【『ファーストペンギン!』感想3話】どん底を蹴って浮き上がれ!・ネタバレあり
By - かな
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かなドラマコラムファーストペンギン!堤真一奈緒
GACKT「キミは誰かから嫌われてない」 続く言葉に「腑に落ちた」「心が軽くなった」の声GACKTさんが、心のバランスを崩しそうな人へ送った言葉は?ネット上で反響が上がっています。
成田凌「嫌な感じだった」 仲の悪かった同い年の俳優を実名告白仲が悪かったという成田凌さんと、間宮祥太朗さん、今では仲が良く、現場での対応にいじめを疑った成田さんが、間宮さんに相談すると?
Twitterを中心 に注目 ドラマの感想 を独自 の視点 でつづり人気 を博 している、かな(@kanadorama)さん。
2022年 10月 スタートのテレビドラマ『ファーストペンギン!』(日本 テレビ系 )の見 どころを連載 していきます。
かなさんがこれまでに書 いたコラムは、こちらから読 めます。
だが、その心 がポキッと折 れたのは、仕事 への評価 ではなくて、「母親 としてあんたどうなんだ」という仲間 からの反則 の一 撃 だった。
「それを言 っちゃあ、おしまいだろ」と思 ったら案 の定 、ヒロインの和佳 は漁師 たちとの仕事 をあきらめて去 ってしまう。
それはやはり仕事 仲間 としては、決 して刺 してはいけないところなのだ。
「これはつらいな」と思 わずため息 が出 る。でも確 かにその時 が物語 の底 、深 い水底 でつま先 が触 れた瞬間 だった。あとは蹴 って上 がるのだ。
とある寂 れゆく漁村 、汐 ヶ崎 にふらりと現 れたシングルマザーが、ひとりの漁師 と出会 って浜 の再建 になるような事業 を興 してほしいと頼 まれる。
そんなヒロイン岩崎 和佳 (奈緒 )と、さんし船団 丸 の漁師 達 の奮闘 を描 く『ファーストペンギン!』(日本 テレビ系 水曜 22時 )。
その行動 力 で、和佳 はこれまでタブーとされてきた、漁協 を通 さない魚 の直販 を始 めるべく国 の六 次 産業 化 プロジェクトの認可 を得 て、漁協 からの嫌 がらせをものともせず直販 事業 に突 き進 む。
ヒロインにふりかかる試練 がエグいほど、後半 ジャンプアップして面白 くなるのが脚本 家 ・森下 佳子 のドラマで、それは演技 だと分 かっていても一瞬 「本当 に嫌 いになりそう」と思 わせるような敵役 あっての効果 である。
そのラインすれすれの憎々 しさを、NHK連続 テレビ小説 『ごちそうさん』ではキムラ緑子 が担 ったが、今回 は梅沢 富美男 が怪 演 している。
さんし船団 丸 の口座 から多額 の預金 を引 き出 して、目 一 杯 おしゃれをして東京 に出 て行 く和佳 の行動 を、漁師 達 は「会社 の金 を横領 して遊 び歩 いているのでは」と怪 しむが、それは東京 の飲食 店 に魚 を買 ってもらうための必死 の営業 だった。
ここで漁師 たちと和佳 の間 の不信 感 はピークに達 する。
そして和佳 には琴平 (渡辺 大知 )という経営 コンサルタントらしき青年 が時折 連絡 をしてお魚 ボックス事業 に的確 なアドバイスをしている。
その琴 平 が、今回 のラストで汐 ヶ崎 の漁師 たちについて直接 見知 っているふうなことを言 いかけてやめた。そして、まだ和佳 に対 して何 か隠 している意図 があるらしい。
こうして一 度 はさんし船団 丸 との縁 を切 ろうと決 めた和佳 だったが、和佳 の献身 的 な営業 の実情 を知 った漁師 の面々 が引 き止 めにやってくる。
それでも振 り切 ろうとした和佳 を引 きとめたのは、いつも良 い子 すぎるくらい良 い子 である息子 の進 が初 めて見 せた怒 りだった。
しかし遡 って考 えると、普段 は優 しい幼 い子 を怒 りに突 き動 かしたのは『楽 しい漁師 のおじちゃんたち』への思 いやりだろう。
それは一 晩 寄 り添 った永沢 (鈴木 伸之 )の優 しさや、ペンギンの鳴 き声 を真似 て寂 しさを紛 らわせてくれた片岡 の思 いやり、そして母親 の悪口 を子供 の目 の前 で言 わなかった高志 (吹越 満 )の気遣 いといった、海 の男 たちの不器用 な優 しさが絡 まりあって醸成 されたものだ。
つくづく人 の縁 は、単線 ではなくて絡 まりあってめぐるものだと思 う。
このセリフの味 わい深 さも、そして今 作 で繰 り返 される、長 いものに巻 かれないでも生 きられる社会 をという描写 も、極上 のエンタテインメントの中 で「私 たちは次 の世代 にどんな社会 を残 したいですか?」と問 われているかのようだ。
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