タラノキ
タラノキ(楤木[3]・楤の
タラノキ | ||||||||||||||||||||||||
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タラノキ
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Aralia elata (Miq.) Seem. (1868)[1] | ||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||
タラノキ(楤木) |
名称
分布 と生育 環境
特徴
-
タラノキの
実 -
タラノキの
葉
品種
タラノキが
野生 種 - とげが多 いが、栽培 種 に比 べて格段 に風味 、香 りがよく非常 に美味 。収穫 後 の回復 力 が弱 く、個体 数 が少 なく希少 である。駒 みどり -山梨 県 農業 試験場 で選抜 育成 されて1977年 (昭和 52年 )に命名 された品種 [17]。とげはごく少 なく、枝 の下 から3分 の1のところにとげが集中 するが、作業 上 の支障 がない[17]。生育 は旺盛 で、剪枝後 の発生 枝 は太 く、本数 が多 い[17]。芽 はやや小 さい[18]。新 駒 - 1979年 (昭和 54年 )に山梨 県 農業 試験場 で発見 された突然変異 種 を、梨 農 育 1号 の系統 名 で選抜 を続 けて命名 した品種 [17]。特 に芽 が大 きく、多 収 が期待 できるが、新芽 の形状 が悪 く、緑色 がやや淡 い[17]。他 の品種 にない特徴 として、休眠 作用 がほとんどない点 が挙 げられ、芽 の発生 も早 く揃 い年末 出荷 も容易 なことから、促成 専用 種 に位置 づけられる[19][17]。蔵王 系 -民間 個人 による発見 や選抜 によって、山形 市 で育成 された品種 [20]。才谷 系 -高知 県 山間 農業 試験場 で選抜 されたとげなし系 の品種 。毛 状 の小 さなとげがあるが、軍手 で支障 が無 く作業 でき、新芽 の質 がよく、側 芽 の発生 も多 い[20]。
栽培
露地 普通 栽培 一般 的 な作 型 で、畑 や原野 に種 根 や苗木 を植 え付 けて、クワ畑 のような管理 を行 い、2年 目 の春 から新芽 を収穫 する方法 である。収穫 期間 は約 1か月 と短 い[21]。ふかし促成 栽培 に必要 な穂 木 を生産 する目的 でも栽培 される[20]。- ふかし
促成 栽培 温床 としておがくず床 、あるいは水 床 をつくり、これに切 ってきた穂 木 を挿 し木 にして、約 1か月 後 に萌芽 してくる若芽 を収穫 する方法 である。露地 普通 栽培 の収穫 期間 を補 うため、11月初冬 から露地 栽培 品 が出回 るまでの期間 出荷 され、東北 地方 の積雪 地帯 を中心 に全国 的 に行 われている[21]。穂 木 は山 採 りが行 われてきたが、原木 不足 や山 採 りの労力 減少 により、露地 栽培 された穂 木 も使 われている[20]。若芽 利用 栽培 露地 普通 栽培 の剪枝後 に、夏場 の生育 期間 中 に伸 びてくる若葉 の一部 を摘 み取 って利用 する方法 。2年 目 以降 の新 枝 に増加 する葉 を、2枚 に1枚 おきくらいに摘 み取 るもので、枝 1本 あたり6 - 7枚 の若葉 を収穫 できる[21]。
露地 普通 栽培
ふかし促成 栽培
病虫害
利用
100 gあたりの | |
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エネルギー | 109 kJ (26 kcal) |
4.1 g | |
3.6 g | |
0.2 g | |
4.0 g | |
ビタミン | |
ビタミンA |
(6%) 50 µg(6%) 600 µg |
チアミン (B1) |
(6%) 0.07 mg |
リボフラビン (B2) |
(9%) 0.11 mg |
ナイアシン (B3) |
(9%) 1.3 mg |
パントテン |
(5%) 0.23 mg |
ビタミンB6 |
(8%) 0.11 mg |
(21%) 83 µg | |
ビタミンC |
(4%) 3 mg |
ビタミンE |
(13%) 2.0 mg |
ビタミンK |
(92%) 97 µg |
ミネラル | |
ナトリウム |
(0%) 1 mg |
カリウム |
(6%) 260 mg |
カルシウム |
(2%) 19 mg |
マグネシウム |
(8%) 28 mg |
リン |
(13%) 92 mg |
(7%) 0.9 mg | |
(7%) 0.7 mg | |
(15%) 0.30 mg | |
90.8 g | |
1.1 g | |
2.5 g | |
| |
| |
%は |
タラ の芽
採取 方法 - トゲがあるため
作業 用 の革 手袋 などが必要 になる[3]。新芽 の根元 で容易 にむしることができるが、鎌 等 の道具 を用 いることもある。採取 する新芽 は、まだ葉 が開 ききっていない枝 の先端 の若芽 (頂 芽 )だけにする[38]。枝 先 の芽 を摘 んだあとに、やや下 から2番目 や3番目 の芽 が膨 らんでくるが、タラノキはあまり枝 を出 さず、弱 りやすい木 であるため、それより下 の芽 は残 すようにする[5][3]。一定 の時期 を過 ぎると候補 と成 る芽 の素 は枯 れて発芽 しない。幼 い一本立 ちのタラノキ(高 さがだいたい膝 から腰 くらい)の頂 芽 を取 るとその幼 木 全体 が枯 れてしまう。なお、枝 ごと切 ると木 が枯 れてしまうため、無謀 な採取 は慎 むように注意 喚起 されている[3]。 韓国 のタラ の芽 農家 では、収穫 のあと適当 な数 だけ残 して枝 を切 り取 る(夏 には再 び大 きくなる)。そのまま放置 するとタラノキは高 さ3 - 4メートルに成長 し、収穫 も困難 になる[39]。園芸 業者 が販売 している枝 に棘 のない品種 (メダラ)や別種 のリュウキュウタラノキ(Aralia ryukyuensis) を栽培 し販売 することもある。
採取 時期 新芽 の採取 時期 は桜 の8分咲 きころに同期 しており、里 の桜 がタラ の芽 の採取 時期 でもある。日本 では中国 地方 ・四国 ・九州 が4月 ごろ、関東 地方 などの暖地 は4 - 5月 ごろ、北海道 ・東北 地方 ・中部 地方 の寒冷 地 は5月 ごろといわれる[5][3]。栽培 する場合 、韓国 南部 では4月 上旬 、中部 から北部 にかけては4月 中旬 ・下旬 に収穫 する。温室 で栽培 したものは早春 や夏 、場合 によっては冬 にも収穫 可能 [39]。
調理 方法 根元 のかたい部分 を切 り落 として、袴 (はかま)の部分 を取 り除 く[3][35]。生 のまま、根元 の底 に切 れ込 みを入 れて天 ぷらにするのが一般 的 で、口 いっぱいにひろがる独特 の芳香 、心地 よい苦味 とコクが特徴 的 である[40][3]。天 ぷら以外 にも、茹 でて水 にさらし、おひたしやゴマの和 え物 、煮 びたし、酢 の物 にしたり、油 炒 め、汁 の実 にして食 べてもよい[3][35][36][40]。生 のまま火 であぶって、味噌 をつけて食 べてもおいしく食 べられる[40]。韓国 では浅 く茹 でてチェコチュジャン(酢 コチュジャン)をつけて食 べるのが一般 的 。また、しょうゆ漬 けにすると苦 みは減少 し、独特 の芳香 は濃 くなる[39]。
-
薄 紅色 の部分 がタラ の芽 。2番目 、3番目 の芽 が見 える -
食 べごろのタラ の芽
薬用
タラノキ
似 ている有毒 植物
脚注
- ^ a b
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参考 文献
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関連 項目
外部 リンク
植物 雑学 辞典 タラノキ - ウェイバックマシン(2007年 11月16日 アーカイブ分 ) -岡山理科大学