|属 = [[タラノキ属]] ''[[:en:Aralia|Aralia]]''
|種 = '''タラノキ''' ''A. elata''
|学名 = {{Snamei||Aralia elata}} ({{AU|Miq.}}) {{AU|Seem.}} {{Small|([[1868年|1868]])}}<ref name="YList">{{YList|id=3813|taxon=Aralia elata (Miq.) Seem. タラノキ(標準)|accessdate=20222023-03-0631}}</ref>
|シノニム=
* {{Snamei|Aralia mandshurica}} {{AU|Maxim.}} {{small|([[1857年|1857]])}}<ref name="YList_40025">{{YList|id=40025|taxon=Aralia mandshurica Maxim. タラノキ(シノニム)|accessdate=20222023-03-0631}}</ref>
|和名 = タラノキ(楤木)
|英名 =
}}
'''タラノキ'''(楤木、{{sfn|金田初代|2010|p=82}}・楤の木{{sfn|林将之|2008|p=69}}・惣木{{Sfn|高橋秀男監修|2003|p=134}}・桵木{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2014|p=35}}、[[学名]]: {{Snamei||Aralia elata}})は、[[ウコギ科]][[タラノキ属]]の[[落葉低木]]。別名は数が多く、「タランボウ」「オニノカナボウ」など地方によって様々な呼び名がある。新芽が山菜として有名な'''タラの芽'''(楤芽)で、[[天ぷら]]などに調理されて食べられる。葉は良い香りがする。
== 名称 ==
標準和名とされている'''タラノキ'''については、名称の由来はよくわかっていない<ref>{{Cite book|和書|author=近田文弘|year=2014|title=葉・実・木のかたちで調べる 樹木の名前大事典|publisher=くもん出版|page=101|isbn=978-4-7743-2219-3}}</ref>。
別名は数が多く、タラ(楤、桵)<ref>{{Kotobank|楤|デジタル大辞泉}}</ref>、ウドモドキ{{sfn|農文協編|2004|p=215}}ともよばれるが、地方によっては'''タランボウ'''{{sfn|農文協編|2004|p=215}}{{sfn|金田初代|2010|p=82}}、'''オニノカナボウ'''{{sfn|貝津好孝|1995|p=219}}{{sfn|農文協編|2004|p=215}} 、'''タラッペ'''{{sfn|農文協編|2004|p=215}}、イギノキ{{sfn|農文協編|2004|p=215}}、トゲウドノキ{{sfn|金田初代|2010|p=82}}などの様々な呼び名がある。中国名は「遼東楤木」<ref name="YList"/>。春に萌える若芽は、タラノメ(タラの芽)とよばれている。
== 分布と生育環境 ==
[[日本]]の[[北海道]]・[[本州]]・[[四国]]・[[九州]]・[[沖縄県|沖縄]]のほか、[[朝鮮半島]]、[[中華人民共和国|中国]]、[[千島列島]]、[[サハリン]]の[[東アジア]]地域に分布する{{sfn|菱山忠三郎|2003|p=20}}。
平地から標高1500メートル以上までの山地の原野、河岸、森林、林道脇など明るい日当たりの良い山野に自生する{{sfn|馬場篤|1996|p=72}}{{sfn|農文協編|2004|p=215}}{{sfn|林将之|2008|p=69}}。特に、野原ややぶ、崩壊地などの荒れた場所に生える{{Sfn|高橋秀男監修|2003|p=134}}{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2014|p=35}}。いわゆるパイオニア的な樹木であり、森林が攪乱(かくらん)をうけると、たとえば伐採跡地に素早く出現し、大小の集団を作って群生する{{sfn|農文協編|2004|p=215}}。栽培もされる{{sfn|林将之|2008|p=69}}。
== 特徴 ==
茎[[落葉広葉樹]]の低木から高木で、高さは2 - 6[[メートル]] (m) 程度にもなり{{sfn|農文協編|2004|p=215}}、幹、枝、葉にも棘鋭いトゲが密にある{{sfn|金田初代|2010|p=82}}<ref>{{Cite book|和書|author=板木利隆|date=1996-10|title=図解やさしい野菜づくり|page=279|publisher=家の光協会|isbn=978-4259533946}}</ref>[[落葉広葉樹]]の低木で、高さは2 - 6[[メートル]] (m) 程度になる{{sfn|農文協編|2004|p=215}}。生育環境にもよるが1年で20 - 60[[センチメートル]] (cm) ほど伸び、5年で3 mに達するものも珍しくはない。幹はあまり分枝せずにまっすぐに立ち、単一または分岐する{{sfn|農文協編|2004|p=215}}。細い幹の[[樹皮]]には、幹から垂直に伸びる大小の鋭い棘が多くつくことのが特徴である{{sfn|菱山忠三郎|2003|p=20}}{{sfn|農文協編|2004|p=215}}。幹が太いものは樹皮が縦に裂けて、見た目の印象が変わる{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2014|p=35}}。春に萌える芽は枝の先に出る{{sfn|金田初代|2010|p=82}}。
[[ 葉]]は[[ 互生]]し、 幹や枝の 先端だけに 集まって つき、夏には傘のように四方に大きく葉を 開く{{sfn| 馬場篤|1996|p=72}}{{sfn| 農文協編|2004|p=215 }}{{sfn|金田初代|2010|p=82}}。[[ 葉身]]は 奇数2 - 3回[[ 羽状複葉]]で {{sfn|馬場篤|1996|p=72}}、 全体の長さが50 - 100 cmにも 達する 大きなものであり {{Sfn|高橋秀男監修|2003|p=134}}、 全体に 草質でつやはない。[[ 葉柄]]は 長さ15 - 30 cmで 基部がふくらむ。[[ 小葉]]は 長さ5 - 12 cmの 卵形から 楕円形で 先が尖り、 裏は 白みを 帯び、[[ 葉縁]]に 粗い[[ 鋸歯]]がある{{sfn| 菱山忠三郎|2003|p=20 }}{{sfn|金田初代|2010|p=83}}。葉軸にはトゲが多い{{sfn|林将之|2008|p=69}}。 葉全体に 毛が 多いが、 次第に 少なくなり、 柄と 脈状に 粗い 毛が 残る 。秋には赤色や橙色に[[紅葉]]するが、紅葉しはじめは紫色になりやすい{{sfn|林将之|2008|p=69}}。 ▼
花期は晩夏(8 - 9月 )ごろ 、){{Sfn|高橋秀男監修|2003|p=134}}。幹の 先端の 葉芯から 長さ30 - 50 cmほどある 複総状の[[ 総状花序]]を 複数つけ、 多数の径3[[ミリメートル]] (mm) 程度の 小さな 白い[[ 花]]を 咲かせる (3mm程度){{sfn| 菱山忠三郎|2003|p=20}}{{sfn| 馬場篤|1996|p=72}}{{sfn| 農文協編|2004|p=215}}。[[ 花弁]]は 三角形で5 枚、[[ 雄蕊]]は5 本で 突き 出ている。 自家[[ 受粉]]を 防ぐため、[[ 雄蕊]]が 先に 熟して 落ちた 後、5 個の[[ 雌蕊]]が 熟し、 秋には 黒色で 直径 3 mmほどの小さな 球状の[[ 果実]]とな るり、10 - 11月ごろに熟す{{sfn| 馬場篤|1996|p=72 }}{{sfn|平野隆久監修 永岡書店編|1997|p=220}}{{Sfn|高橋秀男監修|2003|p=134}}。 ▼
▲[[ 葉]]は[[ 互生]]し、 幹の 先端だけに 集まって 葉を 開く{{sfn| 馬場篤|1996|p=72}}{{sfn| 農文協編|2004|p=215}}。[[ 葉身]]は 奇数2 - 3 回[[ 羽状複葉]]で{{sfn| 馬場篤|1996|p=72}}、 全長が50 - 100 cmにも 達する 大きなものであり、 全体に 草質でつやはない。[[ 葉柄]]は 長さ15 - 30 cmで 基部がふくらむ。[[ 小葉]]は 長さ5 - 12 cmの 卵形から 楕円形で、 裏は 白みを 帯び、[[ 葉縁]]に[[ 鋸歯]]がある{{sfn| 菱山忠三郎|2003|p=20}}。 葉全体に 毛が 多いが、 次第に 少なくなり、 柄と 脈状に 粗い 毛が 残る。
枝先にできる[[冬芽]]の頂芽は大きく円錐形で、側芽は互生して小さい{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2014|p=35}}。冬芽は芽鱗は3 - 4枚に包まれている{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2014|p=35}}。葉痕は浅いV字形やU字形で、[[維管束]]痕が30 - 40個ほど見られる{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2014|p=35}}。
▲夏(8 - 9 月)ごろ、 幹の 先端の 葉芯から 長さ30 - 50 cmほどある 複総状の[[ 花序]]を 複数つけ、 多数の 小さな 白い[[ 花]]を 咲かせる(3mm 程度){{sfn| 菱山忠三郎|2003|p=20}}{{sfn| 馬場篤|1996|p=72}}{{sfn| 農文協編|2004|p=215}}。[[ 花弁]]は 三角形で5 枚、[[ 雄蕊]]は5 本で 突き 出ている。 自家[[ 受粉]]を 防ぐため、[[ 雄蕊]]が 先に 熟して 落ちた 後、5 個の[[ 雌蕊]]が 熟し、 秋には 黒色で 小さな 球状の[[ 果実]]となる{{sfn| 馬場篤|1996|p=72}}。
分類上は幹に棘が少なく、葉裏に毛が多くて白くないものをメダラ (f. ''subinermis'') といい、栽培されるものはむしろこちらの方が普通である。
=== 病虫害 ===
野生植物であるタラノキは、作物として畑で栽培した場合に、タラノキ立枯疫病(病原体:''[[:w:Phytophthora cactorum|Phytophthora cactorum]]''<ref>[https://www.gene.affrc.go.jp/databases-micro_pl_diseases_detail.php?id=7773 タラノキ・立枯疫病]、日本植物病名データベース、[[農業生物資源ジーンバンク]]</ref>)という産地をつぶすほどの致命的な重要病害が発生することがあり、いかに病害を回避して栽培するかが大きな課題となる{{sfn|農文協編|2004|p=222}}。タラノキ立枯疫病は栽培されたタラノキだけに見られる疫病菌に起因する病気で、新梢がしおれて立ち枯れ、株の根元や根部が黒褐色の軟化腐敗症状となる{{sfn|農文協編|2004|p=222}}。地温15 - 27度で発生しやすく、多肥や密植で多発しやすい傾向があり、除草による断根は発生を助長させる{{sfn|農文協編|2004|p=222}}。また、タラノキそうか病は、ウコギ科に寄生する菌に起因する(病気で、梅雨期を前後して葉に小班点を生じて奇形化し、夏の高温期は一時停滞して、秋雨期に再び発生する{{sfn原体:''[[:w:Elsinoë|農文協編|2004|p=223}}。Elsinoë]]''
''araliae''<ref>[https://www.gene.affrc.go.jp/databases-micro_pl_diseases_detail.php?id=7772 タラノキ・そうか病]、日本植物病名データベース、[[農業生物資源ジーンバンク]]</ref>)は、ウコギ科に寄生する菌に起因する病気で、梅雨期を前後して葉に小班点を生じて奇形化し、夏の高温期は一時停滞して、秋雨期に再び発生する{{sfn|農文協編|2004|p=223}}。また、[[軟腐病菌]](''[[:w:Pectobacterium carotovorum|Pectobacterium carotovorum]]'')による[[軟腐病]]<ref>[https://www.pref.shimane.lg.jp/industry/norin/gijutsu/nougyo_tech/byougaityuu/byougaityuu-index/taranoki/taranoki.html#:~:text=%E3%81%9D%E3%81%86%E3%81%8B%E7%97%85%E3%81%AF%E8%8C%8E,%E6%96%91%E3%81%8C%E5%BD%A2%E6%88%90%E3%81%95%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%80%82 タラノキ:そうか病、軟腐病]、[[島根県農業技術センター]]</ref>も報告されている。
害虫としては、春の新芽枝に[[アブラムシ]]が寄生することがある{{sfn|農文協編|2004|p=223}}。また、暖地では8月ごろに[[キボシカミキリ]]が発生する{{sfn|農文協編|2004|p=223}}。
| right=1 }}
特に有名なのは、新芽の[[山菜]]としての「タラの芽」の利用であるが、樹皮は民間薬として健胃、強壮、強精作用があり、[[糖尿病]]にもよいといわれる。材は軽くてやわらかく、[[下駄]]や[[杓子]]などがつくられる{{sfn|平野隆久監修 永岡書店編|1997|p=220}}。
=== タラの芽 ===
'''タラの芽'''(タラのめ)とは、タラノキの枝先に出る若芽のことで、主に[[山菜]]として食用にされる{{sfn|主婦の友社編|2011|p=226}}。主な[[旬]]は3月 - 4月で、市場に出回っているものの多くは栽培品である{{sfn|主婦の友社編|2011|p=226}}。山菜としては苦味や[[灰汁]]は少なく、扱いやすい食材で、天ぷらや揚げ物によく使われるほか、軽く茹でてごま和えや胡桃和えなどの和え物や炒め物にされる{{sfn|主婦の友社編|2011|p=226}}。可食部100[[グラム]] (g) あたりの熱量は約27[[キロカロリー]] (kcal) で、栄養素は[[タンパク質]]が多めでコク深い味わいがある{{sfn|主婦の友社編|2011|p=226}}{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=154}}。山村地域では、古くから春の高級山菜として珍重され{{sfn|農文協編|2004|p=215}}、俗に「山菜の王様」と称される{{sfn|金田初代|2010|p=82}}<ref>{{Cite book|和書|author =講談社編|title = からだにやさしい旬の食材 野菜の本|date=2013-05-13|publisher = [[講談社]]|isbn=978-4-06-218342-0|page =28}}</ref>。
;採取方法
:トゲがあるため作業用の革手袋などが必要になる{{sfn|金田初代|2010|p=82}}。新芽の根元で容易にむしることができるが、鎌等の道具を用いることもある。採取する新芽は、まだ葉が開ききっていない枝の先端から上に向いた1番の若芽(頂芽)だけにする{{sfn|金田初代|2010|p=84}}。枝先のみ(側芽まで取ってしまうを摘んだあとその枝は枯れてしまう。ゆえにそ、やや下から2番目や3番目のような行為はマナー違反とみなされ芽が膨らんでくることが、タラノキはある)としまり枝を出さず、弱りやすい木であとは昨年に伸びるた枝を見てめ、それより下の芽の候補がは残っているか確認すようにする{{Sfn|高橋秀男監修|2003|p=134}}{{sfn|金田初代|2010|p=82}}。一定の時期を過ぎると候補と成る芽の素は枯れて発芽しない。胴芽も通常は採らない。幼い一本立ちのタラノキ(高さがだいたい膝から腰くらい)の頂芽を取るとその幼木全体が枯れてしまう。なお、韓国のタラの芽農家では、収穫のあ枝ごと適当な数だけ残して枝を切り取る(夏には再び大きくなる)。そのまま放置するとタラノキは高さ3 - 4メートルに成長木が枯れてしまうため、収穫も困難無謀な採取は慎むようにな注意喚起されている<ref name{{sfn|金田初代|2010|p=koreana/>82}}。
:韓国のタラの芽農家では、収穫のあと適当な数だけ残して枝を切り取る(夏には再び大きくなる)。そのまま放置するとタラノキは高さ3 - 4メートルに成長し、収穫も困難になる<ref name=koreana/>。
:[[園芸]]業者が販売している枝に棘のない品種(メダラ)や別種のリュウキュウタラノキ(''Aralia ryukyuensis'') を栽培し販売することもある。
;採取時期
:新芽の採取時期は桜の8分咲きころに同期しており、里の桜がタラの芽の採取時期でもある。日本では中国地方・四国・九州が4月ごろ、関東地方などの暖地は4 - 5月ごろ、北海道・東北地方・中部地方の寒冷地は5月ごろといわれる{{Sfn|高橋秀男監修|2003|p=134}}{{sfn|金田初代|2010|p=82}}。栽培する場合、韓国南部では4月上旬、中部から北部にかけては4月中旬・下旬に収穫する。温室で栽培したものは早春や夏、場合によっては冬にも収穫可能<ref name=koreana/>。
;調理方法
:根元のかたい部分を切り落として、袴(はかま)の部分を取り除く{{sfn|金田初代|2010|p=82}}{{sfn|主婦の友社編|2011|p=226}}。生のまま、根元の底に切れ込みを入れて[[天ぷら]]にするのが一般的で、口いっぱいにひろがる独特の芳香、心地よい苦味とコクが特徴的である{{Sfn|高橋秀男監修|2003|p=135}}{{sfn|金田初代|2010|p=82}}。単天ぷら以外にゆがいも、茹でて水にさらし、[[おひたし]]や[[ゴマ]]の[[和え物]]、[[煮びたし]]、[[酢の物]]にしたり、[[油で炒め]]、汁の実にして食べてもよい{{sfn|金田初代|2010|p=82}}{{sfn|主婦の友社編|2011|p=226}}{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=154}}{{Sfn|高橋秀男監修|2003|p=135}}。生のまま火であぶって、味噌をつけて食べてもおいしく食べられる{{Sfn|高橋秀男監修|2003|p=135}}。韓国では浅く茹でてチェコチュジャン(酢[[コチュジャン]])をつけて食べるのが一般的。また、しょうゆ漬けにすると苦みは減少し、独特の芳香は濃くなる<ref name=koreana>{{Cite journal|和書|author=鄭載勳(チョン・ジェフン)|title=春の食卓の王様タラの芽|year=2021|publisher=The Korea Foundation|journal=Koreana|volume=28|issue=1|issn=1225-4592|page=60-63}}</ref>。
<gallery>
=== 薬用 ===
タラノキ皮として、樹皮は'''楤木皮'''(たらのきかわ)、根皮は'''楤根皮'''(そうこんぴ)とよんで[[生薬]]として用いられる{{sfn|馬場篤|1996|p=72}}。樹皮の部分は'''刺老鴉'''(しろうあ)ともよばれるが、中国薬物名の楤木はタラノキの仲間の別種である{{sfn|貝津好孝|1995|p=219}}。
乾燥させたタラノキ皮を煎じて、1日3回に分けて服用すると、血糖降下、健胃、整腸、糖尿病、腎臓病に効用があるといわれる{{sfn|馬場篤|1996|p=72}}{{sfn|平野隆久監修 永岡書店編|1997|p=220}}。また、芽をたべることで同じような効果が期待できると言われている。根皮も「タラ根皮」(タラこんぴ)という生薬で、糖尿病の症状に対して用いられる。高血圧や慢性胃炎には皮つき枝を刻んだものでお茶代わりに飲用することもでき、常用しても支障は出ない{{sfn|馬場篤|1996|p=72}}。暖める作用がある薬草で、熱があったり、のぼせやすい人や、妊婦への服用は禁じられている{{sfn|貝津好孝|1995|p=219}}。
[[膵臓]]の[[β細胞]]に障害を与えた糖尿病モデルに対してタラノメ抽出物を投与したが改善効果は認められなかった。一方、ラットへの[[ブドウ糖]]や[[ショ糖]]の負荷投与に際して[[血糖値]]上昇が7-8割も抑制された。このことから、タラノメは糖尿病の治療というよりも予防や悪化防止に効果があると考えられるとする報告がある<ref>吉川雅之、[https://doi.org/10.1271/kagakutoseibutsu1962.40.172 薬用食物の糖尿病予防成分] 『化学と生物』 2002年 40巻 3号 p.172-178, {{doi|10.1271/kagakutoseibutsu1962.40.172}}</ref>。なお、タラノキ材は小細工用に使われる<ref>{{Cite book|和書|editor=新村出|date=1983-11-01|title=広辞苑|edition=第三版|publisher=岩波書店|page=1402}}</ref>。
== 似ている有毒植物 ==
芽だしは有毒の[[ヌルデ]]や[[ヤマウルシ]]にも似ているが、これらの木はトゲがないことから見分けられる{{sfn|金田初代|2010|p=82}}。
== 脚注 ==
* {{Cite book|和書|author =猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|title = かしこく選ぶ・おいしく食べる 野菜まるごと事典|date=2012-07-10|publisher = [[成美堂出版]]|isbn=978-4-415-30997-2|page =154|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|author=貝津好孝|title=日本の薬草|date=1995-07-20|publisher=小学館|series=小学館のフィールド・ガイドシリーズ|isbn=4-09-208016-6|page =219|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|author=金田初代|coauthors=金田洋一郎(写真)|title=ひと目でわかる! おいしい「山菜・野草」の見分け方・食べ方|publisher=[[PHP研究所]]|date=2010-09-24|pages=82 - 83|ISBN=978-4-569-79145-6|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|author=鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|title =樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種|date=2014-10-10|publisher =[[誠文堂新光社]]|series=ネイチャーウォチングガイドブック|isbn=978-4-416-61438-9|page =35|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|author =主婦の友社編|title = 野菜まるごと大図鑑|date=2011-02-20|publisher = [[主婦の友社]]|isbn=978-4-07-273608-1|page =226|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|author=高橋秀男監修 田中つとむ・松原渓著|title=日本の山菜|publisher=[[学習研究社]]|series=フィールドベスト図鑑13|date=2003-04-01|isbn=4-05-401881-5|pages=134 - 135|ref={{SfnRef|高橋秀男監修|2003}} }}
* {{Cite book|和書|author = 農文協編|title = 野菜園芸大百科 第2版 20:特産野菜70種|date = 2004-03-31|publisher = [[農山漁村文化協会]]|isbn = 4-540-04123-1|pages = 215 - 226|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|author=馬場篤|others=大貫茂(写真)|title=薬草500種―栽培から効用まで|date=1996-09-27|publisher=誠文堂新光社|series = |isbn = 4-416-49618-4|page = 72|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|author =菱山忠三郎|title ={{fontsize|small|ポケット判}} 身近な樹木|date=2003-06-01|publisher=主婦の友社|isbn=4-07-238428-3|page =20|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|author =平野隆久監修 永岡書店編|title =樹木ガイドブック|date=1997-05-10|publisher =[[永岡書店]]|isbn=4-522-21557-6|page =220|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|author=藤嶋勇|ref={{SfnRef|藤嶋勇|1997}}|date=1997-02-28|title=タラノメ ふかし栽培と調製・販売の実際|publisher=農山漁村文化協会|isbn=4-540-96135-7}}
== 関連項目 ==
* [[木の一覧]]
* [[コシアブラ]] - 幼木の若芽はタラノメと並ぶ春の山菜。
== 外部リンク ==
{{commons|Aralia elata}}
* [{{Wayback|url=http://had0.big.ous.ac.jp/plantsdic/angiospermae/dicotyledoneae/choripetalae/araliaceae/taranoki/taranoki.htm |title=植物雑学辞典 タラノキ] |date=20071116140020}} - 岡山理科大学
{{Normdaten}}
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