米国の大統領は命がけだが、戦前の日本も
2020年12月15日公開「暗殺率約10%! 米国大統領という危険な職業の実態を考える」で、米国大統領という危険な職業の実態について述べた。
だが、戦前に限って言えば、日本の首相も危険な職業であったといえよう
日本経済新聞7月8日「戦前には現職首相暗殺、首脳狙うテロ海外でも」で首脳暗殺の事例が詳しく述べられている。
まず、1921年に、「平民宰相」と呼ばれ初の本格的政党内閣を結成した原敬首相が東京駅で暗殺された。
1930年には浜口雄幸首相が東京駅で狙撃され、翌年死亡。
1932年に犬養毅首相が海軍青年将校たちに射殺された五・一五事件は有名だが、1936年の二・二六事件では、陸軍青年将校らが首相官邸などを襲撃し、斎藤実内大臣、高橋是清蔵相らを殺害している。
戦後長らく首相暗殺事件が起こらない平和な国であった日本だ。今回の安倍元首相の暗殺事件は、戦前の怒涛のような首相暗殺によって軍国主義=全体主義が日本を支配し国民が苦しめられた時代の到来の前兆なのだろうか。
幸いにして、軍国主義への反省が戦後生き渡ったことなどから、そのような勢力についてはさほど心配していない。日本を占領したGHQの施策も軍国主義払拭に主眼が置かれた。
だが、戦勝国米国の「日本をぶっ壊す」という意向に沿って、自虐教育によって日本をダメにしようという勢力がのさばり、現在も大きな勢力であることは脅威だ。
6月28日公開「北朝鮮ミサイル8発に米韓は8発即発射、岸田政権はマッカーサーも唖然の遺憾砲だけでいいのか」2ページ目「岸田政権だけが悪いわけではない」以降で述べたように、この「自虐教育」は日本の占領を行ったマッカーサー自身が議会証言で「否定」している。
しかし、2020年5月22日公開「安倍首相を叩く『アベノセイダーズ』が、民主主義を捨て全体主義に走る理由」で述べた「アベノセイダーズ」としてまとめられる、偏向メディア、左翼、自称リベラルなどはいまだにこの「自虐教育」が行動の根本にあるのだ。
それに対して、「日本の誇り」を取り戻し、諸外国とも対等かつ友好的な関係を構築して世界中から絶賛されたのが安倍元首相である。
「アベノセイダーズ」にとって、安倍晋三氏ほど憎い相手は存在しなかったと言えるであろう。それゆえ「アベ死ね」「たたき切ってやる」などと、言論の自由の一線を越え、後述するトランプ氏の議会襲撃事件扇動疑惑よりもはるかにひどい、冷静な見地からは「殺人の扇動(疑惑)」とさえとられかねない卑劣な攻撃が繰り返された。
私が執行パートナーを務める人間経済科学研究所フェロー八幡和郎の「安倍狙撃事件の犯人は『反安倍無罪』を煽った空気だ」でも述べられているように、「アベノセイダーズ」の常軌を逸した安倍元首相への攻撃の「罪と罰」を論じることなく、今回の安倍元首相暗殺事件の本質を理解することはできない。
戦前の首相暗殺、テロ実行犯である若き将校、兵士たちも、「政治家は殺しても構わない悪い奴ばかりだ」と軍国主義者たちに洗脳されて「殺人」に及んだといえる。