吉元よしもと由美ゆみの『ひと・もの・こと』

生いき方かたを変かえる「出会であい」の瞬間しゅんかん

出会であいが人生じんせいを創つくっていく。人ひとや仕事しごととの出会であいだけでなく、言葉ことばや、ふと目めにした光景こうけいが人生じんせいに変化へんかをもたらすことがあります。

衝撃しょうげき的てきなインパクトもあれば、じわじわと心しんに染しみ入いるようなインパクトもあります。人ひととの出会であいと同おなじように、それは生いき方かたや新あたらしい価値かち観かんをもたらすきっかけになるのです。

会社かいしゃに勤つとめながら作詞さくしの勉強べんきょうをしていた頃ころのこと。会社かいしゃを辞やめて、アルバイトをしながら作詞さくしの勉強べんきょうをしようかと考かんがえたことがありました。

私わたしのメンターとも言いえる先生せんせいに相談そうだんすると、先生せんせいは厳きびしい口調くちょうでこう言いわれました。

この言葉ことばに、私わたしは今いまでも支ささえられています。ジャンプするときにはしゃがむ。つまり、今いまはしっかりと地ちに足あしをつけて、力ちからを蓄たくわえる時期じき。

だから会社かいしゃを辞やめるという安直あんちょくな行動こうどうをとってはならない。忍耐にんたい力りょくも鍛きたえよ、ということです。

人生じんせい、いいときもうまくいかないときもある。そのうまくいかないときに（今いまはジャンプするためにしゃがんでいるのだ）と思おもうと、つらいことも前向まえむきに受うけ止とめられます。

この言葉ことばがなければ、今いまの自分じぶんはなかったと思おもいます。

旅先たびさきで出会であった１枚まいの絵えが、「あたりまえ」のことが「あたりまえ」でないことに気きづかせてくれました。

ニューヨークのホイットニー美術館びじゅつかんで出会であったネイティヴアメリカンのアーティスト、Jaune Quick-to-See Smithの絵えに、こんな言葉ことばが記しるされていました。

空気くうきは人間にんげんのものだけでない。動物どうぶつも植物しょくぶつも、同おなじ空気くうきを必要ひつようとしている。人間にんげんの視点してんだけで世界せかいを見みつめていても、何なんの解決かいけつにもならないことをこの言葉ことばは示しめしていると思おもうのです。

大切たいせつなことは「あたりまえ」すぎて、気きづかない。でも気きづけば、それは「あたりまえ」でなくなったのです。

ふと足あしを止とめて見みた絵えの中なかの言葉ことばにハッとしました。原点げんてんを忘わすれるな、と言いわれているような気きがしました。

人生じんせいを変かえる出会であいは『運うん』だけではない。小ちいさな出会であいも、生いき方かたを変かえる『瞬間しゅんかん』となるのです。

※記事きじ中ちゅうの写真しゃしんはすべてイメージ

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[文ぶん・構成こうせい／吉元よしもと由美ゆみ]