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【『徹底討議 二〇世紀の思想・文学・芸術』】めくるめく知の饗宴の楽しみ方(斎藤 哲也) | 群像 | 講談社(1/3)

【『徹底てってい討議とうぎ 世紀せいき思想しそう文学ぶんがく芸術げいじゅつ』】めくるめく饗宴きょうえんたのしみかた

編者へんしゃつとめた哲学てつがく入門にゅうもん』(NHK出版しゅっぱん新書しんしょ話題わだいのライターの斎藤さいとう哲也てつやさんに『徹底てってい討議とうぎ 世紀せいき思想しそう文学ぶんがく芸術げいじゅつ』(松浦まつうら寿ひさしてる沼野ぬまのたかしよし田中たなかじゅんちょ)の書評しょひょういていただきました。
世紀せいき思想しそう文学ぶんがく芸術げいじゅつ」をるためのブックガイドとしてのたのしみかたとは――。
哲学史入門I: 古代ギリシアからルネサンスまで哲学てつがく入門にゅうもんI: 古代こだいギリシアからルネサンスまで

見事みごと鼎談ていだん構成こうせい

 職業しょくぎょうがら活字かつじされたインタビューや対談たいだん鼎談ていだんは、どうしてもライター目線めせんんでしまうことがある。わざわざ説明せつめいするまでもないかもしれないが、はな言葉ことばはそのまま活字かつじになることはない。文字もじこしがあり、それをもとに、ライターや場合ばあいによっては編集へんしゅうしゃが、規定きてい文字数もじすうおさまるように構成こうせいする。

 ここがライターのうでしょだ。みやすいはな言葉ことば文章ぶんしょうととのえ、内容ないよう取捨選択しゅしゃせんたくし、端折はしょった説明せつめい補足ほそくする。はなしとおりやすいように、議論ぎろん順番じゅんばんえることもめずらしくない。もちろん最後さいごは、話者わしゃ自身じしん加筆かひつ修正しゅうせいするけれど、対談たいだん原稿げんこう鼎談ていだん原稿げんこうにライターのするところはおおきい。

 書評しょひょうなのに、こんな前置まえおきからはじめたのは、ほかでもない本書ほんしょ鼎談ていだん構成こうせいがあまりにも見事みごとしたいたからだ。

 本書ほんしょは、文芸ぶんげいの「群像ぐんぞう」で連載れんさいされていた「徹底てってい討議とうぎ 世紀せいき思想しそう文学ぶんがく芸術げいじゅつ」をいちさつにまとめたものである。いちきゅうねんなながつごうからさんねんがつごうにかけておこなわれた、合計ごうけいいちかい鼎談ていだんおさめられている。文芸ぶんげいだから比較的ひかくてき分量ぶんりょう制限せいげんゆるいとはいえ、ある程度ていどはばおさめる必要ひつようはある。実際じっさい本書ほんしょおさめられているいちかいそれぞれのぺーじすうれば、多少たしょう増減ぞうげんはあれど、おおむねいちかいぺーじ前後ぜんこうまれている。

 実際じっさい鼎談ていだんがどのように進行しんこうしたのか、読者どくしゃにはじゅつがない。だが、松浦まつうら寿ひさしてる沼野ぬまのたかしよし田中たなかじゅんという現代げんだい日本にっぽん碩学せきがくさんにん世紀せいきろんうのだから、濃密のうみつ議論ぎろんでないわけがない。本書ほんしょのどのかいんでもわかるように、さんしゃそれぞれが紹介しょうかいする人物じんぶつ作品さくひんだけでも相当そうとうかずにのぼる。それらを咀嚼そしゃくしたうえで、一定いってい分量ぶんりょう議論ぎろん整理せいりしていく。その途方とほうもない仕事しごと感嘆かんたんしたことを最初さいしょしるしておきたい。

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