

まず命名めいめい式しきを行おこない、船ふねに名前なまえをつける。
船ふね首くびにつないだ1本ほんの支ささえ綱つなを切断せつだんする。支ささえ綱つなにはシャンパンのボトルやくす玉だまが連結れんけつしており、切断せつだんと同時どうじにシャンパンのボトルは船ふね首くびにぶつかって割われ、くす玉だまは割われて紙かみ吹雪ふぶきやリボンが空そら中なかに舞まう。
支ささえ綱つな切断せつだん後ごに船ふねが船ふね台たいから水みず面めんに向むけて滑すべり出だし、同時どうじにブラスバンドの演奏えんそうが行おこなわれ、船ふね尾おから進すすむ水みずが始はじまる。
（横よこ方向ほうこうからの場合ばあいもある。船ふね首くび方向ほうこうからだと勢いきおいが付つきすぎて浸びた水みず式しきになる恐おそれがあるためである）

なお、支ささえ綱つなとシャンパンを連結れんけつせず、手てで直接ちょくせつ船ふねにぶつけて割わる方法ほうほうや、投なげつけて割わる方法ほうほうがとられる場合ばあいもある。

ドック式しき進水しんすい式しき

　ドック内ないに水みずを満みたしてそのまま浮うかび上あがらせる方法ほうほうであり、ドックで建造けんぞうした場合ばあいまたは滑すべりだせないような重じゅう量りょう20万まんトン以上いじょうの大だい型かたの船舶せんぱくの進水しんすい式しきに用もちいられる方法ほうほうである。

この方式ほうしきの場合ばあい、進水しんすい式しきは行おこなわず完成かんせいした後のちで顧客こきゃくに引ひき渡わたしの際さいに命名めいめい式しきを行おこなう。

進水しんすい式しきの歴史れきし

シャンパンを船ふね首くびにぶつけて割わる役やく目めは女性じょせいが行おこなう事ことが通例つうれいで、これは１８１１年ねんにイギリスの皇太子こうたいしであるジョージ４世せいが軍艦ぐんかんの進水しんすい式しきの際さいに女性じょせいに赤あかワインのボトルを船ふねにぶつけて割わる事ことを定さだめたのが起おこり源みなもとである。

それ以前いぜんでは古代こだいローマなど西洋せいようでは進水しんすい式しきの際さいに甲かぶと板いたに草くさ花はなを飾かざり、ワインなどの酒さけを注ちゅういで祝いわっていたが、
中世ちゅうせいになるとキリスト教きりすときょうの洗礼せんれいのような事ことに変化へんかした。

バイキングなどでは囚人しゅうじんや奴隷どれいなどを生贄いけにえとして船ふねが滑すべり出だす際さいに下敷したじきにさせ神かみにささげてを祝いわっていたとされる。
後のちに人間にんげんの生贄いけにえは避さけられるようになり動物どうぶつの生贄いけにえに代かわり、近代きんだいでは生贄いけにえの血ちの代かわりとして赤あかワインを用もちいた。その後ごは白しろワインでも良よくなり、いつの間まにかシャンパンになった。日本にっぽんでは日本酒にほんしゅも用もちいられる。
特殊とくしゅな代替だいたいえの事例じれいとして、教会きょうかいの船ふねはミルクを、禁酒きんしゅ法ほうがあったアメリカではジンジャエールが用もちいられた。

進水しんすい式しきの縁起えんぎを担かつぐ事柄ことがら

進水しんすい式しきの際さいにシャンパンのボトルが割われなければ縁起えんぎが悪わるいとされる。
支ささえ綱つな切断せつだん時じに使用しようされる小しょう刀かたなやハンマー、斧おの等ひとしの道みち具ぐは進水しんすい式しきごとに新あたらしく作つくられ、使つかい回まわしはされないのが一般いっぱん的てきである。
日本にっぽん独自どくじの風ふう習であるが三菱重工みつびしじゅうこう下関しものせき造づくり船ふね所ところでは、支ささえ綱つな切断せつだん時じに古ふるくから悪魔あくまを追おい払はらうと言いわれている事ことから銀ぎんの斧おのを用もちいる。
ちなみにこの斧おのは左側ひだりがわに３柱はしらの大神おおがみを現あらわす3つの溝みぞがあり、右側みぎがわに四天王してんのうを現あらわす４よっつの溝みぞが彫ほられてそれぞれの神様かみさまの加護かごを仰あおいでいる。
進水しんすい式しきに使つかわれた支ささえ綱つなは縁起物えんぎものであり、妊にん婦ふの腹はら帯おびや安産あんざんのお守まもりに使つかわれる。

進水しんすい式しきの後のち

　進水しんすい式しきが終おわると、今度こんどは船ふねに各種かくしゅ設備せつびを取とり付つける艤装そうが始はじまり、それが終おわると性せい能のうの検けん査が行おこなわれ、検けん査に合格ごうかくすればようやく発注はっちゅう者ものへ船ふねが引ひき渡わたされる（竣工こう）。つまり、進水しんすい式しき=船ふねの完成かんせいではないのだ。なぜこのような手順てじゅんになるかというと、こうすることで船ふね体からだを建造けんぞうするドックを早はやく空そらけることが可か能のうとなるからである。

　したがって進水しんすい式しきから船ふねが実際じっさいに仕事しごとを始はじめるには結構けっこうな時間じかんがかかり、現在げんざいの軍艦ぐんかんであればだいたい進すすむ水みずから就役しゅうえきまで1年ねん半はん～2年ねん程度ていどは必要ひつようである（しかも、この後のちは船ふね員いんの訓練くんれんが必要ひつようとなる）。

進水しんすい式しきの動画どうが

浸水しんすい式しき

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